【文徒】2017年(平成29)年3月24日(第5巻55号・通巻984号)

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1)【記事】デジタル精神に満ち溢れた編集者が必要だ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】デジタル精神に満ち溢れた編集者が必要だ

フランスの新聞「フィガロ」は、毎日8時間分の動画を制作しているのか!「DIGIDAY」は次のように書いている。
「現在、動画を含め、フィガロのwebサイト上で非購読者が利用できるコンテンツには制限が設けられている。月額8.90ユーロ(約1000円)のデジタルサブスクリプションを申し込むと、同社サイト上で、広告表示なしにすべてのプリント版、オンライン版のコンテンツへのアクセスが可能になる。フィガロの報告によると、オンライン購読者は約6万人。フランスの報道監査機関によれば、同紙のプリント版の発行部数は31万3000部だ」
http://digiday.jp/publishers/le-figaro-plans-to-double-its-live-stream-video-output-in-election-run-up/
この記事のなかでフィガロのデジタル責任者ベルトラン・ギエは「我々はデジタル精神をもち続けたい」と語っている。
本の雑誌に今現在、最も必要なのは、頭のてっぺんからつま先までデジタル精神に満ち溢れた編集者の存在であろう。最も必要だということは、最も欠如しているということでもある。
その点、日本の新聞社にはデジタル精神に満ち溢れた人材が出版社に比べて揃っているのかもしれない。新聞社のデジタルに対する関心は出版社よりも早かったこともあろう。日経など、その典型と言えるかもしれない。
周知のように「日経会社情報」が3月17日発売の「2017春号」をもって休刊されることになった。日本経済新聞社は季刊誌「日経会社情報」を、6月めどに新しい有料デジタルサービスに刷新し、パソコンとモバイルで提供することになるからだ。
http://www.nikkei.com/topic/20170219.html
東洋経済出版の「会社四季報」は、どうするのだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎「カチコミ」っていうのは、その筋では殴り込みを意味するわけだが、秋田書店が初夏に配信を開始するという「カチCOMI」はアウトロー特化型の「WEB BL雑誌」だそうだ。「お前と夜のタイマン勝負」なるキャッチが凄い。
http://akitashoten.co.jp/news/1223
「昭和残侠伝」シリーズにおける高倉健池部良の「道行」もBL的と言えばBL的だったよね。

◎2015年に脳梗塞で倒れた小説家の内田康夫が休筆宣言。毎日新聞夕刊で連載が中断された「浅見光彦シリーズ」の「孤道」は未完のまま刊行し、完結編となる長編小説を公募するという。「孤道」完結プロジェクトを主催するのは内田康夫財団、講談社毎日新聞社毎日新聞出版。最優秀作は講談社文庫から出版される。
http://www.mainichi.co.jp/kodo/
http://www.asahi.com/articles/ASK3K557YK3KUCVL00V.html
https://store.toyokeizai.net/magazine/shikiho/

◎福冨健一の「共産主義の誤謬 保守政党人からの警鐘」(中央公論新社)は河合栄治郎、関嘉彦に依拠した共産主義(党)批判であり、それ以上でもそれ以下でもないんだよなあ。著者は民社党政務調査会部長や自由民主党政務調査部長代理をつとめてきた。
http://www.chuko.co.jp/tanko/2017/03/004970.html

◎森元斎のちくま新書アナキズム入門」は、プルードンバクーニンクロポトキン、ルクリュ、マフノを取り上げているが、例えば権藤成卿は著者の射程にはないようだ。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480069528/
滝沢誠の「権藤成卿」は絶版になっているのか。
http://www.perikansha.co.jp/Search.cgi?mode=SHOW&code=1000000723&word=%E6%BB%9D%E6%B2%A2%E8%AA%A0

◎日経の「『コンテンツ×販路』 TSUTAYAの徳間買収戦略」。日経も「アサヒ芸能」の存在を忘れてしまっている。
「実は徳間書店は日本のそうそうたるアニメーターを発掘、輩出してきた出版社でもある。雑誌『Animage』では映画監督の宮崎駿氏がアニメ映画に先立って『風の谷のナウシカ』の漫画を掲載するなど企画、編集力に定評があった。徳間書店宮崎駿監督の作品で知られるスタジオジブリ(東京都小金井市、星野康二社長)も設立し、2005年にジブリが分離・独立した後、関連書籍などを発行している。『GoodsPress』『食楽』といった雑誌もファン層から支持されている」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HNJ_R20C17A3000000/
スタジオジブリ鈴木敏夫もまた「アサヒ芸能」の出身である。
徳間書店に入社して、最初に配属させられたのは『週刊アサヒ芸能』編集部」
「その後、『週刊アサヒ芸能』特集班に所属し、4頁のコラムを担当する。『三菱重工爆破事件』や『暴走族と特攻隊』といった特集記事を毎週書き続けた」
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/life/gooeditor-20090702-01.html

岡崎京子が宝島社の女性ファッション誌「CUTiE」に1993から1994年にかけて連載していた「リバーズ・エッジ」が実写映画化される。主演は二階堂ふみ、監督は行定勲
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170321-OHT1T50172.html

◎中国の「人民大会堂で15日に開かれた李克強首相の記者会見に産経新聞は出席できなかった」そうだ。他の新聞はちゃんと中国に抗議しているのだろうか。
http://www.sankei.com/column/news/170321/clm1703210009-n1.html

◎23日発売「Zipper」(祥伝社)の表紙を飾ったのは生駒里奈堀未央奈北野日奈子齋藤飛鳥という乃木坂46の四人。出版界ではAKB48から乃木坂46に完全に主役が交代した。
http://joshiplus.jp/trend/news/2087908/full/

大塚製薬が輸入・販売する南フランス発の自然派栄養食品「ジェルブレ」は、CCCメディアハウスの女性ファッション誌「フィガロジャポン」、フレンチレストラン「ピルエット」とのコラボ企画を実施する。3月27日(月)から4月22日(土)までの期間、「ピルエット」で「ジェルブレ」を使用したスイーツを提供するとともに、「フィガロジャポン」 5月号でコラボスイーツを紹介している。
https://www.value-press.com/pressrelease/180124
これが「ジェルブレ」。
http://www.otsuka.co.jp/gerble/lineup/

◎テレビもない、ラジオもない、クルマもない無人島に、あるのは「週刊大衆」だけという設定の、せきしろの小説「海辺の週刊大衆」(当然、版元は双葉社である)がピース又吉主演で映画化され、「沖縄国際映画祭」で上映される。
https://oimf.jp/movie/detail/17/
せきしろと又吉は共著で「カキフライが無いなら来なかった」「まさかジープで来るとは」(幻冬舎文庫)を刊行している。
http://www.gentosha.co.jp/book/b6956.html
この二冊は何と句文集である。しかも自由律だ。
桜の花びら踏んでも音はしない (せきしろ)
モータープールでは泳げないと知った夏の日 (又吉)

ジュンク堂書店立川郄島屋店で「ジュンク堂でコスプレしてみる」が開催される。
http://kai-you.net/article/39536

◎日経によればアマゾン・ジャパンは「自ら出版社の倉庫から本や雑誌を集め、沖縄を除く全国で発売日当日に消費者の自宅に届けるサービスを今秋までに始める」そうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ22H2A_S7A320C1MM0000/
取次、書店にとって痛手となることは間違いあるまい。再販制との絡みも気になるところだし…。

◎どうして「紙の文化が復権することを信じている」などと口走れるのだろうか。私には不思議でならない。これは紀伊國屋書店の高井昌史会長兼社長の「経済界」における発言なのだが、私に言わせれば「紙の文化」は少しも停滞していないし、凋落もしていない。ただ紙の市場が縮小しているだけなのであり、紙の市場が復権することなどあり得ないはずだ。
http://net.keizaikai.co.jp/archives/24949

◎この本は本当に破り捨てたくなった。武田徹の「日本ノンフィクション史」(中公新書)のいったいどこに「日本ノンフィクション史」が書かれているというのか!ものの見事に「日本ノンフィクション史」そのものを欠如させてしまっているんだよなあ。
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2017/03/102427.html

パズドラこと「パズル&ドラゴンズ」と「週刊少年マガジン」がコラボ。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1050679.html

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3)【深夜の誌人語録】

時間厳守によって時間を味方とするのだ。