【文徒】2014年(平成26)10月17日(第2巻196号・通巻398号)

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1)【記事】「第36回 読者が選ぶ・講談社広告賞」に思うこと
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「第36回 読者が選ぶ・講談社広告賞」に思うこと

「第36回 読者が選ぶ・講談社広告賞」の贈賞式に出席した。大賞はアドモニターによって、この場で選ばれる。昨年は、私も投票できたのだが、今年は投票できなかった。どういう経緯でそうなったのか説明はなかった。
まあ、派手さを売り物にするイベントなのだから、厳しいことを言っても致し方あるまい。今年も杏と綾野剛がベストキャラクター賞に選ばれた。このベストキャラクター賞が雑誌広告とどのように繋がるのか、これも私には理解できないところだが、スポーツ新聞など芸能ジャーナリズムにはネタを提供することにはなる。幕間にはプロデビューを果たしたばかりの3人組が歌を披露したが、これもまた雑誌広告とどのような関係にあるのか、私程度の頭では理解できなかった。
ただ、こうしたタレントを絡ませるため、この賞は毎年、違った時間に開催されているのは間違いない。そのことが地に足がついていないというイメージを醸し出しているのだとしたら、いくらスポーツ新聞の記事になるといっても、タレントの出演は再考する余地があるだろう。
さて、肝心の広告賞である。全体的な傾向からいえば、優秀賞にしても、最優秀賞にしても、私を驚かせるようなクリエイティブを発揮している作品は少なかった。しかし、これが雑誌広告業界全体の傾向かといえば、違う。
ちなみに日本雑誌広告賞は力作ぞろいであった。この落差をどう考えるかは、講談社の編集部門にとっての課題でもある。「グラツィア」や「グラマラス」を休刊してしまったツケが、こうした落差として「表象」されてしまうのである。
優秀賞、最優秀賞の中からアドモニターの投票によって大賞がきまるのだが、男性誌部門の大賞は「クーリエ・ジャポン」に掲載された味の素の広告に決まった。私が大賞として納得できたのは、この作品のみ。野菜のシズル感と意表をつくコピーの絶妙な組み合わせは、雑誌広告ならではの表現であった。
情報誌・コミック誌・幼児誌部門に関していえば、講談社にとって情報誌は「ディズニーファン」一誌だけという認識であるようだ。「大人の週末」「ベストカー」などは男性誌というよりも、情報誌として位置づけたほうが妥当だと私などは思うのだが、この辺りの議論は社内でなされているのだろうか。大賞は「モーニング」に掲載された日本コカ・コーラの広告が射止めた。
女性誌部門の大賞はコーセーの広告が獲得した。しかもコーセーの広告は優秀作。最優秀作に選ばれた資生堂の広告を飛び越えて大賞に選ばれた。こうした下克上を実現したのは新垣結衣人気だと私は推測したが、大賞を選ぶに当たって、こうした下克上を許容して良いのかどうか。これも議論が必要なところなのではあるまいか。大賞は最優秀賞の中から選ぶことにすれば、下克上は防げるのだから。
「読者が選ぶ・講談社広告賞」は岐路を迎えているのではないだろうか。広告賞に拘ることなく、また帝国ホテルという会場に拘ることなく、またわざわざ広告賞を設定するのではなく、広告業界関係者を集めた謝恩会のような形にしたほうが、もしかしたら良いのかもしれない。
http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/10/16/0007423040.shtml

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2)【本日の一行情報】

KADOKAWAの「ウォーカー」を率いる玉置泰紀、「ソトコト」の指出一正編集長、「オズマガジン」の古川誠が東京を捨て地方へ行こうと提言だって!あんたらが東京を捨てて地方に行ってから、言ってもらいたい。自分自身を棚に上げて若い衆を煽動するような「偉い」物言いは、編集者を堕落させよう。
http://dmm-news.com/article/893474/

◎「アサ芸+」は朝日新聞の「不敬」を糾弾しているのだろうか。
http://www.asagei.com/27082
http://www.asagei.com/27084

延岡市は、JR延岡駅前に2017年度の完成を目指す複合施設について、カルチュア・コンビニエンス・クラブ案の採用を決めた。CCCは九州に強い。読売新聞宮崎版は次のように書いている。
延岡市の複合施設について、CCCはにぎわいの起点を意味する『NOBEOKA―BASE』の創出を提案。〈1〉図書館、書籍販売、カフェ機能を併せ持ち、市民が集える場所の提供〈2〉デジタルサイネージ電子看板)や問い合わせに即応できる「コンシェルジュ」などによる情報発信〈3〉動物園などで活用されている『行動展示』を応用した見て理解できる物産販売――などを示した」
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/local/miyazaki/20141015-OYS1T50019.html

◎「ダイヤモンド・オンライン」にアップされた関沼博と「元日経新聞記者」として最近、週刊誌を騒がしつづけている鈴木涼美の「AV女優」についての対談。「対談収録は2014年8月13日に行われた。発言内容は当時のままを残している」というクレジットが印象敵的なんだよね。いずれにしても、私は「『AV女優』の社会学」のファンとして、「週刊大衆」を買ってしまったけどさ。「価値自由」(ヴェーバー)なんて糞喰らえだ。「価値自由」から自由であっても社会学は成立するというのが私の立場である。
http://diamond.jp/articles/-/60436

◎「地球の歩き方」hontoオリジナル商品が配信を開始。「旅のコミックエッセイ大賞」の受賞作は無料だ。「地球の歩き方編集長が選ぶオススメ周遊プラン」は、クーポン利用で19日まで30%オフを実施している。
http://honto.jp/cp/ebook/2014/arukikata-comicessay
http://honto.jp/cp/ebook/2014/arukikata-select-set
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000009424.html

◎10月15日に発売された「MUSICA」11月号とオルタナティブロックバンドのTHE NOVEMBERSがコラボし、11月28日(金)に開催される新木場スタジオコースト公演の終演後に、メンバーが演奏したステージに立つことができる「AFTER STAGE PASS」が「MUSICA」購入者全員にプレゼントされるという。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000004355.html

◎テレビ通販のQVCジャパンYouTubeを通じて、QVCが24時間生放送しているテレビ通販番組のライブ配信を始めている。
https://netshop.impress.co.jp/node/755

角川歴彦の「ソーシャルメディアの時代には、メディアにも『ユーザー発想』が求められる」というのは、その通りだが、「ソーシャルメディアの時代には、ユーザーにもメディア発想が求められる」という認識を抜きには21世紀のメディア論は語れないはずだ。
http://ascii.jp/elem/000/000/941/941821/

◎「ファイナルファンタジー レコードキーパー」がテレビCMとツイッターを連動させたイベントを実施している。
http://www.appbank.net/2014/10/15/iphone-application/910113.php
雑誌だってツイッターフェイスブックと連動したイベントを企画できるはずだ。過去の成功事例に雁字搦めに縛られるよりも、これまでやっていないことに挑戦していかないと、過去の遺物として人々に見捨てられることだろう。

正露丸ツイッターキャンペーンはアマゾンのギフトカードが当たる。
http://news.mynavi.jp/news/2014/10/15/311/

◎LINEがiPad版をリリース。対応はメッセージ機能のみで、音声通話・ビデオ通話には対応しない。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1410/15/news096.html
「LINEマンガ」がパソコンでも閲覧、購入できるようになった。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1410/15/news072.html
日本最強のプラットホームになりそうな勢いをLINEには感じる。

講談社西尾維新の「掟上今日子の備忘録」を紙版とデジタル版で同時刊行をした。西尾にとって電子書籍は、これが初めてだという。
http://kodansha-box.jp/topics/nishio/okitegami/
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1410/15/news157.html

主婦の友社の「作りおき」シリーズ、最新作はホーロー容器が付録だ。「作りおき生活」というタイトルがイマイチなんだけれど、付録で勝負である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000339.000002372.html

文藝春秋から電子書籍オリジナルとして「終着駅紀行 東日本編」「終着駅紀行 西日本編」がともに500円でリリースされた。鉄っちゃんは買うな。
http://news.mynavi.jp/news/2014/10/15/357/

玉川大学が京セラ丸善電子図書館サービスを導入する。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1410/15/news115.html

コンデナスト・ジャパン代表取締役をつとめる北田敦の発言。
「…私がうちの会社のビジョンをマルチメディアカンパニーに置き換えた話をしましたけど、マルチメディアカンパニーって何だって言うとですね、マルチマネタイズが成立している状態を指すのでマルチマネタイズができていない会社をマルチメディアカンパニーと呼んじゃいけないんです」
マルチマネタイズとは「塵も積もれば山となる」ビジネスモデルである。労を厭わない姿勢が重要である。
http://logmi.jp/25013
コンデナスト・ジャパンって大手広告会社では大手出版社よりも売上高が大きいんだよね。この現実を直視したほうが良い。ハースト婦人画報社にしても、デジタル戦略が功を奏しているのだ。もしも、という話だが、光文社あたりが、外資系出版社並みのデジタルビジネスを擁していたとするならば、面白いことになるんだよねぇ。

伊坂幸太郎大江健三郎のファンなんだね。「キャプテンサンダーボルト」(文藝春秋)を合作する阿部和重との対談で伊坂は、次のように語っている。
「『ニッポニアニッポン』が出たときも、僕は大江健三郎が好きなんですけど、大江さんが僕たちの世代だとしたら、『ニッポニアニッポン』のようになると思ったんです」
http://hon.bunshun.jp/articles/-/2856
この合作に私は物凄く期待している。

◎アマゾンのジェフ・ベソスのメールアドレスは公開されていて、届いたメールは秘書とともに総てチェックしているのか!
「アマゾンの社内では顧客のメールに疑問符の「?」がつけられたものが、ジェフから転送されることがある。これは「緊急度B」に分類され、このメールが届いた瞬間、社員はいまやっている仕事を全部放り出し、ジェフが疑問に感じた問題の処理に当たらなくてはいけない。ひとりの顧客が不満に感じたことの背景には、大きな問題が隠れていると考えているからなのだとか」
http://news.aol.jp/2014/10/14/hwz_amazon/

KADOKAWA日本IBMおよびMAGES.原作のアニメ「シュタインズ・ゲート」とコラボし、IBMの「コグニティブ・コンピューティング」が実現する未来をアニメの世界観で表現するオリジナル作品4本を順次発表していくことになった。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001002.000007006.html
http://www.mugendai-web.jp/steinsgate/

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3)【深夜の誌人語録】

自らの行動や言動に酔っ払ってはなるまい。酔うほどに馬脚をあらわすのは酒で酔うのと同じである。