【文徒】2015年(平成27)6月3日(第3巻102号・通巻547号)

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1)【記事】2015年上半期ベストセラーについて
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】2015年上半期ベストセラーについて

2015年上半期ベストセラーについて、私はこの「文徒」で一度も紹介していない。日販が2015年上半期ベストセラーを発表したが、総合1位は大和書房の実用書「フランス人は10着しか服を持たない」である。むろん、私は「フランス人は10着しか服を持たない」を読んでいない。
http://www.dreamnews.jp/press/0000113276/
トーハンの1位も「フランス人は10着しか服を持たない」。
http://www.tohan.jp/bestsellers/upload_pdf/150601bestseller_2015%EF%BD%88y.pdf
日販は2位「火花」(文藝春秋)、3位「新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方」(文藝春秋)、4位「お金が貯まるのは、どっち!? お金に好かれる人、嫌われる人の法則」(アスコム)、5位「聞くだけで自律神経が整うCDブック」(アスコム)。
トーハンは2位「智慧の法 心のダイヤモンドを輝かせよ」(幸福の科学出版)、3位「火花」、4位「新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方」、5位「鹿の王(上・下)」(KADOKAWA)とつづく。
日販で4位の「お金が貯まるのは、どっち!? お金に好かれる人、嫌われる人の法則」は、トーハンで12位。
日販で5位の「聞くだけで自律神経が整うCDブック」はトーハンで7位。
トーハンで2位の大川隆法本は日販で9位。トーハンで5位の「鹿の王(上・下)」は日販で7位。
正直に告白すると私が読んでいるのは「新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方」だけということになる。「火花」と「鹿の王(上・下)」は文庫になったら読むつもりだが、他はタダでくれても読むことは生涯にわたってないと断言できる。
アマゾンも上半期のランキングを発表。和書部門で1位に輝いたのは松岡修造のカレンダー「(日めくり)まいにち、修造!」(PHP研究所)だった。
2位は「嫌われる勇気 自己啓発の源流『アドラー』の教え」(ダイヤモンド社)、3位は「21世紀の資本」(みすず書房)、4位は「TOEICテスト新公式問題集< Vol.6>」(国際ビジネスコミュニケーション協会)、5位は「パズル&ドラゴンズ モンスター大図鑑」(KADOKAWA)だった。
アマゾンでは「フランス人は10着しか服を持たない」は6位だった。
http://www.amazon.co.jp/b/ref=s9_acss_bw_fb_fbra0001_b1?_encoding=UTF8&node=3546964051&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=merchandised-search-3&pf_rd_r=0ZY2AK2K5P6XGEVJKMRX&pf_rd_t=101&pf_rd_p=206922289&pf_rd_i=3522691051

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2)【本日の一行情報】

◎フジテレビは映像配信サービス「フジテレビオンデマンド」で小説の配信も行うと発表。電子書籍書店の役割も果たそうということである。第一弾は池井戸潤の「ようこそ、わが家へ」。月曜日に放送している同名のドラマの原作である。同時に池井戸潤の「最終退行」も配信。番組と連動させての配信となるようだ。
http://fod.fujitv.co.jp/s/books/special/novel2015/

KADOKAWA読売新聞社大手小町」(ヨミウリ・オンラインの女性向けページ)にコミックエッセイ作品の提供を開始した。
http://otekomachi.jp/
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001540.000007006.html

講談社は9月17日に「少年マガジンエッジ」を月刊で創刊する。読者として女性も意識し、マガジングループの最も外側を行く、尖った作品を掲載するそうだ。「なかよし・ARIA・エッジ編集部」という組織名称からして、これまでの「マガジン」ブランドではあり得なかったに違いない。編集長には「美少女戦士セーラームーン」の原作担当編集者であった小佐野文雄が就任した。
http://natalie.mu/comic/news/149038

◎「サイゾーウーマン」における芹沢芳子の次のような指摘は正鵠を射ている。
「…『VERY』が女性誌の中で好調の理由は、『VERY』妻のあり方を示す企画ではなく、実はこうしたファッションの細かい実用的な記事が、とにかくたくさん載っているからではないかと思うのです」
http://www.cyzowoman.com/2015/05/post_16123.html

白泉社の「ヤングアニマル」に連載されている「マイぼーる」は女子高生サッカーを題材とするマンガだが、第7巻の発売にあたって書店ミニフェアを開催している。「ゲーマーズ」や「とらのあな」は全店が参加している。
http://www.younganimal.com/maiball_fair/
http://www.younganimal.com/maiball_fair/shoten.html
http://www.anibro.jp/shop/
http://www.toranoana.jp/shop/

◎電子雑誌の発行に特化する「雑誌社」といえるブランジスタは、同社発行の電子雑誌約100冊がすべて無料で読めるスマホ専用のアプリをリリースした。これにともないJR 山手線、JR 宇都宮・高崎線東急東横線東急田園都市線東急目黒線東急大井町線、 東急池上・多摩川線の中吊り広告ジャックを展開している。
http://www.brangista.com/pdf/20150601_press.pdf

◎第68回「広告電通賞」の入賞作品が決定。総合広告電通賞はパナソニックが受賞した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0601-004059.html
講談社から刊行された岩瀬達哉の「ドキュメント パナソニック人事抗争史」を読むのも一興かと。元役員たちが実名、匿名で数多登場するが、核となっているのは水野博之元副社長の発言であろう。そういう意味で本書は反「松下正治」史観に偏っている。とはいえ、今日の経営不振を招いた原因が人事抗争にあったことは間違いあるまい。
http://www.news-postseven.com/archives/20150531_320537.html
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062194709

◎オプティムは、ローソンと共同で、6月1日よりローソンが開始した「雑誌・コミック・書籍購入で最大1,000万ポイント山分け!キャンペーン」向けに「タブレット使い放題・スマホ使い放題(タブホ)」を提供している。 キャンペーンにエントリーすると、1ヶ月間無料で人気雑誌445冊以上が読み放題となり、無料期間終了後は月額460円(税別)にて継続して、読み放題サービスを利用できる。
http://www.optim.co.jp/news-detail/16425
オプティムは社長の菅谷俊二が佐賀大学農学部在学中に創業されている。「タブレット使い放題・スマホ使い放題(タブホ)」は14年入社の新卒社員チームが開発したサービスである。こういう感覚を出版社も持つべきだ。

◎読売KODOMO新聞で紹介された児童書をそろえたブックフェアが1日から全国の198書店で開催されている。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20150601-OYT1T50052.html

◎ネットフリックスの社員は「ほぼ全員が日本茶メーカーのペッドボトルを持ち歩いて移動」している!CEO&ファウンダーのリード・ヘイスティングスがギズモードのインタビューに応えている。
「固定電話は携帯電話に取って代わりました。とはいえ、いまだにNTTグループは巨大な企業であり、携帯電話会社でもあります。同じようにNHKや他の放送局もインターネットテレビ会社になるはずです。固定電話会社が携帯電話会社になったのと同じことです」
「旧来のテレビチャンネルはアプリケーションにとって代わられるでしょう。つまりアプリを開発することができれば、テレビ放送局を作ることだって可能なわけです」
https://gunosy.com/articles/afxg6

毎日新聞社は1日、新たな電子新聞サービス「デジタル毎日」を開始した。これは紙の毎日新聞を購読していなくとも、パソコンやスマホタブレット端末で朝夕刊の紙面イメージを表示する紙面ビューアーを閲覧できるほか、ニュースサイト「毎日新聞」の記事をすべて読むことができる有料サービスである。
「経済」「医療」分野ではデジタル版独自のプレミアコンテンツを提供、旅行・宿泊・ショッピング・プレゼントなどさまざまな優待サービスも用意している。
http://mainichi.jp/info/news/20150601org00m040011000c.html

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3)【深夜の誌人語録】

地位は実力ではない。地位は政治なのだから。