【文徒】2018年(平成30)1月25日(第6巻14号・通巻1185号)

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1)【記事】徳島県阿南市「平惣」版文庫本Xと蓮見圭一
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】徳島県阿南市「平惣」版文庫本Xと蓮見圭一

書籍や文具、ゲームソフトなどを販売する、徳島県阿南市の「平惣」の8書店は「あなたは必ず涙する。」と書かれたカバーに覆われた「平惣」版文庫Xを2か月で350冊以上売ったそうだ。読売新聞は、こう書く。
「文庫本は、2001年に新潮社から刊行された恋愛小説。ベストセラーになったこともあったが、その後絶版に。河出文庫が17年11月に復刊する際、同文庫側から書店での取り扱いの相談を受けた平惣の販売責任者八百原勝さん(43)は『読んでみて良い本だと思った。もう絶版にしたくない』と感じたという。岩手県内でカバーで書名を伏せて販売した本が話題になっていたことを思い出し、カバーにメッセージを付けて売ることにした」
http://www.yomiuri.co.jp/local/tokushima/news/20180122-OYTNT50437.html
この文庫が蓮見圭一の大阪万博を舞台にした「水曜の朝、午前三時」であることは出版を稼業としている者にとっては自明の理であろう。
「十年たって変わらないものは何もない。二十年たてば、周りの景色さえも変わってしまう。誰もが年をとり、やがて新しい世代が部屋に飛び込んでくる。時代は否応なく進み、世の中はそのようにして続いていく」(「水曜の朝、午前三時」)
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309415741/
新潮社では絶版になっていたが、河出書房の営業マンが復刊に動いた作品である。
「出版社での書籍化は、編集部提案によるものがほとんで、他部署の人間が提案することはあまりありません。私は営業部に所属しており、企画を出すことはほとんどありませんでした。でもこんな素晴らしい作品が手に入らないのはあまりに惜しい! そんな気持ちで編集部に復刊を相談し、なんとか河出文庫での復刊が決まりました」
http://web.kawade.co.jp/bunko/1715/
蓮見圭一は「週刊新潮」が生んだ異才と言って良いだろう。私は蓮見の作家としてのデビュー作でもある、この甘ったるい恋愛小説よりも埼玉愛犬家連続殺人事件を取り上げた「悪魔を憐れむ歌」(幻冬舎)が好きだ。その昔、「たぬきち」こと瀬尾健が評価していたんだよね。
http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20120328/1332905411
逆らう奴は全員、透明にしちまえばいいんだ…これが主犯の口癖だった。

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2)【本日の一行情報】

凸版印刷は、地域の特産食品と、その背景にある多彩な情報や生産者の物語をストーリーとしてまとめた情報冊子をブック型パッケージに一体化し、食文化を発信する新サービス「ふうどぶっく」の提供を、地方自治体やお土産を製造するメーカーなどに向けて、1月下旬より本格的に開始する。
http://www.toppan.co.jp/news/2018/01/newsrelease180119.html

◎エヌ・ティ・ティ・ソルマーレが運営する電子書籍配信サイト「コミックシーモア」が開催した「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞2018」が決まった。大賞は白泉社の「かわいいひと」(斎藤けん)。
女性部門賞はソルマーレ編集部の「永久指名お願いします!」(カナエサト)、小学館の「私は天才を飼っている。」(七尾美緒)。
男性部門賞は小学館の「コタローは1人暮らし」(津村マミ)、スクエア・エニックスの「ラララ」(金田一蓮十郎)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000232.000009284.html
小学館の電子マンガは強いねぇ。

◎「マンガ大賞2018」の一次選考が終了し、ノミネート12作品が発表された。
「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾人間プラモ】/ KADOKAWA
「映像研には手を出すな!」(大童澄瞳/小学館
ゴールデンゴールド」(堀尾省太/講談社
ダンジョン飯」(九井諒子/ KADOKAWA
「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎/講談社
「凪のお暇」(コナリミサト/秋田書店
BEASTARS」(板垣巴留/秋田書店
不滅のあなたへ」(大今良時/講談社
メイドインアビス」(つくしあきひと/竹書房
約束のネバーランド」(出水ぽすか白井カイウ/集英社
「ランウェイで笑って」(猪ノ谷言葉/講談社
「我らコンタクティ」(森田るい/講談社
http://www.mangataisho.com/news/2018/01/2018-1.html
講談社が5作品もノミネートされている。

◎宝島社の美容誌「&ROSY」 3月号の付録はモデルや女優のヘアメイクを担当し、メイクレッスンも開催する長井かおりが監修し、ジェルアイライナー、アイシャドウ4色、リップとチーク、ブラシ2本が入ったヴェルニカ.特別デザイン「大人の品格メイクパレット」が付録だ。
https://www.buzzfeed.com/jp/kylaryan/and-rosy?utm_term=.ofnMMOJaa#.qjlxxyPNN
この付録で920円は安いと誰もが感じるだろう。
「SPRiNG」3月号の付録は大小さまざまなポケットが8つも付いたniko and…のトートバッグ。これも890円と安い。使わなくても安いから取り敢えず買っちゃおうとなるんだろうなあ。
https://life.news.biglobe.ne.jp/news/fashion/mic_180123_8750125647/
宝島社の付録は、実用性に立脚したお値打ち感を強烈にアピールしてくる。例えば「美的」(小学館)3月号の付録は「カバーマーク」のクレンジングと「ダイエットリング」なのだが、「ダイエットリング」の場合、値段を想像しにくいんだよね。
集英社の「マキア」は付録の数で勝負。間々田佳子さん監修 顔ヨガテープ、ポーラ ホワイトショット新美容液、めぐりズム 蒸気でホットアイマスクが付録だ。悪くはないのだが宝島社の「一点突破主義」のほうに迫力を感じてしまうのは私だけだろうか。
https://furoku.info/post-45386/

小学館漫画賞が決まった。
【一般向け部門】かわぐちかいじ「空母いぶき」(ビッグコミック)、眉月じゅんの「恋は雨上がりのように」(週刊ビッグコミックスピリッツ
【児童向け部門】篠塚ひろむプリプリちぃちゃん!!」(ちゃお)
【少年向け部門】白井カイウ原作、出水ぽすか作画「約束のネバーランド」(週刊少年ジャンプ
【少女向け部門】咲坂伊緒さん「思い、思われ、ふり、ふられ」(別冊マーガレット
https://mainichi.jp/articles/20180123/k00/00m/040/080000c
かわぐちかいじが2.26事件を描いた「血染めの紋章」は現在、Kindle Unlimitedで読める。
http://goo.gl/wFA2Xg

小田急電鉄講談社は4月14日(土)に教育評論家の尾木直樹の講演会「尾木ママ本音トーク『こんなに変わる2020年の学校』」を小田急ホテルセンチュリー相模大野で開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000334.000012974.html

大藪春彦賞は、佐藤究の「Ank:a mirroring ape」と呉勝浩の「白い衝動」に決まった。2作品とも講談社である。2年連続で講談社の作品が選ばれたことになる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018012201102&g=soc
3年連続で徳間書店は受賞を逃した。

◎宝島社が昨年12月19日(火)に発売した、60代向けのファッションムック「大人のおしゃれ手帖特別編集 素敵なあの人の大人服」が、発売から3日で重版が決定し、累計4万部を突破した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000631.000005069&g=prt
マガジンハウスの「クウネル」を相当、意識した内容だったが、それが功を奏したのだろう。宝島社は定期刊化に踏み切るのではないだろうか。

◎1月27日午後8時から、文藝春秋西館で「カンニング竹山週刊文春編集長を逆スクープ!」が開催される。
http://bunshun.jp/articles/-/5853
カンニング竹山ベッキー太川陽介と同じサンミュージックに所属している。20日、AbemaTVで放送された「カンニング竹山の土曜The NIGHT」でも「週刊文春」を話題にしていたようだ。
https://abematimes.com/posts/3581881
カンニング竹山は22日にはTBS系ラジオ「たまむすび」にも出演している。「竹山は、不倫が報道された人が極悪人かのように扱われる世の中がおかしいと持論を展開」(サンケイスポーツ)したそうだ。
http://www.sanspo.com/geino/news/20180122/geo18012220470037-n1.html

日比谷シャンテに「女性のための本屋」をコンセプトにした書店「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」がオープンする。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1801/24/news075.html

湊かなえの「贖罪」がエドガー賞の最優秀ペーパーバック・オリジナル賞の候補6作に選ばれた。「親本」は双葉社から刊行されている。
http://www.sankei.com/west/news/180123/wst1801230097-n1.html

◎電子出版ベンチャーのBooks&Companyは2月21日(水)にO2O Book Bizの落合早苗社長を招き、2017年度に実際に「売れた」電子書籍の販売戦略について分析・解説をするセミナーを開催する。落合は「電子書籍ビジネス調査報告書」(インプレス)の著者である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000031153.html

◎学研プラスは、シリーズ累計170万部を突破した赤ちゃん向けベストセラー絵本「しましまぐるぐる」のライセンスアパレルシリーズを2017年10月より発売したが、新たにナルミヤ・インターナショナル、赤ちゃんの城、千趣会ベルメゾン)、金正陶器という4社とのライセンス契約のもと、新商品を1月16日より、ライセンス契約各社の販路で、順次発売を開始している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000031229.html

◎「講談社モーニング×東洋経済オンライン」による「最強の自己紹介研究プロジェックト」研究結果によるセミナーが3月2日(金)に開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001582.000001719.html

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3)【深夜の誌人語録】

笑えば悲しみが減るのであれば、泣くよりも笑え。