【文徒】2017年(平成29)年6月29日(第5巻121号・通巻1050号)

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1)【記事】町の書店を地域の情報発信拠点として活性化を図るイベントの事例
2)【本日の一行情報】
3)【人事】主婦の友社 6月27日付取締役体制、7月1日付組織変更及び人事異動
4)【人事】NHK出版 7月1日付人事異動

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1)【記事】町の書店を地域の情報発信拠点として活性化を図るイベントの事例(岩本太郎)

各地からの書店の閉店のニュースは相変わらず多いが、一方で各地から書店を、あるいは書店を中心に地域を活性化しようというニュースも、このところ数多く出てくるようになっている。
例えばJR南武線沿線の川崎市鹿島田の北野書店は7年ほど前から「本が好きな子どもたちが増えてほしい」という思いで始めた「夏のイベント」を拡大。今年(7月6日から開催)はワークショップや音楽ライブなど9つの企画を展開するという。同店総務部の横田和樹は『川崎経済新聞』の取材に次のようにコメントしている。
《書店で本を買う人が減っているという業界全体の課題があり、それを解決するためには、『楽しい本屋』にしなければならないと思った。始めはイベントを行うには採算も考えなければと思っていたが、今はそれよりも、長い目で本を好きな人を増やしたい、ここに来れば楽しいという場所にしたいという思いが強い》
https://kawasaki.keizai.biz/headline/256/
同じ南武線沿線では武蔵新城駅近くで4月1日に「屋台のある本屋 新城劇場」がオープンしている。地元の不動産オーナー・石井秀和と、新潟でゲストハウスのような本屋「ツルハシブックス」を作った西田卓司が共同で立ち上げたもので、こちらも読書会やトークイベントなどを随時開催。近々では来月8日に「新城街歩きカメラ会」という企画も催すそうだ。
http://the-dark-knight.sakura.ne.jp/shinjo-theatre/
https://www.facebook.com/shinjo.theatre/
http://www.townnews.co.jp/0204/i/2017/03/31/376376.html
古書店での事例だが、来月2日には富山県射水市の「ひらすま書房」が、「ひらすマルシェ」なるイベントを開くそうだ。同書店は地元の旧郵便局を改築した文化施設の中にあり、今回はここで行われる「小商い実践講座 小商いラボ」との連動企画。“移動販売書店”としてしられる放浪書房富永浩通を講師に招き、路上販売のコツを含めた売り方指南を行うという。
上記の川崎の新城劇場と同様、「地域おこしはヨソ者・若者・馬鹿者から」と言われるパターンの1つかもしれない。あるいは本を主軸にするとこの3者が集まりやすいということか。
https://toyama.keizai.biz/headline/490/
そういえば昨日は横浜の関内でも「指宿から全国へ!本のある空間を届けるブックカフェプロジェクト」というイベントが行われたそうだ。鹿児島県指宿市NPOが、図書館まで遠いなど様々な事情で図書館に来られない市民のために上記のプロジェクトを構想し、車の購入・改造や書籍購入の費用をクラウドファンディングで集めているという。
https://www.hamakei.com/headline/10153/
地元の企業と組んだイベントのケースもある。横浜市で窓とエクステリアを扱う「ワイドアルミ」という会社が、自社のショールームのある横浜ランドマークタワー内の別フロアにある書店の横にブースを設けて専門書を販売するイベントを行ったところ、ショールームへの来客はもとより書店の集客も伸びたそうだ。しかもイベントの開催費は実質タダだったとか。
http://www.reform-online.jp/news/manufacturer/11488.php
このように書店が地域に開かれた形で、単純に本だけを売るのではない情報拠点として機能していくケースが増えてくると、草の根レベルからの書店改革へとつながっていくのかもしれない。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎「ヤフーショッピング」にも「ステマ」疑惑か。朝日新聞が独自調査のうえ《価格が割高で表示順位が下位だった商品も、高い広告料率をかけると利用者の目につきやすい検索結果の1ページ目に表示される例があった》などと報じている。ヤフー執行役員の別所直哉は朝日の取材に対し《ヤフーショッピングはサイト全体が広告だと位置づけている。カタログなどと同じで、個別に広告と表示する必要はない。カタログのかたまりなので、ステマには当たらない》などとコメント。
http://www.asahi.com/articles/ASK6855PBK68ULFA01W.html

幻冬舎の編集者で堀江貴文『多動力』、与沢翼『ネオヒルズジャパン』などを手掛けた箕輪厚介が少人数による編集サロン「箕輪編集室」を開設した。24日に箕輪がTwitter上で《審査ありの少人数の編集サロン作って、ガチで編集手伝ってもらおうかな》などとツイートしたあたりから話が動き出し、ほどなくFacebookクラウドファンディングの「CAMPFIRE」上ににもページを開設。《たまに、佐々木さんとか佐渡島さんとか加藤さんとか最先端の編集者も呼んで講義してもらおう》などと着々とプランが練られているようである。
https://twitter.com/minowanowa/status/878485009811685376
https://camp-fire.jp/projects/view/34264
https://www.facebook.com/groups/1460815390884763/?fref=ts

青森県八戸市の中心部で昨年12月にオープンした市営書店「八戸ブックセンター」は来館者が半年間で10万人を突破したほか、売り上げも当初の予想を超えていることからか、マスメディアでも紹介されることも多くなっているようだ。
https://mainichi.jp/articles/20170619/ddl/k02/040/140000c
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20170626-OYT1T50056.html
もっとも、上記の記事には出ていないが地元の方からは以下のような声も上がっているようだ。やはり大都市圏以外の公共交通が弱い地域では車の便の悪さは大きなマイナスポイントだと見なされるのだろう。
《オモテどおりはタクシーが占有する一方通行、裏道は狭い路地に昔ながらの平面駐車場がちらばっています まちなかにいるのはバスが足の高校生とお年寄りだけです》
https://twitter.com/annex38/status/877109583130509312

講談社デジタルガレージによる合弁会社DKMediaが運営するキュレーションメディア(運営者側はコンピレーションサイトと呼称)「HOLICS」が昨28日より運営開始。編集長は元『with』編集長で講談社から出向した関万里子。
https://holics.jp/
http://www.garage.co.jp/ja/pr/2017/06/20170628.html

◎恐竜、鉄道、星と星座など「動くもの」を写真や動画で紹介する講談社『動く図鑑MOVE』の世界が体験できるという「MOVE 生きものになれる展 ―動く図鑑の世界にとびこもう!―」が、都内江東区青海の日本科学未来館で11月29日より開催されることになった。
http://zukan-move.kodansha.co.jp/nareru/
http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/20170627movetenHP.pdf

集英社は『週刊少年ジャンプ』50周年企画として、過去の「記念・記録・記憶に残った『週刊少年ジャンプ』を特別に復刻のうえ、7月15日より3ヵ月連続で発売する。第1弾は1968年発売の創刊号と、最大発行部数の653万部を記録した1995年新年3・4合併号の2冊パックで、当時掲載された作品が全てそのまま復刻掲載されるという。
http://getnews.jp/archives/1802911
http://natalie.mu/comic/news/238466

はてなが開発したマンガビューワ「GigaViewer」が集英社のコミックサイト「となりのヤングジャンプ」で採用されることになった。集英社では「少年ジャンプ+」についで2例目の採用となる。
http://hatenacorp.jp/press/release/entry/2017/06/27/153000

藤井聡太四段の活躍により、やはりというか出版界でも将棋本ブームが起こりつつあるらしい。
https://mainichi.jp/articles/20170628/k00/00m/040/037000c
http://www.asahi.com/articles/ASK6W3RHKK6WUZOB012.html

◎『サイゾーPremium』が今日29日までの3日間限定で《今なら雑誌「サイゾー」(定価980円)が月額108円で読み放題》とするキャンペーンを行っている。
http://www.premiumcyzo.com/modules/ot/register-info.php
http://mess-y.com/archives/48770

京都新聞でニュース編集部に所属する33歳の記者が、厚労省より危険ドラッグに指定されている薬物を所持していたとして、医薬品医療機器法違反(指定薬物の所持)の疑いで近畿厚生局麻薬取締部により逮捕された。記者は「自分で使うために持っていた」と容疑を認めているという。京都新聞グループの広報担当、岩永洋一郎総合管理局長は「社会正義を貫くべき新聞社員が違法薬物に関わっていたとすれば誠に遺憾で、読者や地域の皆様に深くおわび申し上げます。捜査に全面的に協力し、真実を明らかにするとともに、社員教育を徹底し、信頼回復を図ります」とのコメントを発表。
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170627000123
http://www.asahi.com/articles/ASK6W2VXMK6WPTIL002.html

電通が今年5月度の「4媒体業種別広告量」を発表。新聞では「家電・AV機器」が対前年比で25.1%などという数字になっている。雑誌の部門別では大半が前年比でマイナスとなる中、「ティーン女性誌」だけが146.6%を記録している。
http://www.dentsu.co.jp/knowledge/pdf/2017/_baitai1705.pdf

◎「honto」がLINE公式アカウントを27日に開設した。
https://honto.jp/info/detail_041000022353.html

資生堂ジャパン執行役員の音部大輔いわく「メディア化するブランドとブランド化するメディア、そのあいだを取りもつエージェンシーやテクニカルベンダー。協働が必要だ」
https://shar.es/1BesNA

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3)【人事】主婦の友社 6月27日付取締役体制、7月1日付組織変更及び人事異動

〈6月27日付取締役体制〉
第34回定時株主総会、および引き続き開催の取締役会において代表取締役が就任した。新体制は以下の通り(カッコ内は担務)。

代表取締役会長 糸井 淳平(社業全般・関連会社担当)
代表取締役社長 矢粼 謙三(社業全般・関連会社担当)=新任
取締役     小川 広将(経理部担当)
取締役     松本 和之(第1、第2事業部担当、第1事業部長=委嘱)
取締役     前田 起也(編集担当・新規事業開発室長=委嘱)
取締役     福田 千太留(経営企画室、メディア・コンテンツビジネス事業部担当)
社外取締役   亀井 洋一
監査役     高木 雅之
監査役     小堀 秀明=非常勤
※荻野善之は代表取締役社長を退任し、顧問に就任。

〈7月1日付組織変更〉
新規事業開発室を新設する
(中長期観点から関連会社を含めた主婦の友社全体の資産を最大限に活用し、新ビジネスや新商品開発等により新規領域を拡大させ、また、他社との連携を推進することにより積極的に新規事業の開発を推進する。=主婦の友社プレスリリースより)
〈7月1日人事異動〉
藤村 幹央
 新:第2事業部長 兼 第2事業部編集部 部長
 旧:第2事業部 編集部 部長

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4)【人事】NHK出版 7月1日付人事異動

荻 光男
 新:執行役員 マーケティング局 広告・クロスメディア部 部長
 旧:執行役員 営業局 販売部 部長

箕輪 貴
 新:マーケティング局 広告・クロスメディア部 EP
 旧:編集局 語学編集部 部長

長谷川 達也
 新:マーケティング局 広告・クロスメディア部 営業主幹
 旧:内部監査部 部長

宮川 礼之
 新:マーケティング局 広告・クロスメディア
 旧:編集局 語学編集部

西井 昭文
 新:マーケティングマーケティング管理部 営業主幹
 旧:営業局 広告・クロスメディア部 担当部長

佐藤 寛
 新:マーケティング局 セールス・プロモーション部 CM
 旧:営業局 広告・クロスメディア部 CM

(※EP=エグゼクティブプロデューサー CM=チーフマネージャー)