【文徒】2014年(平成26)9月17日(第2巻176号・通巻378号)

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1)【記事】小学館の「AD NEXT 2015」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.9.17 Shuppanjin

1)【記事】小学館の「AD NEXT 2015」

出版社と組めば、雑誌と組めば、こういう「広告」が可能になる。クライアントに意外と知られていないのが、そうした「成功事例」である。雑誌におけるコミュニケーションビジネスがいかに立体化、多面化しているかをアピールする必要は間違いなくあるはずだと私たちは幾度となく主張してきた。
そう言う意味では小学館が9月16日に一ツ橋講堂で開催した「AD NEXT 2015」は、窓口が女性誌に限られていたとはいえ、そうした「成功事例」をアピールする場であったと言って良いだろう。
構成はプレゼンテーションとブース展示から成っていたが、プレゼンテーションに際して流された映像は「編集力の力」を10分程度にまとめたものだが、出版社と組めば「こんなことができるのか!」ということが実にわかりやすく表現されていた。個々の事例について、もっと見てみたいと思ったのは私だけであろうか。20分バージョンも製作し、これは広告代理店から要望があれば、小学館から出向いて公開すると、そういう手もあるのではないだろうか。雑誌ごとに設けられたブース展示は第一回目ということもあり、内容にバラつきも見られたが、回数を重ねれば様々なアイデアが出てくるというものである。
ただ、やはり女性誌に限られたのは残念ではあった。ライフスタイル誌編集局の「サライ」でも、そうした「成功事例」はあるはずだし、「ビーパル」や「ダイム」でもあるはずだし、意外かもしれないが「週刊ポスト」「女性セブン」「SAPIO」といったポスト・セブン編集局の雑誌でも、知られていないだけで素晴らしい「成功事例」があるはずだ。忘れてはいけない、学年誌もあれば、マンガ誌もある。
ブース展示は二会場にわかれていて、一方では各女性誌が展示を競い、もう一方のブースではデジタル事業局や小学館集英社プロダクション大日本印刷凸版印刷が展示を設けていたが、ここに他の雑誌の展示があれば尚一層、盛り上がったことであろう。「AD NEXT」であると同時に「AD FES」であるような企画を何とか実現してもらえないだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎「現代ビジネス」の「ニュースの深層」で井上久男が「自由軍慰安婦検証報道では謝らなかった朝日新聞社長が『吉田調書』報道を謝罪したのはなぜか」で次のように書いている。
「『命令違反』があったか否かという、本質的ではないことで揚げ足を取ることで、特別報道部の勢いをそぐことができる。社会部系幹部が画策して、社内で『吉田調書は誤報』の流れを作りだした模様だ。そうした意味で、『吉田調書』をスッパ抜いた記者達の「敵」は政府や東電ではなく、『社内』だったのである」
こうした見立てが正しいかどうかは別にして、朝日新聞社セクショナリズムが蔓延しているのは間違いあるまい。
「木村社長は、『命令違反』はなかったと謝罪することで、実は社長の座にしがみつこうとしているのではないか。そこに、社会部系幹部の特別報道部潰しの戦略がぴったり重なったというわけだ。木村社長は自らが主導した『従軍慰安婦検証報道』で誤報を認めながら謝罪がなかったことなどで、多くの批判を浴び窮地に陥っていた」
政治部出身の経営者による「政治」の質は本当にこの程度のものだったのだろうか。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40428

西日本新聞のこの指摘には同意できる。「朝日叩き、かすむ本質 政府の姿勢も検証不可欠」である。
「政府が2年以上公開しなかった吉田調書は、朝日報道がなければ永久に国民の目に届かなかった可能性がある。政府は、国民の判断材料となる吉田調書を公開することなく、原発を再稼働しようとしていた」
吉田調書の公開を渋ってきた「政府」こそ、最も日本人を貶めてきたのである。
次のような指摘も日本が国際社会で孤立しないためには耳を傾けておかねばなるまい。
「朝日側は『キーセンが慰安婦だとは思っていない。ねじ曲げはない』とするが、他社はこの事実を書いている。『強制連行』にそぐわないため、意図的に触れなかったのではないか、との疑いが残る。
一方、韓国・済州島で女性を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言を朝日が虚偽としたことで、この誤報が『慰安婦イコール性奴隷』のイメージを国際社会に植え付けたとする批判も多い。しかし、日本の慰安婦を「軍性奴隷」と断じた96年の国連人権委員会のクマラスワミ報告で、吉田証言を引用した記述は37ページ中わずか5行(英語版)で、根拠の柱は元慰安婦6人の証言だ」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/113868

高市早苗総務大臣ヒトラーを礼賛する「HITLER ヒトラー選挙戦略」(2004年、雷韻出版)という本に推薦文を書いていた。この本の出版社の社長こそ、問題になった団体「国家社会主義日本労働者党」の山田一成代表なのだ。一緒に写真を撮った相手が「誰かわからなかった」というのが高市の弁明だが、ホントだろうか?
任命責任者の安倍首相に問いたいのは、これで欧米と日本が価値観を共有していると言えるのだろうかということだ。著者の小粥義雄は自民党東京都支部連合の事務局広報部長をつとめながら、この本を書いたというのも驚きである。
http://lite-ra.com/2014/09/post-459.html

朝日新聞、お詫びにはちゃんと行くらしい。
http://mainichi.jp/select/news/20140913k0000e040213000c.html

◎「花子とアン」で人気者となった東京外大卒のインテリ俳優・鈴木亮平のフォトブック「鼓動」(キネマ旬報社)がアマゾンで初日完売。
http://irorio.jp/entame/20140913/161674/

天声人語は「気に入らない意見や、不都合な批判を排した新聞は、もう新聞ではない」と書くが、しかし、今日も朝日新聞を名乗っているじゃん。こういう「美文」(のつもりなんでしょ)に酔いしれているうちは、朝日新聞は何も変わらないことだろう。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11348433.html
古い話で恐縮だが、戦後、天声人語の執筆者であった荒垣秀雄満州事変に従軍記者として参戦したが、そこで「捏造」した記事を訂正も、謝罪もしないまま戦後を迎え、天声人語の筆をとった。詳しくは次の書物を読まれたし。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011111400015.html

鳥取県教育委員会と書店商業組合は中学生を対象にポップコンテスト「本でつなぐわたしたちの未来プロジェクト2014」を企画した。
http://www.asahi.com/articles/ASG8P521PG8PPUUB00N.html

実業之日本社は、海外旅行ガイドブック「ブルーガイド・ポシェ」シリーズの第2弾として「ロサンゼルス」「シンガポール」「トルコ」「シドニー ケアンズ エアーズ・ロック」「台北」の5タイトルを発売した。
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=63413

日本テレビ世論調査によれば、一連の件で朝日新聞社の対応について評価できるが6.4%、朝日新聞社が信頼を回復できるとは思わないが60.4%。
http://www.news24.jp/articles/2014/09/15/04259164.html

朝鮮日報によればソウル大学の安秉直(アン・ビョンジク)名誉教授が「週刊文春」に対して名誉毀損訴訟を起こすらしい。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/09/15/2014091501197.html

◎「iCloud」が不正にアクセスされ、米国のセレブ女優のヌード写真などのプライベート画像が流出したが、これを拡散させてしまったならば、「名誉毀損罪やわいせつ物公然陳列罪などの適用が可能でしょう。また、民事上の損害賠償責任も負う」と清水陽平弁護士は指摘している。
http://www.bengo4.com/topics/2044/

◎定期刊が決まったわけでもないのに「コロコロアニキ」が早くも話題になっている。昔、マガジンハウスの「リラックス」が「コロコロコミック」を特集したことを何故か思い出す私である。
http://matome.naver.jp/odai/2141052063954045101

山口淑子が亡くなった。蒋介石も、毛沢東も、その歌を愛したと言われている。私はこの歌が好きだ。
https://www.youtube.com/watch?v=RfTEX1uB-yE

山口洋子が亡くなった。映画「安藤組外伝・人切り舎弟」を久しぶりに見たいところだ。安藤昇横井英樹襲撃事件で全国指名手配されて逃亡した際には匿っていたのが山口洋子であった。映画では片桐夕子が演じている。安藤昇を演じているのが安藤昇自身だというところが凄い。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=144879
安藤昇の「不埒三昧 わが下半身の昭和史」は祥伝社から刊行されている。
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1102733683/

◎朝の連続ドラマを楽しむためにも杉森久英「美酒一代 鳥井信治郎伝」(新潮社)は読んでおいたほうが良いかもしれない。
https://www.shinchosha.co.jp/book/149301/

◎電子雑誌が読み放題の「ビューン」アプリは、「俺の空」全7巻と、人気ビジネス誌「マンガPRESIDENT」vol.005−007の全ページの無料配信を開始した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000010966.html

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3)【深夜の誌人語録】

好きか嫌いか。やる気があるかどうか。才能はその次で良い。