【文徒】2021年(令和3)3月24日(第9巻54号・通巻1951号)


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1)【記事】LINEデータ管理問題 政治も経済も「杜撰」にして「不透明」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】
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1)【記事】LINEデータ管理問題 政治も経済も「杜撰」にして「不透明」

政府はLINEのデータ管理不備について3月8日の段階で報告を受けていたようだ。毎日新聞は3月22日付で「経済プレミア『LINE管理に不備!?』ヤフーと統合直後の“しくじり”」を掲載している。
《統合の準備中に、Zホールディングスは外部からの指摘で問題を把握し、3月8日に政府に報告したという。ラインは政府や自治の行政サービスに活用されており、今回、大阪府や千葉県が一部事業の停止を発表した。
国内で競合他社を圧倒しているヤフーとラインの相乗効果で、通販サイトやコンテンツ配信、金融など幅広い分野で競争力を高めるの経営統合の狙いだったが、個人情報管理という根本的な問題で足をすくわれることになった。》
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210322/biz/00m/020/007000c
日本経済新聞は3月21日付で社説「LINEのデータ管理不備は看過できぬ」を掲載し、次のように書いている。
《今回の問題は、データ活用時代の国家安全保障に直結する点でも看過するわけにはいかない。
LINEが業務を委託する中国はデータ関連技術で日本をしのぎ、企業にとって欠かせないIT分業の拠点になっている。一方で2017年には国家情報法を施行し、民間企業や個人にも情報活動への協力を義務づけた。
LINEからすれば委託先であり、監督が行き届いていなかったのだろう。しかしだからといって責任逃れはできない。国家による民間データ利用の懸念がどこまでも残るのが中国である。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK1971V0Z10C21A3000000/?unlock=1
残念ながら中国は民主主義を原則とする「開かれた社会」ではないことに留意しなければならないはずだ。讀賣新聞は3月22日付で社説「LINEデータ 海外委託の危うさが露呈した」を掲載している。
《日本の個人情報保護法は、利用者の同意があれば、情報を海外に移したり、海外から閲覧したりすることを認めている。LINEは利用者向けの指針で一定の説明はしていたというが、長の規約を精読する人は多くはあるまい。
国は来年の改正法施行に合わせて、情報移転先の国名を明記するよう義務付けるという。利用者の同意を条件に、海外への情報移動や閲覧を認めることの是非も、改めて検討すべきではないか。》
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210321-OYT1T50245/
LINEは言い訳を規約に求めるよりも、抜本的な反省が必要であろう。毎日新聞は3月23日付で社説「LINEの個人情報 ずさんな管理、解明が必要」を掲載している。
《今回の事態を受けて、政府や多くの自治体が利用を停止した。コロナワクチン接種の予約で利用を計画している一部の自治体では、戸惑う声が出ている。
ラインは第三者委員会で情報管理の問題点を検証する。総務省や個人情報保護委員会は、これを踏まえ行政処分を検討する方針だ。
だが、事業者任せで、ずさんな情報管理の実態を解明できるのだろうか。国は立ち入り検査も検討すべきだ。多くの国民に影響する問題だけに、きちんと対応する必要がある。》
https://mainichi.jp/articles/20210323/ddm/005/070/100000c
今回の事態を決して甘く見てはならないはずだ。産経新聞は3月22日付で「LINE情報管理 中国流出のリスク解明を」を掲載している。
《中国への情報漏洩リスクを過小にみていたのなら甘すぎる。LINEアプリは国内で8600万人以上が利用し、公共サービスにも使われる社会的なインフラだ。その自覚を疑わざるを得ない。》
《国境を越えたデータの自由な移動はデジタル社会に不可欠だ。ただし、その前提は個人情報の適切な保護だ。デジタル覇権や監視社会を追求する中国への情報流出が国際社会から警戒されていることを忘れてはならない。
デジタル業務の海外委託のリスクは、あらゆる企業が留意すべきことだ。LINEに限らず、情報保護に不備はないかを絶えず精査しておくことが肝要だ。》
https://www.sankei.com/column/news/210322/clm2103220003-n1.html
「ImpressWatch」は3月22日付で西田宗千佳の「LINEの情報管理問題が示した課題。LINE“だけ”に頼るDXで良いのか」を公開している。
《「すべてが海外に筒抜け」とリスクを過大に煽るのは間違いだし、韓国サーバーにデータがあることをことさら問題のように報じるのもどうかと思う。
だが、LINEの体制に甘いところがあり、それがそもそもの原因なのもまた、事実である。中国での開発リスクについて問題視する声は以前からあり、もっと早く情報を開示し、対応していれば済んだ話なのだ。》
《今後のことも考えれば、LINEが独自に個人情報保護の強化をするのはもちろんだが、「LINEのオルタナティブとなれるサービス」の存在も必要だ。》
https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/nishida/1313426.html
政治が透明性を欠いているから、経済も透明性を欠いても問題ないと判断してしまうのかもしれない。政治が杜撰なように経済もまた杜撰なのだ。政治の劣化が経済敗戦のアクセルを踏んでしまっているようだ。
朝日新聞デジタルは3月23日付で「LINE Pay情報、韓国に保管 加盟店の口座番号も」(峯村健司、大部俊哉)を掲載している。
《国内の月間利用者が8600万人に上る無料通信アプリを運営する「LINE(ライン)」(本社・東京都)が利用者の画像データなどを韓国のサーバーで保管していた問題に絡み、子会社が運営するスマホ決済「LINE Pay(ペイ)」利用者の取引情報のほか、加盟店の企業情報や銀行口座番号も韓国内のサーバーに保管されていたことがわかった。
https://digital.asahi.com/articles/ASP3Q7GBZP3LUHBI01K.html
時事通信は3月23日付で「LINEに『適切な措置』 親会社の説明不足―武田総務相」を配信している。
武田良太総務相は23日の閣議後記者会見で、無料通信アプリLINEの利用者情報が中国の関連企業などで閲覧可能となっていた問題に対し「適切な措置を講じたい」と述べた。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021032300526&g=eco

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2)【本日の一行情報】

◎世界化社は、「新版 厳選日本酒手帖」を3月18日(木)に発売した。日本酒酒蔵が少なかった北海道では、近年、酒造免許を移転して開業する酒蔵が現れているそうだ。ちなみに2017年創業の上川大雪酒造では、北海道産の酒米大雪山系伏流水を使用した純米酒のみを醸しているそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001084.000009728.html
辛口の日本酒は、イタリアンやフレンチとも相性が良いんだよね。

産経新聞論説委員中本哲也が3月21日付の「日曜に書く」丸谷才一の「猫だつて夢を見る」(庫)に収められているエッセイ「春伝説」を紹介している。藝春秋において、丸谷は戦後の一時期のことらしいが、、新入社員歓迎会の際、古参の社員が男子の新人に強要して裸踊りをさせるという風習があったと耳にしたが、この風習に終止符を打ったのが、やがて社長、専務となる田中健五と半藤一利だったというのだ。丸谷は「バーのマダム某女の談」として次のように書いている。
《「ケンゴさんとハンちやんが相談して、決めてあつたんですつて。ええ、新入社員だつたの。昭和二十八年の春。それで、向うが裸になれつて命令するちよつと前に、こつちから先に脱いで、歌つて、踊つて……といふ話なの。そしたら、厭だ厭だと言ふのを裸にするのでなくちや詰まらない(笑)といふことになつて、翌年から中止ですつて。いいえ、ケンゴさんだつて、ハンちやんだつて、自分の口からそんなこと言ふもんですか。やつぱり恥しいもの。人から聞いた話。でも、その二人が社長と専務なんて、おもしろいわね」》
https://www.sankei.com/column/news/210321/clm2103210003-n1.html
田中健五は確か「資本主義と闘った男」宇沢弘と府立第一中学校(現在の日比谷高校)で同級生だったはずである。

毎日新聞は3月22日付で「侮辱演出案『ばれなければいい』は大問題 佐々木かをり新理事」(浅妻博之)を掲載している。東京オリ・パ競技大会組織委員会の新理事に選ばれた企業のダイバーシティ推進を支援するコンサルティング会社「イー・ウーマン」社長の佐々木かをりは、次のように語っている。
《気になったのは、「失言が表に出て、渡辺さんにも伝わる時が来たら責任を取って辞表を出すべきだと考えてきた」という佐々木さんのコメントです。漏れなければいい、ばれなければいいという考え方は大きな問題です。彼の提案した発想は不適切で、話が表に出なければいいという考え方は受け入れがたいと思いました。こうした姿勢も改めなければ根本は変わりません。》
https://mainichi.jp/articles/20210319/k00/00m/050/003000c

ライトノベルレーベル「オーバーラップ庫」は、4月25日に創刊8周年を迎える。これを記念して無料生配信イベント「ありふれた放送で世界最強~オーバーラップ庫8周年新情報発表会編~』」が、4月17日に開催される。
イベントではアニメ「ありふれた職業で世界最強」でヒロインを演じた声優の桑原由気日笠陽子を総合司会に迎え、オーバーラップ作品の新情報をスペシャルゲストとともに伝えていく。配信はYouTubeにて4月17日午後5時から。
https://www.oricon.co.jp/news/2187842/full/

◎「講談社の高額本 春のスペシャルバーゲン」が各電子書籍ストアで実施されている。
https://k-kinoppy.jp/kodansha/kogaku_210319/jinbun/web/

白泉社の育児情報誌「kodomoe」は、まだまだ在宅時間の長いオーディエンスに楽しんでもらうよう、以前新聞広告用に作成した「ノラネコぐんだんすごろく」を無料でダウンロードできるようにした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000468.000046848.html

ダイドードリンコは、2021年春夏の新商品として、「名探偵コナンサイダー」を3月22日(月)より発売した。
https://www.dydo.co.jp/corporate/news/2021/210303.html

Instagramのフォロワー数は100万人を超え、「令和峰不二子」と呼ばれているボディメイク美容家・渋谷ゆりの初の書籍「1日3分!愛され美ボディメイク パーフェクトレッスン」が宝島社より発売された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000049091.html

集英社の「少年ジャンプ+」編集部と新規事業開発部は3月18日、採択企業5社とともに、新たな漫画ビジネス創造を目指す「集英社スタートアップアクセラレータープログラムマンガテック2020」の成果発表会を開催した。
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/363060
集英社のDXは他社の追随を許さないレベルにあるのかもしれない

◎ロイターは3月22日付で「トランプ氏、2─3カ月内にソーシャルメディア立ち上げへ=顧問」を配信している。
ツイッターなどの利用が1月の議会占拠事件後に一時禁止となったトランプ前大統領は、2─3カ月内に新しいソーシャルメディアのプラットフォームを自ら立ち上げる見通し。同氏の顧問が21日、FOXニュースの番組で明らかにした。》
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-idJPL4N2LJ0PA

讀賣新聞は3月23日付で社説「五輪海外客断念 安全の追求が開催国の責務だ」を掲載している。
《ただ、これで開催が確約されたわけではない。大会を機に感染が拡大するとの懸念から、中止や延期を求める声は依然、根強い。感染対策を更に強化し、不安要素を着実に取り除かねばならない。
当面は、感染の「第4波」を抑え込むことが最重要課題となる。検査を徹底し、病床や医療体制を戦略的に確保することが大切だ。国自治体が連携し、ワクチン接種も円滑に進める必要がある。》
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210322-OYT1T50198/
東京新聞は3月23日付で社説「海外客見送り 五輪何のため、説明を」を掲載している。
《二十五日には聖火リレー福島県から始まるが、大会開催へのハードルは依然として高い。
政府が昨年十二月に打ち出した大会の感染防止対策は、変異株への懸念によって更新を迫られよう。「感染第四波」の恐れがある中、多くの選手、国内の観客が安心できる、より実効性のある対策を講じることが急務だ。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/93177?rct=editorial
朝日新聞デジタルは3月23日付で「首相、聖火リレー出発式の出席見合わせ 国会日程を理由」を掲載している。
菅義偉首相は23日、福島県で25日に行われる東京五輪・パラリンピックの聖火リレーの出発式への参加を見合わせることを明らかにした。「国会の日程などを総合的に勘案」したとしている。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP3R3FZ4P3RULFA00D.html

◎「現代ビジネス」は飯田一史の「史上最大に達したコミック市場、『鬼滅ブーム』と『巣ごもり』が終わっても『未来は明るい理由』」を発表している。
《90年代後半以降、マンガ市場が2017年まで長きにわたって長期衰退傾向にあったのは、「学校や仕事帰りに書店に寄って雑誌やコミックス新刊をチェックする」という購買行動が減少の一途を辿り、紙のマンガ雑誌が売れなくなり、するとその影響で町の書店やキオスクのコミック販売スペースが減っていき、さらに人々の「定期的にマンガを買う」導線が失われていくという負のサイクルが回っていたことが背景のひとつにある。
ところが2010年代半ば以降、スマートフォン向けマンガアプリが台頭してきた。
これらのマンガアプリでは従来の雑誌の号単位での販売、あるいはコミックス単行本の巻売りに加えて、「話売り」(話レンタル)を導入した。
多くのマンガアプリでは、1日2回配付のチケット制や「待てば無料」モデルを組み合わせて、ユーザーに毎日アプリを立ち上げてもらうことを習慣づけるような設計になっている。
これによって再び「マンガを読む」ことが多くの人の1日のサイクル、1週間のサイクルに組み込まれるようになり、無料分を読み切っても「続きが読みたい!」と思った読者は積極的に課金するようになっていった。「全部買う」というところまで気持ちが高まれば、紙や電子書籍の単行本での一気買いも生じる。》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81015?imp=0
こうした飯田の見立てが正しいのであれば、マンガアプリを制するものが市場を制することになるのは間違いあるまい。ビジネスとして言うのであれば出版業界はマンガ業界に変貌していくことになるはずだ。少なくともビジネスの中心にはマンガが位置することになる。ラノベやTL、BLといったサブカル系の小説化がコミカライズを志向し始めているのは、そうした兆候にほかなるまい。

◎プレジデント社は、働く女性のためのビジネス教養誌「PRESIDENT WOMAN」主催・プロデュース、ツムラ協賛のもと、“食”からキレイを磨く薬膳カフェ「PRESIDENT WOMAN Cafe ―Life with KAMPO―」を3月22日(月)から3月28日(日)までロイヤルガーデンカフェ青山にてオープンしている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000056090.html

白鴎大新学長に北山修が就任することになった。「ピンクの戦車」でも聞きましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=dLq5Rdkukqw
https://www.uta-net.com/song/170182/
堺正章の「さらば恋人」は作詞が北山修、作曲が筒美京平である。フォーククルセダーズでは加藤和彦も、はしだのりひこも鬼籍に入り、現役は北山のみである。

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3)【深夜の誌人語録】

孤独を抱きしめれば愛が生まれる。

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4)【お知らせ】 

」2000号まで、あと49号。