【文徒】2017年(平成29)年6月30日(第5巻122号・通巻1051号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】Jリーグ常務理事がパワハラ&セクハラで辞任
2)【記事】朝日新聞がヤフーの「ステマ疑惑」をスクープ
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.6.29 Shuppanjin

1)【記事】Jリーグ常務理事がパワハラ&セクハラで辞任

Jリーグが「役員退任について」を発表した。
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ/チェアマン 村井 満)は、本日(2017年6月27日)付にて中西大介常務理事が退任いたしましたので、お知らせいたします。
中西常務理事はJリーグ内において、不適切な言動(パワーハラスメントおよびセクシュアルハラスメント)が認められたことから、本日の理事会に辞任の申し出があり、これを受理いたしました」
https://www.jleague.jp/sp/release/post-49379/
Jリーグは中西からの辞任届を受理したのであって、Jリーグが中西に処分を下したわけではない。そう辞任ではあって解任ではなかったのである。
朝日新聞は次のように書いている。
「Jリーグによると、2015〜16年、複数の職員に対して食事や映画にかなりの頻度で誘い出すパワハラ行為のほか、職場内で女性職員へのセクハラ行為を繰り返していたという。2週間ほど前に職員から相談窓口に通報があり、弁護士が本人を含めた関係者から話を聞くなど調査していた」
http://www.asahi.com/articles/ASK6W641JK6WUTQP01Y.html
これが事実であれば「解任」が相応しくはないのか。「ゲキサカ」(講談社)は次のように説明する。
「ただなぜ解任ではなく辞任だったのか。この疑問について村井チェアマンは『従業員の雇用契約を解除するわけではないので、解雇という概念は理事にはない。今回の事案を総合的に法務委員、もしくは調査された弁護士の助言をいただき、辞任を受理することになった』と説明した」
http://web.gekisaka.jp/news/detail/?219864-219864-fl

                                                                                                                      • -

2)【記事】朝日新聞がヤフーの「ステマ疑惑」をスクープ

ヤフーに「ステマ疑惑」が発覚したことは昨日の一行情報でも取り上げているが、これは朝日新聞のスクープだった。
「大手通販サイト『ヤフーショッピング』が、出店者が広告料を多く払う商品を検索結果の『おすすめ順』の上位にくるように優遇しながら、『広告』と表示していないことがわかった。割高な商品が上位にくることもあるが、利用者にはどの商品が広告料によって上位にきているのか見分けがつかない。専門家からは『消費者の判断を誤らせ、問題だ』との指摘が出ている」
http://www.asahi.com/articles/ASK6855PBK68ULFA01W.html
朝日新聞が問題にしているのは「アイテムマッチ」という広告枠である。
「ヤフーが働きかけていた広告は『おすすめ順』などの検索結果の中に、ほかの商品と並んで表示される『アイテムマッチ』という広告枠だ。完全に広告料の金額のみで表示場所が決まり、商品の近くに『アイテムマッチ』という小さな文字が入る。一目で広告と分かるような表示はなく、字体や写真などは検索結果と同じ体裁だ。ヤフーはサイト内の出店者向けのページで、この広告にお金を出すよう促している」
http://www.asahi.com/articles/ASK6X4WKKK6XULFA01L.html
朝日新聞は5月下旬、ヤフーショッピングに出品する業者の協力を得て、広告料で検索結果の順位が変わる「PRオプション」の効果を調査していたのである。
http://www.asahi.com/articles/ASK663TCHK66ULFA00S.html?iref=pc_extlink
朝日新聞はヤフーの「ステマ疑惑」について、同社の別所直哉執行役員に直撃している。ヤフーの言い分は、こうだ。
「ショッピングサイトは、お店に対して広告を掲載する場所を提供しているものだ。サイト自体が広告のかたまり、電子カタログみたいなものだと考えている。利用者は、最初から全てが広告だと分かって使っているはずだ」
「全面広告にひとつひとつ広告表記をしないのと同じだ。むしろ、元々すべてが広告と言える中で、何かに広告の表記をつけたら、他の表記のないものは広告ではないのだと、利用者が誤解すると思う」
http://www.asahi.com/articles/ASK6K7503K6KULFA00B.html?iref=pc_extlink
一方で別所は「おすすめ順の内容をわかりやすく説明できておらず、見直さないといけない」とも述べている。しかも、ヤフーの行動は早かった。朝日新聞は、次のように書いている。
「大手通販サイト『ヤフーショッピング』を運営するヤフーが出店者に対し、サイト内の広告を出すように働きかけるページに『通常の検索結果と差異のないデザインで表示されるため、『いかにも広告』という印象を与えずにお客様にアピールできる』と記載していたことがわかった。広告であることを隠した広告は『ステルスマーケティングステマ)』と呼ばれる。ヤフー広報は『ステマを推奨するような不適切な内容だった』として28日、この記載を削除した」
http://www.asahi.com/articles/ASK6X4WKKK6XULFA01L.html?ref=tw_asahi
こうも書いている。
「ヘルプには『Yahoo!ショッピングはモール型のインターネット通販カタログです。その一部についてはストアから広告料金をいただいています』との説明も加えた。これらの変更は、朝日新聞の報道を受けた対応だという。
一方で、商品そのものには『広告』といった表示は加えられておらず、利用者にとっては、どの商品が広告料によって『おすすめ順』の上位に表示されているのかはわからないまま。広告料次第で、価格が高い商品の方が上位に来る可能性がある仕組みも変わっていない」
http://www.asahi.com/articles/ASK6X3D6LK6XULFA007.html
このように朝日新聞はヤフーを糾弾しているが、日本よりも「ステマ」に厳しいと言われているアメリカであったならば、今回のような件は問題にならなかったのではないか。徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク)は、アメリカであれば問題にならなかったであろうことを踏まえたうえで「ヤフー個人ニュース」で次のように書いている。
「実際、検索結果で上位表示されたところで、最終的にはユーザーは他のお店と比較して購入することが多いでしょうから、今回この問題がクローズアップされなければ、本来のステマに比べれば大したユーザーへの悪影響はないレベルという判断はありえたのかもしれません。
ただ、やはりこうやって朝日新聞に明確に問題点を指摘された以上、状況は全く変わってしまっています。
『ユーザーファースト』を掲げ、データドリブン企業として検索サービスを提供し、ステマ撲滅を掲げるネット業界のトップ企業であるヤフーが取るべき対策の基準は、明らかにもっと高い基準であるべきなのではないかと感じます」
https://news.yahoo.co.jp/byline/tokurikimotohiko/20170629-00072677/

                                                                                                                      • -

3)【本日の一行情報】

ピュブリシス・グループ(仏)は一切の広告賞に参加しないと宣言した。
http://goo.gl/nER68u

◎「BUSINESS INSIDER JAPAN」の「世界の2大広告主、P&Gユニリーバがデジタル広告費を削減」は次のように書いている。
「ニューヨークの広告調査会社メディアレーダー(MediaRadar)の推計によると、前年比でP&Gが41%、ユニリーバが59%のデジタル広告費を削減している」
https://www.businessinsider.jp/post-34647

コナミデジタルエンタテインメントは、配信中のスマホゲーム「実況パワフルサッカー」は、講談社の「週刊少年マガジン」に連載されていたマンガ「シュート!」とコラボすることになった。
http://www.4gamer.net/games/349/G034918/20170627073/

Netflixテレビ東京がタッグを組んで「月刊モーニングtwo」(講談社)連載中の「さぼリーマン 飴谷甘太朗」を原作として尾上松也主演でドラマ化する。ドラマのタイトルは「さぼリーマン甘太朗」。ドラマは7月7日にNetflixにて先行配信されたのち、テレビ東京BSジャパンにて放送される。
http://news.mynavi.jp/news/2017/06/28/117/

◎今週の「アンアン」(マガジンハウス)の特集は「泣いて、笑って、感動したい! 映画と本と。」。ここで紹介されている本のフェアを企画する書店があると良いのだけれど。そういう連携があっても良いはずだ。
http://top.tsite.jp/news/magazine/i/35959296/?sc_int=tcore_news_lifestyle

◎「LINE NEWS」の「LINEアカウントメディア プラットフォーム」に「ELLE Japan」「GINZA」「MEN'S CLUB」「ナショナル ジオグラフィック日本版」など新たに30メディアが参画した。3ミニッツが運営するファッション動画マガジン「MINE BY 3M」も参画していることに注目したい。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1786

◎「サルまん2.0」の連載中止について、竹熊健太郎は次のように書いている。
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_b30e.html
あれから9年の歳月が流れ、「サルでも描けるまんが教室 サルまん2.0」が単行本化された。
http://goo.gl/FCW8CB
編集は驚くなかれ、黒沢哲哉である。

日本経済新聞社がまとめた2016年度の小売業調査では、アマゾンジャパンの売上高が初めて1兆円を突破したという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO18197400Y7A620C1MM8000/

◎「コロコロコミック」の和田誠編集長が説く「うんこ・ちんちん原理主義」!
「小学4〜6年生の男の子は、女の子と比べて成長が遅いですよね。女の子は恋愛やオシャレなどに興味があるのに、男の子は漫画に『うんこ』や『ちんちん』が登場すると、ものすごく喜ぶ。時代が変わってもこうした傾向は同じで、編集部ではこのことを『うんこ・ちんちん原理主義』と呼んでいます」
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1706/28/news010.html

◎「PR TIMES」に掲載するプレスリリースのうち女性向け料理グルメ・インテリア・ファッション等の情報が光文社の月刊女性誌「Mart」の特設ブログページ「Mart Community Blog」に提供・掲載されることになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000785.000000112.html

◎日経によれば「ぴあは自社株を使った報酬制度を一般社員にも広く導入する」そうだ。「8〜10月に社員への説明会を開いた後、1人当たり300株を均等に付与する」という。ただし「受け取った株式は5年間、売却できない」。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO18187680X20C17A6DTA000/
ぴあらしい施策である。

Facebookの月間利用者数が全世界で20億人を突破した。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1067651.html

トーハン主婦の友社と共同で「主婦の友社アウトレット ヘルシーサマーセール」をMVP商品として6月下旬より全国約800店舗で実施している。
http://www.tohan.jp/topics/20170626_993.html

トーハンは、「企業版ふるさと納税」を活用し、秋田県の元気創造事業「読書が広がるホップ・ステップ・ジャンプ事業」に対し、500万円の寄附を行う。
http://www.tohan.jp/news/20170627_1012.html
秋田県は「朝の読書」の実施率が86%と高く、2011年に「秋田県読書活動推進基本計画」を制定、全国で唯一「県民読書の日」(毎年11月1日)と読書条例を定め「日本一の読書県」を目指すなど、県を挙げて読書推進に取り組んでいるそうだ。

日経BPコンサルティングの「Webブランド調査2017-春夏」によれば、総合ランキング1位を獲得したのは前回2位の「Yahoo! JAPAN」、前回首位の「楽天市場」が2位、「Amazon.co.jp」は前回同様3位だった。
https://netshop.impress.co.jp/node/4467

ダナリーデラックスを発行元、主婦の友社を発売元として隔月刊誌として復刊した「小悪魔aghea」が6月30日発売号より月刊化された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000005491.html

KNT-CTホールディングスのグループ会社であるクラブツーリズムでは、JR東海と共同で、文藝春秋の協力により「旅と文学」をテーマとした宿泊ツアーを企画し2017年6月28日(水)より販売する。
今回は、「井伊直虎」をテーマに、舞台である奥浜名湖井伊谷を訪れ、龍潭寺や井伊家出生の井戸などゆかりの地も立寄り、また、浜松市直木賞受賞作家・安部龍太郎氏から「井伊直虎」についての講演を聴講する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000008099.html

                                                                                                                      • -

4)【深夜の誌人語録】

狭くても深くあれ。浅くても広くあれ。