【文徒】2016年(平成28)3月18日(第4巻52号・通巻739号)

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1)【記事】アメリカの雑誌「ポーター」の挑戦
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】アメリカの雑誌「ポーター」の挑戦

アメリカの雑誌「ポーター」について「DIGIDAY」は次のように書いている。
「雑誌『ポーター(Porter)』は、一般的なファッション誌に見えるが、ショッピングアプリ「NET-A-PORTER」とも連動しており、まるでeコマースカタログのように利用できる。紙の雑誌をペラペラめくっているときに、気になる商品が見つかったら、アプリのカメラでページをスキャンすれば、すぐに商品購入ページに行き着くことができるのだ。
2014年から隔月刊で発行されている、この『ポーター』。年会費25ドル(約2800円)で、高級志向の顧客向けに配布される、eコマース対応の雑誌となっている」
http://digiday.jp/brands/how-net-a-porter-built-a-digital-shopping-experience-in-a-print-magazine/
記事から実店舗に誘導する仕組みがないと、「ポーター」のルーシー・ヨーマンズ編集長が指摘するように雑誌は読者をじらすだけである。購買を煽りながらも、購買はできない雑誌の非実用性をいかに克服するかが問われ始めているのだ。雑誌は夢を売るものだという逃げは、通用しなくなってしまったのである。「DIGIDAY」は、こうも書いている。
「『ヴォーグ』では、画像・音楽認識アプリ『Shazam(シャザム)』によって拡張される広告が掲載されている。その一例が、2015年9月号に掲載された米小売大手ターゲット(Target)の見開き広告だ。また、女性向けファッション誌『エル(ELLE)』は、買い物案内アプリを提供するショップアドバイザー(ShopAdvisor)と提携し、ビーコンメッセージを利用して、記事から実店舗に顧客を誘導している」
実用性を特徴としてきた、わが国の女性ファッション誌にとっては「雑誌からリアル店舗へ」というテーマは他人事であるどころか解決すべき喫緊の課題である。

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2)【本日の一行情報】

◎「R25」も「デジタル版の配信が雑誌発売日の5日後であることに、やや遅いと感じた人は少なくなかった」とか「デジタル版配信までのタイムラグは読者にとって利用の障壁になってしまうかもしれない」と書いている。「週刊少年チャンピオン」のことである。また「この流れで『週刊少年サンデー』(小学館)も早くデジタル配信に対応してほしいというコメントが寄せられている」とも書いている。
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20160315-00048186-r25&vos=njm20140320001

◎「週刊文春」の新谷学編集長は、このところ出ずっぱりだなあ。「編集会議」での次のような発言は、新谷の編集者としてのセンスの良さが滲み出ている。
「ここ2年くらいで面白いなと思うのは『POPEYE(ポパイ)』です。学生時代はよく読んでいて、その後すっかりご無沙汰していたのですが、編集長が代わったからなのか、現場が面白がってつくっているのが伝わってきます。一つひとつのキャプションや写真のレイアウトからも、こだわってつくっているのがわかる。『POPEYE』が提案するライフスタイルや世界観が、誌面ににじみ出ていると感じます」
http://www.advertimes.com/20160316/article220125/

日本新聞協会の「全国メディア接触・評価調査」によれば、新聞を読んでいる人は77・7%に及ぶ。「7」並びで縁起の良い数字だ。週5日以上読んでいる人は55・6%、大学生・大学院生で就職活動の重要な情報源として紙の新聞を挙げたのは44・1%。でも有効回収率は54・9%ってのが気になる。45.1%は新聞を読んでいなかったりして。
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/160315_7484.html

木村伊兵衛写真賞(主催:朝日新聞社朝日新聞出版)は、写真集「MONUMENTS」の新井卓に決まった。新井は「銀板写真(ダゲレオタイプ)師」である。
http://dot.asahi.com/asahicameranet/info/topics/2016031400046.html
http://www.takashiarai.com/wordpress/
こういう写真である。
http://www.takashiarai.com/index2.html

徳間書店は、小野中彰大のマンガ「クミカのミカク」第1巻の重版を決めた。食いしん坊の異星人クミカが主人公で、食事を必要としないクミカが地球の食べ物を食べて「美味しい」と感じると触手が光るという設定だそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000016935.html

◎丸紅新電力のCM制作を手がけたのは「スタジオジブリ」。何と「鳥獣人物戯画」が動き出す。オレの家も丸紅新電力にしようかな。
http://news.mynavi.jp/news/2016/03/15/519/

日之出出版は「グループ会社も含めワンマン経営で体制が古」いと書かれている。風通しもあまり良くないようだ。出入りが激しいポジションもあるんだって!ここの「内剛外柔」経営は昔から有名だ。
http://jobtalk.jp/company/47900/reputations/leave

東ティモール民主共和国大統領夫妻が学研ホールディングスを訪問。学研グループでは、「東ティモールの小学生の理数教育の向上を支援する」という日本東ティモール協会の呼びかけに賛同し、住友化学と協同して、首都ディリにあるベボヌック小学校の1年生300人に、算数教材の提供を継続的に行っているそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000592.000002535.html

◎マスコミの経営幹部と会食をつづける安倍晋三首相だが、駿河台大学の成田憲彦教授は次のように指摘している。
「もちろん、会食の席でこれを書け、あれは書くな、と圧力をかけるわけではありません。しかし、新聞各社の幹部と個人的な関係をつくっておけば、重要法案を通す時など、いざという時、彼らは政権批判をしようとする現場を勝手に抑えてくれる。少なくとも“筆圧”を弱めさせる効果が期待できます」
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/03/15/62448/?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
週刊プレイボーイ」、硬派である。紙版の「安倍首相と新聞社の偉い人が行くお店を実食!」も面白かった。

◎オオクボリュウの初の個展「Like A Broken iPhone | アイフォン割れた」が、西麻布のCALM & PUNK GALLERYで4月8日から開催される。オオクボは「ポパイ」や「ブルータス」ではイラストレーターとして活躍していた。
http://www.fashionsnap.com/news/2016-03-16/okuboryu-exhibition-iphone/

博報堂のプロダクト・イノベーション・チーム「monom」(モノム)は、第三弾の自主開発プロダクトとして、すべてのぬいぐるみをおしゃべりにするボタン型おしゃべりスピーカーPechat(ペチャット)を開発した。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/03/20150314_3.pdf

博報堂博報堂DYメディアパートナーズのグループ会社である iichi は、アジア最大級のデザイナーズマーケットを運営する Pinkoi Inc.と、日本国内の優れたデザイナーの海外販売を支援し、アジアそして世界でデザイン商品のECサービスを広げていくことを目的に、資本業務提携を行った。
今回の提携により、iichi の約 2 万人の登録作家は選考の後、Pinkoi のプラットフォームを通じアジア全域を中心とする海外マーケットに、広く作品を紹介・販売していくことが可能となる。CtoCビジネスだ。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/03/20160316.pdf

◎山田順は「ジャーナリズムの危機を救う『週刊文春』をもっとリスペクトせよ!」で次のように書いている。
「…文春以外の週刊誌はスクープ・スキャンダル報道からほぼ撤退し、最近は企画記事ばかりになってしまった。張り込み、裏取り、ドブ板調査、直撃など、スクープ・スキャンダル報道は、企画記事よりはるかにコスト(お金)がかかるからだ」
「このまま行けば、やがて新谷編集長と『週刊文春』は疲弊するだけになるだろう。文春に続く週刊誌、他メディアがないのだから、やがて疲れ切るのは目に見えている。
私は新谷編集長を知っているだけに、このことがもっとも心配だ。世の中にはスキャンダル、スクープはいくらでもあるが、その全部を1誌でカバーできるわけがない」
http://ironna.jp/article/2977?p=1

◎アマゾンにとって「取次」が不要になる日は、それほど遠い未来の話ではないのだろう。
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14266.html

大日本印刷は、大手音声ソリューションプロバイダーである米国ニュアンス・コミュニケーションズの日本法人、ニュアンス・コミュニケーションズ・ジャパンと提携し、スマートフォンの音声入力機能で簡便かつ安全に本人認証が行える声紋認証サービスの開発を開始した。サービス開始は2016年12月を予定しているそうだ。
http://www.dnp.co.jp/news/10121093_2482.html
また、太陽光発電風力発電、蓄電池を組み合わせた自然エネルギーシステムを搭載した、省エネルギー型のデジタルサイネージ電子看板)を4月1日より発売する。
http://www.dnp.co.jp/news/10120764_2482.html

◎太洋社の「破産手続開始申立書」の内容が明らかになった。「東京商工リサーチ」は次のように書いている。
「債権者種別における負債額は、従業員80名に対して60万円、金融機関1名(社)に対して3億円、リース会社9名(社)に対して2041万円、出版社に1877名(社)に対して39億260万円、書店123名(社)に対して1億1112万円、その他債権者84名(社)に対して4160万円」
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20160317_01.html?s=rss&utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

◎神戸市は、平成27年度に策定した神戸創生戦略の一環として、若者の神戸市への転入を増やし、東京圏への転出超過を解消するため、移住を促進する都市プロモーションを実施している。3月10日(水)より、WEBサイト「KOBE live+work」を立ち上げた。また、マガジンハウスと連携し、フリーマガジン「CLASS KOBE」を首都圏の大型書店82店舗で配布を開始した。3月20日(日)には、東京・原宿のカフェ「cafe STUDIO」でトークショーや写真展示を通じて神戸の暮らしを体感できる「CLASS KOBE CAFE」を開催する。このイベントにもマガジンハウスが協力する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000015996.html
http://kobeliveandwork.org/

◎日販は、3月18日(金)より集英社ならびに全国約1,800店の取引書店の協力のもと、文庫売り伸ばし企画「集英社文庫“ツキイチ”」を展開する。集英社文庫の既刊から、内容や販売実績などをもとに「もっと売れる」と判断した9作品を対象とする書店店頭フェアだ。
 3月期テーマ:どんでん返し
・『生きてるうちに、さよならを』吉村達也
・『弁護側の証人』小泉喜美子
・『腐葉土』望月諒子
 4月期テーマ:名作発掘
・『マイナス・ゼロ』広瀬正
・『臨3311に乗れ』城山三郎
・『柩の中の猫』小池真理子
 5月期テーマ:世代別オススメ本
・『我が家の問題奥田英朗
・『水滸伝(一)』北方謙三
・『雨やどり』半村良
http://www.nippan.co.jp/news/shueishabunko_tsukiichi/

徳間書店は、連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」(ガンマ)作品専用の新レーベル「アニメージュコミックスGANMA!」を2016年3月23日(水)に立ち上げる。「GANMA!」は、セプテーニ・ホールディングスの連結子会社で、マンガコンテンツ事業を手がけるコミックスマートが運営している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000016935.html

電通は、タレントマネジメント、企業コンサルティング・アドバイザーサービス、ランニングスクール運営、イベント企画の開発・提供などを行う「侍」と協業し、アクティブヘルシーな世の中づくりに貢献する「アスリートブレーンズ」事業を展開する。「侍」は為末大が社長をつとめる。
http://spobiz.info/?p=4159

イーブックイニシアティブジャパンは、宝島社の「このマンガがすごい!」とタイアップし、2016年の最新ランキング、さらに過去10年分のランキングを1位から10位までオトコ編・オンナ編を一挙に公開した。
http://japan.cnet.com/release/30137141/

◎京都きもの市場は、ハースト婦人画報社「美しいキモノ」の別冊付録「装いとマナーのしきたり辞典 Q&Aで分かる きもの冠婚葬祭」(全104ページ)を、Webサイト上で、無料公開サービスを始めた。
https://www.atpress.ne.jp/news/94616

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3)【深夜の誌人語録】

非常識が映えるのは常識があってこそのことである。