【文徒】2016年(平成28)1月21日(第4巻12号・通巻699号)

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1)【記事】ターゲッティングが斎藤和弘を編集長に迎え「Byron」をローンチ
2)【記事】ステマ広告(ノンクレジット広告)をめぐって
3)【記事】クックパッドで「内紛」勃発か?
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ターゲッティングが斎藤和弘を編集長に迎え「Byron」をローンチ

ターゲッティングは、マガジンハウスで「BRUTUS」の編集長として一時代を築き、「VOGUE JAPAN」「GQ」を擁するコンデナスト・パブリケーションズ・ジャパンの代表取締役社長を務めた輝かしい経歴を持つ斎藤和弘を編集長に迎え、本物がわかる大人のためのライフスタイルメディア「Byron」を2月にリリースする。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000017155.html
斎藤はコンデナストを円満退社したわけではない。「週刊文春」の2014年6月26日号は斎藤が三人の女性と不倫関係にあったことを報じるとともにコンデナストを離れたのはプライベートな経費の使い込みを国税当局に指摘され、この責任をとってのことだと書いていた。
そろそろほとぼりが冷めたと判断したのだろうか、再び「表」に戻って来ることになった。
http://www.margoi.com/2014/06/vogue_23.html
平原由紀子も関わるのか。「ザ・ゴール」の創業メンバーのひとりであった平原である。
ターゲッティングは小学館の「美レンジャー」「Menjoy!」「WooRis」「BizLady」「VenusTap」の広告管理運営会社である。
http://www.biranger.jp/management
http://www.men-joy.jp/management
http://wooris.jp/management
http://bizlady.jp/operating-company
http://venustap.jp/operating-company
「日刊 Sumai」は扶桑社との共同事業だ。
https://www.fusosha.co.jp/mediadata/pdf/nikkan_sumai1.pdf
集英社とは「web Sportiva」や「週プレNEWS」のセールスパートナーである。
http://wpb.shueisha.co.jp/information/adinfo/adnet.html
社長の藤田誠は中央宣興の出身。ライブドアポータルサイト広告事業の営業統括を担当していたが、2007年4月のライブドアメディア事業部の別会社化を機にターゲッティングを設立している。ライブドア事件堀江貴文社長が逮捕されたときは32歳だったという。
http://www.targeting.co.jp/company/
http://blog.livedoor.jp/targeting/
ターゲッティングが関与している「ホリエモンドットコム」では山本一郎によってステマ疑惑を指摘されたこともある。
「…堀江貴文さんがファウンダーとなっているSNS株式会社の運営する個人メディアサイト『horiemon.com』(ホリエモンドットコム)においては、一連の黒に近いグレーゾーンノウハウが凝縮されたようなタイアップ提案が行われており、大変に興味深い内容になっております」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20150505-00045428/
こうした山本の指摘に対してターゲッティングは昨年5月6日付で次のような文章を発表している。
「当社が収益化企画・営業支援サービスを提供しておりました『ホリエモンドットコム』について、当社としては運営会社であるSNS株式会社において『PR』表示の実施、ならびに景表法や各SNSサービスの利用規約の遵守に努めているものと認識いたしております。なお、『ホリエモンドットコム』の運営会社である、SNS株式会社の見解につきましては、下記をご参照ください。
山本一郎氏によるYahoo!ニュース記事について(http://horiemon.com/staff/30596/)当社では、支援先メディア・自社運営メディアならびに提携先外部メディアと連携し、一般消費者の利益を害さない様十分に留意することで、今後もインターネットメディア業界の健全な発展に努めてまいる所存です」
http://www.targeting.co.jp/2015/05/06/%e5%bc%8a%e7%a4%be%e6%94%af%e6%8f%b4%e5%85%88%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e4%b8%80%e9%83%a8%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2/

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2)【記事】ステマ広告(ノンクレジット広告)をめぐって

ステマ広告といえば「週刊ダイヤモンド」が昨年11月7日号に掲載した「ステマ症候群 急成長するPR会社ベクトルが掴んだノンクレジット広告の落とし穴」は、当初、ベクトルは強気の姿勢であった。11月2日に発表した「弊社に関する『週刊ダイヤモンド』の報道について」で次のように書いた。
「今回の週刊ダイヤモンドの記事は、ステマの定義も定まらず、違法行為ではないとしながらも、弊社が行っている PR活動が生活者を欺く行為であるかのように誇張された表現がされている点、業界全体の慣習の話にも関わらず弊社一社のみを特定し攻撃している点、さらには今回の記事掲載に至る取材方法が公正性に欠ける点など、弊社としては誠に遺憾であり、法的措置を含め検討する所存でございます」
http://vectorinc.co.jp/news/wp/wp-content/uploads/2015/11/%E5%BC%8A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8C%E9%80%B1%E5%88%8A%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%A0%B1%E9%81%93%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf
ところが、この強気の姿勢は11月6日に一転する。「一連の報道を受けてのお詫び」を発表することになる。
「弊社では、一連の報道を受け、改めて調査を行った結果、本年3月以降、JIAA(一般社団法人日本インタラクティブ広告協会)が発表したガイドラインに適していない案件が存在していたことをご報告するとともに、深くお詫び申し上げます。
JIAA の規定するガイドラインにそぐわないプロモート活動を行わないように社内の教育に努めてまいりましたが、それに該当する活動が複数ございました。弊社グループにおいて、教育や管理が不十分であったため、このような問題が発生したと認識し、深く反省しお詫び申し上げると同時に、今後このような活動を行わない所存です。さらに、再発防止に向け、ガイドラインの遵守及び社員の教育・管理の強化に努めてまいります。
なお、弊社からの見解文に対し、各所からご意見を頂いたところ、弊社としての真意が十分にお伝えすることができなかった部分があったと認識し、当文書を掲出させていただきました。
また、『メディアの判断に委ねる』という表現のもと、メディアに最終的に責任があると捉えられるような誤解を与えてしまったことを重ねてお詫び申し上げます。
関係各位の皆様に対し、多大なるご迷惑をおかけしたことを謹んでお詫び申し上げます」
http://vectorinc.co.jp/news/wp/wp-content/uploads/2015/11/%E4%B8%80%E9%80%A3%E3%81%AE%E5%A0%B1%E9%81%93%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%AB%E3%81%B3.pdf
ベクトルの「業界全体の慣習の話にも関わらず弊社一社のみを特定し攻撃している」という主張を裏付けるかのように「FACTA」に電通PRの内部告発が届いたそうだ。
https://facta.co.jp/article/201602030.html
私がこの記事を信用できないのは「ステマとは、広告記事にもかかわらず、広告主を表記せず、インターネットで携帯やパソコンに配信して誘導する『ステルスマーケティング』の略。ネイティブ広告ともいう」という一文を発見したからだ。こうした間違った認識はネイティブ広告の発展を阻害するだけである。
さてターゲッティングに話は戻る。同社は昨年、11月2日に「一部メディアの報道について」なる文章をリリースしていた。しかし現在は読むことができない。何故なんだろう?「一部メディアにおいて、当社が支援サービスを提供するメディアにおける広告の掲載方法に関する報道がございましたが、当社としては、支援先各社におきましては法令等に違反することが無いよう、適切なメディア運営に努めているものと認識し…」で始まる文章であったはずなのだけれど。この手のネット系広告代理店のこういうところが私には信用できない。

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3)【記事】クックパッドで「内紛」勃発か?

クックパッドは創業者にして、筆頭株主の佐野陽光取締役から取締役刷新を求める株主提案が1月8日に提出されていたが、これを受領した。佐野の提案は次のようなものであった。
「当社株主である佐野陽光は、平成9年に当社を創業して以来、世界中の人々に向けて毎日の料理を楽しみにするサービスを提供したいという目標を掲げ、取締役として企業価値向上に努めて参りました。
しかし、当社は、現在、基幹事業である会員事業や高い成長性が見込まれる海外事業に経営資源を割かず、料理から離れた事業に注力するなど中長期的な企業価値向上に不可欠な一貫した経営ビジョンに大きな歪みが出てきました。
それにもかかわらず、一部の取締役は、唐突に「特別委員会」なる組織を設置し、必要性もないのに多額の費用をかけて得た専門家の意見を濫用し、公正中立を装った「勧告書」なる文書を発して現在の自らの経営を正当化するなど、当社内に不要な亀裂と混乱を生じさせています。
そこで、取締役を刷新して当社内の混乱を収束し、社内一体となって企業価値向上につながる経営を実践するため、本株主提案を提出します」
佐野は自分を除いた全役員に退陣を求めると同時に自分を社長に戻せと主張しているわけだ。佐野は2012年に「世界戦略と技術開発に集中する」として社長を退任し、カカクコムの社長だった穐田誉輝がクックパッドの社長に就任したが、内紛が勃発してしまった。
https://cf.cpcdn.com/info/assets/wp-content/uploads/20160119184743/ir160119.pdf
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1601/19/news129.html
でも、穐田に社長をバトンタッチした佐野社長の経営責任も問われてしかるべきなのではあるまいか。

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4)【本日の一行情報】

◎ファッション誌「ナイロン ジャパン」(NYLON JAPAN)は、編集部による有料オンラインサロン「#NNNgirls」を立ち上げた。「#NNNgirls」は、読者とともにつくる「第二編集部」という位置づけで、「オンラインでスペシャルなコンテンツが読めるだけでなく、NYLONのイベントディレクションや、雑誌やイベントづくりをお任せ」するそうだ。私たちの言い方でいえば、編集力を編集部が独占するのではなく、編集力を読者に解放する第一歩を踏み出したということだ。
「NYLON編集部、モデル、ブロガーと全国のNYLONistaのためのプライベートグループ『 #NNNgirls 』が誕生#NNNgirlsは参加者みんなでつくっていく、NYLONistaのためのNYLON編集部。編集部と一緒に誌面やイベント制作が出来る、スペシャルグループ!
おしゃれが好き、ファッションやビューティに詳しくなりたい、クリエイティブ系の仕事に興味がある、NYLONが大好き、同じ趣味の仲間が欲しい…そんなガールたちは『#NNNgirls』(スリーエヌ ガールズ = NYLONista NETWORK)に集まろう!」
https://synapse.am/contents/monthly/nylonjapan_nnngirls
http://www.fashionsnap.com/news/2016-01-19/nnngirls/

◎石戸諭の「原発事故に節目はあるのか? 廃炉調査同行ルポ」が「BuzzFeed Japan」の正式ローンチを彩った。
http://www.buzzfeed.com/satoruishido/1f-report#.tqnlK8Mbm
「TechCrunch Japan」は次のように書いている。
BuzzFeedは従来のリンクを共有してサイトの記事を拡散させることに重点を置くのではなく、FacebookTwitterPinterestInstagramといったSNS上に記事を配信してページビューを獲得する『分散型メディア』の先駆けである」
http://jp.techcrunch.com/2016/01/19/buzzfeed-japan-launch/

エイベックス・プランニング&デベロップメントが昨秋、開校した“楽しむオトナをクリエイトする”新オトナ・スクール「avex life design lab」はニュース週刊誌「AERA」(朝日新聞出版)と連動したリアルな学びのコミュニティ・ラボ「AERA Meeting」を2月17日に開講する。テーマは「半径5メートルの民主主義」。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000123.000002323.html

◎コミックス「モンスター娘のいる日常」(徳間書店)が累計200万部を突破しブレイク中。「COMICリュウ」に連載されている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000016935.html

日本テレビ新谷保志アナウンサーがセクハラで自宅謹慎中!これ「FLASH」(光文社)のスクープなのだが、朝日新聞の記事には「FLASH」の名前がどこにも出て来ない。
http://www.asahi.com/articles/ASJ1M3JPCJ1MUCVL006.html
スポーツニッポンは「きょう19日発売の写真誌『FLASH』(光文社)が報じている」と書いている。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/01/19/kiji/K20160119011882850.html

羽海野チカの「3月のライオン」(白泉社)がテレビアニメ化され、今秋NHK総合テレビで放映開始されるが、TVアニメ公式サイトが立ち上がっている。実写映画化も決まっている。白泉社が今年は熱い。
http://3lion-anime.com/
http://3lion.younganimal.com/

◎フジテレビの情報番組「めざましテレビ」が紹介したSMAPへのメッセージのうちひとつが縦読みすると「早く逃げて」になったそうだ。偶然…じゃないよね。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1601/19/news064.html

◎オプトグループのクロスフィニティは、女性向けファッションキュレーションアプリ「PONTE」(ポンテ)」で、GU商品の一部取り扱いを開始した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000014848.html
「PONTE」は、“今すぐ買えるファッション誌”がコンセプトの、25歳〜39歳の女性をターゲットにしたファッションコーディネートサービス。「シーン別」・「アイテム別」・「スタイリスト別」に厳選したコーディネートを毎日配信している。気に入ったアイテムはスマホですぐに購入できる。
https://itunes.apple.com/jp/app/otona-nu-zifasshonapuri-ponte/id998453841?mt=8

◎リニューアルされた「クウネル」(マガジンハウス)が発売された。「マイナビウーマン」が淀川美代子編集長にインタビューしている。
〈編集長就任の経緯については「50代以上の女性がターゲットの雑誌だから、編集長は“おばさん”がいいと(会社側は)思ったんじゃないですか?」とジョーク交じりに話す淀川さん。「昔『オリーブ』を読んでいたけれど、大人になってあまり雑誌を読まなくなった人が『久々に雑誌を見てみようかな』という気持ちになるような雑誌を目指したいですね」と意気込みました〉
http://woman.mynavi.jp/article/160120-14/

毎日新聞京王井の頭線浜田山駅前にある「サンブックス浜田山」を紹介している。
「レジのすぐ隣には『新刊&売りたい本』と名付けられた棚がある。『パリ同時テロ事件を考える』(白水社)、一橋文哉さん著『世田谷一家殺人事件 15年目の新事実』(角川書店)、橋爪大三郎さんほか著『クルアーンを読む』(太田出版)などが陳列されていた」
ドナルド・キーンさんのコーナーには『戦場のエロイカ・シンフォニー』(藤原書店)、『日本文学は世界のかけ橋』(たちばな出版)などの単行本をはじめ多くの文庫本が並ぶ。このことを知ったマスコミ関係者がキーンさんを連れて店頭に現れたことも一昨年にあったそうだ」
http://mainichi.jp/articles/20160120/ddm/015/040/009000c

紀伊國屋書店 渋谷西武店に「ドラえもん×ハローキティ」の期間限定ショップが2月17日までオープンしている。
http://www.sanrio.co.jp/news/event-dh-kinokuniya-shibuya-20160118/
http://www.sanrio.co.jp/special/hellokitty/doraemon/

芥川賞滝口悠生「死んでいない者」(文學界12月号)、本谷有希子の「異類婚姻譚」(群像11月号)に決定。直木賞は青山文平の「つまをめとらば」(文藝春秋)に決まった。
滝口悠生は「1歳半から入間市に在住。地元の小中学校、県立所沢高校を卒業」と埼玉新聞がはしゃいでいる。
http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/01/20/04.html
スポーツニッポンは本谷を「声優、女優、劇団主宰…『又吉後』芥川賞は超多才36歳美人ママ」と紹介している。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2016/01/20/kiji/K20160120011890030.html
本谷は白山市出身だが、石川県出身者の芥川賞受賞は初めてなのだそうだ。
「母校の金沢錦丘高の図書館には、本谷さんの著書をまとめたコーナーが数年前に設置された。図書館では定期的に読書会を開いており、『嵐のピクニック』を取り上げた際には、生徒たちから『哲学的な内容で、深くて面白かった』『OGでこんなすごい作家がいるなんて』という感想があがったという」
http://www.yomiuri.co.jp/local/ishikawa/news/20160119-OYTNT50290.html
直木賞の青山は史上2番目の高齢での受賞となった。
http://thepage.jp/detail/20160119-00000008-wordleaf
青山は東洋経済新報社の出身である。
https://www.facebook.com/digitoyo/posts/197421686960133

◎「週刊少年サンデー」(小学館)に連載されているコトヤマ「だがしかし」と、おやつカンパニーの商品「ベビースターラーメン」「ブタメン」とのコラボが実現した。
http://natalie.mu/comic/news/173052

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5)【深夜の誌人語録】

「摩擦」が進歩の母であれば、「衝突」は創造力の父である。