【文徒】2014年(平成26)8月4日(第2巻144号・通巻346号)

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1)【記事】KADOKAWAがエイベックス、グリー、サミー、ピクシブと共同で新人賞
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】KADOKAWAがエイベックス、グリー、サミー、ピクシブと共同で新人賞

KADOKAWAエンターブレイン ブランドカンパニーは、エイベックス・ピクチャーズ、グリー、サミー、ピクシブとの5社共同で、ネット小説の新人賞「ミライショウセツ大賞 ネット発クリエイター発掘・応援計画」を開催。同賞は、出版社だけでなく、アニメ・音楽製作、遊技機開発、ソーシャルネットワークサービスといった様々な分野の企業が共同で取り組む新しい形のコンテストで、ネット投稿の長所を活かし、読者の評価も参考に選考し、読者が「いま読みたい」小説を、スピーディーに出版し、書籍化した作品のなかから、セールスとユーザー支持を参考に「大賞」を決定する。
大賞に選ばれると、アニメ化・映像化に加えてグッズやソーシャルゲーム化など幅広いジャンルでメディアミックスを展開する。テーマやジャンルを限定せず広く作品を募集する「ミライショウセツ部門」と、期間毎のテーマに沿った作品を募集する「テーマ部門」の2部門を設け、pixiv で応募するが、2014年7月31日〜2015年6月30日のコンテスト開催期間中は2〜3ヶ月毎に期限を区切って選考を行い、優れた作品をエンターブレインの小説・文芸レーベルから順次刊行していくそうだ。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20140731_s2me8.pdf
ところでKADOKAWAの第一四半期決算。私が予想した通り赤字に転落している。ドワンゴとの経営統合を急いだ意味が透けて見える。今回の経営統合ドワンゴKADOKAWAを飲み込むのだ。
http://ir.kadokawa.co.jp/ir/tanshin/2703_k6d7pahj.pdf

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2)【本日の一行情報】

◎阪急コミュニケーションズの宝塚部門は宝塚クリエイティブアーツに、フリーペーパー事業は阪急アドエージェンシーに事業譲渡される。阪急コミュニケーションズの旧TBSブリタニカ部分をCCCメディアハウスが継承することになるというわけだ。
http://www.hankyu-com.co.jp/news/2014/07/saihen/

アサヒビールは、オウンドメディア「カンパネラ(Canpanella)」を日経BP社のアドレス内に開設した。日経BP社と共同で運営する。
http://business.nikkeibp.co.jp/campanella/

中川淳一郎が担当編集者と全裸対談。担当編集者は「今井」!中川の星海社新書「夢、死ね!若者を殺す『自己実現』という嘘」の刊行を記念してのことだが、中川の、敢えて言おう、ジャーナリストとしての切れ味は相変わらず良いぞ。ネットで中川のように全裸を公開できる新聞記者はいるだろうか。
http://ji-sedai.jp/book/publication/zenrataidan_2014.html

◎私は夏の甲子園は非人道的なイベントであると思っている。人権に敏感なはずの朝日新聞の主催だが、何故にこんな大会を開催しつづけるのか不思議でならない。朝日新聞の新人記者は必ず甲子園取材を経験させられるという。朝日新聞の人権意識の水準は、この程度のものなのだろう。せめて投手の球数制限とか、連投禁止とか、もっと選手の立場になって、あり方を変えるべきだ。甲子園に潰された才能の何と多いことか!
http://nikkan-spa.jp/688529

学研パブリッシングの「四万十住人のスピードうちごはん」。ネットを母胎とした紙の出版は小説やマンガに限らず、実用出版でも増えるのだろう。レシピブログの人気ランキング「簡単・時短」部門で不動の1位を誇るブロガーみやちゃんの「四万十住人の簡単料理ブログ!」のムック化である。
http://news.mynavi.jp/news/2014/07/31/226/

◎フジテレビは放送を予定していたアニメ「PSYCHO—PASSサイコパス新編集版」第4話を放送せず、第5話を繰り上げて放送。時事通信によれば「長崎県佐世保市の事件を想起させる描写があったためとみられる」。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014073100386

◎ミリオンセラーとなった「窓ぎわのトットちゃん」(講談社)が絵本になった。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?code=218905

◎スタートトゥデイは、電子雑誌ストア「マガストア」などを展開するヤッパの株式を簡易株式交換により100%取得し、完全子会社化。
http://shopping-tribe.com/news/9454/

◎コミックとらのあなKADOKAWAによるコラボショップ虎角商店新宿西口店が8月1日にオープンした。
http://natalie.mu/comic/news/122475

明治図書明治図書オンライン ブックストア で教育書の電子書籍配信を開始した。EPUB・PDFの両形式に対応、Windowsパソコン、MaciPadKindle・Reader・Kobo等で閲覧できるうえにDRMフリーである。
http://www.meijitosho.co.jp/info/?id=20140762

◎ほぼセブンイレブンでしか買えないマンガ誌「HERO’S」に連載されている藤沢とおるの「ソウルリヴァイヴァー」がハリウッドで実写映画化されることになった。「HERO’S」の版元ヒーローズは小学館クリエイティブとフィールズが共同出資して設立された会社である。
http://www.cinematoday.jp/page/N0065045

◎アマゾンはインド事業を拡大すべく20億(2055億円)の追加投資を行う。収納・保管能力を倍増するという。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41386

文藝春秋のウェブ事業部長である田中裕士はGunosyが開催したメディア向けセミナーで次のように発言している。
「PCは雑誌のコンテンツ形態をそのまま載せやすかった。それがスマートフォンになると移行が難しい。スマートフォンユーザーをどうやって獲得するかで後手後手に回っているところに、さまざまなキュレーションメディアが声を掛けてくれて、ユーザーとの接点を作ってくれた。そういう意味ですごくありがたいと思っている」
http://japan.cnet.com/news/business/35051704/

夏目漱石新潮文庫版「こころ」の累積発行部数が186刷701万500部になった。「人間失格」が670万5千部、「老人と海」が489万5千部、「坊ちゃん」が420万5千部、「異邦人」が412万1千部なんだそうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASG70659SG70UCLV00W.html

講談社の書籍ポータルサイト「BOOK倶楽部」と漫画ポータルサイト「コミックプラス」が大リニューアル。激レアグッズが当たるキャンペーンも実施している。
http://bookclub.kodansha.co.jp/
http://kc.kodansha.co.jp/

◎「暮らしに役立つ情報をほぼ毎日お届けする『オレンジページ☆デイリー』の配信」を開始したというが、「読者に解放された広場」という発想に欠けている。水平軸のコミュニケーションに事ここに至ってなお鈍感であるようだ。「編集部が独自に取材した記事をみなさんにお届け」するのではなく、「みなさんの独自に取材した記事をシェア」する場(可視化されたコミュニケーションの場)が求められているのである。
http://www.orangepage.net/daily/19

◎ゲランが8月1日に発売する新リップスティック「KISSKISS」と8月7日発売の「AneCan」に掲載されるタイアップ記事の完成を記念したイベントに専属モデルの森絵里香が登場。森はタイアップで俳優の平岡祐太さんと共演し、男性を誘惑する大胆な女性役に挑戦しているそうだ。
http://kirei.mainichi.jp/kireinews/news/20140731dog00m100051000c.html
森は2014年12月開催「JALホノルルマラソン」に出走することが決定している。
http://anecan.tv/erika/
いかにして誌面を誌面の外側に展開するかは、あらゆる雑誌の課題である。

◎「焼きキットカット」(ネスレ)だって。
http://nestle.jp/brand/kit/bake/
徳間書店を発行所とする「『キットカット』公式ブランドムック 読むキットカット」は300円。蔦屋書店、TSUTAYAの独占販売である。電子書籍版は99円でアマゾンのキンドルストアから配信されている。
http://www.nestle.co.jp/media/pressreleases/allpressreleases/documents/20140724_kitkat.pdf
紙版には持ち運び専用ケースがついている。
https://tokumashoten.e-manager.jp/book-view/view/bookNum/118/memberNum/0/groupNum/1G/
CCCは阪急コミュニケーションズを手にしたし、これからも色々と仕掛けて来るのだろう。

池井戸潤半沢直樹シリーズの最新作「銀翼のイカロス」が発売を前にダイヤモンド社は5万部の緊急重版を決定。これで発行部数30万部となった。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/31/kiji/K20140731008665140.html

◎フジテレビは、毎週日曜日午後6時から放送しているアニメ番組「ちびまる子ちゃん」で、データ放送で楽しむ視聴者参加型ゲーム「フルーツキャッチゲーム」を8月3日の放送回より実施している。
http://japan.cnet.com/release/30077244/

ポール・マッカートニーのチケットの返金が未だなのだけれど、大丈夫なのかな?次のような文章が発表されたけれど、不安になる。別にぴあを信じていないというわけではないけれど、対応が遅すぎると思うのは私だけだろうか。
http://t2.pia.jp/feature/music/paulmccartney/index.jsp#paul_refund

◎日本のメディアと韓国のメディアでは書き方も違ってくる。これは中央日報
「ネイバーが今年4−6月期の売り上げの3分の1を海外から稼ぎ入れ、グローバル情報技術(IT)企業に成長している。最近、加入者4億9000万人を突破したモバイルメッセンジャー『ライン(LINE)』の力だ」
http://japanese.joins.com/article/411/188411.html?servcode=300§code=330
日本だとLINEが主語になる。

日本雑誌協会の常設委員会である「デジタル流通委員会」では、デジタル雑誌の認知度拡大を図るための「デジタル雑誌愛読キャンペーン」を9月30日まで実施している。
http://www.j-magazine.or.jp/d-aidoku2014/doc/20140801.pdf
例えば、こんな具合。
http://www.booklista.co.jp/index.php/bookfesta/2014summer
何か書こうと思ったけれど、書く気が失せた。

◎「ComicWalker」は、「台湾角川」の運営する無料ウェブコミック&小説サービス「FORCE原力誌」のコンテンツを移管させ、「台湾漫画FORCE」として配信を開始した。これは良い企画だ。
http://comic-walker.com/blog/detail/123/
http://comic-walker.com/news/detail/108/

一迅社の編集者・小此木哲朗氏が退社するというので話題になっている。
http://otapol.jp/2014/08/post-1353.html

◎「リクルートライフスタイルのみならずグループ他社も含め、営業の大半は3年半の期限付き契約社員。その中で、契約終了後に正社員となれるのは全体の2割程度」なのだそうだ。世の中、リクルートOBがやたらと多いはずだ。
http://biz-journal.jp/2014/08/post_5575.html

ジャニーズ事務所の小説家として知られる「NEWS」の加藤シゲアキは初の短編小説「染色」をKADOKAWAの文芸誌「小説 野性時代」10月号に発表。扶桑社の「週刊SPA!」でも、9月16・23日合併号(9月9日発売)から加藤にとって初の連載小説「アンドレス」を全5回の予定で発表するそうだ。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2014080202000187.html

ブライアン・イーノの怒りを支持したい。
「自由と民主主義の概念をアイデンティティの基盤にしている国が、人種差別主義の神聖政治を支持して金を使うのが、どれだけ酷く見えるか判っているのか?」
http://rock-iine.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01-2

◎ハイチオール×光文社「素肌力コンテスト」グランプリが「白衣の天使」に決定。オレは「24」を推していたんだけれど。
http://www.ssp-club.jp/shop/cp/contest.aspx
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/08/02/kiji/K20140802008671030.html

グラムシが創刊したことで知られるイタリアの左派系日刊紙「ウニタ」が休刊。
http://www.asahi.com/articles/ASG8201LJG81UHBI03C.html

周防正行立教大学蓮實重彦の授業に出ていたことは知っていたが、何と佐野元春も出ていたとは!しかも「チャーリー・チャップリン映画におけるすれ違いの美学」という論文を書いていた。私の場合、映画に関して言えば松田政男の影響を最も受けた。松田が編集長をつとめた「映画批評」の読者であったし、日刊ゲンダイは松田の文章を読むためにのみ買っていたし、「シティロード」の採点表においても松田を支持していたし、「週刊漫画ゴラク」を買い始めたのも松田の映画評を読むためであった。
http://dot.asahi.com/news/domestic/2014073100079.html?page=1

祥伝社は「物語がつまった宝箱」を掲げ、小説、エッセイ、コミックなどの読み物を提供する無料ウェブマガジン「コフレ」を創刊した。毎月1日と15日に更新される。雑誌で連載して書籍にまとめるよりも、ウェブで連載して書籍にまとめるほうが出版社からすればコストカットにつながる。
http://www.coffret-web.jp/

小学館の「美的」9月号の附録は「保湿カバーマスク」。
http://woman.infoseek.co.jp/news/neta/womaninsight_77069

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3)【深夜の誌人語録】

目で理解し、鼻で理解し、耳で理解し、肌で理解する。そうすれば頭でっかちを卒業できるだろう。