【文徒】2017年(平成29)年4月11日(第5巻67号・通巻996号)

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1)【記事】元NHK堀潤が立ち上げた「GARDEN Journalism」とは?
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】元NHK堀潤が立ち上げた「GARDEN Journalism」とは?(岩本太郎)

あの元NHK堀潤が「GARDEN Journalism」というのを新たに立ち上げたそうだ。10日付で私のところにもサイト開設を伝えるメールがきた。運営は株式会社GARDENというところで行うという。
https://gardenjournalism.com/
趣旨については上記サイトに長文で詳しく書かれているが、案内メールでもう少し短くまとめられていた一文のほうを以下に紹介しておこう
《GARDENは、公益事業者の皆さんの発信を支援するプロジェクトです。
一つの種を、みんなで水をやり、肥料をやり、花を咲かせ、果実を実らせる、そんなメディアがあればと思い、「GARDEN」を立ち上げました。
誰もが自分なりの支援の形を見つけられるよう、4つのマークを用意しました。
1.必要な資金を寄付する事で種を育てる、「支援したい」水差しのマーク
2.発信し情報を多くの人に広める事で種を育てる、「取材したい」カメラマーク
3.ボランティアやイベント事に参加する事で種を育てる、「参加したい」花びらのマーク
4.気持ちを届ける事で種を育てる、「共感する」お日様のマーク
すでに多くの人に伝える力を持っている人たちに協力を仰ぎ、「GARDENジャーナリスト」として発信を支援する人たちもいます。
一人一人のできる事で参加し、小さな種を守り育てるジャーナリズムを提案できたらと思っています。みなさん、ぜひ力を貸してください》
もとより、最初は取材のつもりで関わり始めたのが途中から支援ボランティアに切り替わっていたというのもここでは「あり」なのだろう。要は関心の間口を広げることで、ただでさえ埋もれがちなテーマへの社会からのアクセスを獲得しようというわけだ。
そうしたところに一つの受け皿として、堀潤というNHK出身の知名度のある人物を頭に掲げたプラットフォームを設けることでお金も人も集めやすくなる、という効果は確かに期待できそうだ。ちなみに堀潤自身も、同じ10日付で『現代ビジネス』に掲載された2回連続インタビューの後編で、そのあたりの思いを述べつつ、末尾で「GARDEN Journalism」のPRもしっかりやっていた。
《僕のような方法で、さまざまなチャンネルを持って情報発信をしていると、「あそこのテレビで言えなかったことをここのラジオで言おう」「それでも言えなかったことはネットで言おう」「ネットの反響をテレビで紹介しよう」といういいサイクルが生まれます。
僕は今たまたまそれができる位置にいるので使ってください、という気持ちです。(略)日々の所作の中に身についていくような提案を、草の根で続けることが大事だと思っています。あとは、僕より頭のいい人たちがTwitterやLINEのような新しいプラットフォームを作ったら、すぐに乗っかって「一緒にやりましょう!」と言う(笑)》
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51241

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎スタートから1年が経過したAbemaTVの初年度は200億円の赤字だったらしい。しかしサイバーエージェント社長の藤田晋は「今は市場を開拓している段階。あと1年くらいは同じペースで投資を続けていくつもりだ」と公開の場で発言。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/07/news119.html

◎『小学一年生』5月号が、録音した自分の声や音でドレミファを鍵盤で弾ける「ドラえもん うたって!こえピアノ」を付録につけたことが話題を呼んでいるそうだ。渡辺朗典編集長が『おたくま経済新聞』のインタビューに応えて、企画の意図や狙いについて語っている。
https://sho1.jp/5849
http://otakei.otakuma.net/archives/2017040704.html

◎さる4日発売号をもって休刊した『考える人』の編集長を務め、先月末で新潮社を退職した河野通和(元『中央公論』『婦人公論』編集長でもある)の新著『「考える人」は本を読む』が10日に角川新書より刊行された。4月25日に青山ブックセンターで公開記念のトークイベントが開催され、池澤夏樹と対談する。1987年中公新人賞と翌年下期の芥川賞を受賞した『スティル・ライフ』の執筆を依頼したのが中公時代の河野だった。
http://shoten.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321608000189
http://www.aoyamabc.jp/event/readingbook/
ちなみに河野が『考える人』のメールマガジンで書いた記事をまとめた 『言葉はこうして生き残った』が1月下旬にミシマ社から刊行されている。こちらも上記の2日後の27日には「本屋B&B」で刊行記念イベントが予定されており、そちらでは西きょうじと対談するそうだ。
http://mishimasha.com/books/kotoba.html
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01c0cmytydgu.html

◎「干潟」をテーマに講談社月刊少年シリウス』で昨年5月号から掲載されてきた漫画『ガタガール』が2月発売号で連載終了。ところが作者の小原ヨシツグが1月末、連載の打ち切りと単行本2巻が発売されないことなどを明かしつつ連載継続をTwitterで訴えたところ話題が拡散。単行本1巻がアマゾンで急上昇したほか2巻も無事発売の運びとなり、さらには『BOOK☆WALKER』で「『ガタガール』応援企画 目指せ10,000RTキャンペーン」が始まったそうだ。1万RTに到達したら『シリウス』本誌に『ガタガール』特別編を復活掲載する約束が講談社との間でできているとのこと。
https://twitter.com/BOOK_WALKER/status/850188967223767041
https://random-news.xyz/anime/gata-girl-book-walker-campaign/
http://otakei.otakuma.net/archives/2017040703.html

芳文社竹書房が、同じ7日に新たなWebコミックサイトをそれぞれオープンさせた。芳文社は「ニコニコ静画」で「まんがタイム彩」。竹書房は「ソク読み」で「まんがライフSTORIA'」。
http://seiga.nicovideo.jp/manga/official/mangatime?track=top_push
http://sokuyomi.jp/product/izisantiha_001/CO/1/
https://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/itmedia_nlab_20170407135

岡山県玉野市児島湖畔で、土日祝日営業のリアル店舗とネットショップを併せて運営しつつ新刊や古書、個人メディアのリトルプレスも扱う「451BOOKS」を『OZmall』が写真入りでルポ。
http://www.ozmall.co.jp/travel/article/9113/
https://www.facebook.com/451BOOKS/

◎1年の半分以上を、書棚付きの屋台と本をワゴン車に積んで全国を回りながら街角で本を売り、費用を稼ぎながら旅をしている39歳の男性がいるのだそうだ。屋号は「放浪書房」。
https://twitter.com/horoshobo
https://mainichi.jp/articles/20170408/ddf/041/070/012000c

香川県高松市の出版社「瀬戸内人」が2009年に創刊し、昨年末まで20号に渡って刊行してきた地域情報誌『せとうち暮らし』が、今月よりリニューアルし誌名も『せとうちスタイル』に改めたうえで再スタートを切ることになった。小豆島で地元名産品のオリーブオイルを用いた化粧品事業などを手掛ける企業「小豆島ヘルシーランド」が、地域活性化の観点から支援しているこの雑誌については『メディアクリティーク』2月15日号の拙稿でも紹介しているので参照されたい。
https://setouchibito.co.jp/
https://mainichi.jp/articles/20170409/ddm/015/070/047000c

◎ブログ『ガ島通信』などで知られ、今年初めに『ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか』(光文社新書)を上梓した藤代裕之(ジャーナリスト・法政大学社会学部メディア社会学科准教授)が「ネットメディアに明日はあるか」をテーマに『JCASTニュース』のインタビューに2回連続で登場。
http://www.j-cast.com/2017/04/07295030.html
http://www.j-cast.com/2017/04/08295033.html

上毛新聞社出身の横山秀夫朝日新聞のロングインタビューに登場。作家デビューして新聞社を辞めた当初はさすがに食えず、東京に出てビル警備や工事現場の交通誘導などのアルバイトで生計を立てていたとのこと。
《花屋さんが配るチラシの裏に短い小説を書かせてもらっていたこともありました。原稿料は1本千円だったかな。
 そうこうするうち、友人が講談社のマンガ誌「週刊少年マガジン」の編集者を紹介してくれました。で、マンガの原作を書いてみないか、と。ふたつ返事で引き受けたものの、これが大変でした。新聞記者時代に身につけてしまっていた虚飾のプライドを粉々にされたんです》
http://www.asahi.com/articles/ASK3R5K3TK3RUHNB00V.html

◎神奈川県葉山町がインスタグラムを活用して行っている自治体PRが、同役場政策課の20代女性2人に独自のスタイルでの発信を委ねたところフォロワーが1年余りで8倍近くに急増。影響力の強さに目を留めたパナソニックとの間で、写真を通じて双方の活性化を図る連携・協力協定を今年2月に締結するなど、自治体以外からも注目を集めているそうだ。
https://www.instagram.com/hayama_official/
https://mainichi.jp/articles/20170406/k00/00m/040/093000c

◎米国のランジェリーブランド「コサベラ」が昨年10月、AIを活用したマーケティングプラットフォームを活用し始めたのを機に、それまで起用していたデジタルエージェンシーとの契約を打ち切ったと『campaign』が伝えている。AIが広告会社を駆逐する時代が来たのか。
https://t.co/nJWMAln5tY

◎中国「改革開放」の原点の地として知られる深センに誕生した「深セン書城中心城」は東京で最大の池袋ジュンク堂の6倍の面積を誇る世界最大の書店だそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/123818

◎『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)という本の出版を目指して、親から虐待された経験談や寄付を募るプロジェクトが進行中である。
http://letters-to-parents.blogspot.jp/

◎文芸評論家の藤田直哉が、東日本大震災を経験した人々の声を集める文芸誌を創刊すべく現在クラウドファンディングを実施中。『SYNODOS』のインタビューで、その新たな文芸誌のコンセプトについて語っている。
http://synodos.jp/culture/19474
https://camp-fire.jp/projects/view/24404

◎一方、このほど“30代のための社会文芸誌”と銘打ちつつ誕生した『たたみかた』の創刊号は「福島特集」。《政治における『中間層』『無関心層』の中にいた、30歳の女性編集長が創刊》したとのことだ。
http://www.hanmoto.com/atashisyaf-4
https://www.amazon.co.jp/dp/4990843657/ref=cm_sw_r_tw_awdo_x_VmI6ybFD1GMJ4
ちなみに版元のアタシ社は編集者兼ライター兼カメラマンのミネシンゴとデザイナーの三根加代子が夫婦ユニットとして逗子市で営んでいる“ふたり出版社”。昨年小誌898号で紹介したが『美容文藝誌 髪とアタシ』の編集発行のほか、企業のHPの作成やパンフレットの制作なども行っている。
https://twitter.com/mineshingo
http://wotopi.jp/archives/43296