【文徒】2017年(平成29)10月6日(第5巻189号・通巻1118号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】NHK女性記者が過労死
2)【記事】アサツーディ・ケイTOBに反発する外資系大株主
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.10.6 Shuppanjin

1)【記事】NHK女性記者が過労死

NHKの女性記者が都議選、参院選とつづいた2013年夏に過労死していた。読売は次のように書いている。
「今回の公表は、電通社員の過労自殺などが注目される中、娘の死を無駄にせず、再発防止につなげてほしいと、両親から要望があったためとしている」
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171004-OYT1T50086.html
産経は次のように書いている。
「NHKは佐戸さんの過労死を公表しないまま、電通過労自殺事件など過労死問題を報道していたことになり、公共放送としての姿勢が問われそうだ」
http://www.sankei.com/entertainments/news/171004/ent1710040010-n1.html
清水潔(ノンフィクション作家)も次のようにツイートしている。
「NHKは局内で起きた過労死を公表していなかった。この間、電通過労自殺事件をはじめ、過労死問題を手厚く報道しており、公共放送としての報道姿勢が問われそうだ」
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/915556158953287680
遺体が発見されたとき携帯を握ったままだったようである。
http://www.asahi.com/articles/ASKB46KS7KB4ULFA02S.html
朝日新聞の藤えりかのツイート。
「送別会から帰宅後、携帯を手に倒れた..とてもありそうで辛い。『長時間労働対策のきっかけに局内の過労死があったことは周知されていない』とあるが、そういえばNHKの友人が『最近『休め』掛け声がすごい』と半ば訝っていた」
https://twitter.com/erika_asahi/status/915821649508704256
朝日新聞の丹治順吉のツイート。
「気の毒に…。自分は支局配属後 半年でデスクと大喧嘩し、以来、代休が保証されない『夜討ち朝駆け』は拒否した。夜討ち朝駆け自体は否定しない。けれど構造的にそれを前提とした態勢はおかしい」
https://twitter.com/tanji_y/status/915725942206619648
同じく朝日新聞の太田泉生のツイート。
「繁忙期はしょうがないではなく、繁忙期だからこそ、異常な長時間労働をなんとかしないといけないということがわかる。私も、自分のできる範囲で努力します(しています)」
https://twitter.com/otaminao/status/915726926681055232
朝日新聞出身の「BuzzFeed Japan」記者である籏智広太のツイート。
NHKの女性記者が過労死。。長時間労働を『報じる側』の見逃されがちな問題点は、確かにあるはず。
新聞やテレビ、週刊誌記者たちが悩まされる現実について。昨年末に書いた記事です」
https://twitter.com/togemaru_k/status/915577187679354880
これが、その記事。タイトルは「『うちは電通のこと書けないね』長時間労働に悩む女性記者たち マスコミの抱える課題」。
「たとえば朝5時に起きて、口紅だけをつけて30分で家を出る。8時に警察幹部の家の前にたどり着く。笑顔であいさつをしたら、そのまま記者クラブへ向かう。
午前中に記事を執筆。昼休みは1時間。その後はいろいろと雑務をこなし、夕方から朝の12?1時まで、再び警察幹部の家を回る『夜回り』だ。
そう、すべては『ネタ』のため。
食事はコンビニのおにぎり。家に帰ってするのは、シャワーを浴びて、寝ることだけ。
深夜2時ごろに布団に入ると、『なにをやってるんだろう』と、自然と涙が出る日も多かった。常に携帯が鳴っている気がして、なかなか眠れなかった」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/newsrepoter-20-women?utm_term=.ccVll0544#.ljx99O044
NHK出身の堀潤も呟いている。
「実はこの絵本は過労死したNHKの女性記者、佐戸未和記さんが何故命を落とさなくてはならなかったのかを検証し、彼女の思いを世に伝えるためにもつくられました。本人が絵で登場します」
https://twitter.com/8bit_HORIJUN/status/915684862303936512
この絵本とは、今夏、かもがわ出版から刊行された元TBS報道キャスターの下村健一の「窓をひろげて考えよう 体験!メディアリテラシー」である。
https://gardenjournalism.com/project/media-literacy/
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ma/0893.html
下村健一は佐戸未和記が学生だった頃から付き合いがあった。
「学生ラジオ局『BSアカデミア』でニュース班に所属し、毎回僕のダメ出しを受けては悔しがり、うまくいくと満面の笑みを浮かべていた佐戸“みわっち”。念願叶ってNHK記者になってからも、取材相手からの信頼はとても厚かった」
「それにしても…こんなに長期間、身内の #過労死 という事実を伏せながら何食わぬ顔をして電通事件や『働き方改革』などを報道し続けていた #NHK 。隠しておこう、という判断が通ってしまった組織内メカニズムの解明まで本気でしなければ、真の再発防止策など成就しないのでは、と心配」
https://twitter.com/ken1shimomura/status/915572859673616384
https://twitter.com/ken1shimomura/status/915585042172149760
JX通信社の米重克洋のツイートである。
「どういうきっかけで公表に至ったのかよく知らないが、4年前の女性記者過労死のニュースを見てとても辛くなってしまった。もうそろそろ、労働集約型の産業モデルは無くさないと」
https://twitter.com/kyoneshige/status/915558737703714817
過労死はマスコミに蔓延しているのかもしれない。これはOurPlanetTV代表である白石草のツイート。
NHKの若い記者さんの過労死が公表されたけど、実際、マスコミの過労死、過労自殺は沢山埋もれている。
夜討ち朝駆けやら張り番やら、他の国にはない横並び的取材手法の見直しなど、取材のあり方の改革も必要だと思う」
https://twitter.com/hamemen/status/915788620987953152
民主主義後退国ニッポンのマスコミは先進国のマスコミとは相当にあり方が違うようだ。

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2)【記事】アサツーディ・ケイTOBに反発する外資系大株主

英広告会社WPPグループは米投資ファンドベインキャピタルが始めたアサツーディ・ケイに対するTOBに応じないようである。WPPはアサツー株の約25%を保有する筆頭株主である。加えて第2位の株主であるシルチェスター・インターナショナル・インベスターズもベインキャピタルTOBに反発しているようだ。「ブルームバーグ」は次のように書いている。
アサツーDK2位株主の英投資ファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズはベインの提示価格が低すぎるとし、反対を表明した。事情に詳しい関係者によると、筆頭株主の英広告会社WPPはベインの買収案発表後、直ちに提示額に抗議する方針を固めた」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-04/OXB50J6K50XS01
確かに「ADKの株価は10月4日の終値で3800円と、ベインが提示したTOB価格3660円を上回っている」(「東洋経済オンライン」)以上、WPPやシルチェスター・インターナショナル・インベスターズが反発するのは当然であろう。
東洋経済オンライン」の記事には次のような書き込みがあったことも付記しておこう。
東芝もそうだが、なぜ日本企業は安易に業務提携して構造を複雑にしてるのだろうか?
ADKが一方的にベイン傘下を表明したところで、実際に株を保有してるWPPが『はい、そうですか』と喜んで譲ると思ってるんだろうか?
なんか日本の経営者たちは根本的に株式会社というものを理解できていないんじゃないかと思う」
http://toyokeizai.net/articles/-/191660

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3)【本日の一行情報】

◎10月5日付東京新聞の一面に「立憲民主 フォロワー10万人 公式ツイッター2日間で」が掲載された。同日付「文徒」では「立憲民主党の現在のフォロワー数は11万超」と書いた。しかし、10月5日午前10時段階の現実は12万を超えていた。朝日新聞は、こう書いている。
「政党ツイッターのフォロワーは5日午前10時現在、立憲民主12万2千、自民11万3千、公明7万1千、日本のこころ3万3千、共産3万2千、自由2万7千、社民1万9千、日本維新の会1万2千、希望4千。枝野氏が結党前に所属していた民進は2万3千だった」
http://www.asahi.com/articles/ASKB535VMKB5UTFK003.html
毎日新聞は午後3時の段階で「立憲民主党フォロワー13万人超え 自民抜く」を掲載。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171005/k00/00e/010/299000c?fm=mnm
この数字がどこまで伸びるのか見ものだね。

東北新社は、トレンダーズとコンテンツマーケティング領域における業務提携を開始している。
http://www.tfc.co.jp/news/data/20171002122742.pdf
東北新社はこれまで、テレビ CM や WEB 動画、ドキュメンタリーなどの番組、体験型イベント、話題性の高い WEB 施策など、多様なコンテンツを制作してきた。
http://www.tfc.co.jp/
一方、トレンダーズはマーケティング×テクノロジーを軸とした事業展開を行っており、デジタル領域に特化したPRサービスや、インフルエンサーを基軸とした SNS マーケティングに強みを持つ。
http://www.trenders.co.jp/
この両社が業務提携することで、東北新社のクオリティの高い各種コンテンツにトレンダーズが強みとするPRやSNS施策によるデジタル拡散のスキームを組み合わせ、コンテンツファーストなデジタルマーケティングを実現しようというわけである。
http://www.trenders.co.jp/wordpress/corporate/wp-content/uploads/2017/10/trenders20171002.pdf

◎「緑のたぬき」のこのツイートが話題になっている。5万4000超のリツイート、4万5000超の「いいね」。下手な週刊誌の記事よりも読まれた可能性がある。
「玄葉『候補者の人生がかかっている』
違うよ。選挙には国民の生活がかかっているんだよ。政策訴えることすら忘れて、自分達の心配ばかり。国民のことなんかこれっぽっちも考えていないのを表明してしまっている」
https://twitter.com/TNQNjp/status/914420796809912320
http://virates.com/news/31364347

◎10月より始まったマガジンハウスと日之出出版の業務提携はウィンウィンである。できれば、提携にとどめず、日之出出版のマガジンハウスへの合流まで実現できれば面白いのだけれど…。
https://magazineworld.jp/books/hinode-book/

白泉社の「ヤングアニマル」に連載されている羽海野チカの「3月のライオン」のアニメ第2シリーズがアニメNHK総合で14日より放映開始となるが、文部科学省とのコラボによる「いじめなど子供のSOS に関する普及啓発」ポスターが、全国の学校に配布・掲出される。
http://www.oricon.co.jp/news/2098371/full/

新潮新人賞を獲得した佐藤厚志は仙台市在住の書店員だそうだ。
http://dokushojin.com/article.html?i=2111

◎「LINE LIVE」での配信者のユーザーの年齢層は19歳までが69.3%にも及ぶ。若者文化は個人のツールがメディアである時代を迎えている。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1890

◎LINE公式キャラクター「LINE FRIENDS」の「CHOCO」は、ロケットベンチャーが運営する女性向けメディア「4MEEE」で、「CHOCO的オシャレ」をテーマにした連載企画「#follow CHOCO」をスタートさせた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000822.000001594.html

◎雑誌は「つまみ読み」されるメディアである。「マガジンサミット」に「デジタル雑誌の読み放題が、市場を変える。『つまみ読み』の可能性と雑誌の未来」が掲載された。
「『トレンド総研』でおこなったアンケート調査によると、『あなたは雑誌を読むことが好きですか?』という質問に対し、73%が『好き』と回答。しかし、その一方で、『毎号必ず購入している雑誌がある』と答えた人は15%とわずか1割台にとどまりました。
一方で、気になった記事やテーマだけを少しずつ楽しむ雑誌の『つまみ読み』をしたことがあるかという質問では、約7割(65%)が「ある」という結果になったそうです」
http://magazinesummit.jp/life/1560426171003

小学館は、仕事と家庭を両立する女性を応援するWEBメディア「kufura」(クフラ)を10月4日にローンチした。
https://kufura.jp
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000013640.html

INCLUSIVE(インクルーシブ)と徳間書店は、INCLUSIVEのウェブメディア運営実績、徳間書店の企画・編集力、コンテンツ制作力を活かしたデジタルマーケティングチーム、徳間書店コンテンツマーケティングセンター(徳間CMC)を設置し、企業のオウンドメディア構築からコンテンツ制作・運営までのトータル支援業務を開始した。
https://www.inclusive.co.jp/tokuma-cmc

◎EUはアマゾンに対して2億5000万ユーロ(約330億円)の追徴課税に金利を上乗せした額をルクセンブルクに支払うよう命じた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-04/OXAMSU6K50YH01
https://jp.reuters.com/article/eu-amazon-com-taxavoidance-idJPKCN1C82X7

◎私は読んでいないのだが、丹羽宇一郎幻冬舎新書「死ぬほど読書」が「7月に刊行後、早15万部」と景気が良いようだ。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171005/soc1710050003-n1.html

TSUTAYAは、旭屋書店と共催で、「出版社対抗 文庫選手権 今でもゼッタイ薦めたい、この一冊!」フェアを開催する。
このフェアはKADOKAWA幻冬舎講談社、光文社、集英社、新潮社、文藝春秋ポプラ社の8社に及ぶ出版社がそれぞれ「今でもゼッタイに薦めたいイチオシの1冊」を選出し、TSUTAYA旭屋書店の合計売上数を、両書店の店頭にてランキング形式で展開する、読者参加型の取り組みである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000364.000018760.html

集英社は「週刊少年ジャンプ」の創刊50周年を記念して歴代の人気キャラクター、名場面をかるたにした「かるたジャン100」を発売する。「キン肉マン」「キャプテン翼」「ドラゴンボール」「幽☆遊☆白書」「ONE PIECE」など約100作品が、読み札104枚、取り札104枚、計208枚のかるたになり、価格は2980円(税抜き)。
https://mantan-web.jp/article/20171004dog00m200015000c.html
これは売れるんじゃない。

◎「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)の岩田裕介編集長が、10月7日(土)にアミューズメントメディア総合学院で行われる体験説明会のスペシャルゲストとして登壇する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000025577.html
私は「白竜」の大ファンである。バンコク篇には心の底から泣いた。
https://manga.line.me/product/periodic?id=0000713p
総選挙の真っ最中だが、権力とは何かを描き切った「野望の王国」も「週刊漫画ゴラク」の連載であった。私にとってカール・シュミットか、「野望の王国」かである。
http://renta.papy.co.jp/renta/sc/frm/item/63299/

◎「集英社左翼」という言葉があるのであれば、鈴木耕はその典型だろう。
「これで『やっと投票先が決まった』と、ホッとしている人たちも多いだろう。だから『野党統一候補』が、たくさんの選挙区で立ってくれることを、心から希望する……」
http://maga9.jp/kotobano171004/

◎MXテレビに不正アクセスがあり、約37万件の個人情報が流出か?
「情報が流出したおそれのある皆様には、大変なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。
今後このような事態を起こさないよう、情報セキュリティ対策を強化していく所存です」
http://s.mxtv.jp/company/press/pdf/press2017_510001.pdf

◎「変節と愛国 外交官・牛場信彦の生涯」(文春新書)の著者は浅海保である。元読売新聞東京本社編集局長だ。中央公論新社で社長をつとめたこともある。「変節」とタイトルにあるのは、牛場は三国同盟を推進した「枢軸派」から戦後「親米派」に転じたことによる。わが国においては「愛国」も捻じれざるを得なかったのであろう。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166611416

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4)【深夜の誌人語録】

権力の本質は欲望である。