【文徒】2015年(平成27)6月2日(第3巻101号・通巻546号)

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1)【記事】ジャーナリズムが弱体化している
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ジャーナリズムが弱体化している

立教大の逢坂巌が「安倍政権とメディア〜戦後70年目のジャーナリズムと政権〜」と題して福岡で講演を行ったそうだ。西日本新聞は、次のように書いている。
「逢坂氏は、安倍晋三首相が『メディアからの批判をしのげなかった第1次政権時の経験を踏まえ、対策を相当、学習している』と分析した上で『情報を出す相手を選別するなどしてメディアを分断させ、まとまりをなくしている』と指摘。『全体的に言えば、ジャーナリズムが弱くなってきているのではないか』と懸念を示した」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/172254
何故、ジャーナリズムが弱くなってしまったのかといえば、インターネットの出現で昔のように儲からなくなってしまったからだ。かつて新聞が戦争を煽ったのは、それが商売として儲かるからであった。
ちなみに朝日新聞社の2015年3月期連結決算は、売上高が前期比7.1%減の4361億円、営業利益が23.4%減の75億7200万円、純利益は57.6%減の54億5200万円。誤報問題の影響は決して小さいものではなかったようである。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2015052900940
朝日新聞も権力の監視どころではないのかもしれない。

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2)【本日の一行情報】

◎外務省と民間との人事交流の一環として、労働組合から在外公館に派遣されている大使館員を「連合アタッシェ」と言うそうだ。知らなかった・・・。
http://www.huffingtonpost.jp/rengo/diplomat_b_7457588.html

安倍晋三首相が民主党辻元清美議員の質問中に「早く質問しろよ!」と野次を飛ばした一件をNHKは「午後7時ニュース」で問題にしなかったのか。これも知らなかった。
http://news.livedoor.com/article/detail/10168844/

◎不適切な会計処理の問題で、東芝株主総会を2回、開催することになった。東芝のこの問題に関しては、もっと大騒ぎすべきなのではないだろうか。
http://mainichi.jp/select/news/20150530k0000m020075000c.html

◎元女優が文藝春秋を相手に裁判を起こした件で、地裁の判決は「異例」だと、私は思ったが、小松正和弁護士からすれば、「当然の判決」だということになる。小松弁護士が「弁護士ドットコム」のインタビューを受けている。
「今回の判決は、複数回にわたる名誉毀損記事により参院選候補者を出馬辞退に追い込んだという特殊性を考慮すれば当然の内容ですが、今後は、こうした特殊性のない事案であっても、名誉回復の実効性ある謝罪広告を命じる判決が次々出され、一般化されることを期待したいと思います」
「詳細は控えますが、取材期間ひとつみても取材が十分になされていないことが分かります。
第一報の記事が掲載された号は、2013年5月8日に店頭にならびましたが、この件についてタレコミがあったのは、その前週の5月1日でした。記者たちは田島さんに、5月3日・4日にファックスで取材を申し込んでいますが、これはゴールデンウィーク中ですよ。
参院選を2カ月後に控え、多忙を極めていた田島さんも、万一間違った記事を書かれては困ると考え、そうした事実は一切ないとすぐに回答しています。それでも、記者たちは6日には原稿を仕上げ、翌7日に印刷にかけ、8日に店頭に並べたわけです。ウラ取りを慎重に行おうとする者のスケジュールとしてはありえません」
http://www.bengo4.com/internet/1071/n_3173/

学研教育出版の女子中学生向けファッション誌「ピチレモン」(ピチレ)と調理器具ブランド「ののじ」がコラボ、レモン搾り器「ののじキュンとれもん」(税別1200円)と、グレープフルーツ搾り器「ののじスウィーとぐれふる」(税別1600円)を共同開発した。
http://www.nonoji.jp/event/pichilemon/

◎映画監督の園子温が絵本「ラブ&ピース」を幻冬舎から刊行した。
http://www.gentosha.jp/articles/-/3716

◎かわむらげんき作、サカモトリョウ絵の「パティシエのモンスター」(マガジンハウス)も大人の鑑賞に耐え得る絵本だ。かわむらげんきは、言うまでもなく川村元気である。
http://getnews.jp/archives/976910

きむらゆういちの絵本「あらしのよるに」(講談社)が新作歌舞伎となり、京都四條 南座の「九月花形歌舞伎」で上演される。主人公のガブを演じるのは、中村獅童
http://www.cinra.net/news/20150529-arashinoyoruni

◎「〜本の世界を彩ってきた挿し絵画家達の原画展〜JPAL紀伊國屋展2015」が6月25日まで紀伊國屋書店本店4階で開催されている。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20150511153214.html
考えてみればライトノベルは「挿し絵の復権」でもあったわけである。

電通の100%子会社である電通デジタル・ホールディングスは、現在Publicis(仏ピュブリシス社)との合弁会社となっている電通レイザーフィッシュのPublicis持株分(19.37%)を取得し、完全子会社化し、7月1日付「電通iX(アイエックス)」に社名変更する。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0529-004058.html

主婦と生活社から刊行された鈴木拓の「クズころがし」の発売記念サイン会(福家書店新宿サブナード店)は定員が100名であるにもかかわらず、2日前までの時点で応募が15名しか集まらず、当日も開始時で34人、終了時で46人しか集まらなかった。
http://matome.naver.jp/odai/2143281420150225501?&page=1
http://news.livedoor.com/article/detail/10173151/
http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/05/30/0008076340.shtml
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150530-00000530-sanspo-ent

◎創刊110周年を迎えるハースト婦人画報社の「婦人画報」の7月号は1905年の創刊号完全復刻版が付録だ。価格は1300円。国木田独歩編集長の「婦人画報」である。
http://www.hearst.co.jp/whatsnew/Fujingaho-150528-Fujingaho-110th-anniversary-issue
婦人画報」は日露戦争が生んだ雑誌である。ちなみに日露戦争を背景に描かれる五木寛之の「朱鷺の墓」は、「婦人画報」に連載された。

◎「ダイヤモンド オンライン」によればドローンは「将来の10兆円市場」である。
http://diamond.jp/articles/-/72424

◎「AneCan」専属モデルの蛯原友里が、新たに「Domani」の専属モデルをつとめることになった。同じ小学館のファッション誌であるとはいえ、W専属モデルは、わが国の女性ファッション誌の歴史において初のことである。
http://mdpr.jp/news/detail/1489944

◎スタイリスト地曳いく子の「服を買うなら、捨てなさい」(宝島社)が25万部突破。地曳は「MORE」「SPUR」「eclat」「Oggi」「FRaU」で仕事をしてきたが、この本は集英社でも、小学館でも、講談社でもなく、宝島社であるという現実をどう考えるかである。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000163.000005069.html
本来、こういう本はマガジンハウスが得意であるべきなんだけれど。

◎ウェブ漫画サイト「コミックシーモア」で、少年画報社の漫画1,300冊が48時間限定で無料公開された。6月11日までは少年画報社全巻20%ポイント還元キャンペーンを実施中。
http://www.appbank.net/2015/05/30/iphone-news/1034910.php

トランスビューなどが2013年1月から始めた「注文出荷」。朝日新聞が取り上げている。現在では26社が参加している。
「小さな出版社が手を結び、取次会社が配本先や冊数を決める従来の流通の仕組みに頼らない方法で書店に本を届けている」
「26社は共同でDMを作り、毎月末に全国約1300の書店に一斉に発送している」
http://www.asahi.com/articles/ASH5P5VQGH5PUTIL035.html

◎「細谷雄一騒動」なんだそうである。国際政治学者として著名な細谷の対応が某新聞と似ていると私は思った。
http://togetter.com/li/164161

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3)【深夜の誌人語録】

細部に拘ることは非常に大切なことであるが、些末主義は大局を見失うことを忘れてはなるまい。