【文徒】2014年(平成26)8月1日(第2巻143号・通巻345号)

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1)【記事】阪急コミュニケーションズの売却先が決まった!
2)【記事】「ぬくめどり 鷹匠の世界」は必見のドキュメンタリー映画だ!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.8.1 Shuppanjin

1)【記事】阪急コミュニケーションズの売却先が決まった!

オレンジページの身売りについては既に報じたが、未だ正式な発表はないものの、水面下での交渉が進んでいるのだろうか。オレンジページが生き残るためにはIT系の企業がベストなのだけれど…。経営トップの交代も欠かせない条件だろうが、どうなるのだろうか。
身売りを模索していたのはオレンジページばかりではなかった。阪急コミュニケーションズもそうだったのである。
消息筋によれば蔦屋書店を擁するカルチユア・コンビニエンス・クラブが買収するとも言われているそうだ。阪急コミュニケーションズの前身はTBSブリタニカであり、これを最初、サントリーが買収し、サントリーから阪急グループが買収し、阪急コミュニケーションズに社名変更したという過去を持つ。阪急グループは既に書店チェーンのブックファーストトーハンに売却している。私などが関心を持っているのは宝塚関連の出版部門をどうするかだ。
オレンジページもまた歴史を振り返れば、中内功が率いるダイエーが設立した出版社であったが、ダイエーの中内王国の崩壊によって、JR東日本の傘下に入った。
オレンジページも、阪急コミュニケーションズも、鉄道会社が親会社であること、雑誌をビジネスの中心に据えていることでは共通している。阪急コミュニケーションズの内情に詳しい雑誌関係者は、次のように語っている。
「阪急コミュニケーションズの五百井健至社長は電鉄の宣伝マン出身ですが、この厳しい雑誌不況のなか赤字をすべて解消するなど、経営者としてはなかなかのものでした。それだけに何故に売却する必要があるのか不思議でなりません」
しかし、それは出版社の理屈なのだろう。鉄道会社からすれば落ち目の雑誌社を傘下に置くメリットがなくなってしまったということなのである。雑誌という紙メディアを擁することでメリットがあるのはIT系企業だけなのではないだろうか。

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2)【記事】「ぬくめどり 鷹匠の世界」は必見のドキュメンタリー映画だ!

知られざる鷹匠の世界を描いたドキュメンタリー映画「ぬくめどり 鷹匠の世界」を見たものであれば鷹の美しさに圧倒されるだろう。もちろん、古来よりつづく鷹と人間の関係もしっかりと描き込まれる。私など「鷹匠」といえば冬の野鴨焼しか連想しなかったクチだから、ともかく知らないことだらけで驚きの連続である。何よりも汐留の高層ビルから舞い降りてくる鷹を見るだけでも猛暑を忘れさせてくれる。鷹匠たちが1年でもっとも晴れやかな放鷹術披露は1月2日、3日に浜離宮恩師庭園で行われているのだ!それにしても初めての女性鷹匠だという大塚紀子がカッコ良いったらありゃしない。大塚は見事な「女前」を披露している。
実は、この映画のプロデューサーはボスを率いる(つまりボスのボスである)平林猛である。そう私たちの「出版人・広告人」の昨年12月号に登場し、「講談社記者会」について語ってくれた平林猛である。既に全国各地で上映会が開催されているが、8月16日土曜日には彩の国さいたま芸術劇場で上映されるし、9月2日から8日までは札幌の蠍座で公開される。
できれば「ぬくめどり 鷹匠の世界」は銀幕で見たいところだが、TSUTAYAオンラインショッピングから早くもDVDとして定価3000円(税抜)でリリースされている。
http://nukumedori.blogspot.jp/

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3)【本日の一行情報】

◎「東洋経済オンライン」編集長に就任した山田俊浩は真っ直ぐな若者だったのだろうな。次のように発言している。
「『週刊金曜日』を創刊したジャーナリスト本多勝一さんのシリーズものを読んで、社会に対して筆一本で勝負できるジャーナリストに憧れていたんです」
私がガキの頃に憧れていたジャーナリストは竹中労であり、児玉隆也であり、朝倉喬司だった。朝倉からは多大な影響を受けている。本多はどうしても好きになれなかった。体質的に受け付けないんだよね。
http://www.value-press.com/media_interview/toshihiro_yamada

実業之日本社の「大人の探検」シリーズは、異色のガイドブックだ。第一弾は「大人の探検 古墳」だったが、第二弾「大人の探検 奇祭」が刊行された。
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=62710

壇蜜が本領を発揮しているテレビ東京の深夜ドラマ「アラサーちゃん 無修正」の評判が良い。原作のマンガは扶桑社の「週刊SPA」連載。扶桑社はフジテレビの関連会社にして、フジテレビ社員の天下り先でもあるということを考えれば、本来、このヒットは喜べないはずである。
http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20140730/enn1407301545017-n1.htm

◎「CLASSY.」9月号のファッションは夏に重心を置き、「Oggi」9月号のファッションは秋に重心を置いている。
http://ameblo.jp/mamaruru-marumaru/entry-11901154883.html?frm_src=thumb_module
http://ameblo.jp/mamaruru-marumaru/entry-11901168182.html?frm_src=thumb_module

ニューヨーク・タイムズが29日発表した2014年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比54・4%減の約919万ドル(約9億4千万円)。利益を半減させてしまった。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=78331

◎mimmamをご存じか?「みむまむ」と読む。姉であるmamと妹であるmimの可愛すぎる双子モデルである。
http://matome.naver.jp/odai/2140267285187859801
祥伝社のファッション誌「Zipper」の専属モデルである。
http://blog.patipatiz14.zipper.jp/
「DDweb」によれば「E hyphen world gallery bonbon」とのコラボ商品や、セレクトショップ「WOmB」とのコラボTシャツ、ファッションブランド「Candy Stripper」のビジュアルにも起用されているという。そんなmimmamが音楽活動を始動させるにあたって「mimmam オフィシャルソーシャルモブサイト」を開設した。
http://idollars.ldblog.jp/archives/40105760.html
http://www.mimmam.com/
第二のきゃりーぱみゅぱみゅとなるか!雑誌の力を証明するためにも、そうなって欲しいものである。

◎「VOGUE JAPAN」9月号(7月28日発売)の付録は、トリー バーチの2014-15年秋冬コレクションのドレスをプリントした、カード型ミラー&カードケースだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000000930.html
斎藤和弘はどうしているのだろうか?例の記事以来、「VOGUE JAPAN」というと斎藤のことを思い出してしまう。

貝原益軒の没後300年を記念した特別展が京都大総合博物館で開催されている。京都の書店「柳枝軒」が益軒の著作の版元であった。
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20140730000080

◎クライアントはセメダイン。学研グループの電子書店ブックビヨンドは、、学研パブリッシング発行の小学生向け学習まんが「まんがでよくわかるシリーズ」から「接着剤のひみつ」の無料配信を開始した。
http://bookbeyond.jp/d/9091200393/

◎「第3回 ブラック企業大賞」の候補が発表された。出版業界からは秋田書店がノミネートされている。とても不名誉なことである!ノミネート理由には次のように書かれている。
秋田書店は、漫画雑誌『少年チャンピオン』などの発行で知られる出版社である。同社では漫画雑誌等に景品を掲載し、その景品を欲する読者を募り、応募数が景品数より多数の場合は抽選により選ばれた読者へ景品を送るという、いわゆる「読者プレゼント」をしばしば行っていた。ところが、秋田書店では、発表していた当選者数よりも大幅に少ない景品しか用意していなかった。
2007年に大卒後に秋田書店へ入社し、『ミステリーボニータ』編集部に配属され、編集に関わった女性従業員Aさんは、同誌の読者プレゼント欄の担当となった。Aさんは景品が明示されている数より少なくしか用意されていないことに驚き、『不正は、やめるべきでは』と繰り返し上司に訴えた。ところが、秋田書店はプレゼント偽装を是正せず、この女性従業員に対して業務指示を継続した。Aさんはその葛藤の中で精神疾患を患い休職を余儀なくされた。このような状況のAさんに対し、秋田書店は『読者プレゼントを読者に送らずに着服した』としてAさんを懲戒解雇した。
Aさんは消費者庁に対し情報提供を行うと、2013年8月20日消費者庁秋田書店に対して『景品表示法違反(有利誤認)』で措置命令を発出した。
懲戒解雇の違法性をめぐっては、Aさんは首都圏青年ユニオンに加入し、東京地裁で同社と争っている。同社は消費者庁から措置命令を受けたにもかかわらず、Aさんへの懲戒解雇は有効であるとの主張を行っている」
http://blackcorpaward.blogspot.jp/2014/07/3.html

◎累計1100万部を発行している岩明均のマンガ「寄生獣」がテレビアニメ版「寄生獣セイの格率」として10月から日本テレビで放送される。
http://mantan-web.jp/2014/07/30/20140729dog00m200061000c.html

◎実写版映画「進撃の巨人」は2015年夏に前後篇2部作で公開される。これを大ヒットさせることができれば、講談社はこれまで見たことのなかった風景を見ることになるだろう。
http://www.rbbtoday.com/article/2014/07/30/122066.html#gunosy

◎「名探偵コナン」の「週刊少年サンデー」連載20周年を記念した「コナン展」が名古屋・オアシス21で8月7日が24日まで開催される。
http://www.fashion-press.net/news/12114

徳島新聞が伝える徳島県内の書店事情。
「県内では店頭販売をやめて教科書専門で外商だけを行う店が増えており、組合加盟数の約3分の1を占める」
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2014/07/2014_14067646465328.html

朝日新聞出版は司馬遼太郎の「街道をゆく」を電子書籍として8月7日からリリース開始する。
http://publications.asahi.com/kaidou/

リイド社は「未だ見ぬマンガ表現」をテーマに掲げ、WEBマガジン「トーチ」を今日創刊。
http://natalie.mu/comic/news/122434

◎8/4付オリコン“本”ランキングBOOK(総合)部門で「妖怪ウォッチ」関連本がベスト20に4作もランクイン。2位「知育ちがいさがし100 妖怪ウォッチ」、14位「妖怪ウォッチおはなしえほんジバニャンとうじょうのまき」、16位「妖怪ウォッチオフィシャル攻略ガイド」、17位「イラストストーリー妖怪ウォッチ」。すべて版元は小学館である。
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/movie_anime/150420.html

小学館AneCan」とインビザライン矯正のアライン・テクノロジー・ジャパン社がイベントを開催。
http://www.rmdcc.com/news/2014/07/30/001402.php

KADOKAWA電撃文庫で「とある魔術の禁書目録(インデックス)」シリーズに続き、「ソードアート・オンライン」(SAO)シリーズが累計1000万部を突破した。
http://mantan-web.jp/2014/07/31/20140730dog00m200054000c.html

◎「現代ビジネス」の「ニュースの深層」で伊藤博敏はベネッセの福武總一郎について次のように書いている。
「顧客情報漏洩事件は、ベネッセの『脱創業家』、總一郎氏の『脱日本』を軸としたハッピーリタイアメントに影を差した。『福武』の名は芸術・文化活動に残し、家業のベネッセは大株主として監視、資産はニュージーランド保全する。そんなシナリオを總一郎氏は思い描いたのだが、人生、全てが思惑通りには運ばないことを、改めて教えたのである」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39985

◎「アナと雪の女王」のTSUTAYAでのレンタル回数が、7月30日までの累計で100万回を突破。歴代最速だそうだ。
http://www.ccc.co.jp/news/2014/20140731_004550.html

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4)【深夜の誌人語録】

焦りも怠惰も禁物だ。そして、急げ。