【文徒】2019年(令和元)11月21日(第7巻211号・通巻1631号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】ヤフー・LINE統合はそんなに凄いことなのか?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.11.21 Shuppanjin

1)【記事】ヤフー・LINE統合はそんなに凄いことなのか?

「ケータイ Watch」が11月18日付で「Yahoo!×LINEは『AIテックカンパニー』を目指す――共有する大きな危機感と未来への志」を公開しているが、私には「強い危機感」は理解できるが、「大きな志」が理解できない。
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1219288.html
全国紙も社説で取り上げている。毎日新聞は11月19日付で「ヤフー・LINE統合 利便性と安心感の両立を」を掲載している。
《統合する2社のグループは公益性が高い通信事業も手掛ける。その強みを生かして、利便性と安心感を両立した次元の高いサービスを生み出すことが、再編を成功させるカギとなろう。》
https://mainichi.jp/articles/20191119/ddm/005/070/023000c
朝日新聞も11月20付社説で「IT大手統合 利用者の利益を第一に」を掲載している。
《だが、特定の企業の優位が強まりすぎれば、競争を阻害し、消費者の利益を損ねる恐れもある。とりわけ利用者のデータが集まるネット上のビジネスでは、注意が必要だ。
ヤフーは今年、利用者の信用度を点数化する「ヤフースコア」を導入した際、拒否しなければ自動的に同意したとみなす仕組みをとった。「説明が不十分だ」と批判が噴出し、同意した人だけにスコアをつける方式に改めた。こうしたことを繰り返せば、利用者の信頼を失うことになる。》
https://www.asahi.com/articles/DA3S14263318.html?iref=editorial_backnumber
確かに日本市場に限って言えば「IT大手統合」ということになるのだろう。
東洋経済オンライン」は11月18日付で「ヤフーとLINE『統合』はバラ色の未来を描けるか アジア市場への足がかりとブランド整理の思惑」を公開している。LINEは「本国」韓国では振るわず、日本、タイ、台湾に限られるリージョナルIT企業である。
《日本市場では圧倒的なLINEだが、海外に目を向けると台湾とタイでこそFacebookに近い利用者数を持つものの、それ以外の地域における存在感はほとんどない。LINEユーザーが多いとされるインドネシアも、絶対的な人口が多いためユーザー数は多いが、Facebookと比較するとわずか6分の1にすぎない。
ヤフーに至っては典型的な日本企業にほかならい。
《…Yahoo! JAPANの“Yahoo!”ブランドは、持ち株会社であるZホールディングスがアメリカのベライゾンメディアから借り受けているもので、日本以外では使うことができない。しかも、ベライゾンメディアに支払っているブランド使用料は売り上げ全体の3%(2018年度で約286億円)で、これは営業利益の2割を占める。》
https://toyokeizai.net/articles/-/314993
「AbemaTIMES」は11月20日付で「夏野剛氏『僕が社長なら、すぐにPay PayもLINE Payもやめる』 ヤフーとLINEの経営統合をどう見る?」を公開している。「2ちゃんねる」創設者の西村博之QRコード決済に否定的なようだ
《会見でも繰り返し強調された「シナジー」。ところがこの点について「2ちゃんねる」創設者のひろゆき西村博之氏)は「日本でQRコード決済自体全然普及していない。LINE Payは300億円を使ったキャンペーンをしている間だけはお客さんがいるが、終わったら使われない。PayPayも100億円を何回かやったが、使われない。あまりうまくいっていない同士が手をつないだら何とかなるだろう、みたいな感じ」と、注目される決済サービスについても厳しい見方を示していた》
これが夏野剛の見解だ。
《「…PayPayとLINE Payが2社の体力を奪っているのは確かだし、決済データを集めて何をするのか、そのビジョンが分からない。だからこの2つのサービスを整理することが、2人の試練だと思う。僕が社長なら2つともすぐにやめる。やはりQRコード決済は不便だし、ビジネスモデルがない。それなのにこの分野に出て行ったのが間違いだと思う。もっと言えば、アップルのApple Cardはクレジットカードのインフラの上にあるが、全く新しい、まさに“スーパーアプリ”だ。アップルのアカウントにすべて引き継いで、明細や支払いのスケジュールなどもアプリ上で管理できる。唯一の“玉に傷”は、アンドロイドでは使えないことだ」》
https://times.abema.tv/posts/7029058
いずれにしても、ヤフーとLINEの「統合」に私はバラ色の未来を描けない。日刊スポーツが11月18日付で「Yahoo!とLINE統合、日韓関係『心配ない』」を掲載している。
《質疑応答では、LINEの親会社が韓国のインターネット検索大NAVERであることから、関係が悪化する日韓関係が統合に影響するか? との質問が出た。川辺氏は「統合してから全てのことは考える。さまざまな分析を加えたが、心配はない」と心配がないことを強調した。》
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201911180000667.html

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2)【本日の一行情報】

◎「Business Journal」は11月19日付で「嵐・桜井の父、電通副社長就任に『問題あり』との指摘…『優越的地位の濫用』抵触の懸念」を公開している。
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128642.html

藝春秋は「反日種族主義 日韓危機の根源」の重版を決定し、累計発行部数は4刷20万部となった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000043732.html

◎堀江貴の「時間革命 1秒もムダに生きるな」(朝日新聞出版)が売れている。
https://toyokeizai.net/articles/-/315034

◎日経は11月18日付で「学研HD、一時23年ぶり高値、福祉サービス事業好調」を掲載している。
《18日の東京株式市場で学研ホールディングスの株価が4日続伸した。一時、前週末比400円(6%)高の6780円まで上げ、約23年ぶりの高値を付けた。「ココファン」ブランドなどで展開する福祉サービス事業が好調で、13日の決算発表に合わせて中期経営計画を上方修正。利益成長に期待した投資家の買いが入っている。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52311800Y9A111C1EN1000/

◎「HYPEBEAST」の「Wikipedia の共同設立者によるSNSがローンチ」によれば、「ウィキペディア」の共同設立者であるジミーウェールズが、新たなソーシャルネットワークサービス「WT:Social」を立ち上げたそうだ。
https://hypebeast.com/jp/2019/11/wikipedia-jimmy-wales-launches-social-network-wt-social

自民党保守系グループ「日本の尊厳と国益を護る会」代表幹事青山繁晴参院議員が原案、作画を「島耕作」シリーズの弘兼憲史が担当する皇位継承の歴史に関する漫画を来年1月にも発刊するそうだ。
https://www.sankei.com/politics/news/191119/plt1911190036-n1.html

◎人書院から鈴木彩加の「女性たちの保守運動 右傾化する日本社会のジェンダー」が刊行される。目次からして、そそられる一冊だ。
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b487597.html

◎マガジンハウスは、有賀薫の「朝10分でできる スープ弁当」を10月24日に発売したが、発売2週で3刷重版となって売行好調だ。有賀薫は「スープ作家」と呼ばれている。2011年から7年間、約2800日にわたって毎日スープを作り続けているというから、「スープ作家」の呼称も頷けよう。ツイッターのフォロワーは5.3万。11月30日にHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEで新井見枝香を生トークイベントを開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000030125.html

法蔵館庫が創刊された。
http://www.hozokan.co.jp/cgi-bin/hzblog/sfs6_diary/2900_1.jpg
創刊ラインアップは、斎藤英喜「増補 いざなぎ流 祭儀礼」、高崎直道「仏性とは何か」、キケロ「老年の豊かさについて」(八木誠一、綾子訳)。
https://mainichi.jp/articles/20191120/dde/014/040/005000c
周知のように歴代当主は、西村七兵衛を襲名する。現在は5代目。創業は嘉永3(1850)年だ。その歴史は慶長7(1602)年まで遡ることができる。
http://www.hozokan.co.jp/hz/_history.html
法蔵館は日本で最も古い出版社なのである。高野山青巖寺の高井知弘が次のようにツイートしている。
《仏教系出版社の雄である京都の法蔵館書店からついに庫が登場。古書でしか読めなかった名著が新しい装いの庫版で読めるのはありがたいことです。》
https://twitter.com/nanzanbou/status/1194214746746060800

NTTレゾナントは「もし、無人島に1つだけ持っていくとしたら、何を持っていく?」診断キャンペーンサイトを11月20日水)オープンした。小学館ライフスタイル局BE-PAL編集室の監修のもと、誰もが一度は妄想をしたことがある無人島ネタをよりリアルに膨らませた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000451.000013640.html

小学館は「佐川女子カレンダー2020」「佐川男子カレンダー2020」を発売した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000449.000013640.html

◎LINEは、宝島社より刊行されている小説「死亡フラグが立ちました!」(七尾与史)のドラマ化(カンテレ放送/U-NEXT配信中)を記念して、「LINEノベル」アプリにおいて、原作小説に原稿用紙300枚分のエピソードを追加した「死亡フラグが立ちました!【無修正版】」を独占初公開している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001894.000001594.html

時事通信の11月18日付首相動静には、こうある。
《午後6時33分、東京・有楽町の日本生命日比谷ビル着。同ビル内の和食レストラン「春秋ツギハギ 日比谷」で読売新聞東京本社の柴田岳常務取締役論説委員長、田中隆之取締役編集局長と会食。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111800155&g=pol
「春秋ツギハギ 日比谷」のメニューである。
http://shunju.com/tsugihagi/menu

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3)【深夜の誌人語録】

無駄を積み重ねる努力が飛躍をもたらす。