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1)【記事】日本放送文化大賞テレビ部門グランプリは佐々木聰「記憶の澱」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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- 2017.11.10 Shuppanjin
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1)【記事】日本放送文化大賞テレビ部門グランプリは佐々木聰「記憶の澱」
日本放送文化大賞が決まった。テレビ部門のグランプリは山口放送の「記憶の澱」、ラジオ部門はエフエム東京「ミュージックドキュメント井上陽水×ロバート キャンベル『言の葉の海に漕ぎ出して』」。
準グランプリはテレビが山形テレビ「YTSスペシャル 希望の一滴〜希少難病に光!ここまで来た遺伝子治療〜」、ラジオは静岡放送「SBSラジオギャラリー 幸せのカタチ〜本当の親子 本物の親子〜」。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017110701040&g=soc
受賞番組は全国放送されるが、インターネットでも公開すれば良いのに。山口放送は「記憶の澱」について次のように解説している。
「平和憲法が施行されて70年、敗戦から72年が過ぎました。先の大戦の体験を、今だからこそ『語り、残したい』という人々がいます。性暴力、捕虜の殺害、民間人の殺害、性の接待?体験者の心の奥底に、まるで『澱』のようにこびりついた記憶には、『被害』と『加害』、両方の意識がありました。戦争がもたらすものとは?当時を知る人々の記憶から、反戦を訴えます。太平洋戦争敗戦直後、北朝鮮と満州で性暴力の被害を目の当たりにした人々、なんとか逃れた女性たち。また日中戦争で大陸に攻め入った元日本兵たち。敗戦直後の満州で、窮地を脱するために『身内から女性を差し出す』という行動に出た元開拓団員。過酷な体験をくぐり抜けた人々の中には被害と加害の意識が存在しました。人々の被害と加害の記憶から、反戦を訴えます」
http://kry.co.jp/pdf/No2017-13_170728_press.pdf
山口放送に佐々木聰あり、である。「特殊婦人」を取り上げた「奥底の悲しみ 〜戦後70年、引揚げ者の記憶〜」につづくグランプリの獲得である。
http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-4.html
ドキュメンタリー映画「ふたりの桃源郷」の監督である。この映画は山口放送が足かけ25年にわたって追ったドキュメンタリーシリーズ「ふたりの桃源郷」がベースとなっている。
http://www.cinemajournal.net/special/2016/tougenkyou/index.html
佐々木の次のような発言に私は深く同意したい。
「ぼくらは、最初から『映画にしよう』『番組にしよう』と思って、取材を始めることはありません。たとえば、ある介護ヘルパーさんには13年間、取材しました。ある農家には7〜8年間、通いました。特別なことをしているわけではなく、いまも変わらず信念をもち、実践し続けている人々をもっと知りたいと撮り続け、日々、短い放送を重ねていきます。そのうち、ある時点でそれを「まとめて」伝えたくなります。それが『番組』であり、今回の『映画』です。それが終われば、また、日々の取材と放送は続いていくのです」
https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/160503/
磯野恭子から佐々木聰にバトンがしっかりと受け継がれているのである。埴谷雄高がその昔「精神のリレー」という言葉を使ったことを思い出す。磯野は山口放送で「ドキュメンタリーの神様」と呼ばれ、同社の常務取締役までつとめている。磯野は今年8月に亡くなっている。
http://www.huffingtonpost.jp/hiroaki-mizushima/yasuko-isono-legacy_b_17673496.html
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2014_01/20140104.pdf
http://www.tvguide.or.jp/column/kimagure/20170901_01.html
http://www.tvguide.or.jp/column/kimagure/20170908_01.html
ここで編集者がなすべきことは何かと言ったら、佐々木にペンを握ってもらうことである。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=17&v=3w26Ef1SRDo
ちなみに磯野には「愛と死768時間 : 人間魚雷『回天』特別攻撃隊員のメモ」(青春出版)や「ドキュメンタリーの現場」(大阪書籍)といった著書がある。
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2)【本日の一行情報】
◎柿内芳文は光文社出身。光文社では「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」を担当した編集者である。「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)も柿内の仕事である。マガジンハウスが刊行したマンガ版「君たちはどう生きるか」を編集者として手がけたのも柿内芳文なのか。佐渡島庸平とのコンビは最強だよね。
https://www.businessinsider.jp/post-106743
しかし、柿内は今年の9月末日をもってコルクから独立している。柿内は光文社を起点にしてグラウンドを目まぐるしく変えて来た。講談社系列の星海社に籍を置いたこともある。ただし、今度は自ら会社を立ち上げたようだ。
「【始動のご報告】3年間在籍したコルクを9月末にて退職しました! 編集者として原点に立ち戻って『小さき声を、大きく、遠くに、はるか遠くにまで届ける』活動を、今度は会社という形で始めようと思ってます。まだご挨拶できていない方も多く恐縮ですが、引き続きよろしくお願いします」
https://twitter.com/kakkyoshifumi/status/914761559259234304
次のようなツイートを読めば柿内の「人間力」が理解できるだろう。
「だが、納得いかないことは納得いくまでやらないと、1歩も次に進めないのが僕の性質で、編集者としてここをゴマ化したら終わると思っている。はっきり言って同時並行仕事術なんて無理で、極めて保守的で、1つのことかせいぜい2つしか集中できない、パフォーマンスは最悪の、全く使えない人間だわさ」
https://twitter.com/kakkyoshifumi/status/877725375073144833?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.mu%2Ffumiken%2Fn%2Fnb4a25ba65eb8
こんなツイートも発見。柿内は内村鑑三の「後世への最大遺物」も愛読しているようである。なかなか趣味が良いのである。「紙」を物神化しない姿勢にも好感が持てる。
「出版=publishとは、誰かに伝えたい思いを目前の人物だけでなく第三者=公=publicにまで広げていく行為なだけであって、そういう意味では『拡声器』自体が既に出版。野間清治は、街場の演説を田鎖綱紀が発明した『日本語速記術』を使って忠実に文字に起こすことでpublishを始めた」
https://twitter.com/kakkyoshifumi/status/881701789325639681
◎紀伊國屋書店は、光文社と合同企画による『「アルスラーン戦記」完結記念 特製BOX入り全巻セット』を12月15日に刊行する。田中芳樹の「アルスラーン戦記」が12月に発売される第16巻をもってシリーズ完結となる。
https://prw.kyodonews.jp/opn/release/201711077669/
◎ゴルフダイジェスト・ オンラインが運営する「BRUDER」はゴルフ、ファッション、クルマ、カルチャーを中心としたゴルフライフスタイルクラスウェブマガジンだが、「メンズクラブ」前編集長の戸賀敬城をスーパーバイザーとして招き入れた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000173.000006485.html
◎Tokyo Otaku Mode Inc.は、「進撃の巨人」の商品開発プロジェクト〈進撃のグッズ兵団〉より、立体機動装置をモチーフにしたバッグ「立体機動ポーチ」を発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000016010.html
◎角田光代、河野丈洋夫妻による「もう一杯だけ飲んで帰ろう。」が新潮社から刊行される。
このタイトル、オレの好み。呑兵衛であれば誰でも理解できる心情をそのままタイトルにしている。
http://www.shinchosha.co.jp/book/434607/
刊行記念トークイベントが12月7日(木)にla kaguで開かれる。
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01js1tz7xaka.html
◎ニッポン放送は、アマゾンが提供するクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」に対応するラジオ番組を配信することを決定した。配信する番組は「ザ・ボイスそこまで言うか!」(月曜〜木曜、16時〜17時30分放送)。
http://www.allnightnippon.com/news/20171108-11464/
◎雑誌業界も黙ってはいない。小学館は「NEWSポストセブン」と「kufura」(クフラ)を「Amazon Alexa」に対応させる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000013640.html
お世辞でも、また冗談でもなく、私は本心から「NEWSポストセブン」は「週刊文春」に対抗できるメディアだと思っている。そこに気づいてくれよ、小学館!米「VICE」のように本格的に動画を導入することも今後の選択肢のひとつである。
◎花田紀凱に同感。
https://news.yahoo.co.jp/byline/hanadakazuyoshi/20171108-00077884/
朝日新聞が社説で問題にすべきはトランプ大統領が横田基地に降り立ったことである。被占領国家がサンフランシスコ講和条約で実現したのは「半独立」に過ぎなかったことが白日のもとに晒された…云々とね。最近、「保守」の定義が盛んに行われているが、「半独立」を是認するのが「保守」なのかもしれないよ。「反米」をともなわない「愛国」は本物の「愛国」なのかと問えないのである。「保守」を売り物にしている「正論」「月刊Hanada」「will」は、このタブーに踏み込まない。「自虐史観」、ここに極まれり。
「木石も地に哭き叫べ天が下似て非なるもののあるぞ悲しき」
影山正治の一首だそうだ。
◎東国原英夫のツイートが話題になっている。スポーツ新聞はどこも取り上げている。サンケイスポーツの書き出しはこんな具合である。
「元宮崎県知事でタレント、東国原英夫(60)が8日、ツイッターを更新。倉持麟太郎弁護士(34)とのダブル不倫疑惑を週刊誌に報じられた山尾志桜里衆院議員(43)が、倉持弁護士を山尾事務所の政策顧問に起用する方針を固めたことに言及した」
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201711080000356.html
http://www.sanspo.com/geino/news/20171108/geo17110814190026-n1.html
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20171108-OHT1T50091.html
次のくだりなど週刊誌報道の怖さを身に沁みて知っている東国原ならではの物言いである。
「一方で、週刊誌等は山尾氏と倉持氏を追い易くなったのは事実。週刊誌側は今度こそ動かぬ証拠をと躍起・血眼になるだろう。そういう監視下は窮屈だろうに、それでも敢えて近くに置く。これは、本人曰く『報道の好奇心』に対する挑戦・抗議なのだろうが、そういうのって無駄なエネルギーを使うだろうに。老婆心ながら、週刊誌報道等を余り舐めない方がいいと思う」
https://twitter.com/higashi_kokuba/status/928093433134063616
https://twitter.com/higashi_kokuba/status/928093858109386752
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3)【深夜の誌人語録】
理想に人生を合わせるのではない。おのが人生に理想を合わせるのだ。