【文徒】2017年(平成29)9月28日(第5巻183号・通巻1112号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「けものフレンズ」監督解任騒動
2)【記事】産経新聞が元気な時代
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「けものフレンズ」監督解任騒動

アニメ「けものフレンズ」の監督たつきが降板することになった。降板は、たつきが自身がツイッターで明らかにした。
「突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です」
https://twitter.com/irodori7/status/912270635610472448
厳密にいえば、たつきは「カドカワ」ではなく「KADOKAWA」と書くべきだった。カドカワホールディングカンパニーであり、そのもとにKADOKAWAドワンゴがぶら下がっているわけだ。たつきが「カドカワ」と書いたため、カドカワのサイトがつながりづらい状態になってしまったようだ。「ねとらぼ」は次のように書いている。
たつき監督はCGや脚本、構成、演出、コンテなどに関わった『けものフレンズ』ヒットの最大の功労者だったため、ネット上ではたつき監督の続投を望む署名活動が始まったり、ニコニコ動画のプレミアム解約宣言が続出したりと、ネット全体を巻き込んだ大騒動に発展していました」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1709/26/news129.html
また「ITmediaNEWS」は、こう書いている。
けものフレンズの版権プロデュースなどを手掛ける出版社・KADOKAWAを批判する声も出る中、KADOKAWA親会社・カドカワ社長でドワンゴ会長の川上量生さんが26日午前、この件について『ぼくも心配しています』と、マストドンでコメントした」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1709/26/news076.html
けものフレンズプロジェクトA」が「『けものフレンズ』の映像化プロジェクトに関するご報告」を発表した。
「…アニメーション制作会社であるヤオヨロズ株式会社より8月に入った段階で辞退したい旨の話を受け、制作体制を一から模索することになっているのが現状です」
「しかし、アニメーション制作を担当していただきましたヤオヨロズ株式会社には、関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用がありました。映像化プロジェクトとしては次回の制作を引き続きお願いしたかったため、情報は事前に共有してほしい旨の正常化を図る申し入れをさせていただきましたが、ヤオヨロズ株式会社からは、その条件は受け入れられないので辞退したい、とのお返事でございました」
http://kemono-friends.jp/archives/category/news/
しかし、こうした説明で納得できるファンはいないのではないか。こんなツイートを発見した。
「この問題の凄いところは
たつき監督の言葉を無条件に信じるな』
と言う人は居ても
KADOKAWAの言う事も少しは信じてやれよ』
と言う人間が欠片も居ない事である」
https://twitter.com/bottikurihu/status/912800579990077440
KADOKAWAに不信感を持つファンは多いようである。
たつき監督降板騒動、ヤオヨロズ側が潔白とは思わないけれど、KADOKAWAの公式声明の質の悪さとKADOKAWAのこれまでの歴史を考えるとやっぱりだいたいKADOKAWAが悪い気がする」
https://twitter.com/Yagiushi2/status/912887326103281664
昼間たかしにしても不信感を抱いている。昼間は「日刊サイゾー」に「『けもフレたつき監督降板騒動で甦る25年前の怒り……誰ひとり『コミックコンプ』の恨みは忘れちゃいない!!」を発表し、KADOKAWAを信じられない歴史的な背景を丁寧に説明している。
http://www.cyzo.com/2017/09/post_34606_entry.html
茂木健一郎のツイート。
けものフレンズたつき監督の続投を求めるキャンペーンに賛同いたしました」
https://twitter.com/kenichiromogi/status/912310164992045057

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2)【記事】産経新聞が元気な時代

東京新聞社会部の望月衣塑子が講師をつとめる新潟県平和運動センターによる憲法学習会が開催されたが、報道各社が加盟する新潟県の県政記者クラブに告知をしながら、産経新聞だけが取材を拒否されたそうである。むろん、産経は黙っちゃいない!新潟県平和運動センターに口頭で抗議したという。
「本紙記者は会場で同センター側から取材と写真撮影の許可を得たものの、学習会の開始直前になって同センターの有田純也事務局長が『望月記者が話したいことを話せないので、産経だけは駄目だ』などと取材を拒否し、本紙記者は抗議したものの会場から退去させられた」
http://www.sankei.com/politics/news/170925/plt1709250110-n1.html
私が東京新聞の記者であれば(望月であればと言い換えても良い)、産経ともども新潟県平和運動センターに抗議することに躊躇しない。産経が望月を狙い撃ちにした報道をつづけることに対する評価はまた別の問題である。
産経は頑張っている。例えば産経は中村将記者による「サンフランシスコに慰安婦像、米大都市で初 除幕式に中国総領事、マイク・ホンダ前議員ら出席」を掲載しているが、他の新聞はこのことを報じていないようだ。
http://www.sankei.com/world/news/170923/wor1709230014-n1.html
このメモリアル像の除幕式に参加していた山口智美がこんなことをツイッターで呟いている。
「しかし朝日とかの日本のリベラルとされるメディア、サンフランシスコの慰安婦メモリアルの報道ないままなんでしょうかね。なんのために特派員がいるのか。産経の独走許してるメディアの責任大だと思う」
https://twitter.com/yamtom/status/911586352180879360
韓国のメディアから批判される日本のメディアの最右翼も産経であるといってよいだろう。
朝鮮日報」が掲載した社説「日本メディアの常習的な『韓米仲たがい』報道」で日本の新聞で名指しされたのは産経のみである。テレビでは日本テレビとフジテレビが名指しされている。
「…産経新聞は19日、国連の昼食会会場でトランプ大統領が安倍首相に「北朝鮮封鎖に必要な力が晋三(安倍首相)にはあるが、文大統領にはない」と言ったと報じたが、これも信じがたい。もし、トランプ大統領が実際にこのような言葉を言ったとしても、日本が第三国の首脳を非難する内容を報道させるのは問題だと言わざるを得ない」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/09/25/2017092500843.html?ent_rank_news
聯合ニュース」が掲載した「韓米高官 日本メディアの歪曲報道を批判」という記事の主役は産経である。
〈日本の一部メディアは日本政府筋などの話として、韓米日首脳の発言内容を相次いで歪曲報道している。
産経新聞は22日(日本時間)にニューヨークで開かれた韓米日首脳会談で、日米首脳が韓国の文在寅大統領に対し韓国政府の対北朝鮮人道支援方針に強い不快感を示したと報じた。
韓国政府関係者は聯合ニュースの取材に対し、「『小説』であり事実と異なる。発言内容を歪曲して報じることを韓国政府は座視しない」と強い遺憾を表明した。
産経新聞のほか、日本テレビも韓米日首脳会談での発言を歪曲した。フジテレビは日米首脳の電話会談(7日)の内容を歪曲して報じたが、後に日本政府が事実と異なると発表した〉
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2017/09/24/0400000000AJP20170924001200882.HTML
中央日報の「韓国メディア、日本の無責任な報道を批判」によれば東亜日報も社説「日本メディア、責任のある韓国関連報道を」を掲載しているようだが、日本語版では掲載されていないようだ。
「…東亜日報は9月26日、『日本メディア、責任のある韓国関連報道を』という社説を通じて『最近の韓半島朝鮮半島)危機に関連し、一部の日本メディアの無責任な報道形態は放置できる水準を超えた』とし『一部のメディアが政府関係者の歪めて流した情報を匿名で報道し、政府は歪曲した報道を黙認する形で右派安倍政権の利益を追求するのではという疑いまで抱く』と伝えた。続いて『日本は経済的に先進国だが、報道の慣行では先進国とは言いがたい』と批判した」
http://japanese.joins.com/article/826/233826.html?servcode=A00§code=A10
http://japanese.donga.com/List?c=0501
池田信夫がこんなツイートをしていた。
「産経がこんな左翼弁護士に原稿を書かせて、電通を血祭りに上げるのは救いがたい。産経は36協定を守っているのか」
https://twitter.com/ikedanob/status/912619427933306880
池田が問題にしたのは嶋粼量弁護士による「電通裁判は安倍政権『働き方改革』のみせしめに過ぎない」。
http://ironna.jp/article/7743?p=1

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3)【本日の一行情報】

◎宝島社の美容誌「& ROSY」は11月号より「& ROSY」のオリジナルキャラクターである「猫のロージー」による連載「ロージーダイアリー“猫視眈々”」を開始した。女性誌におけるキャラクタービジネスは可能性があるはずだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000579.000005069.html

◎投稿サイトが「文壇」を最終的に破壊することになるのかもしれない。
https://mainichi.jp/articles/20170926/dde/012/040/003000c?fm=mnm

◎ワイオーユーは、講談社の美容誌「VOCE」が立ち上げた「VOCE LAB」の第1案件として採用された「CELLTURE」(セルチュール)のヒト由来幹細胞5%配合のブースター美容液を販売開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000016305.html
http://i-voce.jp/feed/7592/

文化放送の10月2日スタートの新番組「久間田琳加 りんくま*めがへるつ」の久間田は、元「ニコラ」(新潮社)の専属モデルで、現在は集英社のティーンズ女性誌Seventeen」の専属モデルである。
https://entameclip.com/news/81204
http://www.joqr.co.jp/medianavi/news/2017/09/post-4.php

青木理の「デイキャッチャーズ・ボイス」。お題は「総理官邸による東京新聞への異例の抗議。『権力とメディアの関係』を改めて考える」。
https://www.tbsradio.jp/184483
日本の「記者クラブ」は歴史的な経緯からしても民主主義の敵だと言い切れないんだなあ。

◎食品専門店「北野エース」は、創業55周年にちなみ、特別企画を年末にかけて次々と展開するというが、目玉企画とし、光文社の女性誌「Mart」と共同開発した「かけるあご入りだし」を、「Mart」11月号に合わせて全国の北野エース系列店舗、及び同社公式通販サイトで販売する。
https://www.atpress.ne.jp/news/138488

◎「Richesse」(ハースト婦人画報社)の表紙を後藤久美子と、長女のエレナ・アレジ・後藤が飾っている。エレナ・アレジ・後藤はメディア初登場だ。
https://mantan-web.jp/article/20170925dog00m200015000c.html

はてなの創業者・近藤淳也代表取締役会長が退任した。はてなは同社が運営する物件ファン事業を近藤に事業譲渡する。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1515916
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1709/26/news092.html
こういうダイナミックなことが出版業界では起こらない。

トーハンは「ディズニー」のオリジナル企画で「ぽてぽてディズニーマスコットコレクション」をトーハン独占販売のMVPブランドとして9月下旬より全国約500書店で販売する。
http://www.tohan.jp/news/20170926_1068.html

ハースト婦人画報社が運営するオンライン・セレクトショップ「エル・ショップ」は、7月に九州北部地域で発生した「九州北部豪雨災害」、ならびに昨年4月に発生した「熊本地震」の被災地への義援金寄付を目的としたオリジナルチャリティグッズの販売を9月28日(木)より開始した。
https://www.hearst.co.jp/whatsnew/corp-170925-ELLESHOP-donations-for-victims-of-heavyrain-and-kumamotoearthquake
日本の大手出版社も、こういう姿勢は学びたい。

電通デジタルは、ウフルと協業することで合意した。協業の第一弾として、セールスフォース・ドットコムマーケティングクラウドの導入を共同展開する。
https://www.dentsudigital.co.jp/release/assets/DD2017017-0927.pdf

琉球新報が社説「電通事件初公判 過労死ない社会、早期に」を掲載した。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-583664.html
宮崎日日新聞も社説「電通事件裁判」を掲載した。
http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_28251.html
河北新報も社説「『電通事件』公判/『働き方』見直すきっかけに」を掲載した。
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20170923_01.html
山陰新聞も社説「電通事件公判 違法残業放置への警鐘だ」を掲載した。
http://www.sanyonews.jp/article/602321/1/?rct=shasetsu

◎宝島社の女性誌「リンネル」11月号の付録は、リサ・ラーソンの高機能ボストンバッグとポーチにもなるサコッシュだ。これはお買い得だよね。
https://www.buzzfeed.com/jp/catherinejihyego/lisa?utm_term=.hdgAAbZBB#.qqvqq0Pmm

◎デジタルから紙へという動きにも注目したい。日本でも起こりつつある。この場合、月刊誌とは絶対にならないはずだ。年4回とか、年2回というペースだ。紙を本業とする出版社の課題はデジタルシフトだが、同時に紙の雑誌の刊行形態を月刊から変更することも課題となるはずだ。
http://digiday.jp/publishers/high-end-digital-publishers-discover-new-platform-print/

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4)【深夜の誌人語録】

正しいかどうかで選択するとロクな結果にはならない。常に好きか嫌いかを選択の基準にすべきである。