【文徒】2016年(平成28)6月23日(第4巻116号・通巻803号)

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1)【記事】千葉日報オンライン炎上事件
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.6.23.Shuppanjin

1)【記事】千葉日報オンライン炎上事件

千葉日報は6月20日付で「『免責事項』について」なる文章を発表した。
千葉日報オンライン上の「免責事項」ページ(www.chibanippo.co.jp/exemption_matters/)で、免責対象としていた情報の正確性、欠陥があった場合の修正については、『報道機関として最善を尽くした上で』という大前提に立って記載した項目でしたが、読者の誤解を招きかねない不適切とも言える表現であったため、削除いたしました。
今回インターネット上を中心に多数のご指摘を受け、ニュースサイトにおける免責事項の存在意義について社としてあらためて議論する機会をいただきました。
配信内容について報道機関として責任を全うすることは当然のことであり、情報の正確性に関する免責事項を掲げること自体の是非についても意見が飛び交いました。
削除した『免責事項』ページは2006年ごろから掲載しておりましたが、本来、2014年6月に『千葉日報オンライン利用規約(当時『ちばとぴ』利用規約)』を制定した際に同規約内の免責事項に統合されるはずのものでした。同規約内の免責事項についても、内容を精査の上、必要があれば追って改訂したいと考えています」
http://www.chibanippo.co.jp/exemption_matters
「読者の誤解を招きかねない不適切とも言える表現」とは、いったいどのようなものであったのか。削除されたのは次のような表現であった。
千葉日報社は『千葉日報オンライン』上のサービスについて、遅延や中断、その他不都合が生じた場合、いかなる責任も負いません。
千葉日報社は『千葉日報オンライン』で提供された情報の正確性を保証いたしません。また、情報の欠陥が必ず修正されるという保証もいたしません。
千葉日報オンライン』上のコンテンツは、予告なく修正・変更・更新・削除などされることがあります。
千葉日報オンライン』にリンクしたことにより、トラブルや損害賠償問題等が発生した場合には、リンクされた方の責任および費用で処理してください。千葉日報社が損害をこうむった場合には、当社からも損害賠償などを請求することがあります」
http://megalodon.jp/2016-0619-1615-10/www.chibanippo.co.jp/exemption_matters/
確かにこれが新聞社のウエブサイトに掲載されていれば、オーディエンスの誤解を招くのは当然だろう。オーディエンスからすれば千葉日報自らがジャーナリズムの責任を放棄しているかのごとき文言にしか読めまい。ツイッター千葉日報と免責事項を入れて検索すると次のようなツイートが溢れ出て来た。
「新聞社としてのプライドもないらしい免責事項。ゴシップ記事しか書かないよーだ宣言」
https://twitter.com/sakko_o/status/744528947849764868
「正直でいいのではないかな。読者は便所の落書きと同じだと思って読めばいいわけだし」
https://twitter.com/cogen1977/status/744809858117971968
「自分で『うちは情報が正確かどうか保証しないし誤報の訂正も約束しない』って言うのは報道の自殺では…」
https://twitter.com/bigburn/status/744798469034905600
「新聞社としての矜持は完全に捨てたようだ」
https://twitter.com/tsukimine_23/status/744737641870942208
「炎上の責任負いたくないんだろうけど、自分から燃えてどうする」
https://twitter.com/kow_yoshi/status/744614864891437056
「こんな文章掲げたところで実際免責されるわけ無いので、恥のかき損。顧問弁護士変えた方が良いよ」
https://twitter.com/jaguarsan_jp/status/744549965540712448
この問題となった免責事項が千葉日報オンラインに掲載されたのは昨日今日のことではない。「ねとらぼ」によれば2006年から存在していたそうだ。それが「6月19日ごろからネットで話題となり」(「J-CASTニュース」)、一挙に拡散、炎上していったのである。これもSNSの怖さである。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1606/20/news154.html
http://www.j-cast.com/2016/06/20270177.html

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2)【本日の一行情報】

◎ブログ「木走日記」の6月21日のエントリ「『客観報道できないマスメディア』を20日付け紙面で徹底検証〜加熱する朝日と沈黙する読売」によれば、6月20日朝日新聞では、一面「海兵隊撤退求め決議」、二面「沖縄 あふれる抗議」、社説「怒りと抗議に向き合え」、社会面「沖縄 涙 怒り」と前日の沖縄県民大会を踏まえた記事が並ぶ一方で、同日付の読売新聞では1面から社会面まで一件も報じられなかったそうだ。木走が指摘するように「あるメディアが伝える『報道(記事)』は、事実そのものでは決してなく『事実を元に構成され、コード化された表現』(representation)」だということは間違いあるまい。
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20160621

◎原宏一の「ヤッさん」シリーズ(双葉社)が7月からテレビドラマ化され、テレビ東京系列で放送される。
http://www.tv-tokyo.co.jp/yassan/
http://www.futabasha.co.jp/news/index.html#yassan
原は大貫妙子のアルバムに、坂本龍一細野晴臣とともに参加したこともあるという!
http://book.asahi.com/author/TKY200905130147.html
YouTubeで見つけた映像だけれど、これも原なのかな?
https://www.youtube.com/watch?v=uJUcE_rfg6A
https://www.youtube.com/watch?v=Md0BGfIuj2k
往来堂書店が今年の4月に「プチ原宏一フェア」を企画していた。
http://www.ohraido.com/archives/2713
もともと原は「床下仙人」(祥伝社文庫)が「啓文堂書店おすすめ文庫大賞」に選ばれるなど書店人によって再発見されて人気が出て来た作家である。
http://www.webdoku.jp/column/sugie/2009/10/07/104532.html
正しくは「有隣堂ルミネ町田店の書店員が『床下仙人』に惚れ込み、店頭にPOPを掲げたところ、すぐ売り切れに。版元に熱心に掛け合い、文庫化から実に6年たって増刷が決定」し、更に「啓文堂書店おすすめ文庫大賞」に選ばれたということになろうか。
http://book.asahi.com/reviews/column/2011071702993.html

◎学者を名乗っているが、単なるバカでオッチョコチョイなんだよね、古市憲寿は!「夕刊フジ」が鋭い。
「一部で『炎上学者』などと呼ばれておもしろがられているようですが、古市氏の発言を聞くにつけ、違和感を覚えざるを得ません。
挑発的な物言いの数々が、彼の肩書である「社会学者」としての見識や経験からなされているものとはどうしても思えないからです。注目を集めるためにわざとエキセントリックな言動をしているように見えるのは記者だけでしょうか。こうして話題にすること自体も『炎上学者』の術中にはまっているような気もしますが…」
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20160621/plt1606211203004-n1.htm
オレに言わせりゃ、政府の何とか委員が好きな学者にロクな奴はいないということだ。

佐村河内守を「主役」に据えたドキュメンタリー映画「FAKE」が発端となって、森達也監督と「ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌」(文藝春秋)の神山典士がフェイスブックを舞台に舌戦を繰り広げているそうだ。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1666276.html
この「日刊スポーツ」の記事に対しても神山典士は自分に取材がなかったことを怒っている。
https://www.facebook.com/norio.koyama.7/posts/1051962151562506

◎そうだったのか!「週刊ポスト」!「日刊スポーツ」はスクープの段階で相手が誰かを掴んでいなかったそうだ。
「浮かれる同紙とは逆に、本誌記者はハンカチを噛んでいる。実は、本誌は以前から優香の交際を知り、彼女の36回目の誕生日(6月27日)に合わせて祝砲スクープを打とうと準備していたのである」
http://www.news-postseven.com/archives/20160619_422485.html
神山のように怒ることもあれば、裏を取り切れなかった「日刊スポーツ」に対して怒ることもなく、所属事務所を通じて事実をあっさり認めてしまう優香のようなケースもあるということだ。

◎あの世で徳間康快社長は喜んでいるのではないだろうか。ジョン・ウー監督の「追捕」がクランクインした。「追捕」は佐藤純彌の「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイクなのである。というよりも、佐藤純彌の「君よ憤怒の河を渉れ」が中国で公開された際のタイトルが「追捕」なのである。徳間社長は、ほぼ無償で「君よ憤怒の河を渉れ」の中国公開に尽力したのである。原作となった西村寿行の同名小説の版元もむろん徳間書店である。
http://news.aol.jp/2016/06/19/manhunt/

◎宝島社が5月24日に発売したムック「夢をかなえる!私のノート術」が、発売2週間で3刷7万部を突破した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000390.000005069.html

博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2016」時系列分析によれば、「携帯・スマホ」のメディアイメージはさまざまな項目が、この10年間で急伸した。特に「情報が早くて新しい」の伸びが顕著で、昨年「テレビ」を上回り、今年「パソコン」を抜いて67.0%と、2006年の21.2%から3倍以上になった。
また、「自分にとってなくてはならない 自分にとってなくてはならない」(2006年:12.2%→2016年:53.7%)、「知りたい情報が詳しく分かる 知りたい情報が詳しく分かる」(2006年:12.2%→2016年:47.7%)などの伸長も著しい。
ちなみにメディア総接触時間は過去最大の393.8分となり、「携帯・スマホ」と「タブレット」の合計が全体のシェアの3割に迫った。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/06/HDYmpnews20160620.pdf

集英社の女性ファッション誌「シュプール」8月号の特装版の表紙がアニメの「おそ松さん」であることは既報の通りだが、TSUTAYA BOOKSの対象店舗で買うと、一部書店限定特典「おそ松さんA3ポスター」がプレゼントされるそうだ。
http://top.tsite.jp/entertainment/book01/campaign/29359394/index

大垣書店&cafeイオンモール富士宮店がリニューアルオープンした。
http://goo.gl/1HNCzd
大垣書店京都ファミリー店もリニューアルオープンした。
http://goo.gl/nnqQFw

講談社の「週刊少年マガジン」で連載されている赤松健の「UQ HOLDER!」がテレビアニメ化されることになった。アニメ化が発表されたのは「週刊少年マガジン」30号でのことだったが、「UQ HOLDER!」の連載は同号でいったん終了し、「別冊少年マガジン」の10月9日発売11号から月刊ペースで連載が再開されるという。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1606/22/news085.html
UQ HOLDER!」は、赤松自身が考案した同人マークを使用した最初の作品であり、ファンによる二次創作同人誌の製作・即売会での配布を許可している。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1308/28/news121.html

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3)【深夜の誌人語録】

もちろん近道はあるのだろうが、風景を楽しもうと思うのであれば近道を選択するのは愚の骨頂だ。