【文徒】2016年(平成28)4月22日(第4巻76号・通巻763号)

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1)【記事】関西テレビにつづき仙台放送も「お詫び」を発表
2)【記事】文學の森の姜蒞東が集英社新書WEBコラム「在日二世の記憶」で取り上げられた
3)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.4.22.Shuppanjin

1)【記事】関西テレビにつづき仙台放送も「お詫び」を発表

仙台放送も「お詫び」。
「弊社の関連会社の社員が、熊本地震を取材中の系列テレビ局のモラルを指摘するツイッターへの投稿に関連して、17日午後、事実とは異なる虚偽の投稿をしていたことがわかりました。
報道機関に携わる者として、あまりに軽率であり、あってはならない行為でした。
今回の件で、多くの皆様に不快な思いを抱かせてしまいましたことを、深くお詫び申し上げます。
弊社といたしましては、今後このようなことのないよう、改めて関連会社を含めた社員・スタッフへの教育を徹底してまいります」
http://www.ox-tv.co.jp/information/info_2016-04-19.html
関西テレビの中継車輌がガソリンスタンドで割り込みをした一件で、「関連会社の社員」は次のような「事実とは異なる虚偽の投稿をしていた」のである。
「熊本でテレビ局の中継車がガソリン給油で横入りしたと騒ぎが出ていますが、話を調べると自分たちの燃料をドラム缶等で持ち込んで来ていて、危険物の管理をGSにお願いしているらしいです。五年前の東北の地震の時も同じような事が流れたので直接調べました」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/19/news170.html
「ハフィントンポスト」は次のように書いている。
「このツイートは2万回以上もリツイートされ、信じた人も多かった。しかし、関西テレビが18日、同社の中継車が割り込み給油したことを認めて謝罪。擁護ツイートが嘘の情報だったことが明らかになった上、Twitterプロフィール画像を元に『投稿者は仙台放送の関係者ではないか』と、一部のネットユーザーから指摘が出ていた。
こうした動きを受けて、仙台放送は4月19日、関連会社の社員がTwitterに事実と異なる投稿をしていたと認めて『お詫び』を公式サイトに掲載した。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/19/ox-tv_n_9734694.html
実は、Twitterプロフィール画像を元に実名まで特定されていた。
http://news.cafeblog.jp/archives/1055917955.html
仙台放送の「弊社の関連会社の社員」はツイッターから撤退した。

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2)【記事】文學の森の姜蒞東が集英社新書WEBコラム「在日二世の記憶」で取り上げられた

文學の森は「俳句界」の版元として知られている。代表取締役社長は姜蒞東。戦前に高知県で生まれた在日二世である。自身もまた俳人である。加藤楸邨の「寒雷」に属していた。
燕帰る在日われは銭湯へ
ビール酌むわが本名を告ぐべきか
帰化せよと妻泣く夜の青葉木
冬怒涛帰化は屈服と父の言
職ふたたび偽名ふたたび酸葉噛む
略歴を見ただけで、いかに壮絶な人生を送って来たかが垣間見える。
「戦前に高知県で生まれた二世。父の死亡後、大阪の釜ヶ崎と東京の山谷で野宿生活をしながら職を転々とする」
略歴は、こうつづく。
「一九六八年、アートネイチャーに就職し会社の発展に尽力。グループ副社長を経て会長に就任した」
集英社新書WEBコラムの「在日二世の記憶」(在日コリアンの声を記録する会)の第48回で姜蒞東を取り上げている。
「工業高校は卒業したんですけど、就職なんかできないので、また大阪に戻って、釜ヶ崎に一〇年おりました。痩せた非力な少年でしたからニコヨンができなくて、ずっと野宿生活をしていました。ホームレスの第一号かもしれない。会社に偽名を使って就職しても、三ヶ月か半年すると、『正社員にするから戸籍謄本を取り寄せなさい』といわれる。それが解雇通知と同じなんですね。黙って会社を逃げ出して。それが四〇回も転職をした理由です」
http://shinsho.shueisha.co.jp/column/zainichi2/048/
先日、東京で開かれた沖浦和光さんを偲ぶ会で、久しぶりに「をぐり考」「しのだづま考」などで知られている中西和久に挨拶をしたが、中西は姜蒞東の句集「身世打鈴」を原作にして、音楽劇「アウトローWE・望郷編」を上演したことで知られている。
http://www.toyo-keizai.co.jp/news/society/2008/society20081114.php
中西は「楽屋の水平社宣言」のなかで次のように書いている。
「今春、僕は大阪のある人権の集いで水平社宣言を朗読する機会を得ました。僕の一番好きな文章です。そこには人権を無視されつづけてきた先人達の『いのちの叫び』が謳ってあります。この日本で最初の人権宣言が輝いているのは『叫ぶ』前に、まず自らを諄々と戒めているところです。
僕にとって演じるということは『いのちの叫び』なのです。いえ、そうでありたいと思っています。だから、水平社宣言の写しはいつも僕の楽屋の化粧前に置いてあります」
http://www.d3.dion.ne.jp/~kyorakuz/index2.htm

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3)【本日の一行情報】

◎「IT mediaビジネス」の連載「『全力疾走』という病」が佐渡島庸平を取り上げている。
「世間の反応なら変えられるのではないか。そう考えた佐渡島はさまざまな仮説を立てて、それを検証した。
その1つが、美容室への漫画の無料配布だ。女性読者が増えれば『宇宙兄弟』の認知の流れが変わると考えた佐渡島は、首都圏の美容室400店に『宇宙兄弟』の1、2巻を送付した。すると3巻を出したあたりから明らかに読者の反応が変わったという。「美容室で勧めてもらって読んでみた」というアンケートハガキが編集部に届くようになったのだ。「作品そのものがどんどんおもしろくなったから、やらなくてもヒットしたかもしれない」とはいうものの、前例のない宣伝手法によって確かな手応えを感じたことで、仕事そのものが楽しくなっていった」
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1604/20/news026.html

◎アニメ・コミック・ゲームの専門店「アニメイト」は4月28日、池袋西口芳林堂書店コミックプラザをリニューアルし、「コミックプラザ×アニメイト」をプレオープンする。グランドオープンは6月1日。
http://www.dreamnews.jp/press/0000130612/

◎ドラマ「重版出来!」、残念ながら視聴率は不調のようだ。
http://top.tsite.jp/news/geinou01/i/28540302/?sc_int=tcore_news_geinou

宵野コタローは「18歳未満お断り」の成人漫画を舞台に活躍して来た。そんな宵野がアプリ「少年ジャンプ+」で近未来エロティック・サスペンスとして「終末のハーレム」を連載開始した。これも「週刊少年ジャンプ」ではできない仕事だろう。
http://kai-you.net/article/28106

◎「国境なき記者団」による「報道の自由度ランキング」が今年も発表された。日本は、また順位を下げて72位。G7加盟国で日本より下位にランキングされているのはイタリアだけだ。産経は共同通信の配信記事で済ませている。
http://www.sankei.com/entertainments/news/160420/ent1604200009-n1.html

◎「漫画アクション」(双葉社)による「ミスアクション2016」が決定。
http://www.oricon.co.jp/news/2070343/full/

◎「クリスチャントゥデイ」が映画「スポットライト 世紀のスクープ」を取り上げている。
「聖職者による幼児虐待は海外の、カトリックだけの他人ごとではない。日本でも、日本聖公会京都教区で起きたセクシャルハラスメント事案は現在も教会を揺るがせており、日本基督教団熊本白川教会の粟津安和牧師は2003年に事件を起こし、民事で敗訴が確定して賠償を命じられながらも現在まで教会にとどまり、幼稚園園長を務めている。東京ではヨハン早稲田キリスト教会の金圭東牧師が同様の事案で辞任している。これらは氷山の一角で、ネットで検索するだけでも同様の事案は多数見つけることができる。
この原因は、プロテスタント教会の多くが『各個教会主義』であるため、牧師が過剰なカリスマ性を持ったり、問題を起こしても、それに対する健全な抑止力が働かなかったりする点にあるのではないだろうか」
http://www.christiantoday.co.jp/articles/20572/20160419/spotlight-scoop.htm
クリスチャントゥデイ」はプロテスタント福音派系のメディアである。

◎CMは放送中止になったけれど日清食品の「カップヌードルリッチ」が大ヒットしている。CMが炎上し、CMが放送中止になったことが宣伝となったことは否めない。
http://www.cyzo.com/2016/04/post_27723_entry.html

◎タレントが熊本地震に関してSNSを通して投稿すると「不謹慎だ」と指弾される事態が増えている。これはミシェル・フーコーを踏まえて言えば、「ネット隣組」による「ネットパノプティコン」だ。佐藤勇馬は「SNSの浸透によって『誰かを叩きたい』という願望を持ったネットユーザーが増加し、災害がいい口実になってしまっている」というITジャーナリストの声を紹介している。
http://dailynewsonline.jp/article/1118492/?page=all

朝日新聞によれば「部落解放同盟と組坂繁之委員長ら被差別部落出身者211人は19日、川崎市の出版社と経営者ら2人を相手取り、原告1人あたり110万円、計約2億3千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした」そうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4M4GQJJ4MUTIL02R.html
部落解放同盟中央執行委員会による「『全国部落調査 部落地名総鑑の原典 復刻版』の発行・販売にたいする抗議声明」は読んでおきたい。
http://www.bll.gr.jp/guide-seimei20160411.html

◎メジャーデビュー15周年記念MOOK「ケツメイシぴあ」が7月中旬に発売される。こういう企画は、ぴあの最も得意とするところだろう。ケツメイシはメジャーデビュー15周年記念ライブを8月6日(土)に神奈川・日産スタジアムで開催する。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201604190006

◎日販が熊本地震による取引書店の被害状況を発表した。
http://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2016/04/kumamoto_store_20160420.pdf

大阪屋栗田熊本地震による取引書店の被害状況を発表した。
http://www.osakaya.co.jp/files/uploads/kumamoto.pdf

◎ webサイト「美的.com」(小学館)がリニューアルされた。
http://www.womaninsight.jp/archives/206378

◎マガジンハウスの女性ファッション誌「GINZA」が公式サイトを「ginzamag.com」としてリニューアルした。
https://ginzamag.com/

◎宝島社が1月5日(火)に新聞4紙(全国版)に掲載した企業広告「死ぬときぐらい好きにさせてよ」が「読売広告大賞」グランプリを受賞。広告ビジュアルはジョン・エヴァレット・ミレイの名作「オフィーリア」をモチーフにしたそうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/economy/release/detail/00201360.html

学研メディカル秀潤社は、熊本地震を受けて、期間限定で災害看護と医療に役立つ電子書籍を無料公開している。
http://news.ameba.jp/20160419-791/

◎「現代ビジネス」に掲載された「坂口恭平の熊本脱出記」が読ませる。
「避難所を震源地につくってどうするのだろうか。僕には理解ができない。毎日毎日余震の恐怖におびえ、ライフラインもすぐに故障するし、食料もままならないのだ。どう考えてもおかしい」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48475
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48481
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48482
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48485

サイバーエージェント連結子会社であるCyberZの調査によれば、2015年のスマートフォン広告市場規模は、3,717億円。前年比123.6%。検索連動型広告市場が1,380億円(前年比115.0%)、ディスプレイ広告市場は2,225億円(前年比135.0%)、成果報酬型広告市場が112億円(前年比70.0%)。2016年のスマートフォン広告市場は4,542億円。前年比122.2 %と予測している。
https://cyber-z.co.jp/news/research/2016/0420_3573.html

◎学研プラスは、初音ミクなどのボーカロイド曲で勉強ができる参考書「MUSIC STUDY PROJECT ボカロで覚える 中学歴史」と「MUSIC STUDY PROJECT ボカロで覚える 中学理科」を発売する。
http://resemom.jp/article/2016/04/20/31001.html

国際連合広報センターが「国連の人権専門家、報道の独立性に対する重大な脅威を警告」を発表。国連特別報告者ディビッド・ケイは従軍慰安婦問題にも言及していた。
「ケイ氏によれば、政府による圧力はさらに、第二次世界大戦中の『従軍慰安婦』問題など、非常に重要性の高い問題の議論も妨げています。複数の国際的な人権メカニズムがこの問題への対処を繰り返し日本に要求していることに触れつつ、ケイ氏は、日本の過去についての議論を制限しようとする試みに対して不満を表明しました。
従軍慰安婦への言及は、中学校で必修科目である日本史の教科書から削除されつつあります』と、このことを知ったケイ氏は述べました。『第二次世界大戦中に犯した罪の現実を教科書でどう扱うかについて政府が介入することは、国民の知る権利を脅かし、国民が日本の過去の問題に取り組み理解する力を低下させます』」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/18693/

山本周五郎賞の候補に押切もえの連作短編小説「永遠とは違う一日」(新潮社)が選ばれた!三島由紀夫賞の候補に蓮實重彦の「伯爵夫人」(「新潮」4月号)が選ばれた!!こりゃあ面白いぞ。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016042100423&g=soc

◎静岡デザイン専門学校三年生のデザインが「戸田書店」(静岡市清水区)のブックカバーに採用された。7万枚が製作された。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20160421/CK2016042102000052.html

集英社の「週刊ヤングジャンプ」は、「キングダム」の連載10周年を記念して、主演映画「オオカミ少女と黒王子」が5月28日から公開される山粼賢人が出演するスペシャルムービーを制作した。
http://youngjump.jp/kingdom_10th/

講談社の「月刊少年マガジン」で「新 仮面ライダーSPIRITS」を連載する村枝賢一熊本地震で被災した。
http://plaza.rakuten.co.jp/muraeda/diary/

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4)【深夜の誌人語録】

どんな企画書も最初は白紙からスタートする。