【文徒】2019年(令和元)9月2日(第7巻158号・通巻1578号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】小学館が8月31日に「マンガワン祭り」を実施!狙いは海賊版対策!
2)【記事】「ゴゴスマ」が武田邦彦ヘイト発言を謝罪
3)【記事】毎日新聞「万能川柳」削除事件は“仲畑貴志隠し”か
4)【記事】「海峡に立つ 泥と血の我が半生 許永中」と「殺しの柳川 日韓戦後秘史」が面白い!
5)【本日の一行情報】
6)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】小学館が8月31日に「マンガワン祭り」を実施!狙いは海賊版対策!

小学館は8月29日付日経朝刊に「マンガワン」の全面広告を出稿している。マンガのキャラクターに「は?働いた分、給料よこせ。」「マンガはボランティアじゃねぇぞ!!」と語らせながら、8月31日にすべての作品を24時間無料で公開した「マンガワン祭り」を告知する内容の広告である。小学館にとって「マンガワン祭り」は海賊版対策でもあるのだ。テレビ東京は「ワールドビジネスサテライト」で8月29日(木)に小学館のこの取り組みを取り上げ海賊版と戦う! 出版社が“異例”の取り組みのワケ」を放送した。小学館編集総務局の松野直裕ゼネラルマネージャーが登場し、「海賊版のサイトにアップされているデータは月間1万~2万件の削除対応をしている」と語り、「マンガワン」事業室編集長の和田裕樹も登場し、「マンガワン祭り」は無料でただ読ませることを目的にしているわけではなく、自分の好きなものに出会ったときはお金を払って読んで欲しいというメッセージだと説明した。
https://lovely-lovely.net/business/shogakukan
番組ではSNS上に投稿されている動画・画像を100人体制で人工知能(AI)を使いながら監視するイー・ガーディアンの活動も紹介していた。
https://www.e-guardian.co.jp/service/net-patrol/manned/
「BUSINESS LAWYERS」が8月29日付で「『海賊版の利用は作り手に1円も還元されない』、小学館マンガワンの編集長と『漫画村』訴訟代理人弁護士が等身大のアプリ運営論を語る」を発表している。「マンガワン」事業室編集長の和田裕樹は次のように語っている。
《…読者のみなさんに協力していただかなければ解決しないのが、やはり海賊版問題です。そもそも何も意識していない人や、それが違法であると知っていたらやらなかったのにという人は、結構多いのではないでしょうか。著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す商標「ABJマーク」の利用も始まっていますが、世間一般にはまだまだ届いていないと感じています。我々の強みは、120万DAUの読者です。こうした規模のアプリで、著作権侵害問題について地道に啓蒙活動を行っていくことは非常に重要であると考えています。》
《今年の8月31日に「マンガワン祭り」と題したイベントで、すべての作品を24時間無料で公開することにしました。無料で読めるという点では海賊版と同じですが、我々は正規のアプリですから、作家さんに読まれたぶんだけ還元します。
今は紙媒体だけでなく、電子コミックやアプリなど、多角的にコンテンツ制作による収入が見込める時代です。いずれも、共通しているのは読者がそれを見たいと思って、内容を読み進めていることです。我々は、それ自体にお金が発生していると捉え、金額を算出し還元するようなシステムを組んでいるんです。
「中身が同じだからといって、非正規のサイトやアプリでマンガを読んだら、それを作り出した人には一銭も届かない。結果的には、自分が面白いと思っているコンテンツの首を絞めているのと同じになる」――こうしたことを知っていただきたいというのが、マンガワン祭りを開催する一番の目的です。》
マンガワン事業室の顧問弁護士をつとめる中島博之は、最初は単なる読者であった!「マンガワン」と中島の関係は理想だよなあ。
《私はもともと裏サンデーの作家の方々が、コンテンツ投稿サイト新都社」で活躍されていた頃からの読者でした。マンガワンはコンテンツも面白いですし、WEBマンガの作家をスカウトして作られたというサービスの成り立ちに興味を持っていたところ、たまたま初代編集長にお会いしたのがお付き合いの始まりでした。
アプリをリリースした当時は、法務の仕事がそれほどなかったので、プレスリリースの作成を担当したこともあります。今となってはすごく懐かしいですね。現在は、マンガの書籍化だけでなく、コンテンツを活用したビジネスも展開しており、法務的な判断やビジネススキームの考案といった面でも協力しています。》
https://business.bengo4.com/articles/619
マンガワン」が掲げた「このページをご覧の皆様へ」というを読むと、オレのような単細胞は「マンガワン」を支持したくなる。居丈高な章では草莽の心を動かすことはできないのである。読者にとっても、作家にとっても、編集者にとっても『オレの「マンガワン」』なんだよね。このメッセージ、しかと受け止めようではないか。
https://app.manga-one.com/event/fes2019/maturi1908_sb.php
中島がツイッターで呟いている。
《苦労の末作られた漫画を正規版で楽しみ、読者がその感想を言い合う、それが作り手への還元にもなる、というのが正しい形だと思います。8月31日のマンガワン祭りはそのような思いが背景にあります。和田編集長のお伝えしたいことと血と灰の女王は是非読んで欲しいです。》
https://twitter.com/yukimahiro77/status/1166986908917829634
「NEWSポストセブン」も黙ってはいない。8月29日付で「『スマホで漫画』の最新潮流 アプリで海賊版の警鐘も」を発表している。
《ユーザーの増加の一方で、デジタルコミックについては近年、海賊版サイトが大きな社会問題となっている。2019年7月に運営者が逮捕された「漫画村」事件は記憶に新しい。こうした問題への対策として、出版9団体からなる出版広報センターでは、「STOP!海賊版キャンペーン」に力を注いでいる。2019年7月にはキャンペーン第4弾として「ABJマーク×人気キャラコラボ動画」を公開。「ABJマーク」とは、電子書店・電子書籍配信サービスが著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを表す登録商標だ。ABJは「Authorized Books of Japan」の略で、「正規の出版物」であることを示す。利用するサービスに違法性がないかどうか、マークの有無が利用の目安になる。》
https://www.news-postseven.com/archives/20190829_1440252.html
8月31日に実施された「マンガワン祭り」は新聞からも、テレビからも、インターネットからも、海賊版の利用は作り手に1円も還元されないことを8月29日付で伝えることで、ユーザーや読者からの支持を得ようとする好企画であった。
これは宣伝というよりは、「攻めの広報」として、私たちは高く評価したい。海賊版対策では、ただ拳を振り上げるだけでは大衆的な支持は得られないのだ。版元の独りよがりは逆に民衆からの孤立をもたらすのだということは商業出版の常識としたい。民衆の只中に飛び込んで、読者やユーザーの支持を得ることなしに海賊版を追放することはできないはずである。
蛇足ながら「マンガワン」を小学館とともに共同で開発・運用しているのはLink-Uである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000038982.html
Link-Uは集英社とは「MANGA Plus」「マンガMee」で仕事をしており、白泉社とともに「マンガPark」も手がけているし、スクウェア・エニックスとはマンガUP!で組んでいる。
https://www.link-u.co.jp/products.php

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2)【記事】「ゴゴスマ」が武田邦彦ヘイト発言を謝罪

集英社の元編集者である鈴木耕が次のような投稿をツイッターにしていた。
《あの「ゴゴスマ」とかいう番組内で、武田邦彦とかいうどっかの教授が吐いた暴言の後始末はどうなったのだろう? あれが許されるなら、もはやテレビは死んだも同然ではないか。》
https://twitter.com/kou_1970/status/1167263690732625921
ゴゴスマ」はCBCの制作であり、TBS系列で毎週月~金の午後1時55分から放送されている情報番組である。中部大学教授・武田邦彦の問題発言があったのは、27日の放送でのこと。
朝日新聞デジタルは8月30日付で「ゴゴスマ、出演者発言を謝罪 『ヘイト容認できない』」を掲載している。
CBCテレビ(名古屋市)は30日、生放送の情報番組「ゴゴスマ」内で出演者が日韓関係に関して発言した内容について、番組内で謝罪した。》
https://www.asahi.com/articles/ASM8Z6V0SM8ZOIPE02J.html
「ハフポスト日本版」が8月31日付で公開している「ゴゴスマ日韓問題めぐる出演者の発言を謝罪『ヘイトスピーチ、犯罪を助長する発言は人として許せない』」を公開している。この記事によれば、「ゴゴスマ」でMCをつとめる石井亮次アナウンサーは、30日の番組の冒頭で次のように語ったそうだ。
《今日も日韓問題についてお伝えしていきますが、その前に皆さんにお伝えしたいことがございます。
今週火曜日(27日)にゴゴスマで放送した日韓問題のコーナーについて、ゴゴスマとしては、ヘイトスピーチはしてはいけないこと。ましてや犯罪を助長する発言は、人として許せないことと考えています。
ゴゴスマとしては、ヘイトや犯罪の助長を容認することは出来ません。番組をご覧になって不快な思いをされた方々にお詫び致します。》
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d69d204e4b0cdfe0570471a
放送から三日も経たなければ謝罪できないほど、武田の発言はヘイトや差別に当たるのかどうか微妙なものであったのだろうか。「BuzzFeed News」は8月30日付で「情報番組が一転して謝罪。『韓国女性が入ってきたら暴行しにゃいかない』発言で。」を公開している
《火曜レギュラーとして出演した武田教授は、韓国を訪れた日本人女性が暴行された事件について、次のような発言をした。
「路上で、日本人の女性観光客をその国のね、訪れた国の男が襲うなんてのはね、これはもう世界で韓国しかありませんよ」
「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しにゃいかないからね」
前者の発言後、MCの石井亮次アナウンサーや他の出演者らが「それは言い過ぎですよ」と制止しようとした。》
https://www.buzzfeed.com/jp/kensukeseya/gogosmile-2
「言い過ぎ」で済まされないヘイト発言であるのは確かである。しかし、この「BuzzFeed News」の記事によれば、当初はCBCテレビは番組で謝罪するつもりはなかったそうだ。
《・・・番組を制作するCBCテレビ中部日本放送名古屋市は8月28日、武田氏の発言について、BuzzFeed Newsの取材に次のように見解を示していた。
「番組中に司会者や出演者が否定していますし、番組、局としての考えではありません」
「番組の中で発言を否定しているので」番組やHPで見解を表明するなど対応はしないとしていた。》
反響の大きさから一転、方針を変えたようだ。裏返して言えば、その程度の発言としてしかCBCテレビは考えていなかったということなのだろう。最近のテレビや新聞の韓国報道は過敏と鈍感がともに先鋭化しており、「欲望機械」としての本性を露呈しているとしか私には思えないのである。

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3)【記事】毎日新聞「万能川柳」削除事件は“仲畑貴志隠し”か

週刊新潮」出身の門田隆将のツイート。
《今週面白かったのは「台風も日本のせいと言いそな韓」が"秀逸"に選ばれた毎日万能川柳。だが「嫌韓を煽る」との抗議で削除。韓国批判はヘイト、日本への侮辱は表現の自由という日本の新聞らしい一件。常に韓国の肩を持ち続ける毎日では許されないんでしょう。お気の毒です。》
https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1167771573828255745
毎日新聞が8月27日付の「仲畑流万能川柳」を早々とネットから削除したのは、門田の指摘するように毎日新聞が韓国の肩を持ち続けているからではあるまい。選者の仲畑貴志に対する「忖度」が働いたと見るのが妥当であろう。テレビも新聞もイデオロギー的というよりは、人間的であるし、実に情緒的なのだ。ネットから削除したのは仲畑貴志を守ろうという意図が働いてのことだったと想像するのはそれほど難しいことではない。同様に「27日の記事でご説明」なる章もまた仲畑の選者としての責任を回避するには、「毎日新聞社として、掲載に当たり「嫌韓」をあおる意図はありませんでしたが、『嫌韓をあおる』と受け止められた方がいらっしゃったという事実については、真摯に受け止めております」と書くしかなかったのであろう。
毎日新聞は仲畑という化人には向き合っていても、読者とは向き合っていないことは間違いなく、だから、社内の記者も怒りのツイートを発表していったのではないだろうか。金曜日の記事では紹介できなかったが、日下部元美は「27日の記事でご説明」なる章について次のようにツイートしている。
《何がしたかったのか全くわからない。不誠実極まりない。》
https://twitter.com/MoKusakabe/status/1167060571256020992
曽根田和久も章に「不誠実」を見ている。
毎日新聞の自浄能力が問われていると思います。きわめて不誠実な対応。一社員として私は納得できません。》
《現場で日々頑張っている支局の若い同僚たちが絶望していないだろうか。一昨日からずっと考えています。》
https://twitter.com/sonedak/status/1166900673792753664
https://twitter.com/sonedak/status/1166903363490861057
ジャーナリズムの役割は「何故?」に答えていくことであって、「何故?」から逃げることではないはずだ。ジャーナリストの今井一ツイッターで次のような意見を述べている。
《厳しい批判は大いにけっこう。だけど「ぶつけて(ぶつけられて)終わり」のドッジボールではなく、キャッチボールをしませんか
仲畑貴志氏、毎日新聞に対する批判が殺到して毎日新聞は当該川柳を載せた記事やツイートをさっさと削除。ただし、削除することについて仲畑氏の意見を聞いたのか了解を得たのかといったことについては一切不明。
私は、例の川柳を秀逸だとした仲畑氏の考えを知りたいし、自分に放たれている多くの批判に反論があるなら、例えば稲葉剛氏や小田嶋隆氏と議論(討論)してほしい。
それは、「世界」のウェブ版で映画「新聞記者」を批判した林香里さんと監督、プロデューサーや望月記者にもお願いしたいこと。「世界」の編集部がなすべきことは、原稿の掲載拒否や先延ばしではなく、そうした議論の場を設定し、それを掲載することだ。
「ぶつけて(ぶつけられて)終わり」ではなく、ぶつけた側とぶつけられた側が、時には直球のみならず変化球を混ぜたりしながらも議論を重ねて問題点を掘り下げる。そんな言論界に戻せないものか。》
https://twitter.com/WarszawaExpress/status/1167054033606991873
https://twitter.com/WarszawaExpress/status/1167054403100008448
https://twitter.com/WarszawaExpress/status/1167054743752957953
https://twitter.com/WarszawaExpress/status/1167054826619846656
毎日新聞が読者に対してすべきは仲畑貴志を隠すことではないのである。言論界は「弁証法」という三字を取り戻すべきである。最近、「弁証法」という言葉を駆使しているのは田中康夫ぐらいしかいないのではないだろうか。

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4)【記事】「海峡に立つ 泥と血の我が半生 許永中」と「殺しの柳川 日韓戦後秘史」が面白い!

伊藤博敏が「現代ビジネス」で「海峡に立つ 泥と血の我が半生 許永中」(小学館)を取り上げている。オレも読んだよ、「海峡に立つ 泥と血の我が半生 許永中」。タイトルは「海峡に立つ」ではなく、「在日」でも良かったのではないだろうか。伊藤は、こう書いている。
《大阪で「悪ガキ」を意味する「ごんたくれ」だった許氏が、大学中退後、被差別部落出身者や在日朝鮮人が多かった大阪の暴力団界を、巧みに利用しながら顔を売り、のし上がっていく様は、一級の悪漢小説を読んでいるような緊迫感とスピード感がある。
ここに許氏の原点があった。》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66843
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388625
許永中の人脈のなかで私が最も惹かれるのは画商で政界パイプの太福本邦雄である。福本は「分離・結合論」をもって戦前の日本共産党の言わばスターであった福本和夫の長男である(フランクフルト学派研究の大家として知られている清水多吉がミネルヴァ書房ら刊行した「柳田國男の継承者 福本和夫」はオススメである)。
https://www.minervashobo.co.jp/book/b167986.html
福本邦雄産経新聞に入社し、社長の水野成夫の推薦で政界に足を踏み入れる。この水野もまた「転向者」である。何しろ水野は「赤旗」の初代編集長でもあった。水野の片腕が国策パルプの南喜一。南はヤクルト本社の会長をつとめたことで知られている。南が共産党に入党するのは、弟が関東大震災後の亀戸事件で習志野騎兵第13連隊によって虐殺されたからだ。こういう歴史に興味があるのであれば朝倉喬司の「活劇 日本共産党」がオススメだ。この傑作、庫化されていないのか!
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784620320120
これまた、どうでも良いハナシかもしれないが南喜一は「性豪」として知られ、「ガマの聖談―人生に関する珍考漫考」を光社カッパ・ブックスの一冊として刊行している。
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001113246-00
許永中が「在日の天皇」と振り返る男がいる。「山口組きっての武闘派・柳川組の初代組長として、『殺しの柳川』の異名で恐れられた」柳川次郎がそうだ。柳川次郎もまた「在日」を背負い続けた「侠」(おとこ)である。竹中明洋の「殺しの柳川 日韓戦後秘史」も版元は小学館か。竹中は「在日」が主体だった柳川組の抗争を描くのではなく、「やくざ」から足を洗った後の柳川次郎の人生を描くことで、改めて「在日」の意味を問うている。堅気となった柳川に進むべき道を示唆したのは世界救世教の最高実力者となった松本重明である。松本は右翼団体である日本民主同志会中央執行委員長でもあったが、宜野湾市嘉数の高台に「日本軍タリシ韓民族出身ノ軍人、軍属」を慰霊する「青丘之塔」を建立したのが松本重明なのである。柳川の出所直後の「沖縄への慰霊の旅は、柳川が祖国・韓国へと目を向ける大きなきっかけのひとつとなった」のである。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388710
山下耕作の傑作「日本暴力列島 京阪神殺しの軍団」を久しぶりに見ることにした。小林旭が演じたのは柳川次郎をモデルとした「在日」やくざである。梅宮辰夫が演じるのは柳川組二代目の谷川康太郎である。史実はどうであれ、梅宮は柳川を襲うが返り討ちにあってしまう。瀕死の重傷を負った梅宮に輸血して助けるのが小林だ。梅宮が叫ぶ。
「おんどれの血なんかもらえるか! 豚のがまだマシや!」
小林が応じる。
「安心せえ、わしとお前は同じ血や」
この映画を見たら梅宮辰夫が口ずさむ「満鉄小唄」が耳から暫く離れまい。
「雨がショポショポ降るパン(晩)に/カラス(ガラス)の窓から覗いてる/満鉄の金ポタンのパカ野郎
さわるはゴチ銭(五十銭)、見るはタダ/三円ゴチ銭くれたなら/カシワ(鶏)の鳴くまでボボ(性交)しゅるわ
登楼る(あがる)の帰るの、どうしゅるの/早くセイチン(精神)決めなしゃい/決めたらケタ(下駄)持ってあがんなしゃい
お客さんこのごろ、紙高い/帳場の手前もあるでしょう/ゴチ銭、祝儀をお足しなさい
そしたらアタイもせい出して/フタチ(二つ)もミッチ(三つ)もオマケして/カシワ(鶏)の鳴くまでボボ(性交)しゅるわ/カシワ(鶏)の鳴くまでボボ(性交)しゅるわ
ああたま(騙)された、たま(騙)された/ゴチ銭金貨と 思うたに/ピル(ビール)瓶の栓かよ、たま(騙)された」
「討匪行」の替え歌である「満鉄小唄」は、戦前の満州にいた朝鮮人娼婦の歌である。
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E5%88%97%E5%B3%B6-%E4%BA%AC%E9%98%AA%E7%A5%9E%E6%AE%BA%E3%81%97%E3%81%AE%E8%BB%8D%E5%9B%A3-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E6%97%AD/dp/B01ETZ8LT8
山下耕作三島由紀夫が絶賛した「総長賭博」の監督であり、「夜明けの旗 松本治一郎伝」の監督でもある。

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5)【本日の一行情報】

◎8月27日付日経によれば「コンビニエンスストア大手3社で成人向け雑誌を取り扱う店舗が9月から全店舗のうち約0.2%になる見通しとなった」そうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49077760X20C19A8916M00/

◎「auスマートパス プレミアム」は、月額499円(税抜)のコンテンツサービス。これまでのサービスはauユーザーを対象としたサービスで、スマホ向けの「アプリ取り放題」やレジャー施設や飲食店の割引、「au Wowma!」の送料無料といった特典がセットとなっていたが、auが提供する"放題"系サービスのコンテンツの一部をauスマートパス プレミアムのユーザーに開放することになった。これにより映像、音楽、書籍、イベント、スポーツといった特典を月額499円とサービス料金据え置きで利用できるようになる。
https://japanese.engadget.com/2019/08/27/au-499-au/

朝日新聞デジタルは8月29日付で「警察広報を取材協力者に提供 朝日新聞記者を懲戒処分」を掲載している。
《広報は警察から報道機関へ提供される書。記者は今年2~4月、逮捕された容疑者の名前や住所、職業などが書かれた広報撮影した画像を計3回、取材協力者の男性2人に通信アプリ「LINE」で送った。》
https://www.asahi.com/articles/ASM8X5J42M8XTIPE02Y.html
記事からは、どういう背景があったのか全く読み取れない。こうした記事が読者の新聞不信に拍車をかけるのだということを新聞社の皆さんはわかっているのだろうか。

◎今年で創刊30周年の「エル・ジャポン」は、代官山 蔦屋書店でアニバーサリーフェアを開催中だが、同書店限定で「ヴァイタルマテリアル」のリードディフューザーと同誌10月号セットを9,139円(税抜)のところ、60%OFFの3,611円(税抜)で発売している。
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a28827873/30th-anniversary-0829/

共同通信が「仏、電通のパートナー企業捜査 国際陸連前会長疑惑で報道」として配信したこともあってロイターの記事の内容が地方紙に拡散している。
https://this.kiji.is/539409315189048417?c=39546741839462401

◎「ハフポスト日本版」が8月28日付で「京アニ被害者の『実名報道』。テレビと新聞はどう報じたか」を公開している。「ハフポスト日本版」編集部じしんのコメントは以下。
《8月27日に25人の実名が公表された際にも、京都府警に取材を試みましたが、「記者クラブ外には公表しない」と回答を受けました。実名公表を了承した遺族は5人のみだったことも確認し、なぜ多くの遺族が反対しているのか詳しい事情が分からない状態であったため、取材や掲載は見送りました。
事件・事故の被害者報道のあり方は大きな転換点を迎えています。SNSなどネットが発達した時代のメディアや報道のあり方については、編集部でも様々な意見を出し合い、話し合いを続けています。》
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d65c5dde4b022fbceb2abfe

朝日新聞デジタルは8月28日付で「U18、韓国入りで日の丸ないシャツ着用 対応に波紋」を掲載している。
《野球の第29回U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯、30日~9月8日、韓国・機張(キジャン))に出場する高校日本代表チームが28日に現地入りした。選手やスタッフは「JAPAN」のロゴや日の丸のエンブレムが付いていないポロシャツを着用した。》
https://www.asahi.com/articles/ASM8X5X2XM8XUTIL048.html
これは高野連の過剰反応ではないのだろうか。古谷経衡がこうツイートしている。
高野連というのは本当にどうしようもない組織である。「日の丸は韓国を刺激するから」。日の丸をみて興奮して韓国人が球児を襲うとでも思っているのだろうか?馬鹿らしい。どんな妄想をすればそんな結論に行き着くのだろうか。というか、自国の国旗に対しても失礼極まりない。木偶の集団ではないか。》
https://twitter.com/aniotahosyu/status/1166729093145980928

KADOKAWA筆頭株主である川上量生は発行済株式の2.99%に相当する189万2700株を売却し、KADOKAWAは約30億円を上限とする自社株買いを行った。
https://gamebiz.jp/?p=247346
KADOKAWAを良く知る大塚英志が次のようにツイートしている。
《以前、角川と一緒になった後の川上量生を起業してガレージ時代の仲間は去り投資家にいいようにされるジョブスやシリコンバレーが舞台のアメドラのようだと書いたが、会社を角川歴彦に乗っ取られ、アップルの株売ったジョブスみたいになってきた。
シーズン2、面白い人生だと思うから頑張れや。》
西和彦アスキー徳間康快大映、川上のドワンゴ、そして春樹の角川とアクの強い経営者のアクの強い企業を手中にしながらだだその存在と歴史を「消す」だけのカドカワは屍を糧にさえできない点でハイエナでしかない。
業績好調ったってリストラと新海のコバンザメだし。》
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1167252248163840002
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1167253990968414209

Sexy Zone中島健人菊池風磨が表紙を飾ったマガジンハウスの女性週刊誌「アンアン」8月28日発売号が発売初日に緊急重版を決定した。今年に入ってからSixTONESSnow Manに続き三度目の表紙重版となる。
https://www.oricon.co.jp/news/2143368/full/

◎「劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD オフィシャルBOOK」(マガジンハウス)が売れている。
https://www.oricon.co.jp/news/2143328/full/

集英社女性誌「MORE」10月号の付録はアウトドアブランド「Coleman」のトートバッグだ。
https://more.hpplus.jp/morehapi/article/ayano/f-news/50431/1/

◎宝島社の女性ファッション誌「GLOW」10月号の付録は「ミラー付き10色パレット」「Wエンドアイブロウブラシ」「アイブロウマスカラ(パール)」「アイブロウリキッド」の4点セットである。
https://bg-mania.jp/2019/08/29306732.html

日本経済新聞社は、国際広告祭の最高峰である「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」について、国内レップ(代理店)業務の権利を取得した。
https://www.nikkei.co.jp/nikkeiinfo/news/release_20190829_01.pdf

電通は、海外本社「電通イージス・ネットワーク」を通じて、米国ロサンゼルス市のデジタルパフォーマンス(運用型広告)、DTC(Direct-to-Consumer:消費者直販)マーケティングエージェンシー「MuteSix Inc.」(ミュートシックス社)の株式100%を取得し、買収する。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019082-0829.pdf

電通電通デジタルは、2017年12月にリリースした、データに基づいて動画広告表現のパフォーマンス向上を図るサービス「BRAND LIFT CHECKER 」(BLC)の対象をネット動画からテレビCMまで拡大した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019083-0829.pdf

電通は、主に飲料・食品・トイレタリー等の日用消費財ブランドでの活用を想定したマーケティングメソッド「モーメントアーキテクチャ」を新たに開発し、サービス提供を開始した。モーメントアーキテクチャは、生活者のニーズが高まる時間・場面・行動等の組み合わせを「モーメント」と定義し、モーメントを捉えるマーケティング・コミュニケーションの戦略立案、施策の実施、および購買データを活用した購買効果の可視化までを統合し、一気通貫したプロセスで日用消費財における効果的なマーケティングを実現するメソッドである。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019084-0829.pdf

産経新聞は8月29日付で「「岩波庫的」な直木賞小説 岩波が異例のパロディー装丁」を掲載している。
《岩波庫? いえ、「岩波庫的」です-。岩波書店は29日、作家の佐藤正午さん(64)の直木賞受賞作『月の満ち欠け』を、岩波庫をイメージした装丁とサイズで10月に刊行することを明らかにした。老舗出版社である岩波書店が自らこのようなパロディーを行うのは珍しく、担当編集者は「岩波としてもこの種の試みは初めて」と話している。》
https://www.sankei.com/life/news/190829/lif1908290030-n1.html
こんな七面倒くさいことをせずに岩波庫として出せば良いじゃん

静岡新聞が8月30日付で「静岡に住んで東京の仕事 大手出版社社員がテレワーク体験」を掲載している。
《勤務先に出勤せず、共有オフィスなどで働く「テレワーク」を推進する静岡市で9月6日まで、大手出版社KADOKAWA(東京都)の社員がテレワークを体験している。市は「静岡市に住みながら東京の仕事ができる」ことを体感してもらい首都圏からの移住定住につなげる。》
https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/675225.html
KADOKAWAは、以前からテレワークを導入しているそうだ。

KADOKAWAは、東野圭吾のベストセラーミステリー『殺人の門』(角川庫)をカバーリニューアルして大重版を決めた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006203.000007006.html

朝日新聞出版は取材記者(業務委託)を募集している。
https://dot.asahi.com/info/2019083000018.html?page=1

読売新聞グループ本社会長の白石興二郎が8月30日付で退任し、9月2日付でスイス大使に就任する。毎日新聞は書いている。
《白石氏は日本新聞協会の前会長で、政府が4月1日に新元号「令和」を決める際に意見を聞いた「元号に関する懇談会」のメンバーも務めた。マスコミ出身者の起用は珍しいが、菅義偉官房長官は記者会見で「人事はすべて適材適所で行っている」と述べた。》
https://mainichi.jp/articles/20190830/k00/00m/010/229000c
朝日新聞は、こう書く。
《外務省によると、メディア業界出身者の大使は5人目。》
https://www.asahi.com/articles/ASM8Z4TB7M8ZUTFK00L.html
讀賣新聞は、こう書く。
《外務省によると、報道機関出身の大使はこれまでに、元フィンランド大使の高原須美子氏(毎日新聞)や元ザンビア大使の石弘之氏朝日新聞)ら4人いるが、新聞協会会長経験者は初めて。》
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190830-OYT1T50249/
ポスト渡辺恒雄は一丁あがりとなった白石興二郎ではないことがはっきりとした。ポスト渡辺恒雄読売新聞グループ本社社長にして販売を担当する山口寿一であろう。山口は司法記者出身である。

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6)【深夜の誌人語録】

言葉にならない言葉こそ言葉のなかの言葉である。