【文徒】2016年(平成28)6月16日(第4巻111号・通巻798号)

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1)【記事】元スタジオジブリの西村義明が性差別的な発言で謝罪
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】元スタジオジブリの西村義明が性差別的な発言で謝罪

スタジオジブリのプロデューサー・西村義明は英「The Guardian」によるインタビューで、性差別的な発言があったと批判されていたが、自らが代表取締役をつとめるスタジオポノックツイッターで謝罪した。
「6月6日に公表された英国紙『The Guardian』での記事の内容につきまして、謝罪をいたします。記事は2015年9月28日にイギリスで行われた取材に基づいており、確かに私は、当該の発言をいたしました」
https://twitter.com/StudioPonoc/status/742235090915233792
「最初に、私は2014年末にジブリを退社しており、ジブリの社員ではありません。ジブリを代表した意見であるという誤解を与えたこと、ジブリを愛する皆様に不快な思いをさせたことを深くお詫びいたします」
https://twitter.com/StudioPonoc/status/742235137874661377
「次に、男性は観念的な傾向が強く、現実を生きる力は女性の方が長けている。そういう差別的で偏った考えは、確かに自分の中にありました。反省し、勉強します。映画を作るのに性別は関係ありません。深くお詫びいたします。
プロデューサー/西村義明」
https://twitter.com/StudioPonoc/status/742235182200016896
問題となった「The Guardian」の記事については、ウェブマガジン「40's Exchange Hack」が詳しく報じている。また、何故「The Guardian」が西村にインタビューしたのか、その背景について次のように解説している。
「いきなり、西村義明氏にこんなインタビューをしたのかっていうと、実は、アメリカに問題があるんです。
ハリウッド映画では、性差別に対して議論が起きています。
さらには、男女間の賃金差が激しいようです。
男性の俳優が1ドルに対して、女優は40セントだったということです。
あのアンジェリーナ・ジョリーもトップになった後も、同じだったようです。
監督は少ないし、賃金も安いということで、かなりの問題になってるので、スタジオジブリの西村義明氏にもインタビューが来たわけです。
そのあたりを判っているかどうかは分かりませんが、インタビューで上のように答えてしまったので、外国では大問題になってしまいました」
http://40exchange.com/yoshiaki-nishimura-2556

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2)【本日の一行情報】

樫原辰郎の「『痴人の愛』を歩く」(白水社)は、恥ずかしながら朝日新聞の書評で知った。映画人としての谷崎潤一郎を描くという大胆な切り口が成功しているのは、樫原が「美女濡れ酒場」という繊細きわまりない映画の監督であることと無縁ではあるまい。この映画の脚本も樫原が書いている。
http://www.hakusuisha.co.jp/book/b217561.html
http://blog.livedoor.jp/hidesmile/archives/1710810.html

◎アイドルグループ「私立恵比寿中学」の廣田あいかJTBパブリッシングの「小さな時刻表」夏号の表紙を飾り、「JTB時刻表」の巻頭特集に登場する。この2誌への登場を記念してトークショー「“ぁぃぁぃ”が語る鉄道“あい”」を6月22日(水)19時より、書泉グランデで開催する。時刻表も売るのに必死だ。
http://trafficnews.jp/post/52758/

◎創刊90周年を迎える「アサヒカメラ」(朝日新聞出版)は6月20日発売の 7月増大号で「ヌードの90年」を特集。土門拳大竹省二植田正治立木義浩沢渡朔らのヌードを掲載する。秋山庄太郎による関根恵子篠山紀信による宮沢りえのヌードが誌面を飾るようだ。「アサヒカメラ」も売るのに必死だ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1606/13/news150.html

東京ニュース通信社鈴木啓之の「東京レコード散歩〜昭和歌謡の風景をたずねて〜」を刊行する。オレも、昭和歌謡、大好きである。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000006568.html

◎「ボット」という言葉は覚えておきたい。「ダイヤモンドオンライン」で瀧口範子が次のように的確に解説している。
「ボットとは『ロボット』の略称。といっても、形のある物理的なロボットではなく、オンラインでユーザーとのやりとりを『自動化』するしくみである。ブラウザーやチャットの中に組み込まれ、たいていはユーザーと自然言語でやりとりできる人工知能が後ろに控えている」
http://diamond.jp/articles/-/92845

◎宝島社の「SMAP解散騒動の全内幕」が売れている。ジャニーズ事務所の恩恵に恩恵にあずかっている出版社には刊行できない企画だ。こういうゲリラ性こそ宝島社本来の持ち味である。
http://top.tsite.jp/news/johnnys/i/29317530/?sc_int=tcore_side_access-ranking

総務省は6月14日、ビッグデータ時代に向けた新たな情報通信政策のあり方において提言された、日常生活に身近なIoTのリファレンスモデルを構築し、IoTサービスの普及展開を図ることを目的とした「IoTサービス創出支援事業」にかかわる委託先候補を決定した。具体的にいうと救急医療・災害対応無人機等自動支援システム推進協議会(EDAC)、ゼロワン研究所、HAROiD、本田屋本店、つくばウエルネスリサーチ、電通、アグリガーデンスクール&アカデミー、東松島みらいとし機構。
HAROiDは日本テレビの関連会社である。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000134.html

◎「日刊SPA!」の「WEB業界からテレビ朝日へ転職する人が増えている!? 人材大移動が起きているワケ」によれば、「30代のWEB業界関係者が『旧メディア』と言われるテレビ業界に転職するケースが増えて」いるらしく、特にテレビ朝日が積極的に採用しているという。
http://nikkan-spa.jp/1122309
出版社こそWEB業界関係者を積極的に採用すべきだと私は思う。紙のメディアに対する郷愁を捨てきれない輩に出版の未来を切り拓く力はないのだから。

◎中山七里の「ヒポクラテスの誓い」(祥伝社文庫)が、WOWOWの日曜オリジナルドラマ枠(10月放送予定、毎週日曜 後10:00)で連続ドラマ化される。
http://www.oricon.co.jp/news/2073278/full/
http://www.wowow.co.jp/dramaw/hipo/
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396342104

◎「NowThis」はアメリカにおける分散型メディアの代表格だ。「DIGIDAY」は、次のように書いている。
「誕生から4年を迎えた「NowThis(ナウディス)」は、Facebook、Snapchat(スナップチャット)、インスタグラム、Twitterなどのソーシャルフィードに向けた短編動画の制作に注力している。1日に公開される本数は60本。それらの動画は、月に16億回も視聴されているという。その閲覧回数の大部分は、Facebookのフィードによるものだ」
http://digiday.jp/publishers/digiday-podcast-nowthis-athan-stephanopoulos/

マイクロソフトはSNSのひとつLinkedIn(リンクトイン)を約2・8兆円で買収する。毎日新聞は次のように書いている。
リンクトインは世界で4・3億人超の会員がおり、発表によると、ここ1年間で会員数を19%増やした。登録者の多くが自分の学歴や社名、肩書、得意分野などを書き込み、仕事上のつながりを増やしたり、関係するニュースを集めたりしているほか、就職や転職にも活用されるなどの特徴がある」
http://mainichi.jp/articles/20160614/ddm/002/020/181000c

◎LINEが海外市場で成功できない理由を「ウォールストリートジャーナル日本版」が次のように説明している。「…世界的なキャラクターのハローキティを生んだ国でLINEが大成功しているのは驚くにあたらないのだ。台湾やタイ、インドネシアなどアジアの近隣諸国でも大きな存在感がある。
しかし、日本の『かわいい』文化の影響が薄い国でも成功を収められるのだろうか。データは心もとない」
http://jp.wsj.com/articles/SB11611722697749014104804582127192617229420
スタンプが受けるのは、結局アジアだけのようである。逆に日本ではフェイスブックの人気が今一つである。このため紙メディアのデジタルシフトにブレーキがかかっている。

集英社の創刊15周年となる女性ファッション誌「バイラ」と35周年を迎えるルーニーが付録でコラボした。7月号付録のバンダナ柄スカーフは良さそうだ。
https://baila.hpplus.jp/fashion/f_editors_eye/4570
女性誌の付録で宝島社に対抗できるのは集英社だけである。

◎「知識がひろがる 未来がひらける 自然科学書フェア2016」が三省堂書店池袋本店で開催されている。
http://mainichi.jp/articles/20160615/ddm/015/040/011000c

PlayStation4用ソフトウェア「人喰いの大鷲トリコ」の初回限定版には「BRUTUS」(マガジンハウス)編集によるスペシャルブックレットが同梱されるそうだ。
https://www.jp.playstation.com/blog/detail/3158/20160614-to.html

◎「美術手帖」7月号によればミュージカル「テニスの王子様」は、「2.5次元文化」で成功した先駆者なのだそうだ。ミュージカル「テニスの王子様」を33ページにわたって特集している。「声優がキャラクターとしてパフォーマンスをするコンサート、 アニメやマンガ作品の舞台を訪れるコンテンツツーリズム、コスプレ、映画館での応援上映SNSのキャラクターアカウント」なども「2.5次元」ということになる。
http://www.oricon.co.jp/news/2073394/full/
マンガの「2.5次元」化が最も進んでいるのが集英社ということになろうか。

TSUTAYAは、絶版となった本をTSUTAYA書店員が選定し復刊するプロジェクト、「復刊プロデュース文庫」の第3弾として笹沢佐保の「セブン殺人事件」 (双葉社) を6月16日より発売する。第1弾「九月の恋と出会うまで」(松尾由美双葉社)は、TSUTAYAでの累計部数は約84,000部超。続く第2弾「ランドリー」(森淳一・双葉社)も累計部数35,000部を超えるヒットとなっている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000018760.html

小学館は15日、「週刊少年サンデー」、「ゲッサン」、「サンデーGX」の合同Webマンガサイト「サンデーうぇぶり」を7月13日に創刊する。更新は毎日で無料である。「サンデー+WEB+EVERY」で「サンデーうぇぶり」と命名した。1カ月半で50万ダウンロードを記録した「ちいさいひと 青葉児童相談所物語」の新シリーズも連載する予定だ。
http://mantan-web.jp/2016/06/15/20160614dog00m200038000c.html
http://www.sunday-webry.com/images/ts_im08.png
http://www.sunday-webry.com/

丸善CHIホールディングスの2017年1月期第1四半期決算は、売上高508億9800万円(前年同期比3.6%増)、営業利益22億円(13.5%増)、経常利益22億6500万円(15.0%増)、当期利益18億4700万円(19.8%増)。
http://www.maruzen-chi.co.jp/ir/result/h29kt-1q.pdf

◎創業130年を誇る中央公論新社にとって三田佐代子の「プロレスという生き方−平成のリングの主役たち」(中公新書ラクレ)は、初のプロレス本であったそうだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/book/15/233582/060700020/?rt=nocnt

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3)【深夜の誌人語録】

過信も臆病も仕事を小さくするだけだ。