【文徒】2017年(平成29)年9月4日(第5巻166号・通巻1095号)

Index------------------------------------------------------
1)【1)【記事】炎上!「かほく市ママ課独身税』提案」(北國新聞)記事は虚報なのか!?
2)【本日の一行情報】
3)【人事】講談社 9月1日付人事異動

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1)【記事】炎上!「かほく市ママ課独身税』提案」(北國新聞)記事は虚報なのか!?(岩本太郎)

石川県かほく市のプロジェクト「ママ課」のメンバーが「独身税」を提案したということで、ネット上で炎上騒ぎが起きている。
きっかけは地元の北國新聞が8月30日付で報じた「かほく市ママ課独身税』提案 財務省主計官と懇談」という記事。
前日の29日にかほく市役所で行われた財務省の阿久澤孝主計官(元石川県総務部長)との意見交換会の席上、「ママ課」のメンバー(30〜40代の女性7人)より「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」との質問が出たのに対し、阿久澤主計官が「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と述べたなどと報じた。
https://this.kiji.is/275333130830235126
案の定、この「独身税」をめぐってネット上ではほどなく「結婚するしないという個人の選択を納税の基準にするのか」「結婚なんて無理だという若者がさらに増える」「独身者差別だ」などの批判意見が噴出。かほく市役所にも抗議が殺到したらしい。
さっそくいくつかのネットニュースも同市役所に取材をかけることとなったが、同市の担当者は「参加者から『独身税』の要望があったわけではない」 「『独身の方の税金を増やしてほしい』ですとか、『独身の方は経費が掛からない』といった旨の発言はありませんでした」と説明。財務省の阿久澤主計官も「『独身税』の導入というような話はしていない」と弁明したという。
https://news.careerconnection.jp/?p=40254
また、「ママ課」についても《市の組織に組み入れたものではなく「子育て世代の女性が集まってかほく市を全国に発信していこうというプロジェクト」》と同市担当者は説明したそうだ。
これらを受けて『ガジェット通信』は《「独身税」創設報道は飛ばしだった!? 市担当「大変困惑しています」》などと見出しで報じている。
http://getnews.jp/archives/1887579
かほく市も抗議にはかなり慌てたらしい。同市の公式サイトには当初、北國新聞の上記報道について《「独身税」の提案等を「ママ課」及び「かほく市」は一切行っておりません》という告知が一時掲載されていたが、現在は削除している。さらには「ママ課」関連のFacebookページ等も削除されてしまったようだ。
http://www.yukawanet.com/archives/5261483.html
一方で北國新聞はというと、9月20日付紙面で「『独身税』に苦情 意見次々」と続報(ウェブ版には未掲載の模様)。《市によると、「課」の名称のため市が税創設を提案したと受け取った人も多いという》などと伝えている。
https://twitter.com/yst64/status/903749259027025920
http://okutta.blog.jp/archives/18342750.html
北國新聞は騒ぎの発端となった上記30日付の記事を現在もそのまま公式サイトに掲載しており、続報では「独身税を意味する提案」があったとして、「独身税」という言葉が使われなかったことを暗に認めている。
意見交換会の席上での発言が「独身税を意味する提案」とまで言い切れるかどうかは微妙なところだ。北國新聞としては、そう解釈したということにしたわけだ。あとは、ほとぼりが冷めるのを待つつもりだろうか。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

真木よう子「フォトマガジン出版プロジェクト」が頓挫した件で、編集を担当するはずだった北尾修一が31日深夜(1日早朝)に《 たいへんお騒がせしてしまいすみません。本件中止の発表を受けて、ここで事の経緯をご説明させて頂きます》とツイート
https://twitter.com/kitaoshu1/status/903276762494144512
そのうえで「経緯説明」をリンクする形で公表。クラウドファンディングを利用することになった経緯などについて以下のように述べている。
《一部では「当初の目標金額は 3,000 万円」で、そのことを真木よう子さんに持ちかけたのは私である、という虚偽情報が出回っていますが、(略)最初に私のところに話が回ってきた時点で、既にクラウドファ ンディングを利用する可能性は、真木よう子さんと鈴木心さんの間で挙がっていました。そのことを受けて、私が CAMPFIRE 社をご紹介した、というのが正確な事実関係です。
一部では「CAMPFIRE 社が企画段階からからんでいた」という誤った情報が出回っていますが、 これも事実に反します。クラウドファンディングの会社として知っていた同社につないだのは 私ですが、もともとの経緯で言えば、本案件は私が個人として依頼されたお仕事です。
そして、話を元に戻しますと、当初 CAMPFIRE 社から過去の事例を参考に提供された資料の金額は、「2,700 万円」でした。こちらは、T シャツ作成、DVD 制作、企業の広告協賛などを盛り込 んだフルパッケージの案でした。これは CAMPFIRE 社から強制されたわけではなく、あくまで「提 案」という形でした。
しかし、真木よう子さんと鈴木心さんのご意向が「今回の企画は手弁当感を大切にしたい」ということだったので、目標金額とリターン案をシンプルなものにしようと、真木よう子さん鈴木心さんと一緒に相談し、今回発表された形(目標金額 800 万円)に決定しました。》
https://drive.google.com/file/d/0BzEQ-Z5glJvvODhTZFhpX1JyRVE/view
手弁当感を大切にしたい」ためクラウドファンディング目標金額800万円といった下りだけでも、消えかかった火にさらに油を注ぎかねない説明ではある。

小学館の関連会社となった「MERY」が、さっそく「公認ライター募集」を始めた。「ネットメディアの記事執筆、編集に付随する業務のアシスタント等」につき、応募条件は「経験不問・18歳以上(高校生不可)・月60時間以上、及び週3日以上で勤務可能な方」とのこと。
https://www.shogakukan.co.jp/news/162005

電通の違法残業事件をめぐる初公判を今月22日11時から開くと東京簡裁が発表。山本敏博社長は既に出廷する意向であることが明らかにされている。
http://www.asahi.com/articles/ASK915257K91UTIL03D.html?ref=tw_asahi

島田雅彦が30日付で《PAC3に116億、Jアラートに92億を払うより、金正恩に小遣いやって懐柔し、日本を射程から外してもらう方が安上がりで確実なミサイル防衛になったりして。ロシアや中国はそれくらいの裏技を使っているだろう。》とツイートしたところ《真面目に書き込んでます?正気の沙汰とは思えません》《頭が悪い左翼脳の典型ですね!》などと批判レスが殺到。『JCASTニュース』これについて《島田雅彦ツイッターが「大炎上」》などと1日付で報道。
https://twitter.com/SdaMhiko/status/902716208599797760
https://www.j-cast.com/2017/09/01307435.html
もっとも島田は批判が沸き上がった後、関連と思しきものとしては《極端な話、日本も核武装をし、北朝鮮みたいに瀬戸際外交で影響力を発揮するか、憲法の規定通り、再度戦争放棄を宣言するか、どちらかしかないといわれたら、後者の方がまし。》などと2件短くツイートした程度で、批判に対して逐一火消しのレスを返しているわけでもない。ネタに事欠いたわけでもなかろうに『JCASTニュース』あたりでも、こうしたネット上の動きを話題としてベタに再生産するようになっている。

◎特集「君の街から、本屋が消えたら大変だ!」を掲載した『POPEYE』9月号は皮肉にもアマゾンでの売れ行きが好調。TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』のwebコラムではこんな紹介も。
《先日、いろいろな諸事情で、タビリオンで一緒にブックセレクト&販売をしているgrowbooksが現店舗を撤退、次の店舗が決まるまで、一時休業となってしまいました。タビリオンとは運命共同体のような本屋ですから、相当ショックでした。
しかも、まさに、ポパイ9月号が発売されるタイミングで…。
基本的に自分は本屋と映画館しか行かない人間ですから、街の本屋さんが無くなるのは本当に困ります。》
https://www.tbsradio.jp/179169
荻窪の書店「Title」 店主・辻山良雄も『幻冬舎plus』の連載で《タイトルからすれば、もちろん皮肉なことです(この特集号だけは、本屋限定で発売すれば面白かったと思いますが、そうもいかないのでしょう)》と言及しつつ、こんな思いを述べている。
《しかしネット上には、現実の世界とは違う人のふるまいがあり、そのズレを理解しておかないと、大きな勘違いが起こる時もあります。
Titleでは、その日入荷した本をTwitterで紹介していますが、何かの拍子にそれが大きく拡散されることがあります。ではそうした本が、Titleの店頭やWEBSHOPから数多く売れるのかといえば、残念ながら「少し売れた」という程度です。出版社に聞くと、その本の売り上げは伸びたらしいので、役に立ってはいそうなのですが。紹介文を「面白そうだからポチった」と、引用されることもしばしばあります。
SNSで「いいね」を押すのは気軽に出来ますが、その人がそこから実際に店まで足を運び、本を買うということまでは、大きな飛躍があります。本屋の立場からすれば、売上に関わる〈リアル〉はウェブ空間にはなく、その店の店頭(他にはその店が運営するWEBSHOP)で起こることにあります。自分が発信した情報を、多くの人に知ってもらえることは嬉しいのですが、それと本屋の経営とは別に考えておく必要があります。》
http://www.gentosha.jp/articles/-/8555

◎評論家で雑誌『PLANET』編集長の宇野常寛が、日本テレビの朝の情報番組『スッキリ!!』木曜コメンテーターから降板することになった舞台裏事情についてTwitterで自らブチまけている。
《本日、放送で報告しましたが「スッキリ!」クビになりました。
実は今年の春、アパホテル歴史修正主義を批判した際に日本テレビ街宣車が押し寄せ、ビビった番組の責任者から発言内容の修正を迫られ、本番中に怒鳴られるまでの事態に発展していました。》
https://twitter.com/wakusei2nd/status/903264392908742656
《降板のけん、一つだけ補足すると、僕に発言修正を要求した番組P自身は右翼でもなんでもなく、たんに〈面倒を避けたかった〉ので僕を黙らせたがり、そして〈言うことを聞かなかったから〉怒鳴りつけました。なんというか、その事実がただただ情けないです。》
https://twitter.com/wakusei2nd/status/903396259901325312
さっそく『リテラ』がレポートしている。
http://lite-ra.com/2017/09/post-3427.html

紀伊國屋書店文藝春秋は合同企画によるPB商品として『蘇える鬼平犯科帳』を10月5日に刊行する。今年2017年は紀伊國屋書店創業90年と同時に「鬼平」誕生50年の節目の年ということから、記念事業として紀伊國屋直接取引の買い切り商品としての刊行を決定した。「せせりの辨介」(逢坂剛)、「最後の女」(諸田玲子)など人気作家7人の短編に加え、池波正太郎自らが選んだ短編「瓶割り小僧」を特別収録するそうだ。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/company/pressrelease/20170901170002.html

紀伊國屋書店は愛知県日進市のショッピングモールに「プライムツリー赤池店」を11月下旬にオープンする。赤池は地下鉄鶴舞線名鉄豊田線が合流して相互乗り入れする駅で、名古屋市中心部にも豊田市にも電車1本で行ける利便性から近年発展中の街だ。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/company/pressrelease/20170831120009.html

◎昨年8月に101歳で亡くなったジャーナリスト・むのたけじの名前を冠したジャーナリスト賞を創設すべく、むのが晩年を過ごした埼玉県内の市民有志が準備を進めているという。来年8月の三回忌には受賞者を発表する予定とのことだ。
https://mainichi.jp/articles/20170831/k00/00e/040/312000c

財務省が1日に公表した2016年度の法人企業統計で、企業が昨年度に得た利益剰余金が過去最高を記録したことについて、朝日新聞が同日付の「企業の内部留保、過去最高406兆円 財務省が公表」という記事で言及。「日本の景気が回復基調を続けているのに企業の内部留保が積みあがっている」といった論調から次のように報じている。
《政府はため込んだ内部留保を設備投資や社員の賃金アップなどに使うよう求めているが、企業側は慎重な姿勢を崩していない。16年度の設備投資額は42兆9380億円で、前年度比0.7%増にとどまる。第2次安倍政権が発足した12年度以降、内部留保は約124兆円積み上がった。》
http://www.asahi.com/articles/ASK8062Z9K80ULFA039.html
これに対してネット上ではさっそく批判が続出。ブログの『市況かぶ全力2階建』は「企業の内部留保批判の朝日新聞社、自社で積み上げた内部留保は3081億円に」と題して、Twitterに上がった以下のような批判の声を紹介している。ご丁寧にも朝日新聞社有価証券報告書に記載された連結財務諸表などのコピーも画面に提示しながら突っ込んで説明しているものもある。
朝日新聞千代田区一等地に所有するオフィスの家賃収入で、左寄りの社内報新聞を書いて世間から激オコされている老舗の不動産屋さんです。地主が小作人雇って暇潰しに作った新聞ですから、土地建物を持たない世襲労働者は一ミリも文句の言えない蟹工船です。》
《新聞社各社の連結利益剰余金
朝日新聞社…3080.99億円
日本経済新聞社…2802.18億円
読売新聞G本社…992.58億円
毎日新聞GHD…393.03億円
西日本新聞社…223.73億円
神戸新聞社…145.48億円
産業経済新聞社…142.70億円》
《よく指摘されているように朝日新聞オフィスビル貸して得ている収益が大きいわけで、資産だと土地と建物合わせて1996億円ありますが、主要設備にだいたいの持ち物出てるわけで》
《セグメント情報見るとわかるようにこのうち不動産事業の資産は1536億、そこから上がってる売上が202億、利益が49億となってますん。》
《これはぜひ朝日新聞にも内部留保を取り崩して雇用改善してもらわねば()》
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65884104.html
LINE上席執行役員田端信太郎もこの記事を受けてこんな皮肉をツイートしている。
《悪口言うたけど、そもそも上場してないから、ここまでの開示は必要ないはずのに、ちゃんと出してるところが優等生の朝日やなwww。》
https://twitter.com/tabbata/status/903794457430040576

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3)【人事】講談社 9月1日付人事異動

〈ライツ・メディアビジネス局関係〉
菅原 喜一郎
新:ライツ・メディアビジネス局国際ライツ事業部担当部長(部長待遇)
旧:第三事業局 週刊少年マガジン編集長

〈編集関係〉
鈴木 崇之
新:第一事業局 週刊現代編集長
旧:企画部担当部長(部長待遇)

栗田 宏俊
新:第三事業局 週刊少年マガジン編集長
旧:第四事業局 ヤングマガジン編集長

山口 崇
新:第三事業局 シリウスラノベ編集部長(シリウス編集長)
旧:シリウスラノベ編集次長

山本 憲一
新:第四事業局 ヤングマガジン編集長
旧:第三事業局 シリウスラノベ編集部長(シリウス編集長)

山中 武史
新:第一事業局 企画部担当部長(部長待遇)
旧:週刊現代編集長

(※機構改変、部署名変更による異動者は省略。局内異動の場合は新部署・役職名に局名を記載。兼任の場合は新旧それぞれに局名を記載)