【文徒】2014年(平成26)9月30日(第2巻184号・通巻386号)

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1)【記事】「主婦の友」復刊!「主婦の友Deluxe」を刊行!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「主婦の友」復刊!「主婦の友Deluxe」を刊行!

このところ、ちょっとした雑誌の復刊ブームである。定期刊ではなく、一号限りなのだろうが、「昭和」という時代を象徴するような雑誌の創刊が次々に発表されている。小学館が「FMレコパル」を復刊させ、マガジンハウスが「オリーブ」の復刊プロジェクトを立ち上げ、今度は主婦の友社だ。むろん、復刊が企てられるのは社名誌たる「主婦の友」である。年末商戦を睨みながら11月20日に「主婦の友Deluxe」を刊行する。
主婦の友」が休刊となったのは2008年だが、「主婦の友」というタイトルは実は生き残っていた。「365日のおかず家計簿」や「毎日の晩ごはん献立800」「毎日のおかずレシピ600」といった企画には「主婦の友」と小さく冠せられていた。主婦の友社にとって、それだけ「主婦の友」は愛着のあるブランドであったのだろう。そんな「主婦の友」がメインタイトルとしてカムバックする、そう言い替えたほうが良いのかも知れない。
主婦の友」といえば付録だ。何しろ毎号、付録をつけるようにしたのは婦人誌では「主婦の友」が最初である。これに続いたのが講談社の「婦人倶楽部」、昭和6年(1931)のことである。「片手で持てない大付録」といった秀逸なコピーも残している。昭和9年(1934)新年号は「十五大付録」を謳った。昨今の宝島社が刊行する女性ファッション誌の付録なんてカワイイものである。
主婦の友Deluxe」は、こうした伝統をしっかりと踏まえている。今回は「付録だけでムック3冊分!」と来た。「ダイエットインソール」「ネックウォーマー」「視力アップアイグラス」の三つが付録として選ばれた。それぞけがピンのアイテム本として成立するような付録である。内容も主婦の友社が当てた企画を勢揃いさせる。「作りおき」シリーズ、「親の家を片づける」シリーズ、「おからレシピ」を大黒柱として据える。主婦の友社のこの一年間のヒット企画を網羅しているといって良い内容なのである。総200頁+付録で税込1800円。
http://www.shufunotomo.co.jp/sales/?cat=1
http://www.jpic.or.jp/event/syoudankai/docs/65syuhunotomosya.pdf

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2)【本日の一行情報】

◎都内の幼稚園の男性職員が園児を性的に虐待したと報じた「週刊文春」の記事で名誉が傷つけられたとし、幼稚園の運営法人とパートの男性職員が発行元の文芸春秋に2750万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁文藝春秋に550万円の支払いを命じる判決を言い渡した。文藝春秋は「著しく不当な判決」だとして控訴
http://www.asahi.com/articles/ASG9V66J6G9VUTIL04B.html
週刊誌は名誉毀損の訴訟に弱い。

◎あけび書房、彩流社大蔵出版リベルタ出版の4社は、 日販がAmazon Student Program の大幅値引きから自社書籍の除外を指導しないのは、日販と版元各社との間で結んでいる再販売価格維持契約書に違反するとして、違約金の支払いを求めていたが、日販はアマゾンに指導することはできないし、違約金を払えないと回答した。
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/files/140821_nippan_2.pdf
これについて4社が声明を発表した。
「回答は、『ポイント付与が違反か判断するのは困難』として、あたかもその判断は日販がすべきもののように言っていますが、これは違います。ポイント付与が値引きか否かの判断をするのは、あくまでも版元です。
なぜなら2001年の小泉首相による政府答弁書に『割引制度やポイントカードの提供が契約違反かどうかは当該当事者間において判断されるべきもの』とあり、公取委は『出版社が判断しその意を受け取次会社も対処できる』という野口見解を出しています。従って、日販が判断できないから版元の要望を販売店に指導できないという論理は成り立たちません」
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/files/141926_seimei.pdf

サントリーホールディングスは10月1日付で、サントリー酒類(株)からビール事業を分割し、サントリービール(株)を設立する。サントリービール(株)の下には、「宣伝部」「海外戦略部」「ロジスティクス部」「ARP室」を新設し、会社組織の基盤強化を図り、サントリー酒類(株)はビーム サントリー社の下に置かれ、経営統合する。
http://www.suntory.co.jp/news/2014/12177.html

スーザン・ジョージの「金持ちが確実に世界を支配する方法―1%による1%のための勝利戦略―」が岩波書店から刊行された。朝日新聞は「T JAPAN」を創刊することで「1%による1%のための勝利戦略」に加担することになる。
http://news.mynavi.jp/news/2014/09/26/367/

◎日本最北端で営業する書店はクラーク書店だそうだ。
http://dotplace.jp/archives/12516

◎「ジ・エコノミスト」は「日本のメディア 朝日新聞の醜聞」を次のような文章で結んでいる。
朝日新聞慰安婦の記事が間違っていたことを認めるまでにこれほど長い時間を要した大きな理由は、最初に記事を書いた記者が出世街道を歩み、権勢を振るっていたからだ。記者も結局は、役人とそう変わらないのだ」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41805#gunosy

◎このブロガーの言う通りだと思うなあ。
「情報過多の現代において、平凡な情報に価値はありません。価値がある情報は、個人の、少し気持ちが悪いくらいの熱意を伴った情報です」
http://blogs.yahoo.co.jp/ookinaisiha_taiteiomoi/46602318.html

◎Web漫画サイト「コミックぜにょん」で連載が決まっていながら、開始2日前に中止となった「あいこのまーちゃん」(やまもとありさ)が、クラウドファンディングサイト「FUNDIY」を利用して電子書籍化を目指すプロジェクトで目標額の100万円を突破した。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1409/26/news124.html

白泉社から刊行されている羽海野チカの「3月のライオン」とBUMP OF CHICKENのマンガと音楽の境界を越えたコラボレーション企画「3月のライオン meets BUMP OF CHICKEN」がスタート。11月28日に発売する「3月のライオン」10巻特装版には、BUMP OF CHICKENの書き下ろし新曲「ファイター」のCDが付属。そして、トイズファクトリーが配信限定シングルとして発売する「ファイター」には、羽海野が描き下ろしの「3月のライオン」スピンオフが電子書籍で読めるシリアルコードが付属する。
http://3lion.younganimal.com/meetsBUMP/

◎テレビアニメが放映開始となった「暁のヨナ」がノベル化される。
http://www.hakusensha.co.jp/novels/

◎私の大好きなマンガ「RAPID COMMUTER UNDERGROUND」を描く座二郎のインタビューだ。ウエブから生まれた才能だ。
http://www.news-postseven.com/archives/20140927_278469.html
通勤途中の東西線で、マンガ「読む」のではなく「描く」。しかもカラーで。まあ読んでみて下さい。
http://big-3.jp/bigsuperior/tameshiyomi/RAPIDCOMMUTERUNDERGROUND/index.html?page=87

光通信の創業者である重田康光会長の長男が、自身を原告として、新潮社、講談社文藝春秋社、小学館といった出版社を相手取り、訴訟を東京地裁に提起していた。弘中惇一郎弁護士が担当する。
http://www.sakurafinancialnews.com/news/9435/20140927_2

◎大手書店チェーンの場合、年間推定3億〜4億円の万引被害に遭っていると「日刊スパ!」が報じている。
http://nikkan-spa.jp/713968

徳間書店はファッションシーンとサブカルチャーから「アイドル」にアプローチした、アイドルカルチャー誌「OVERTURE」を10月3日に刊行する。
http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20140927/Entamenext_1004.html

◎日販は、10月1日(水)より、全国の取引書店の協力のもと、文庫の売り伸ばし企画「傑作宣言プロモーション」を開始する。「傑作宣言」の対象となるのは、講談社の文庫シリーズ。まず日販と講談社で、候補作家24人とその「代表作」と「次の一冊」を選定し、書店員のには24人の候補作家の中からそれぞれ10人を選んだ。
書店では、指名した作家の「代表作」を大々的に展開するとともに、「代表作」を読んだ読者を「次の一冊」へと誘導する売場作りを行う。それにより、作家のファンを育て、「著者買い」による売り伸ばしを図ることが狙いとなる。参加書店数は2,000店舗を超え、書店フェアとしては過去最高規模の取り組みとなるそうだ。
http://www.dreamnews.jp/press/0000100233/

◎「2014 54th ACC CM FESTIVAL」でテレビ部門の上位10作品中、4作品がTUGBOAT による企画だった。
http://www.advertimes.com/20140925/article171056/
http://www.advertimes.com/20140926/article171187/
これがTUGBOATの四人組。
http://xbrand.yahoo.co.jp/category/business_money/4579/3.html
岡は小説も書いている。昨年、「夏の果て」を小学館から上梓。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/jicho/list/CK2013121002000244.html

◎この秋も「ICB」「23区」「自由区」のオンワード樫山3ブランドと、「CLASSY.」「VERY」「STORY」の光文社女性誌3誌がタッグを組んだコラボキャンペーンがスタートした。
http://www.onward.co.jp/news/2014/09/3_-icb23.html

テレビ熊本がドキュメンタリードラマ「広告の先駆者・光永星郎」を制作。光永星郎は電通の創業者である。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/140926/kmt14092607000002-n1.htm
こっちでは放映しないのかな。是非、見てみたい。

◎グリーはスキャンダルの多い企業であることがわかる株主総会だ。
http://www.sakurafinancialnews.com/news/3632/20140927_1

K-BOOKS秋葉原新館の特設ブースで「東京喰種トーキョーグール」コラボレーションスイーツが販売されている。
http://blog.livedoor.jp/honya_akiba/archives/41054975.html
http://youngjump.jp/tokyoghoul/

原発問題などに取り組む弁護士9人(中山武敏 梓澤和幸 宇都宮健児 海渡雄一 黒岩哲彦 児玉勇二 阪口徳雄 澤藤統一郎 新里宏二)が、朝日新聞社木村伊量社長と第三者機関「報道と人権委員会」に対して、福島第一原発事故の「吉田調書」の誤報問題で「関係者の不当な処分はなされてはならない」とする申入書を提出した。
http://www.bengo4.com/topics/2100/
J-CASTは、この申入れと朝日新聞の説明が、必ずしもかみ合っていないと指摘する。
http://www.j-cast.com/2014/09/29217060.html?igred=on
慰安婦問題火付け役の一人といわれる福島瑞穂のダンナの海渡雄一が入っているところがオヤオヤと思わせる。

日本経済新聞社及び日経BP社は、それぞれ運営している電子書籍ストア「日経ストア」と「日経BPストア」を11月をめどに統合し、日経グループの電子書籍ストアとして、「日経ストア」に一本化する。
http://eb.store.nikkei.com/contents/StaticPage.do?html=special501

◎ベネッセの杜撰な顧客情報管理の実態を子会社元社員が「BusinessJournal」で暴露している。アルバイトも正社員を名乗り、情報を見放題なのだそうだ。集団訴訟は起きないのだろうか。
http://biz-journal.jp/2014/09/post_6152.html

◎9月29日付朝日新聞が8月5日付で掲載した慰安婦検証記事を訂正し、お詫びした。検証の肝心要の部分で「誤報」があったということだ。私は毎日新聞で知った。
朝日新聞は29日付朝刊で、過去の従軍慰安婦報道を検証した特集記事(8月5日付)について、誤りと認めた記事を最初に執筆したとしていた元記者が実際は執筆者ではなかったとして、おわびと訂正の記事を掲載した」
http://mainichi.jp/select/news/20140929k0000e040146000c.html
朝日新聞も見ておこう。
「初報は1982年9月2日付大阪本社朝刊の記事として、「執筆した大阪社会部の記者(66)は『講演での話の内容は具体的かつ詳細で全く疑わなかった』と話す」と記しました。しかし、その後、この元記者は当該記事の執筆者ではないことがわかりました。おわびして訂正します」
http://www.asahi.com/articles/DA3S11375306.html?iref=comtop_pickup_04
「初報は自分が書いた記事かもしれない」って、そんな程度の記事としてしか認識していないのだろうか。

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3)【深夜の誌人語録】

時間に流されるのではなく、時間を獲得するのだ。