忌花学廃人篇 其の伍

フリッツ・ラング破局の男根の弾痕
罪を摘む悪意に飽きて花は吹雪けり
仮性包茎崩壊を奏でる軍楽隊の初夜
僕死なば仏ほつとけ物自体なりけり
認識論的断絶の果て有季の無機の無季の墓
自慰地球示威恥丘や所詮日本まさに君
暴君膺懲の夜にジンテーゼの花の縊死
懐胎せり解体せり新高山の花燃ゆる夜に
廃人の廃句ありけり無頼にして非在の夢
汝が紅旗粛清の森にわが花冷の皇紀
下々ゲゲゲの下の下の貞操帯の処女喪失
善がりし世は花盛りにして不快なり自同律
春は女装の親衛隊の殺意振り撒く微笑かな
神々の巨根を妄想せしは女陰の解放区
花びらは明日の凶器日々狂気
葉桜鞍馬魔羅ニ酔ヒ痴レ厥起近シ
口舌ノ絶望セシ射精ノ走リ梅雨
黄金ノ鏖ハ麦秋タレ王道楽土
唖蝉ノ世界モ存在モ夜モ朝モ芟除セリ
渤海ニ浮カブ亡国ノ海綿体ノ難破船
白山ノ白装束ヤ白昼ノ自刃祭
官能ノ非有非空ニ関東軍ノ亦有亦空
転向ノ絶頂ヘ君影草社稷トヨ
屍ノ刺青ニ妙法ヲ誓フ討匪行
葉桜狂フ五族協和ノ方便品転進
緑陰ノ陰核ニ紋白蝶自決ノ戒厳令
敷島ヤ蟻ノ地獄ニ八紘一宇刻ム霊山
国体ノ清華ニ五月晴病ム夢精ノ骸
万邦無比ナル羅ヲ剥ギテ詩ノ死後硬直
国体明徴ノ時雨ルル凶器ノ法華一揆