【文徒】2014年(平成26)2月13日(第2巻27号・通巻229号)

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1)【記事】編集者に活字離れが進行中
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】編集者に活字離れが進行中

週刊誌の編集長OBから聞いたことがある。
「オレは話の上手な編集者は2流だと思っていた。だって編集者はおしゃべりが商売ではないでしょ」
しかし、今やおしゃべり上手な編集者が繁殖にも繁殖を重ねていると言って良いだろう。今や編集者はテレビにコメンテーターとして登場し、立派に文化人の仲間入りを果たしている。もっとも、文化人に成り上がっても、テレビに魂を抜かれてしまっては元も子もあるまい。編集者として最前線に踏みとどまりたいのであれば、テレビ出演に現を抜かすべきではあるまい。
別の編集長OBは編集者の活字離れを嘆く。編集長OBは、こう語り始めた。
「本を読んでない編集者が嫌になるくらい増えましたよね。後輩に最近、面白かった本を教えてよと聞いたら、返ってきたのが『永遠の0』ですからね」
「永遠の0」が駄目な本だと、このOBは言っているわけではない。あれだけのベストセラーとなれば、元編集者が読んでいないはずはないということに想像力が働かないことに愕然としたというのだ。
「まだ世間的には知られていないけれど、これから話題になるという本を教えてくれるのが礼儀でしょ」
OB編集長は心配になったそうだ。最近の編集者はベストセラーしか読まなくなったのかと。いや、ベストセラーだけでも読んでいればマシなほうかもしれない。「永遠の0」を推薦した編集者はOB編集長に次のように嘆いたというのだから頭が痛くなる。
女性誌で仕事をしている同期の奴が言うには、編集者の仕事をはじめてから、忙しくて本を読む時間がなくなったっていうけれど本末転倒ですよね」
思うに純文学や専門書が売れなくなったのは、編集者の活字離れが原因なのではないだろうか。その昔、私は出版社で営業部門出身の経営幹部から読書は老後の楽しみでとっておくと言われ、頭を抱えてしまったことがあったが、今や活字離れは編集者にまで浸食しようとしている。
担当する雑誌が週刊誌であれ、女性ファッション誌であれ、何であれ編集者の仕事の底流には、少なくとも「文学」が横たわっていなければならないはずだ。

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2)【本日の一行情報】

◎戸次重幸に注目だ。戸次の一人舞台TEAM NACS SOLO PROJECT「ONE」は全国で1万2000人を動員中でチケットは発売日に即完売だという。この「ONE」を戸次自身が小説化し、同時に戯曲とインタビューも収めた書籍「ONE」をKADOKAWAが刊行したが、発売5日にして重版が決定したという。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/enterprises/release/detail/00076615.htm

◎私は昨日、井川遥の長い髪に誘われて、「角」を買ってしまった。井川は小雪菅野美穂につづく、「角ハイボール」の三代目イメージキャラクターをつとめる。
http://newslounge.net/archives/115295

トーハンの「ほんをうえるプロジェクト」ではじめて商品化された「出ない順 試験に出ない英単語 普及版」(飛鳥新社/本体571円)の発売記念イベントを企画。2月17日に秋葉原書泉ブックタワーで「日本一役に立たない英語の授業」を開催するというのだけれど。私には「とてもくだらないトーハンの企画」としか思えない。
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/post_320/

◎私は「明るい派」である。確かに精神はブニュエルを信奉するスペイン派である。五木寛之「わが心のスペイン」の文庫化を画策する出版社はないのだろうか。
http://www.news-postseven.com/archives/20140209_239906.html

◎ドリームワークスが出版社を立ち上げる。「カンフー・パンダ」や「マダガスカル」などの映画をベースに紙と電子で書籍化をはかる。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303374704579373524066948650.html?dsk=y

◎天才から詐欺師に転落した佐村河内守だが、佐村河内の楽譜を出版する「東京ハッスルコピー」が損害賠償の訴訟を考えているという。「『―HIROSHIMA』の楽譜は、プロには3か月30万円でレンタルされ、売り上げの40%が佐村河内さんに支払われていた」って、そういう「おいしい商売」が世の中には存在するのか!楽譜をレンタルしたユーザーは、この音楽出版社にも騙されているということに自覚はないのだろうか?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140208-00000022-sph-ent

家入一真が「インターネッ党」を設立するそうだ。私だったら「インター熱党」と命名するけどな。宇野常寛はかかわるのかな?
http://www.huffingtonpost.jp/2014/02/10/internet-party_n_4757952.html

大友克洋AKIRA」のハリウッド実写版映画の製作が再開!
http://www.cinematoday.jp/page/N0060428

◎元原発作業員による原発収束作業の実態。元NHKアナウンサー堀潤の仕事である。
http://www.huffingtonpost.jp/jun-hori/post_6863_b_4758469.html

坪井安奈小学館を退職してタレントを目指している。しかも、ゲーム会社で広報業務を担当しながらだって。
http://gendai.net/articles/view/geino/147860
とんでもない根性の持ち主か、単なるバカのどちらかである。会社を退職するのって、結構大変だからね。

◎漫画家の鈴木みそが、キンドル個人出版した電子書籍9作品の2013年度の合計売り上げは5万8706部、Amazonから支払われた取り分は1000万6057円だった。これを「凄い!」とみるか、「この程度!」とみるか。
http://www.misokichi.com/chinge/2014/02/2013.html

◎NHN PlayArtが運営する無料のwebコミックサービス「comico(コミコ)」のアプリ版のダウンロード数がリリースから100日となる2月8日に100万件を突破した。
http://vsmedia.info/2014/02/10/comico_1m/

電子書籍書店「BookLive!」で「集英社カラーマンガまとめ買いキャンペーン」を「ONE PIECE カラー版」、「【カラー版】ジョジョの奇妙な冒険」、「ラブ★コン カラー版」、「To LOVEる―とらぶる―ダークネス カラー版」など集英社の人気カラーマンガ36作品を対象に2月20日まで実施している。3点以上で150ポイント、10点以上で600ポイント、100点以上では1万ポイントのポイントバックとなる。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1402/10/news080.html

◎この「ダヴ」のCMは凄い。
http://feely.jp/426/

産経新聞神戸総局の森勇人記者が交際中の女性の顔に膝蹴りをしてケガを負わせたとして傷害容疑で逮捕された。
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20140211-1256162.html

◎「東洋経済オンライン」の佐々木紀彦編集長が次のように喝破している。
「テレビCMで流れているような広告費をWEBに持ち込みたいなと。 テレビにはしばらくは敵わないしょうが、Webにはどういう人が視聴したかをデータで把握できるという、テレビにはない強みがありますので、そこを追及していきたいと考えています。とにかくメディア業界をかき回したい」
佐々木はちゃんと理解している。雑誌がインターネットに橋頭堡を築くのは、テレビに流れている広告費を奪取するためだということを!
http://www.value-press.com/media_interview/norihiko_sasaki

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3)【深夜の誌人語録】

人の行動に完璧はあり得ない。結果が完璧でないから、次の行動に向けて努力できるし、情熱を傾けることもできる。完璧でないことが未来を切り拓くのだ。