【文徒】2014年(平成26)9月10日(第2巻172号・通巻374号)

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1)【記事】光文社「FLASH」が発売中止に!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】光文社「FLASH」が発売中止に!

光文社「FLASH」の最新号が発売中止となった。
http://www.kobunsha.com/news/index.html#a000371
朝日新聞は次のように書いている。
「同社広報室は『一部記事に不備があった。読者、関係者に深くおわびします』としている。
同社は問題になった記事について、『流通しないものなので内容は明らかにできない』としている。事実関係に誤りがあったわけではないが、社内の精査で問題が見つかったという」
http://www.asahi.com/articles/ASG986K8WG98UCVL01X.html
発売中止となった「FLASH」9月23日号は一部書店に配本が始まっていたこともあり、ネットには、その表紙が公開されている。1300号記念であったこともわかる。
http://ameblo.jp/fuuko-protector/entry-11921992471.html
「不備」が問題となりそうなに記事は以下のようなものがあるのだが…。
朝日新聞従軍慰安婦報道をけっして報じない『報ステ』に激震ー 反原発ディレクター衝撃自殺!テレ朝が古館伊知郎を見限った」
東京地裁をジャックした黒い人々の緊迫写真」
あるいは権利関係が問われる「創刊以来、14万ページから選び抜いた撮り下ろしカット 歴史的美女100人の『空前絶後SEXY』」
「『壮快』に学ぶ『灰になるまでSEX』のススメ」
いや掲載してリスクが最も高い記事がこの号にはあるではないか!これだよ、これ!
そう「袋とじ」の「ハリウッド美女が破廉恥自撮り 世界最大の流出SEX写真」である。
光文社の広報室が外的圧力は一切なかったとコメントしているところがミソなのである。この号が発売となって、ここに掲載した大物女優が外国でそれこそ光文社が吹っ飛んでしまうような巨額訴訟を起こす可能性を恐れのではないか。
更に袋とじとなった写真自体にも問題があったようだ。そのうちの2点はズバリ合体している写真で、モザイクも荒いことも問題となったようだ。この二つのリスクを光文社は回避したと考えるのが、最も妥当だろう。芸能ジャーナリストの渡邊裕二も次のようにツイートしている。
「写真週刊誌『FLASH』の突然の発売中止は、出版業界を揺るがす事態になりそうだ。どうやら、流出したセレブの写真を満載した袋とじが問題になったようだ。写真をネットから引っぱってきたこと自体も問題だが、企画自体が非常識である。出版社の被る損額は計り知れない」
https://twitter.com/yujing7/status/508907719319760896
アメリカでは、流出写真の件でFBIも調査を開始しているそうだ。しかも、流出の被害にあった女優たちは、画像を拡散・複製した場合、起訴することを明言している。「シネマトゥデイ」は次のように書いている。
「ジェニファーのスポークスマンは、『これは重大なプライバシーの侵害です。当局には連絡済みで、盗まれたジェニファー・ローレンスの写真を掲載した人を起訴します』と声明を出している。またケイトの弁護士も同じくプライバシーの侵害であるとし、この画像を拡散・複製した人物にも法的措置を取る姿勢を示した」
「過去にスカーレット・ヨハンソンらセレブのメールアカウントをハッキングし、内容を流出させた男は逮捕されており、禁固10年の実刑判決を受けている」
http://www.cinematoday.jp/page/N0065987
「ハリウッド美女が破廉恥自撮り 世界最大の流出SEX写真」が原因で「FLASH」の発売中止を決断したのだとすれば、私は今回の光文社の判断を支持したい。

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2)【本日の一行情報】

◎元読売新聞記者の新田哲史が「BLOGOS」に発表した「新聞社って訂正記事をどうやって決めているの?」によれば、朝日新聞が「慰安婦問題」で謝罪できない背景には政治部と社会部の対立があるという。
「それでも朝日新聞がなぜ“謝り切れない”のか?池田さんが別の記事でも指摘している通り、一つには、慰安婦報道を推進してきた『左翼軍団』の社会部系の派閥と、社内の負の遺産を返上したい木村伊量社長ら政治部系の派閥による社内抗争の可能性が考えられます。このあたり、キーパーソンの存在が明確で権力構図が一般人にも分かりやすい、どっかの新聞社と違うところで(笑)、私も朝日新聞の対応にハラオチできない理由です」
http://blogos.com/article/94034/?p=1
朝日の社会部が「左翼軍団」といっても、あれはソフトスターリニズムの系列であり、オレなんかがイメージする「左翼」じゃないんだけれどね。
もう一つ。良い意味でも、悪い意味でも新聞の社会部記者は左傾化しやすい。インテリが民衆社会に向き合った衝撃が左傾化させるのだが、そうした「左」の立場が彼らに衝撃を与えた民衆社会の生活実感から支持されるかどうかというと、これまた別問題であり、逆に民衆の生活世界から孤立してしまうケース(世間知らず)が多いのである。ここいら辺りの事情を知るには、これを読んでおきたいところだ。
http://www.yoshimototakaaki.com/tome7detail.html

祥伝社の「フィール・ヤング」10月号はジョージ朝倉の「ピースオブケイク」の実写映画化を発表した。
http://www.cinematoday.jp/page/N0066141

◎「LINEマンガ連載」は無料で、100タイトル以上の作品を毎週更新するサービスだ。LINEの舛田淳は「eBookUSER」でインタビューに応えて次のように発言している。
「『巻数単位で無料』というタッチポイントだけでなく、いま商業誌で連載中の作品、あるいはアニメで放送され注目が集まっている作品も『エピソード単位で無料』で読めるようにすれば良いのではないかと。これまでその役割の中心にあった週刊誌・月刊誌を読む人も残念ながら減っている、そして休刊も相次ぐ中、LINEやLINEマンガが新たにスマホ時代のタッチポイント作りのお手伝いをできるはず、と各社に提案させて頂き、ご協力を頂けたというわけです」
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1409/08/news071.html

◎「現代新書カフェ」で寺尾紗穂の連載「原発で働くということ」が始まった。寺尾は東京都立大卒業のシンガーソングライター兼ノンフィクション作家である。文春新書の「評伝川島芳子 男装のエトランゼ」は修士論文だったそうだ。シュガー・ベイプのメンバーで、現在は字幕翻訳家の寺尾次郎が父親だ。
https://eq.kds.jp/kmail/bn/?r=c&m=8&c=107

Google Playストアは「第2弾Google Playキャンペーン」を開催している。「キャンディークラッシュ」や「パズドラ」のゲーム内アイテムや、電子書籍・映画レンタルを期間限定で100円にて提供している。
http://octoba.net/archives/20140908-android-news-playstore-2nd.html

KADOKAWAが合併1周年記念キャンペーンを実施している。今度はドワンゴと合併するから、来年も合併1周年となるんだよね。
http://www.kadokawa.co.jp/cp201409/w6qhf3mx/

産経デジタルはウェッジ(月刊Wedge)、PHP研究所(Voice、歴史街道、THE21)、WAC(月刊WiLL、歴史通)、小学館(NEWSポストセブン=SAPIO週刊ポスト等の記事)、新潮社(週刊新潮)と提携し、総合オピニオンサイト「iRONNA(いろんな)」を10月1日よりスタートさせる。提携する出版社は5社を数えるが、文藝春秋が加わっていない。産経による「愛国統一戦線」の結成である。
http://jp.mobilenapps.com/articles/6971/20140908/sankei-digital.htm

◎「週刊文春」がサザンオールスターズの大特集を全21頁で展開しているぞ。

◎「honto8月月間ランキング」が発表された。総合ランキングは以下。
1位「銀翼のイカロス」(ダイヤモンド社
2位「マスカレードイブ」(集英社
3位「海賊とよばれた男 上」(講談社
4位「マスカレードホテル」(集英社
5位「海賊とよばれた男 下」(講談社
1位の「銀翼のイカロス」以外は、みな文庫である。そうしたなか「銀翼のイカロス」が堂々の1位というのは凄い。電子版も好調である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000009424.html

シンガポール紀伊國屋書店高島屋ショッピングセンターの3階から4階に移転。売り場面積は20%狭くなる。
http://www.asiax.biz/news/2014/09/08-122323.php

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3)【深夜の誌人語録】

流れに身を任せたほうが良いときも、流れに抗ったほうが良いときもある。最悪なのは流れに任せるべき局面で流れに抗うことだし、流れに抗うべきときに流されてしまうことである。