【文徒】2017年(平成29)年8月9日(第5巻149号・通巻1078号)

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1)【記事】朝日メディアグループファンドは出資約束金30億円規模を目指す
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】朝日メディアグループファンドは出資約束金30億円規模を目指す

朝日新聞社はスタートアップ投資を加速すべく100%子会社として4月にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の「朝日メディアラボベンチャーズ」を設立したが、その活動がいよいよ本格化する。朝日メディアラボベンチャーズは8月7日、ベンチャーファンド「朝日メディアグループ1号投資事業有限責任組合(朝日メディアグループファンド)」を組成したのである。
出資者は、朝日新聞社テレビ朝日ホールディングス名古屋テレビベンチャーズ合同会社名古屋テレビ放送のCVC)、ABCドリームベンチャーズ朝日放送のCVC)であり、今後、今年末までにほかの朝日新聞グループ企業からも追加出資を募り、出資約束金30億円規模のファンドを目指すそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000027319.html
すでに米国に暮らすアジア人向けのマッチングサービス「EastMeetEast」を運営する日本人経営の米国企業EAST MEET EASTへの出資を決定しているそうだ。朝日新聞メディアラボでシリコンバレー事務所長を務める野澤博は「CNET Japan」で次のように発言している。
朝日新聞でも既存事業部門の中で新規事業を生み出そうという試みが行われてきましたが、なかなか新規事業が興りにくいという課題がありました。朝日新聞のビジネスをけん引する中核機能に優先的に技術やアイデアといったリソースを費やす必要があるわけです。
一方で、ベンチャー企業と生み出す新規事業やイノベーションは、最初は小さい規模でスタートするわけですが、朝日新聞の中核事業から見ると利益も小さく協業の意義やメリットも感じにくい。“組む必要があるのか?”となるわけです。であるならば、朝日新聞の本体からは切り離して新規事業領域をしっかり考えていく体制を作る必要があるのではないかと感じました」
https://japan.cnet.com/article/35105273/

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2)【本日の一行情報】

◎日販が発表した7月の店頭売上前年比調査は前年同月比4.9%減。内訳は雑誌9.1%減、書籍2.6%減、コミック5.3%減、開発品10.4%増。
https://ryutsuu.biz/sales/j080702.html

文藝春秋は9月5日より「SEKAI NO OWARI×文春文庫 秋100ベストセレクション」フェアを開催する。当然、メインキャラクターはSEKAI NO OWARI。これに加えてメンバーのSaoriこと藤崎彩織の青春小説を単行本で出版するそうだ。
http://www.bunshun.co.jp/bunko/fair2017/
藤崎は「文學界」で書評エッセーを既に連載している。
http://bunshun.jp/category/dokusho-kansoubun

◎「キャプテン翼」がアラビア語に翻訳された!毎日新聞によれば翻訳はドバイに出店している紀伊国屋書店の企画だそうだ。
「一方、集英社は計3000冊を買い取り、一部をドイツやトルコのNGOなどを通じて欧州のシリア難民に贈った。ダマスカス大への留学経験がある中東研究者で、集英社に寄贈を頼んだ同志社大大学院の内藤正典教授は『言葉に尽くせない苦難を生きている難民の子どもの希望になってほしい』と話す」
https://mainichi.jp/articles/20170807/k00/00e/040/161000c

◎2月7日に発売された乃木坂46白石麻衣の2ndソロ写真集「パスポート」(講談社)は8回目の重版が決定し累計発行部数が22万部を突破した。
https://mdpr.jp/news/detail/1705676
白石は「Ray」(主婦の友社)の専属モデルであって、「ViVi」(講談社)の専属モデルではない。

三省堂営業企画室の内田剛が「ダ・ヴィンチニュース」で「すごい勢いですね。2015年4冊、2016年7冊で今年は上半期だけで既に7冊が発売されています。三省堂ではケント・コーナーを作って展開しています」と発言している。ケントとはケント・ギルバートのこと。特に売れているのは講談社+α新書の「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」だそうだ。
https://ddnavi.com/news/392158/a/
これはケント・ギルバートのツイート。
〈最新刊『ついに「愛国心」のタブーから解き放たれる日本人』(PHP新書)は明日から書店に並び始めると思います。「最初からそんなに刷って大丈夫なの?」と編集部に聞いた過去最大の初版部数でしたが、発売前重版が決まりました! 嬉しいです!〉
https://twitter.com/KentGilbert01/status/894740960176779264

◎「LINEショッピング」は、6月15日のサービス開始から1ヶ月半の8月1日時点で会員数が500万人を突破した。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1835

住野よる「君の膵臓をたべたい」(双葉社)の劇場アニメ化が決まった。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=zp162UDrtyA
http://kimisui-anime.com/
次はテレビでの実写ドラマ化ということになろうか。

◎6日付の読売新聞東京本社版朝刊に大リーグのテキサス・レンジャーズダルビッシュ有投手に感謝するカラー全面広告を出稿した。
ダルビッシュ有さんへ 2012年の入団以来、あなたが成し遂げた数々の実績と、チームへの献身的な働きに心から感謝いたします。超一流のパフォーマンスを、ありがとう」
http://www.yomiuri.co.jp/topics/ichiran/20170804-OYT8T50024.html

◎光文社の女性ファッション誌「VERY」の動画広告。公式サイトをリニューアルした。
https://veryweb.jp/trend/other/12297/
https://www.youtube.com/watch?time_continue=7&v=x16Mh7HKhEc
「VERYFES.2017@二子玉川ライズ」は9月18日(祝)に開催される。
http://meet.veryweb.jp/veryfes/veryfes2017/

◎「ヴォーグ英国版」編集長にエドワード・エニンフルが就任。初の男性、初の黒人、初のゲイと初めて尽くしである。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/08/07/british-vogue-hires-first-gay-eic_n_17694822.html

博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂DYデジタル、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムは共同で、デジタル広告によるリアル店舗での購買効果を測定する「購買トラッキングツール」の提供を開始した。
博報堂DYグループが保有する大規模購買アクチュアルデータ(ID付POSデータやレシートデータ等の店舗での商品・サービス販売時に記録されるデータ)を活用することにより、複数のチャネル、複数の媒体を横断した形で、デジタル広告によるリアル店舗での購買効果の測定を可能にした。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/HDYmpnews20170807-1.pdf

◎「しかし、だからどうだというのだ」という指摘をものともせず、どんなに「うんざり」されようとも、有名人のスキャンダルを報じるのが週刊誌の週刊誌たる所以の一つだと私は考えている。
http://www.iza.ne.jp/kiji/entertainments/news/170806/ent17080611190003-n1.html

◎日本出版者協議会は、9月9日(土)10:00〜19:00、在日本韓国YMCA アジア青少年センター(千代田区)にて、出版協ブックフェスを開催する。「空気なんか、読まなくていいじゃない。本を読もうよ。」というコピーは出版協らしい。大阪屋栗田執行役員による講演「激動の書店流通時代―アマゾン・書店の今―」もある。
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/files/hp.pdf
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000285.000012505.html
猪野健治の「義理回状の研究」(現代書館)が復活する!これは絶対に買いである。
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/files/30.pdf
ツイッターで公式アカウントも立ち上げている。
https://twitter.com/shuppankyo

小学館の「週刊少年サンデー」「ゲッサン」「サンデーGX」というサンデー系マンガ誌が合同で運営するマンガサイト「サンデーうぇぶり」のスマホ向けアプリの配信が始まった。掲載ストーリーは数万話以上となっており、マンガアプリ最大級規模を誇る。コイン制が導入され、1コインにつき、マンガが1ページ読むことができる。31日までにアプリをダウンロードすると、コミックス約10巻分に相当する2000枚のボーナスコインを配布するキャンペーンを実施している。
https://mainichi.jp/articles/20170808/dyo/00m/200/006000c
サービスモデルはACCESSと共同で企画された。EPUB準拠の電子出版ソリューション「PUBLUS」(パブラス)がベースとなっている。
https://jp.access-company.com/news_event/archives/2017/0808/

文藝春秋電子書籍オリジナルとして配信するマンガ「幕末 桜田門外の変」の原作は司馬の短編集「幕末」(文春文庫)に収録された「桜田門外の変」である。画は森秀樹。「週刊文春」の連載だが、司馬遼太郎の作品のマンガ化は初めてのことである。
https://www.atpress.ne.jp/news/135060
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/1692043500000000000O

◎「ぴあ Movie Special 2017 Autumn」が9月12日に発売される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000572.000011710.html
阪本順治の「エルネスト」は見なけりゃならんよね。
https://www.youtube.com/watch?v=2VUtaUrEBdQ
自己破産した長崎出版が「革命の侍ーチェ・ゲバラの下で戦った日系二世フレディ前村の生涯」を2009年に刊行していた。
https://honto.jp/netstore/pd-book_03153378.html
ちなみに日名子暁は、28年前に当時は日本でほとんど知られなかったフレディ前村の足跡を、独裁政権下のボリビアに追ったドキュメント「革命伝説」(アイピーシー)を書いている。知る人ぞ知る作品だが、現在はeBookJapanの電子ブック(版元はゼロメガ)として読める。
https://www.ebookjapan.jp/ebj/247484/volume20140725/

文藝春秋は、エブリスタとコラボして「週刊文春」小説大賞の作品を募集する。こういう柔らかさが雑誌出版社として歴史を紡ぎ始めた文藝春秋の持ち味である。
http://everystar.jp/news/1053/
短編小説賞である。テーマは「表の顔、裏の顔」だ。私の偏見なのかもしれないが、文藝春秋は明るく、新潮社は暗いというイメージなんだよなあ。

小学館のマンガ誌「ヒバナ」が休刊。
https://mainichi.jp/articles/20170805/dyo/00m/200/023000c

毎日新聞の「経済プレミア」が「DeNA“盗用サイト”は小学館出資で生まれ変われるか」を掲載している。
小学館合弁会社に約4億円を出す。小学館自体の資本金は1億4700万円で、それを大きく上回っており、この合弁会社に相当力が入っていることをうかがわせる」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20170807/biz/00m/010/009000c

小学館のマンガアプリ「マンガワン」で連載されている火野遥人たくのみ。」がTBSでテレビアニメ化され、2018年に放送される。
https://mantan-web.jp/article/20170808dog00m200003000c.html

◎思いのほか「我々は“東京五輪病”を返上すべきだ!」(牧太郎)という声が強まって来るように思えてならない。
https://mainichi.jp/articles/20170807/dde/012/070/005000c

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3)【深夜の誌人語録】

バランスを敢えて崩すことで新たなエネルギーが生まれる。