【文徒】2015年(平成27)3月4日(第3巻41号・通巻486号)

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1)【記事】甲府に春光堂書店あり
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】甲府に春光堂書店あり

甲府の春光堂書店。宮川大輔店長は「書店人」と呼ぶに相応しい人物だ。簡単な手紙のやりとりを通して、一人一人の興味や個性に合わせて絵本を選書し、毎月送ってくれるサービスが「ブックレター」。法人向けに本のある空間をプロデュースしてくれるサービスが「ブックガーデン」。また「ブックリーダー」は、法人・学校・団体向けに本を利用した様々なワークショップ開発。イベントや催事の本の販売会も行っている。総て宮川の「目利き」によるものだ。
http://harulight.com/service/bookletter/
http://harulight.com/service/bookgarden/
http://harulight.com/service/bookleader/
http://harulight.com/service/hanbaikai/
毎月第一金曜日には読書会も開いているというし、アーケードを利用した「まちなか読書会」にもチャレンジしている。宮川が選んだ本に登場する素敵な「シーン」を、 フードプランナー・大木忍/ Four Hearts Cafe、ワインアドバイザー・新田正明/新田商店、朗読・宮本裕子が自らの感覚に従って再現する「シーンを味わう」なんていう粋なイベントも開催している。
http://harulight.com/katudo/scenedinner/
http://harulight.com/katudo/dokusyokai/
出版社の営業マンにPOPを書かせて売上を競わせるような「街の書店」ではなく、春光堂書店のような「街の書店」こそ出版社の営業マンは大切にすべきだろう。

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2)【本日の一行情報】

東洋経済新報社の「会社四季報」が電子書籍化された。上場企業約3600社を業界ごとに9分冊化し、一冊350円(税別)。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1503/02/news041.html

◎「すべての戦争は自衛意識から始まる」(ダイヤモンド社)の森達也と「本当の戦争の話をしよう」(朝日出版社)の伊勢崎賢治によるトークイベントが3月8日に青山ブックセンター本店で開催される。
http://www.aoyamabc.jp/event/mori-isezaki/

コミックマーケット準備会がTPPにおける著作権問題に関してのコメントを発表した。
http://www.comiket.co.jp/info-a/C88/C88Notice1.html

◎意外な拾いものと言っては失礼なのだが、松本俊彦の「自分を傷つけずにはいられない」(講談社)に深く納得してしまった。「自傷する人はすごく自分に厳しくて、根性のある人が多いとさえ感じています」とは、その通りだと思う。タイトルも上手だ。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062193160

◎花丸文庫BLACK「メメント・モリ」(白泉社)発売を記念して、英田サキのサイン会を4月5日(日)に紀伊國屋書店新宿本店8階イベントスペースで開催する。
また紀伊國屋書店の小樽店、流山おおたかの森店、新宿本店、玉川高島屋店、ららぽーと横浜店、大津店、阪急32番街コミックハウス、高槻店、加古川店、クレド岡山店、ゆめタウン広島店、福岡本店、佐賀店、熊本光の森店で限定イラストカードをプレゼントする「メメント・モリ」フェアを開催。
http://www.hakusensha.co.jp/sign/aida/
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20150302100002.html
https://www.kinokuniya.co.jp/c/20150302100020.html

アダストリアの「ヘザー(HEATHER)」は、「ViVi」(講談社)専属モデルの宮城舞をコミュニケーション・ディレクターに起用。
http://www.wwdjapan.com/fashion/2015/03/02/00015592.html

小学館の女性ファッション誌「CanCam」で専属モデルをつとめる池田エライザは、セルフィー(自撮り)写真展「エライザのいろあそび」を3月7日から4月12日まで天神イムズのB2Fイムズプラザで開催する。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-03-01/eraiza-tenjin-ex/

◎ビデオリサーチは、関東・関西・名古屋の3地区の各民放5局を対象に、2014年のテレビCM出稿動向をまとめた。これによればタレント別に出演しているテレビCMの出稿秒数を見ると、3地区とも上位4名が同じ顔ぶれとなった。1位:上戸彩、2位:堺雅人、3位:松岡修造、4位:西島秀俊
https://www.videor.co.jp/press/2015/150226.htm

◎全国紙の2014年度下期(6月〜12月)ABC部数。朝日新聞:710万1074部(-44万2107部)、読売新聞:926万3986部(-60万4530部)、毎日新聞:329万8779部(-5万1587部)、日経新聞:275万534部(-2万5585部)、産経新聞:161万5209部(-2316部部)。
http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20150225_2
朝日が44万部以上減らし、読売が60万部以上減らす。人口は減少しているものの、世帯数が増えているから、この程度の減少で済んでいるという見方もできなくはあるまい。

◎T―SITEが「30代女性が選んだファッション書籍」を発表している。
第1位は「VERYエディター高橋志津奈のSimple Casual」。版元は光文社ではなくワニブックス。第2位は鈴木尚子の「シンプルベーシックな My Style のつくり方」。
収納エキスパートの鈴木尚子は文藝春秋の「クレア」でお馴染だが、これはKADOKAWAが版元。第3位は「K.K closet スタイリスト菊池京子の365日 Spring-Summer」(集英社)。
http://top.tsite.jp/ranking/22/22435694/
http://shop.wani.co.jp/detail.php?Item_ID=3625&Item_Code=97d1212df8cb795a8f21e2ac29128b08

トーハン運営のオンライン書店e-hon」は、3月16日まで、「『七つの大罪』オリジナルQUOカードプレゼントキャンペーン」を実施。「七つの大罪」の版元は講談社
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/ehonquo/

リクルートマーケティングパートナーズは、小学4年生から中学3年生を対象としたオンライン教育コンテンツである「勉強サプリ」の提供を月額980円(税別)で開始した。
http://www.recruit-mp.co.jp/news/release/2015/0302_1593.html

◎なかなか興味深いデータである。全世帯での新聞購入率は84.6%にもなるが、雑誌は41.5%にとどまる。総世帯における雑誌の平均支出金額は月に323円。総世帯の”一人当たり”平均支出金額をみると雑誌が月に134.2円、書籍が291.2円となる。
http://www.garbagenews.net/archives/2041794.html

◎「新潮45」2月号の特集「『出版文化』こそ国の根幹である」を読んで不快な気分となった私にとってジュンク堂書店難波店店長の福嶋聡の「本屋とコンピュータ」が痛快である。
「図書館は、憲法で保障され、図書館法に基づいてされた公的機関であり、その設置は市民の『知る権利』に基づく。出版社や作家の利益に抵触するからといって、簡単に介入できるものではない。だとすれば、図書館と共存、さらに共闘する道を探るべきではないか」(原文ママ
「…税制面での不利だけが、この15年間アマゾンの躍進、独走を許した原因か、と言えば、決してそうではないだろう。なぜ、読者がアマゾンを使うのか、その視点から改めて検討、自らの業態を見つめ直していく必要があるのではないか。それは、なぜ自分たちの顧客がアマゾンに走ってしまったかを、真摯に反省する作業である。決して、自分たちの窮状の原因を他の誰かになすりつけることではない」
http://www.jimbunshoin.co.jp/rmj/honyatocomputer149.htm

小学館「ちゃお」4月号の付録「究極まんが家セット」は凄いぞ!
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1503/03/news012.html

◎ビジネス・経済書の領域ではダイヤモンド社が強い。1位の「外資投資銀行のエクセル仕事術」(熊野 整) も、
2位の「マーケット感覚を身につけよう」(ちきりん)もともにダイヤモンド社。ベスト20にダイヤモンド社は6点もランクインさせている。
http://toyokeizai.net/articles/-/62099

学研パブリッシングは2日、声優、俳優、ナレーター、タレント、アーチストのプロダクション事業に新規参入を果たした。正式名称は学研パブリッシング第三コンテンツ事業部「office EN-JIN」。音楽ユニット「fripSide」のボーカリストも務める声優の南條愛乃が所属タレント第1号。
http://office-enjin.jp/#top

◎私にとって「無党派左翼と心情右翼のごった煮派」たる猪野健治は、竹中労朝倉喬司とともに尊敬に値する「エンピツ無頼」だ。筑摩書房から「テキヤ社会主義 1920年代の寅さんたち」を刊行したが、これはアナキストやくざを活写して「エンピツ無頼」の本領を発揮した傑作にして快作である。
香具師は政治的には反動的側面も濃厚に持っている。社会主義と反動性の両極をぶつからせずに止揚したのは、彼らの世界で長い間培われてきた義侠と度量であった」
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480864369/

船戸与一の「満州国演義」が完結した。第9巻は「残夢の骸」。「満州国演義」全9巻(新潮社)は、「永遠の0」なんて小説がしょぼい紙芝居に思えてくるほど、戦争の「真実」がぎっしり詰まった重厚な歴史叙事詩である。小説でしか描けない「歴史」があることを船戸は圧倒的な筆力で私たちに教えてくれた。
http://www.shinchosha.co.jp/book/462310/

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3)【深夜の誌人語録】

未来は常に始まっているのであって、未来は待つものではない。