【文徒】2018年(平成30)4月25日(第6巻76号・通巻1250号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】NTTグループ海賊版サイトにブロッキングを実施へ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.4.25 Shuppanjin

1)【記事】NTTグループ海賊版サイトにブロッキングを実施へ

NTTグループは、海賊版サイト「漫画村」「Anitube」「Miomio」の3サイトへのアクセスを遮断するサイトブロッキング実施を発表した。
NTTグループは、これまでも安全・安心なインターネット利用環境の提供に努めてまいりました。この度、コンテンツ事業者団体からの要請並びに2018年4月13日に開催された知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議において決定された『インターネット上の海賊版対策に関する進め方について』に基づき、NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社NTTぷららの3社は、サイトブロッキングに関する法制度が整備されるまでの短期的な緊急措置として、海賊版3サイトに対してブロッキングを行うこととし、準備が整い次第実施します。
なお、政府において、可及的速やかに法制度を整備していただきたいと考えています」
http://www.ntt.co.jp/news2018/1804/180423a.html
朝日新聞によれば「児童ポルノ系サイトに限られていた特例措置を著作権侵害サイトにも広げる道が開かれたことになる」わけだ。
https://www.asahi.com/articles/ASL4R4S6PL4RUCLV008.html?ref=tw_asahi
毎日新聞は4月24日付で「海賊版サイト NTT遮断、業界波紋 議論不十分、識者ら違法性懸念」を掲載している。
「政府が決めたネット海賊版緊急対策を受けた措置だが、法的な根拠を欠いたままの接続遮断は憲法が定めた『通信の秘密』に抵触する恐れが指摘される。今後はKDDIソフトバンクの対応が注目されるが、両社ともNTTがこれほど早く接続遮断に踏み込むと想定しておらず、戸惑いもうかがえる」
https://mainichi.jp/articles/20180424/ddm/002/020/061000c
山本一郎が次のようにツイートしている。
共謀罪で騒いでいた人たちはどこにいったんだろうなあ。今回は政府の知財本部決定にかかわる話で、国民の情報通信を検閲しかねない方針が出て、しかも民間大手企業がこの政府方針に『忖度』して、違法と明記されずリスト化されてもいない問題サイトを民主的手続きによらず遮断するって話ですよ?」
https://twitter.com/kirik/status/988389943851413505
読売新聞が4月23日付で「通信の秘密侵害拭えず 海賊版ブロッキング検討」を掲載した。次の一行が目に飛び込んで来た。
「出版界からも迷いが漏れる。ある大手出版社の幹部は『我々も言論機関。ワラにもすがる思いで同調したが、今回の件が言論の自由を狭めないか不安だ』と漏らす」
記事は次のように結ばれている。
「日本インターネットプロバイダー協会の野口尚志理事は海賊版対策に接続遮断を使うことについて『児童ポルノの時のように十分な議論がなされたとは言えない』と懸念を示している」
http://www.yomiuri.co.jp/science/feature/CO017291/20180423-OYT8T50047.html
これは朝日新聞社の神田大介のツイート。
「通信の秘密、検閲の禁止、表現の自由に抵触する。しかも遮断の効果は小さいとなれば、とんだ愚策に思える。大手出版社はなぜコメントしないのだろうか」
https://twitter.com/kanda_daisuke/status/988552642581348352
4月24日付愛媛新聞は社説「海賊版サイト対策 法的根拠のない接続遮断を憂慮」を掲載している。
「ただ、政府主導の遮断は『検閲』や利用者の通信の監視につながり、憲法21条に抵触する疑いが強い。政府が十分な議論も法的根拠もないまま対策に踏み切ったのは、拙速だったと言わざるを得ない」
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201804240018
4月20日京都新聞には社説「海賊版サイト  接続遮断に懸念拭えず」が掲載されている。
「とはいえサイトへの接続遮断は通信の秘密や表現の自由を脅かす恐れがある。『もろ刃の剣』である緊急対策が法的根拠の議論や適正な手続きを欠いたまま政府主導で進むことに懸念を拭えない」
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20180420_3.html
4月21日付日経の社説「海賊版サイトの横行が漫画を破壊する」はこんな提言をしている。
「出版業界も自分たちの電子コミック事業の魅力を磨く必要がある。例えば各出版社の漫画を一堂に集めたポータルサイトの開設や、定額で過去の漫画が読み放題というサービスはどうだろう」
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO29680330Q8A420C1EA1000/

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2)【本日の一行情報】

◎「リテラ」らしい記事である。「小説掲載でたけし独立問題を報道しない『週刊文春』に林真理子が苦言!『忖度か。財務省を非難できない』」。林が「週刊文春」に苦言を呈したのは「アンアン」ではなく、当の「週刊文春」4月26日号の連載コラム「夜ふけのなわとび」でのこと。
「愛人をスクープされたたけしが「週刊文春」と手打ちするために、バーターで小説を進呈したといわれる。しかし天下の「文春」が、たけしの姑息な手打ちに簡単に乗り、露骨なまでに騒動をタブー化してしまうとは、恥ずかしくないのだろうか。林氏も同コラムで皮肉たっぷりにこう批判している。
〈今回の騒動について、週刊文春ならどう書くか、みんな固唾を飲んで見守っていたはず。それなのに、またまた忖度か、もう財務省のことを非難出来ない、と考えるのは私だけであろうか〉」
http://lite-ra.com/2018/04/post-3969.html

◎12年間にわたり代表取締役社長を務めたイヴ・ブゴンは4月27日付をもって退任し、同日付でニコラ・フロケがハースト婦人画報社ならびにハースト・デジタル・ジャパンの代表取締役社長に就任する。
ニコラ・フロケは1974年フランス生まれ。1995年、コネチカット州立大学のMBAを修了。ベネズエラとフランスでのプロジェクトなどに従事した後、2002年に来日しアパレル企業に勤務。2004年、アシェット婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。CFOを経て2012年3月に取締役副社長に就任、コマース事業や広告事業の指揮を執り、バックオフィスも統括してきた。また、2009年にEコマースならびにCRM事業を立ち上げ、強いリーダーシップを発揮しながらけん引してきた。
https://www.hearst.co.jp/whatsnew/corp-180423-Hearst-Fujingaho-Appoints-Nicolas-Floquet-as-President

◎「LOEWE」(ロエベ)の特別付録がついた「ELLE JAPON 6月号 LIMITED EDITION "LOEWE BOX“」がTSUTAYA数量限定で4月26日から発売される。価格は2,759円(税抜)。
http://top.tsite.jp/news/book01/campaign/39524116/

◎アマゾンの電子書籍売買プラットフォーム「Kindle」で、集英社の「ゴールデンカムイ」(野田サトル)の最新13巻が海賊版サイト「漫画村」のロゴを付した状態で無断販売されていたそうだ。「ねとらぼ」は「『漫画村』のロゴ入り漫画、Amazon Kindleストアで無断販売される 集英社『至急対応する』」を4月23日 13時4分に掲載した。
「『漫画村』の掲載作品と同じように、電子書籍のページには右下や左下に『漫画村』の文字やマスコットキャラのイラストがところどころ入っています。販売元は集英社ではなく『Amazon Services International,Inc.』となっていることから、電子書籍を無料で自主出版できるサービス『Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング』(KDP)を使って、何者かが『漫画村』にあった海賊版データをKindleで販売したものとみられます」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1804/23/news079.html
本物の発売日から1カ月後の4月20日から価格は400円と本来の527円よりも安く販売されていたのみならず、定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」にも配信されていた。私も含めて出版系の業界紙誌は「ねとらぼ」を見習った方が良いかもしれない。海賊版サイト問題では八面六臂の大活躍である。

◎メガネブランド「Zoff」を運営するインターメスティックは、ファッション アイコンとして人気の高橋愛×雑誌「SPRiNG」(宝島社)×Zoffのトリプルコラボサングラスを発売。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000192.000002864.html

毎日新聞は4月22日付で「福田次官セクハラ疑惑 記者に中傷、2次被害 識者『告発者の保護を』」を掲載している。
財務省福田淳一事務次官のセクハラ発言疑惑で、被害を告発したテレビ朝日の女性記者がネット上で名前をさらされるなどの2次被害を受けている」
https://mainichi.jp/articles/20180422/ddm/041/010/110000c

◎全国にジュエリー店舗を展開するケイ・ウノは、講談社の雑誌「ディズニーファン」と共同企画し、4月25日(水)発売6月号で読者参加型の「夢のディズニー ジュエリー 開発プロジェクト」を開催する。雑誌の巻末についたはがきに「ディズニー ジュエリーのデザイン画」を描いて応募する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000260.000008670.html

◎マンガ「ゆるゆり」の新作オリジナル・ビデオ・アニメが制作されることになった。「コミック百合姫」(一迅社)連載10周年記念である。
https://mainichi.jp/articles/20180423/dyo/00m/200/008000c

博報堂DYメディアパートナーズは、エイベックス・マネジメントと共同で、VR映像によるブランデッドムービーソリューション「VR Story Seek」の提供を開始した。
博報堂DYメディアパートナーズがクライアント課題解決を、エイベックス・マネジメントがキャスティングと楽曲タイアップを、エイベックス・グループエイベックス・エンタテインメントが映像制作を担い、それぞれの強みを生かすことで、映画の様なストーリー性の高いVRブランデッドムービーを制作する。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/04/HDYmpnews20180423.pdf

◎「現代ビジネス」に掲載された「財務省セクハラ問題を読み解くために知るべき『記者クラブ制の病』」における高橋洋一の見解。
記者クラブは結果として供給過剰なマスコミ・記者を温存させて、競争力を奪ってしまった。その延長線上で、マスコミ各社が過剰な取材合戦をすることになったり(これは政治部ではよく見られる光景だ)、夜でも電話一本で呼び出されてしまうことになっている。結果として記者クラブが『記者側の弱み』を生んでしまっているように思える」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55399
高橋の持って回った言い方に比べ、中川淳一郎のツイートのほうがわかりやすい。
財務省セクハラ騒動で記者クラブ加盟媒体のテレ朝女性記者が非加盟の週刊新潮に持ち込んだ件。クラブはクソ既得権益組織で、そこに疑問を持つ記者が非加盟媒体に持ち込めばダメージを与えられると示した。もう記者クラブなんてやめちまえ。眞子さま結婚延期もクラブが忖度し非加盟媒体が第一報だったろ」
https://twitter.com/unkotaberuno/status/988313221453905921

朝日新聞社は、朝日新聞デジタルのデジタルコース会員限定の「提携プレミアムサービス」で、新たにカーナビゲーションアプリ「NAVITIMEドライブサポーター」の提供を開始した。これによりデジタルコース会員は「NAVITIMEドライブサポーター」「食べログ」「クックパッド」「ジョルテ」「乗換案内」(ジョルダン)「Zaim」(ザイム)の有料プレミアムサービスのうち、3つまで追加料金なしで利用できることになった。
https://motor-fan.jp/tech/10003937

ピースオブケイクが運営するメディアプラットフォーム「note」は、4月23日に、ダイヤモンド社、扶桑社、マガジンハウスの3社とパブリッシング・パートナーシップを締結した。パブリッシング・パートナーシップは、この三社に限定するのではなく、賛同する出版社を広く募集している。
「ハ?ートナーシッフ?を締結した出版社には、定期的に、当社から人気のクリエイターの情報を共有いたします。その際、クリエイターしか知りえないヘ?ーシ?ヒ?ューや売上額なと?の情報を、断りなく共有することはなく、noteチームか?総合的に判断して、コンテンツ単位て?検討を行った上て?情報共有をいたします。
出版社からクリエイターへのオファーについては、当社を経由してクリエイターへ共有させ ていたた?きます。クリエイターはその中から、自分にとっていいオファーと思うものか?あれは?、別途打ち合わせをしたり、出版契約を結んた?りすることか?て?きます。その後、作品か?完成して発売された際には、noteやcakesと共に販売促進のお手伝いもさせていたた?きます。
なお、こうしたサホ?ートを望まないクリエイターは、自身のアカウント設定画面から、オフ?トアウトの形て?、リストて?の提供意向か?ない旨を示すことか?て?きます。クリエイターの意志を尊重し、ハ?フ?リッシャーとのスムース?なマッチンク?を促すことを目指しています」
https://www.pieceofcake.co.jp/n/ne1e5349b6bb9?magazine_key=md5d06b2116b5

木村カエラが絵本「ねむとココロ」をKADOKAWAから出版した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004459.000007006.html

◎雑誌の内容は同じでも講談社の美容誌「VOCE」6月号は付録が違う通常版と増刊が発売されている。通常版は、<アクセーヌ>のスキンケアセット、増刊は、<ヘアメイク・長井かおり>プロデュースのスポンジ&ブラシ。二冊買いの読者もいるのだろうな。そういう意味ではABC対策でもある。
https://i-voce.jp/feed/9496/

小学館の美容誌「美的」6月号の付録は「ブラシ&チップ ササッとお直しセット」。
https://www.biteki.com/magazine

集英社の美容誌「マキア」6月号の付録は「本島式ポイント美圧かっさ」。「マキア」は付録なしの増刊も用意している。
https://maquia.hpplus.jp/model_editor/account/yuda/life/I4CWQJY

集英社の「ジャンプスクエア」は、昨年12月から休載していた漫画「るろうに剣心明治剣客浪漫譚・北海道編―」の連載を6月4日発売の7月号から再開する。
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/ruroniheoziteinieru?utm_term=.ec0G7pnRKM#.qt0oRgP1kA

◎日経によればカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は老舗書店「旭屋書店」を運営する旭屋書店大阪市)と東京旭屋書店(東京・港)2社の発行済み株式の3割強を取得した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29729730T20C18A4TJ2000/

KADOKAWA富士見ファンタジア文庫ラノベ「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」がテレビアニメ化され、10月から放送される。
https://mainichi.jp/articles/20180424/dyo/00m/200/001000c

アルクは、電子書籍の新レーベル「アルク ソクデジBOOKS」を立ち上げ、語学学習情報メディア「GOTCHA!」の連載をまとめた「GOTCHA!新書」として茂木 健一郎の「炎上論」など3冊をリリースすることになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001043.000000888.html

ベネッセコーポレーション日本航空は23日、ベネッセのキャラクター「しまじろう」を使った子ども向け企画を共同で展開するそうだ。
http://www.sanyonews.jp/article/704205

◎グーグルの1〜3月期決算で純利益が前年同期比73%増の94億100万ドル(約1兆218億円)となったそうだ。広告事業が絶好調だという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2975592024042018000000/

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3)【深夜の誌人語録】

近道は人生を鍛えないものだ。