【文徒】2017年(平成29)年8月7日(第5巻147号・通巻1076号)

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1)【記事】小学館DeNAが共同出資会社「MERY」を設立
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】小学館DeNAが共同出資会社「MERY」を設立

小学館DeNAがデジタルメディア事業を行う共同出資会社「MERY」を8月8日に設立することになった。代表取締役社長は小学館の山岸博取締役副社長がつとめる。資本金は約6億円で、出資比率は小学館が66.66%、DeNAが33.34%となる。本社も小学館本社に置く。オフィスは、どうやら神保町に構えるようだ。
「共同出資会社では、記事掲載に至るまでの作成、編集、校閲などのノウハウが必要な業務に関しては小学館が、システム構築やネット上のマーケティングなどのサポートはDeNAが中心となった体制を確立していきます。そのうえで、従来の『MERY』における運営体制を抜本的に刷新のうえ、全ての記事を新たなプロセスに則り作成し、新しい『MERY』の誕生を目指します。
また、共同出資会社は、小学館のデジタルメディアに対するアドバイザリーや分析などのサポート業務も行います」
http://dena.com/jp/press/2017/08/03/dena/
従来の『MERY』を運営していたペロリは「今後のMERYの運営について」で次のように書いている。
「 尚、非公開化前の「MERY」で生じた諸問題については、引き続き株式会社ペロリが対応します。
キュレーションサービスに関するお問い合わせ専用窓口を設置しておりますのでご質問、ご意見やその他のお問い合わせは、下記よりご連絡くださいますようお願いいたします 。
https://dena.com/jp/curation-support/
http://peroli.jp/
非公開化前の「MERY」の記事は使用しないそうだ。新生「MERY」では小学館が関与しない記事はないということだ。一般投稿も受け付けないようである。
「新しいメリーは旧メリーの名前を引き継ぐが、DeNAは『旧メリーの記事は使わない。一般投稿も受け付けず、ゼロから記事を作る』と説明している」 (毎日新聞
私たちが注目すべきは小学館色の強さが吉と出るか凶と出るかである。
ちなみに講談社デジタルガレージと共同で設立したDK Mediaの社長をつとめる踊契三はデジタルガレージの人材である。DK Mediaの本社は講談社ではなく、デジタルガレージのビルに置いている。
「ウィズニュース」が掲載した「『MERY』復活、盗用被害者が納得できない理由『旧サイト残して』」は次のように書いている。
「今回の新『MERY』設立、被害者はどのように受け止めているのでしょうか?
MERYなどDeNA運営サイトに、ブログの画像7点を無断転載された20代女性は『補償について決着がついておらず、正直あきれています』と話します。
女性は、一方的に1カ所1000円と決められた迷惑料の見直しを求め、7月下旬に弁護士を通じてDeNA内容証明を送ったところです。記載した回答期限が迫っていますが、DeNAからは返事が来ていません」
https://withnews.jp/article/f0170804003qq000000000000000W03610701qq000015684A
DeNAとしては「MERY」を復活させるに際してDeNA色を薄めたかったのかもしれない。堀江貴文ツイッターで「ほんとDeNAって炎上の火消しが上手いよな 」と評価している。
https://twitter.com/takapon_jp/status/893366129262944256

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2)【本日の一行情報】

◎光文社時代の山本由樹は間違いなく優秀であった。そのジャーナリスティックなセンスを全開させて「STORY」「美ST」の編集長として異才を放っていた。しかし、山本が幻冬舎と組んで鳴り物入りで創刊した「DRESS」は失敗に終わった。この失敗を時代のせいにすることもできるかもしれないが、山本の異才は光文社というバックボーンがあって初めて発揮できるものだったのではないだろうか。
そんな山本が今度はフリーペーパー「TOKYO VOICE」を7月30日に創刊した。J-WAVEの番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」に登場して、「書店に来ない若者たちに紙媒体を体験をしてほしい」などと発言したようだが、山本もこういう凡庸な発言をするまで堕落してしまったのかもしれない。
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2017/08/post-3873.html

◎日販は、キャスタリアおよびリブロと共同で、書店での小・中学生のプログラミング教育に特化した販売・イベントコーナー「TECH&BOOKS FOR KIDS」(テック・アンド・ブックス・フォーキッズ)を、リブロ東戸塚店において8月31日(木)までの期間限定で展開している。
http://www.nippan.co.jp/news/tech_books_for_kids_201708/

テレビ朝日で6日に放送が予定されている「ザ・スクープスペシャル ビキニ事件63年目の真実〜フクシマの未来予想図〜」から副題の「フクシマの未来予想図」が削除された。産経はこう書いている。
「インターネット上で『水爆実験と同じ健康被害福島県でも起こるかのような表現だ』などと批判が相次ぎ、同社にも疑問や意見が寄せられた。同社広報部は『誤解が生じかねないと考え削除することにした』としている」
http://www.sankei.com/entertainments/news/170802/ent1708020011-n1.html
毎日新聞朝日新聞も記事にしている。
福島県内を取り上げる表記はなかったものの、『今も続く放射能汚染の問題。そして帰れない故郷……。それは、福島の問題にもつながってきます』との表現もあった。
こうした表現に対し『健康被害に苦しむ島民が福島県民の未来であるかのような誤った表現はやめるべきだ』などの批判があった。同社は、番組紹介のページからも福島に関する表現を削除。番組内容の変更については『お答えできない』としている」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170802/k00/00m/040/159000c
http://www.asahi.com/articles/ASK835TL4K83UCVL012.html
こんなことになるんじゃないかと思っていたが、その通りになった。8月2日付文徒を読み返して下さい。いずれにせよ、番組内容の変更については『お答えできない』と答えるテレビ局にこういう番組を放送する資格はない。

白泉社「マンガPark」のスマホ動画CM、良いじゃないの。
http://www.hakusensha.co.jp/news/50058/

集英社の運営するウェブメディアプラットフォームの一角をなす「Marisol ONLINE」は、PV数約1,500万、UU数約100万に到達した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000011454.html
この「じゃない側の女」って映像化向きだよ。
https://marisol.hpplus.jp/article/6918

◎「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリが「VOGUE JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)と同誌の公式サイトにて4月よりスタートした連載「BVLGARIを創った男 ソティリオ・ブルガリ」は、ブルガリの創業者であるソティリオ・ブルガリとともに日本を代表する3人の女優が古代ローマへとタイムスリップし、ブルガリのジュエリーの起源に迫る物語だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000311.000005631.html

◎7月25日に多臓器不全のため死去した共同ピーアール(PR)創業者である大橋榮元社長について「BusinessJournal」に掲載された「共同PR、巨額資金流用で失脚の『PR業界の天皇』が死去」は次のように書いている。
「大橋氏が付き合ったのは、経済部の記者だけではなく、社会部の記者も視野に入れていた。企業にスキャンダルが起きたら、社会部記者の出番になるからだ。企業トップのスキャンダルを握った週刊誌に広告出稿とバーター(交換条件)で圧力をかけたり、企業に代わって総会屋対策を請け負うなど、荒っぽい手法を駆使した。そのため、経済・産業界ではなかなか市民権を得られなかったが、2005年にはPR業界として初めて株式をジャスダック市場に上場した」
http://biz-journal.jp/2017/08/post_20052.html
私からすると共同ピーアールは大橋榮と椎野育太を二枚看板にした強面のPR会社だったんだよね。雑誌の編集者たちは、どちらかといえば椎野の世話になっていた。
http://biz-journal.jp/2017/08/post_20052.html

◎「GoogleFacebookの競争は均衡状態にあるが、アドテク能力を拡張する潜在性の高いAmazonがじわじわとGoogleの独占を削りにかかっている 」という指摘は重要だ。
http://digiday.jp/platforms/pubmatic-ssp-headerbiding/

実業之日本社は、データサイエンティスト、人工知能(AI)技術者を募集 している。給与は1000万〜4000万円 。ちなみに販売・営業や編集も中途採用を募集しているが、給与は販売・営業が300万〜600万円 、編集が300万〜800万円 だ。
http://www.j-n.co.jp/news/?article_id=419
http://www.j-n.co.jp/recruit/

◎今村翔吾 は時代小説「羽州ぼろ鳶組」シリーズ第2作・『夜哭烏』(祥伝社文庫)の刊行を記念して、今村の地元・ふたば書房草津近鉄店にてトーク&サイン会を開催する。
http://booksfutabashopguide.blog103.fc2.com/blog-entry-1812.html
https://twitter.com/zusyu_kki/status/892140341805043712
今村は「関西京都今村組 」の代表を2008年までつとめている。
「私は十年以上、世間から不良と呼ばれたり、何年もの間引き篭もったり、いわゆるドロップアウトした子どもたちにダンスを教え、それを通じて再び生き直しに導く団体でインストラクターを務めてきた 」
http://dokushojin.com/article.html?i=1770
現在は「関西京都今村組 」の顧問 。ソロアルバム「万里香 」も発売している。
http://www.imamuragumi.com/shogo/
ストリートライブの映像もある。
https://www.youtube.com/watch?v=ezpVoUCQgQw
祥伝社としては大ヒットを狙いたいシリーズだろうね。

◎かつて「革共同政治局の敗北1975〜2014 」「ザ・一九六八」を刊行している白順社が大野正道 「東大駒場全共闘 エリートたちの回転木馬 」を刊行した。
「一番エラくなったのは、海上保安庁長官の岩崎貞二だろうか。滋賀県膳所高校出身で学生解放戦線のヘルメットを被っていたのだが、逮捕歴がなかったから運輸省に入って、航空局長から海上保安庁長官をやった」
ML派(学生解放戦線は同派の学生組織)の活動家が海の警察組織のトップに就任してしまう!
http://www.hakujunsha.com/books.html
大野は筑波大名誉教授。専門は企業法学である。

◎「路地の子」(新潮社)の上原善広のツイート。
「今日は新宿の水炊き屋で、ノンフィクション界の裏話。帰りに一人で寄ったバーで徳間の御大につかまり、今は亡き朝倉喬司さんの話を聞いて、良い意味でシュンとして帰るところ 」
https://twitter.com/yosihiro96/status/892758711181000706
新宿のバー「PEG」で徳間書店の松園光雄にバッタリ会ったというような具合に理解すべきなのだろうか。

◎レンジャーズからドジャースに移籍したダルビッシュ投手が、レンジャーズの地元紙ダラス・モーニング・ニューズに全面広告を掲載し、レンジャースのファンに謝意を示した。 格好良い!
https://mainichi.jp/articles/20170804/k00/00e/050/228000c

残間里江子毎日新聞での「・・・雑誌の衰退に伴って取材者の質が低下しているからなのではないか 」とか「最近の若い取材記者は、ニュースをウオッチするのもweb頼み。しかも自分の関心事以外はクリックもせず、無益な雑情報として切り捨てているような気がする 」という指摘に同感である。
https://mainichi.jp/articles/20170804/dde/012/070/007000c
雑誌編集者や取材記者は、もっと本を読んだほうが良いと思うんだよね。

◎アニコム損保は、ベネッセを通じ、「いぬのきもち健保」「ねこのきもち健保」を販売開始する。
https://www.anicom-sompo.co.jp/news/2017/news_0170804.html

◎「ONE PIECE 連載20周年記念キャンペーンサイト 」だ!
https://sp.shonenjump.com/j/op-20th-anniv/
集英社の雑誌の表紙に「麦わら帽子」が登場する「28誌表紙ジャック」を実施 中。「ヤングジャンプ 」36.37合併号の表紙 では水着姿の10組10名のアイドルが麦わら帽子を被っている。
http://www.comicsync.com/normal/2017/08/04/ID2482/

世界文化社 のライフスタイル誌「MEN'S EX」は、東京ステーションホテル、「ISETAN MEN’S」、「Grand Seiko」とコラボしたスペシャルイベント「Tokyo Classic」を、9 月 30 日(土)に 50 名限定で開催する。税込 5,000 円は安い。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000334.000009728.html

◎「テレサヨ」という言葉が生まれたようだ。
https://twitter.com/unkotaberuno/status/893742412543139840

山際淳司 の「江夏の21球」が文庫ではなく新書で復活した。角川新書だ。「バズフィード・ジャパン 」に掲載された石戸諭 の記事のタイトルは「名作はほぼ絶版に…“忘れられた作家”山際淳司 『復刊』で集まる注目」か。山際淳司が「忘れられた作家」になってしまうとは!
https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/yamagiwa-1980?utm_term=.cwyJwXaQA#.igNrE1Mwv
石戸は「『広島は被爆してない人が行って騒ぐところなんだ』 語りきれない原爆体験を抱えた学者の思い」も書いている。この学者とは丸山眞男 である。
「・・・丸山は広島を安易に語ろうとはしなかった。『当事者』だからこそ、なにも語れなくなる。あまりに凄惨な現実を前にして言葉が続けられなくなったのだろう」
https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/maruyama-1945?utm_term=.ghBEdeVDN#.ck6vEL9D8

岩波書店に初の直木賞をもたらした佐藤正午の「月の満ち欠け」の担当編集者は岩波書店のPR誌「図書」 編集長の坂本政謙 だそうだ。
「駆け出しの編集者時代、丸山眞男先生の『丸山眞男集』を手伝いました。生前の丸山眞男先生にもお会いして、ご自宅でご挨拶させていただいて。上の者に連れていかれて『今度先生の著作集はこの若いのが手伝いますので』と。丸山眞男先生から色々お話をお伺いしたこともありましたね」
http://bunshun.jp/articles/-/3623
映画の話をするに際してペキンパーの「ワイルドバンチ」やミリアスの「デリンジャー」の名前を出すなど坂本は映画のセンスが良い。

◎TORICOが運営する「スキマウェブ」は、実業之日本社より発行されているマンガ215タイトル605冊の無料読み放題を8月4日(金)18時から28日(月)17時59分まで期間限定で実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000005279.html
https://www.sukima.me/slayout/3/

関西テレビは「緊急地震速報の誤送出に関するお詫び」を発表した。
「8月3日(木)午前2時44分58秒から約15秒間、近畿地方の一部地域において、放送休止中に『緊急地震速報』を誤って放送しました。
原因は、試験電波発射中に放送機器のテストを行った際に、誤ってテスト用の地震速報が送出されたことによります。
視聴者の方々に多大なご心配、ご迷惑をお掛けすることになり、深くお詫び申し上げます。
今後はこのような事が起こらぬよう再発防止に努めてまいります 」
https://www.ktv.jp/info/170803.html

◎産経の偽号外がツイッターに投稿されたという。
産経新聞社がインターネット向けに発行している『PDF号外』を装い、『安倍総理逮捕』などの見出しがついた偽号外の画像がツイッター上に投稿されていることが分かり、産経新聞社は3日、『極めて悪質』とするコメントを出した。法的措置も検討している 」(産経)
http://www.sankei.com/affairs/news/170803/afr1708030024-n1.html
法律的にいってもパロディでは済まされないようだ。
https://www.bengo4.com/internet/n_6471/

博報堂DYホールディングスの4〜6月期の連結決算は、営業利益が前年同期比35%増の78億円。同期間では過去最高 を記録した。4マスメディアでは、新聞、ラジオが前年同期を下回っ たものの、テレビが好調に推移し、その結果、4マスメディア取引合計は前年同期を上回りました。また、 4マスメディア以外では、インターネットメディアを中心に全ての種目で好調に推移し、4マスメディア以外 取引合計も前年同期を上回った。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1503439

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3)【深夜の誌人語録】

直球を生かすための変化球であり、変化球を生かすための直球である。