【文徒】2018年(平成30)9月4日(第6巻166号・通巻1340号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】AbemaTV「極楽とんぼ」番組、出演女性がハラスメント告発
2)【本日の一行情報】
3)【人事】毎日新聞出版 10月1日付人事
4)【人事】中央公論新社 9月1日付人事及び機構改革
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1)【記事】AbemaTV「極楽とんぼ」番組、出演女性がハラスメント告発(岩本太郎)

「AbemaTV」で6月21日に放送の「極楽とんぼKAKERUTV」の内容をめぐり、出演した女性が同局や『BuzzFeedNEWS』に「生放送中に出演者の男性陣からハラスメントを受けた」と告発。ネット上で話題となっている(当該の番組映像は既に視聴不能)。
https://abema.tv/video/title/90-490
レギュラー出演者の加藤浩次らが、放送中に酒を飲みながらゲストトークを繰り広げる趣向の番組で、この日のゲストはラブグッズ評論家の「桃子」など女性評論家たち。「桃子」は匿名で以前から仮面をつけて活動している。その彼女に対し、加藤が終始「仮面をとれ」「顔を晒せ」と迫ったほか、他の女性ゲストにも「くそババア」「日本から去れ」などと発言。翌日には番組制作会社から「桃子」あてに以下の謝罪のメールが届き、彼女らの出演部分のみをアーカイブ視聴できないようにするとも伝えられたそうだ。
《加藤さんが失礼な態度を取った事につきましては、大変申し訳ありませんでした。
評論家の方々のお気持ちも考え、最後の評論家ブロックのみ今後一切の放送禁止、ビデオオンデマンドでも観られないように手続き致しました》
https://www.buzzfeed.com/jp/takumiharimaya/internet-television?utm_term=.pvKllbnbQ#.jrqRR6Q6d
「桃子」も自ら発信に乗り出した。上記『BuzzFeed』記事が出た翌日の2日に自身のtwitterアカウントで名乗り出ると共に、。番組内で受けた「ハラスメント」についての具体的かつ克明な描写、生放送終了後のスタッフの対応について「note」に投稿したのだ。
《初めてnoteを使ったので、読みにくかったらごめんなさい。基本的に、私の主観で書いています。6月の事だけど、ちっとも過去じゃない。》
https://twitter.com/_momoco_/status/1036114060780027905
《番組が終わった後、出演者の一部の方、番組スタッフの方が謝ってきました。謝ってきました、と書くととても軽い印象を受けるでしょうが、実際ほんっとーに軽くって「加藤や竹山がやらかしちゃって、ほんとすみません~。ちょっと、おイタが過ぎちゃいましたね」というノリでした》
https://note.mu/_momoco_/n/n13f540d53052
この記事をきっかけに事態はさらに拡散。メディア関係者からも批判の声が次々に上がるようになった。
《たぶんタレント、制作側は今でも「あんたも俺たちと同じ色ものだろ。本音を見せるエンタメ=バラエティを一緒につくってる同志じゃん。なのに訴えるなんて。それルール破りじゃん」って思ってるだろうなあ。でも、今のテレビは身内のローカルルールを広げすぎ。》(放送評論家で放送批評懇談会「ギャラクシー賞」選奨委員も務める池本孝慈)
https://twitter.com/mb101bold/status/1036249122045485056
《少なくともこの桃子さんに対しては法的責任が発生する余地もあるのではないだろうか。それだけの問題でもなく全体に流れている女性蔑視をAbemaTVは猛省すべき》(弁護士の太田啓子)
https://twitter.com/katepanda2/status/1036243744087932928
《これを読んでいると「地上波ができないこと」をやるのではなく「社会的に人間としてやってはいけないこと」をやっているようなものだ。どうしてAmebaTVはこういう方向にいってしまったのか?》(フジテレビから『BuzzFeed』に転じたプロデューサーの福原伸治)
https://twitter.com/shinjifukuhara/status/1036215531903143937
《読んでて不快感と怒りでなんとも言えない気持ちになった。いまだこういう場が公に存在してるのはどういうことでしょう。》(ジャーナリストの佐々木俊尚
https://twitter.com/sasakitoshinao/status/1036393586663800833
ただ、「桃子」自身が上記の「note」への寄稿の中で《「さすが狂犬加藤」「もっとやれ」みたいな書き込みを見てめまいがしました》と書いているように、心ない書き込みも当初は横行したらしい。紹介を受けて取材に応じた『BuzzFeedの播磨谷拓巳や、播磨谷が上記記事で取り上げた林香里(東京大学情報学環教授)の《日本的なオヤジカルチャーと、人権感覚ゼロの低俗娯楽がミックスした最悪の番組》との言葉にも救われたといった感想を末尾では述べていたが。ちなみに林は『BuzzFeed』でこうも述べている。
《(AbemaTVは)テレビ朝日サイバーエージェントという大きな資本に支えられています。その社会的責任を自覚してほしいものです。とくにテレビ朝日は言論機関として参入している自覚をもってほしいです》
私(岩本)も播磨谷や林の主張には賛同するが、『BuzzFeed』の記事は途中から論点が「インターネット番組にもBPOのような監視機関が必要か」という方向にズレていったのが気になったネット規制の問題ではなく、「地上波にできないもの」を目指したときになぜ「飲酒」や「暴言」「威圧」「同調圧力」が出てくるのか、そっちを深掘りするべきではないか。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎LINEが運営を支援している情報法制研究所(JILIS)が著作権侵害サイトによる海賊版被害対策に関するシンポジウム」を2日に開催。ドワンゴ川上量生、宍戸常寿(東京大学教授・JILIS理事)、別所直哉(セーファーインターネット協会会長)赤松健日本漫画家協会常任理事)など、17人の識者が登壇のうえ議論が行われた。『日経×TECH』『弁護士ドットコム』などが、その模様を詳しく報じている。
出版業界からは竹書房執行役員の竹村響らも出席。竹村は《漫画村が台頭した2017年末から2018年初頭にかけて、売上高が2割減った。これは初めての事態だ》《今回は4カ月で済んだが、これが1年続けば、我々のような中規模の出版社は倒産してしまう》など窮状を訴えたそうだ。一方で赤松は《漫画家側からも建設的な提案ができるように、そもそも(政府の)検討会議の委員の1人に加えてほしかったし、出版社はブロッキングについて漫画家の意向を聞いてほしかった》など、政府や版元に対する注も。
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/02505/
宍戸が「ブロッキング方式」に代わるものとして提案した「アクセス警告方式」について、会場にいた産業技術総合研究所主任研究員高木浩光(JILIS理事)が「大反対だ」としつつ《司法型ブロッキング(司法手続きを経てブロッキングするやり方)大賛成だ》《『通信の秘密』を害されないようにするには、司法を介在させる以外ない》などと発言。これに対してブロッキング推進派の川上が《素晴らしい毒饅頭を投げられた》《「通信の秘密がない」とは言っていない》《『通信の秘密』が拡大解釈されすぎているんじゃないか》などと応じる一幕もあったそうだ
https://www.bengo4.com/internet/n_8466/

テレビ朝日が公式サイト上に設けた「障がい者採用」(通年採用を実施中)のページに、Googleなどの検索エンジンの動きを制御して特定ウェブページへの訪問を防ぐようにする「nonindex」「nofollow」という2つのメタタグが埋め込まれていたことが表面化。テレビ朝日広報部は「障がい者採用」が不定期だった頃に誤って募集期間外の応募がないよう設置したものがそのままになっており、「検索を回避しようとしているわけではない」などと説明する一方、「誤解を招きかねない」としてタグは既に削除したことを公表した。
https://www.sankei.com/entertainments/news/180831/ent1808310016-n1.html
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180903/soc1809030007-n1.html
http://company.tv-asahi.co.jp/contents/saiyo/

NHK大阪放送局の記者(報道部副部長)で森友学園問題に関するスクープを連発していた相澤冬樹が今年6月に記者職から考査室へ異動。さらに8月31日付で退職のうえ9月から大阪日日新聞現在は新日本海新聞社系列)の記者に転職した。
https://www.facebook.com/fuyuki.aizawa/posts/1867250623359457
この件について『日刊ゲンダイ』は相澤の異動が明らかになった今年5月以降「官邸忖度人事」による左遷ではないかと報じている。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229227
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229560
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/236473
もっとも、この報道については調査報道「ニュースのタネ」(旧iAsia)編集長の立岩陽一郎(元NHKで社会部記者や国際報道局デスクなどを歴任)が5月の『Yahoo!ニュース』コラムでNHKを批判することには理解を示しながらも、相澤の異動が「忖度人事」であるとの指摘を始めとする同記事の内容に疑問を呈示していた。https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20180522-00085498/

◎ファクトチェック(公けに発信された情報の真偽・正確性の検証)活動の支援を目的とするNPO「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」は、来たる沖縄県知事選でもネットその他で誤った情報が広められないようにするためのプロジェクトを実施するそうだ。現在「CAMPFIRE」で同プロジェクトへの支援を募っているほか、来たる6日の14時から日本プレスセンターで記者会見も開催する。上記の立岩もFIJでは理事を務めている。
https://camp-fire.jp/projects/view/94294
http://fij.info/archives/news_event/18082701
https://www.facebook.com/events/258755778300622/

藝春秋は作家・平田駒のデビュー小説『BURNT OUT ROOM』を8月31日より電子書籍オリジナルコンテンツとして配信開始した。庫が小説投稿サイト「エブリスタ」と組んだ新人作家養成プロジェクトとして、昨年11月に第1回の応募が始められた「バディ小説大賞」の大賞受賞作である。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/1692056800000000000E
https://www.atpress.ne.jp/news/164863

小学館は幼児向け雑誌『ベビーブック』50周年、『めばえ』60周年を記念した「#表紙にのろう!」フォトコンテストを開催する。選ばれた「最優秀賞」作品は11月29日頃発売の『ベビーブック』『めばえ』1月号の表紙に掲載される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000013640.html 

白泉社は100万部突破のベストセラーとなった絵本『ノラネコぐんだん』について、9月14日から11月11日までトーハンの共同による「ありがとうキャンペーン」を全国の1078書店で実施。このほど特設ページもオープンした
https://www1.e-hon.ne.jp/content/cam/2018/noranekogundan_shotenlist.html

◎元『週刊少年ジャンプ』編集長の堀江信彦が代表を務めるコアミックスは、堀江の出身地である熊本市鶴屋百貨店内に『月刊コミックゼノン』の編集室分室となる「コアミックスまんがラボ」を10月末に開設するそうだ。
常駐スタッフを配置するほか、室内に設けた大型モニターで東京・吉祥寺の編集部とつなぎ、原稿を見てもらったり、アドバイスを受けたりできるようにするなど、作品の持ち込みにも対応するという
http://www.coamix.co.jp/3572
https://this.kiji.is/409166839560815713?c=92619697908483575

◎都内・渋谷のマンガサロン「トリガー」の運営、コミックアプリ「マンガトリガー」の提供やCAMPFIREでのマンガクラウドファンディング支援事業を展開する企業「ナンバーナイン」は7月から電子書籍配信代行事業もスタートさせている。代表の小林琢磨は『hon.jp DayWatch』のインタビューに応じ、佐渡島庸平率いる「コルク」が「作家のエージェンシー」なら自らの事業は「作品のエージェンシー」と説明。《あくまで配信代行であり、出版社から作品を奪うつもりはないし、ナンバーナインが出版社になるつもりもない》《取次「も」やっている、というのが正確な表現になるだろう。要するに、すべてのストアへ配信することによって、機会損失を防ぎたい》など抱負を語っている。
https://hon.jp/news/1.0/0/12330

◎その「ナンバーナイン」が運営する渋谷マンガサロン「トリガー」は建物の定期借地権の関係で現在の場所での運営継続が難しくなり、年内限りで一旦閉店することになったという。
https://twitter.com/takuma828/status/1036451512560443392

◎家具・ホームセンターの島忠とCCCがフランチャイズチェーン(FC)契約を締結。第1号店として島忠が12月を目途に改装を進める「ホームズ新山下店」(横浜市)にカフェ併設の「TSUTAYA BOOKSTORE新山下店(仮称)」を開くという。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34801380Q8A830C1L82000/

愛媛県松山市に本社を置く南海放送愛媛新聞系列のラジオテレビ兼営局。テレビ番組は主に日本テレビ系)が、”野球マンガ喫茶”の「どっきり!ホームラン」を1日に本社2階にオープン(30日まで)。同局のラジオ番組でパーソナリティを務める漫画家の杉作J太郎が収集した野球漫画450冊を収めているという。
https://www.rnb.co.jp/radio/manga/
https://news.mynavi.jp/article/20180902-687352/ 

電子出版制作・流通協議会(電流協)は、有料で販売されている電子書籍を無料で貸出するタイプの電子図書館サービスを導入している自治体の公共図書館について一覧を8月31日に公表。7月1日時点で全国の81自治体。78館で実施されているそうだ。この一覧について電流協は今後も年4回程度の頻度で更新していく予定とのことだ。
https://aebs.or.jp/Electronic_library_introduction_record.html
https://hon.jp/news/1.0/0/12318

◎病気や怪我などにより顔にアザや傷のある人々を支援する事業「ユニークフェイス」を手掛けきた石井政之フリーランスライターとしての活動を再開するとの連絡をもらった。10年前に結婚し、故郷の東海地方に戻って会社員生活を送っていたが9月末に退職。現住所の豊橋市を拠点に情報発信を行っていくという。著書に『顔面漂流記 --アザをもつジャーナリスト』(かもがわ出版・1999年刊。講談社庫から『顔面バカ一代』として2004年刊)などがある
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000203577
https://uniqueface.amebaownd.com/
http://ishiimasa.hateblo.jp/entry/2018/09/03/041927
https://www.facebook.com/ishii.msyk

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3)【人事】毎日新聞出版 10月1日付人事

城倉 由光
新:雑誌本部次長
旧:雑誌本部サンデー毎日編集長

隈元 浩彦
新:雑誌本部サンデー毎日編集長
旧:雑誌本部サンデー毎日編集部

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4)【人事】中央公論新社 9月1日付人事及び機構改革

東山 健
新:営業局販売推進部長兼社長室
旧:社長室宣伝部副部長

機構改革:営業管理部を営業開発部と名称変更し、営業局を販売企画部、販売推進部、営業開発部、読売販売部の4部体制とする。

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