【文徒】2017年(平成29)年8月4日(第5巻146号・通巻1075号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】販売をマガジンハウスにアウトソースする日之出出版
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.8.4 Shuppanjin

1)【記事】販売をマガジンハウスにアウトソースする日之出出版

マガジンハウスは日之出出版と販売業務提携を結び、10月より日之出出版が刊行する「サファリ」「ファイン」「ファインボーイズ」という月刊三誌をはじめムックなど総ての出版物の販売業務を受託することになった。
奥付には「発行 日之出出版」「発売 マガジンハウス」と記されることになる。日之出出版からすれば販売にかかわる仕事を丸ごとマガジンハウスにアウトソースすることになるわけだ。書店営業活動はマガジンハウスが行う。日之出出版が担うのは編集、制作、宣伝、広告ということになる。
日之出出版からすればマガジンハウスの販売インフラを活用することで経営体質の強化を図れる。断るまでもないだろうが、取次の条件はマガジンハウスのほうが格段に優遇されている。マガジンハウスからすれば販売売上の「嵩」を確保できる。このことにより販売業界に対する現在のポジションを維持・強化できるわけだ。
既にアシェット婦人画報社講談社と販売に関しては業務提携をしているが、こうした「協業」は紙の市場が縮小するなかで今後、様々なパターンが模索されることになるのではないだろうか。
http://magazineworld.jp/news/pressrelease201708/
ネットビジネス論でいえば「Uber」や「Share house」「民泊」などと同じく「シェア」の一形態といえる。

                                                                                                                    • -

2)【本日の一行情報】

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載の堀越耕平僕のヒーローアカデミア」はテレビアニメ化され、読売テレビ日本テレビ系全国29局ネット放送中だが、東京お台場の温泉テーマパーク「大江戸温泉物語」と9月1日(金)より10月1日(日)までコラボすることになった。
https://abematimes.com/posts/2736803

大宮エリーは間違いなく作家だよな。「BusinessJournal」が「大宮エリー電通時代の『だらしない評判』…恐るべき男性へのアプローチ法」を掲載している。この記事では「大宮といえば、東京大学薬学部卒の才女で、大手広告代理店の電通での会社員勤務を経て、作家や脚本家、映画監督やコピーライター、演出家などとして幅広く活動」と紹介されている。
http://biz-journal.jp/2017/08/post_20009.html
講談社のデジタル広告大賞の審査員は、はあちゅうではなく、大宮エリーのほうが正解でしょ。大宮はテレビCMのディレクターの経験もあるし、講談社からは絵本「グミとさちこさん」を刊行している。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061324442

◎エブリスタが運営する小説投稿サイト「エブリスタ」から生まれ、4,000万PVを誇る「王様ゲーム」(金沢伸明)がTOKYO MX系列でTVアニメ化される。書籍は双葉社から刊行され、シリーズ累計発行部数は800万部を突破している。
http://everystar.jp/news/1036/

アメリカでは「2011年に18-24歳たちは週に平均26時間28分、テレビを観ていたが現在は40%減の14時間31分となっている」(『フォーブス』)そうだが、これは決して他人事ではあるまい。
https://forbesjapan.com/articles/detail/17168

◎アムタスが運営する電子コミック配信サービス「めちゃコミック」(めちゃコミ)が新CM「お祭り お面編」の放送を開始した。
https://sp.comics.mecha.cc/info/mechainu
テレビCMに登場する「めちゃ犬のお面」を全国5ヶ所で無料配布するキャンペーンも実施するそうだ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000071.000022277&g=prt

白泉社とand factoryは共同で無料マンガアプリ「マンガPark」を開発し、8月2日より配信を開始した。
花とゆめ」、「LaLa」、「ヤングアニマル」など白泉社が擁する7つのマンガ雑誌で掲載された作品から選ばれ、アプリリリース時には150タイトル以上が購読できる。今後は1000タイトル以上に追加していく予定だそうだ。「マンガPark」オリジナルのマンガも読めるし、マンガだけにとどまらず、声優陣によるラジオ番組や女性アイドルの映像なども配信する。雑誌の壁を越え男女問わず、面白いものを全部1箇所に集めてしまうという発想には好感が持てる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000014185.html
and factoryはスクエニの「マンガUP!」を手がけている。代表取締役CEOの小原崇幹は1984年生まれ。2009年にzeronana入社、2011年にdocksを創業し取締役に就任、2014年にand factoryを設立している。東洋大OBである。
http://andfactory.co.jp/
「&AND HOSTEL」(アンドホステル)をプロデュースしたのもand factoryだ。
https://eiicon.net/articles/62
https://andhostel.jp/

◎日販のウキウキ研究所と、しまうまプリントシステムは、秋葉原発の個性派アイドルユニット「でんぱ組.inc」のオリジナル写真集「つくる写真集」第3弾を共同制作し、2017年秋より順次発売する。
9月以降順次開設予定の特設サイトに掲載される、各200枚以上の撮り下ろしショットや、個性たっぷりのスペシャルショットの中からユーザーが自分の好きな写真を選択し、レイアウトすると、写真集となってユーザーの手元に届くという仕組みだ。
http://www.nippan.co.jp/news/dempa_tsukuru3/

日本マクドナルドは、ツイッターを利用して、8月9日(水)より、「マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決!」と銘打ち、公式史上初となる、マクドナルドの“愛称”をバーガーのおいしさによって対決するキャンペーンを開催する。
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2017/promotion/promo0802a.html
ちなみに私はマック派である。

トーハンは、ぴあとの共同事業「TOPIA Project」において、共同開発商品の第2弾「ライザップ式腹凹トレーニング&作りおきおかず」をライザップ完全監修のもと、トーハン専売商品として取引先書店で販売している。
http://www.tohan.jp/news/20170728_1034.html

トーハンはサンリオと企画協力し、サンリオ発売元の「ハローキティ音のでるえほん」シリーズ4点をトーハン独占販売のMVPブランド商品として7月下旬より全国約700書店で販売している。
http://www.tohan.jp/news/20170728_1032.html

THE ALFEEのリーダー高見沢俊彦が初の小説「音叉」(おんさ)を文藝春秋の「オール讀物」9月号に発表する。産経は次のように書いている。
「『音叉』は、400字詰め原稿用紙換算で約100枚。若者文化が花開いた1970年代を舞台に、バンドでプロデビューを目指す若者の恋と葛藤を描く青春小説という。今後続きを書いた上で、『THE ALFEE』が結成45周年を迎える来年夏の単行本化を目指す」
http://www.sankei.com/life/news/170803/lif1708030022-n1.html
http://bunshun.jp/articles/-/3571
高見沢は明治学院大学のOB。シールズの奥田愛基の先輩にあたる。
http://bunshun.jp/articles/-/2292

森まゆみ東京堂書店の店頭で選んだ23冊。驚くべきは、ちくま文庫からは一冊も選んでいないことである。
http://dokushojin.com/article.html?i=1799

◎超インテリ内閣だ。「東大→ハーバード大学ケネディ行政大学院」というキャリアの閣僚が上川陽子林芳正斎藤健茂木敏充と四人もいる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H1A_T00C17A8MM0000/

◎今村夏子こそ芥川賞に相応しかったという声は意外に強いんだよね。
https://dot.asahi.com/wa/2017080100061.html

◎「週刊ヤングジャンプ」(集英社)に連載されている野田サトルの「ゴールデンカムイ」がテレビアニメ化されることになった。
https://mainichi.jp/articles/20170802/dyo/00m/200/026000c

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で96〜2000年に連載された藤崎竜の「封神演義」が再びテレビアニメ化されることになった。
https://mainichi.jp/articles/20170802/dyo/00m/200/028000c

◎「教育新聞」は次のように書いている。
「全国の教科書取扱書店数は29年度に2990店となり、約20年間で1千店以上が姿を消した。地域の取扱書店がなくなれば、教科書の安定供給が困難になる可能性がある」
https://www.kyobun.co.jp/news/20170802_02/

◎灘校は歴史教科書に「学び舎」の「ともに学ぶ人間の歴史」を使っているが、物凄い抗議を受けたそうだ。
http://toi.oups.ac.jp/16-2wada.pdf
新潟の米山隆一知事が次のようにツイートしている。
「母校灘校が従軍慰安婦の記載のある教科書を選定した所これに反対する団体から圧力がかけられた事を校長先生が公表しています( http://toi.oups.ac.jp/16-2wada.pdf )。灘校は自由な学校で良い教育を受させてもらいました。灘校の自由が失われる事のない社会を目指したいと思います」
https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/892867406120353792
これは津田大介のツイート。
「灘校の校長が歴史教科書採用を巡って同校に有形無形の『圧力』がかかっていることを具体的に開示、かつ極めて冷静に分析し、いまこの国で起きている『歴史情報戦』がどのような段階にあるのかわかる声明文。全国民必読の文章では。立派な校長だと思う」
https://twitter.com/tsuda/status/892620731586146304

白浜鴎アメリカンなセンス全開の「とんがり帽子のアトリエ」(講談社)が売れているようだ。「モーニング・ツー」に連載されている。
http://news.kodansha.co.jp/20170803_c01
広告業界は白浜の才能に注目すべきだ。白浜は「スター・ウォーズ」の公式アメコミイラストを手がけている。

国書刊行会スタニスワフ・レム・コレクションが「主の変容病院・挑発」をもって完結した。
http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336045041/

◎「完本 丸山健二全集」が札幌市の出版社「柏艪舎」(はくろしゃ)から刊行される。読売新聞北海道版が次のように書いている。全100巻を予定している!
「これまで発表してきた全作品を書き直し、今後の新作も収録するという前例のない全集で、10年をかけて全100巻を刊行する予定。これだけ大部の全集を地方の出版社が手がけるのは極めて珍しい」
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20170803-OYTNT50132.html
http://www.hakurosya.com/maruyamakenji_zensyu.html
「柏艪舎」は「永遠の革命家 太田龍・追憶集〜辺境最深部から出撃せよ!〜」を刊行した版元である。山本光伸代表取締役は翻訳者として知られている。ロバート・ラドラムの「ジェイソン・ボーン」シリーズや「ゴッドファーザー」も山本の訳である。
http://jinzukan.myjcom.jp/sapporo/post/1185

◎版元は筑摩書房とか朝日新聞出版だと思いきや文藝春秋なんだよね。物凄く意外だった。
武田砂鉄の「コンプレックス文化論」。
「コンプレックスとは世間の『ゆるい差別』と表裏一体なんですね。本書によると、高倉健三國連太郎長渕剛泉谷しげるクレイジーケンバンド横山剣も下戸だそう。〈男の円熟味とは、決してバーのカウンターでは生まれないのだ〉。そういうことです」(「週刊朝日」)
https://dot.asahi.com/ent/publication/reviews/2017080100047.html

                                                                                                                    • -

3)【深夜の誌人語録】

創作とはオリジナリティをもって真似ることである。