【文徒】2016年(平成28)年12月9日(第4巻230号・通巻917号)

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1)【記事】DeNAのキュレーションメディアとBuzzFeed
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.12.9.Shuppanjin

1)【記事】DeNAのキュレーションメディアとBuzzFeed

12月7日、DeNAは謝罪会見を開催した。出席したのは創業者の南場智子会長、守安功CEO、小林賢治経営企画本部長。この件では「BuzzFeed」の一連の報道が新聞やテレビなど旧来のメディアに比べて突出していた。何しろDeNAの擁するキュレーションメディアにマニュアルが存在していた事実を守安は「BuzzFeed」の記事で知ったというのである。南場にしてもマニュアルの存在は知らなかったそうだ。
DeNAの擁するキュレーションメディアは、ソーシャルジャーナリズムでも何でもなかったというわけだ。やらせが罷り通っていたわけである。「BuzzFeed」の「DeNAはいつ、誰によって道を誤ったのか ゲームに代わる急成長を託されていたメディア事業」は謝罪会見を踏まえての記事だ。
BuzzFeed Newsが入手した社内マニュアルなどによると、DeNAは『誰でも投稿できるキュレーションメディア』であり、記事の正確性の責任を持たないとしながらも、実際には外部ライターと契約して書き方を指示し、他メディアからの引用とわからないように書き換える手法まで教示していた。
クラウドソーシングサービスを使って、外部ライターと安価で契約し、大量に作成した記事をSEOに力を入れることで、Google検索結果の上位に並べる。これが、DeNAパレット急成長のカラクリだった」
https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/dena-press-conference?utm_term=.dgPV3MVKm5#.jerVkOVP0J
こうした仕組みの構築に関して、山本一郎も早い段階からブログで指摘していたようにキーパーソンとなるのは村田マリ執行役員にほかなるまい。会見ではマニュアルに関して、村田も把握していなかったと説明されたようだ。しかし、この「BuzzFeed」の記事も引用しているが、山本一郎ツイッターで次のように指摘している。
denaはちゃんと説明するつもりがないんかな。ペロリもiemoも最初の事業計画に安価な外部ライターを使ったメディア事業でSEOかけるとはっきり書いてて、その説明を南場智子女史が聞いてるんで知らないわけがないんだよなあ。だから、それまで関わりのあった投資家も高値買収に驚いたわけさ」
https://twitter.com/kirik/status/806431506193268738?ref_src=twsrc%5Etfw
BuzzFeed」は「なぜ、DeNA著作権問題で批判の的だった人物を採用したのか 南場会長の思いは」も掲載している。DeNAは「パクリ」に関して寛容な土壌があったのかもしれない。
「別のネットメディアで『著作権侵害をしている』『コンテンツをパクっている』と指摘され、炎上した人物を、DeNAはその事実を知った上で雇っていた。
この問題について、DeNA側はどう考えているのか。BuzzFeed Newsの質問に答えた。
守安功社長は『著作権に対する認識が甘いと指摘されてもしょうがない。著作権者に対する配慮を含めて、認識が甘かった』と責任を認めた」
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/dena-kaiken-02?utm_term=.wa6B1NBvd6#.kqrzZbzOwr
ネットの世界から「パクリメディア」が消え去ることは、まずあるまい。DeNAの擁するキュレーションメディアであったから話題になったのである。誰でも参入できるインターネットの世界においてメディアやサービスは玉石混交とならざるを得ないのである。DeNAのキュレーションメディアは「石」に過ぎなかったが、「BuzzFeed」は「玉」であることを強烈にアピールしたといえるだろう。
こうも言える。インターネットの表現や言論に「パクリ」は溢れかえっているが、これを告発する力を持っているのもインターネットなのである。

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2)【本日の一行情報】

実業之日本社は「漫画家・きりつき氏の模写問題について」を発表した。
「漫画家のきりつき氏が、弊社刊行の『地獄のデザイナーさん 2』において、他の著作物を参考にして作画をしているのではないか、と読者の方から指摘を受けました。弊社ではこれを受けて、いったん紙版の出荷停止や一部電子版の販売休止などの措置をとりつつ、慎重に調査を進めた結果、作者の作画の方法や著作権に対する認識に問題があり、複数の著作権者様の権利を侵害していたことが確認されました。
弊社としては今回の事態を重く受け止めており、作者ならびに各方面と協議の結果、紙版・電子版ともに、きりつき氏が執筆したすべての作品について絶版・販売中止とする措置をとることといたしました。
著作権者の方々、そして読者やご関係の皆様にご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。今後は二度とこのようなことが起こらぬよう、社員教育の徹底につとめます」
きりつきも「作者からのお詫び」を発表している。
「このたびは、私の著作権に対する認識の甘さから、多方面にご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
本来ならば、自分で構図を考えたり、取材をしたりして作画を進めるべきところ、安易に他の作品を参考にしてしまったことは、プロの漫画家としてあってはならないことであり、心より反省しております。
今回のことでは、元作品の著作権者様、製作に関わる方々、ファンの皆様に対して、大変不快な思いをさせてしまい、まことに申し訳ありません。心からお詫び申し上げます。
今後、二度とこのようなことを起こさないよう、初心に戻って反省し、作画や著作権について一から勉強してやり直したいと考えております。大変申し訳ございませんでした」
http://www.j-n.co.jp/news/?article_id=390
トレース疑惑がツイッターなどで指摘されていた。
https://www65.atwiki.jp/kirituki/sp/pages/16.html

Twitterフォロワー数約19万人に及ぶ2次元男子高校生5人組「サンリオ男子」。その恋愛シミュレーションゲームアプリ「サンリオ男子〜わたし、恋を、知りました。〜」は6日でダウンロード数が10万を突破したそうだ。このゲームのファンブック「サンリオ男子〜わたし、恋を、知りました。〜オフィシャルファンブック」が、12月16日に、ぴあより発売される。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000318.000011710.html

◎中国でもアニメ映画「君の名は。」が大ヒット。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/news/post_122727

◎北海道FM NORTH WAVE、東京J-WAVE、名古屋ZIP-FM、大阪FM802、九州cross fmの5局によるFM局ネットワーク「Japan FM League (JFL)」は、ラジオ普及のプロモーションの一環として、自局リスナーや音楽ファンのためのオリジナルのラジオ端末を作る“JFL×Amadana Music オリジナル・ラジオ制作プロジェクト”を立ち上げた。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000725.000002747.html
ラジオは攻めているという感じがするんだよね。
ラジオに限らず、雑誌にしても防戦に必死になっても後退するだけである。後退を食い止めようと思うのであれば攻め続けるしかないはずだ。

Yahoo!検索大賞はディーン・フジオカに決定した。作家部門賞は村田紗耶香。小説部門賞は「君の膵臓をたべたい」(双葉社)。
http://searchaward.yahoo.co.jp/

◎韓流のEXOがイタリアの「L'UOMO VOGUE」12月号の表紙を飾った。
http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2058511

◎果たして「MERY」は立ち直れるのか?「MERY」の全記事を非公開化し、広告商品の販売を停止しただけではなく、雑誌「MERY」の2017年3月号発売号の延期を決め、雑誌「MERY」で予定していた全キャンペーンの中止を決めた。
http://peroli.jp/news/
実は、私は「MERY」の立体的なビジネスを高く評価していた。「パクリ」さえなければ、このモデルは有効なはずだ。雑誌社はチャンスなんじゃないの?

◎確かにエムオン・エンタテインメントの「andGIRL」は2016年上半期ABC調査で、電子雑誌読み放題ユーザー数が女性誌総合で第1位であった。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/161207/prl1612071852130-n1.htm

トーハンは、河出書房新社との共同企画で「骨気メソッド」に関連する4点を「河出書房新社アウトレットセール」セットとして11月下旬よりトーハン独占販売のMVPブランド商品として全国約350書店で展開している。
http://www.tohan.jp/news/20161206_882.html

トーハンは、12月上旬よりKADOKAWAと協力し、「ラノベ☆レコメンド」を全国約500書店でフェア展開している。「ラノベ☆レコメンド」は、KADOKAWAが発売するライトノベルの中から、今勢いがあり、次代を担う「7シリーズ24点」にスポットを当て、2016年12月から2017年3月までの4ヶ月間に渡り展開する。
http://www.tohan.jp/news/20161208_883.html

アサツー ディ・ケイ11月度単体売上高。新聞が良くて雑誌が悪い。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2016/12/release_Billing_201611j.pdf

電通11月度単体売上高。雑誌が悪い。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016144-1207-2.pdf

◎メディアドゥは、ゲオインタラクティブが12月7日(水)より全国のゲオショップ213店舗で開始する電子コミックのレンタル事業「GEOマンガ」に対し、電子書籍の配信に必要なシステム並びに電子書籍コンテンツの提供を開始した。
http://www.mediado.jp/service/1378/

博報堂と、カルチュア・コンビニエンス・クラブのグループ会社でデータベース・マーケティング事業を手掛けるCCCマーケティング、および博報堂グループの市場調査会社である東京サーベイ・リサーチは業務提携を行い、Tカードの実購買データに基づいた約1,200万人のリサーチパネルの会員を起点とした統合マーケティングサービス「パネルドライバー」を共同開発し、提供を開始した。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/12/20161208_3.pdf

小学館不動産が鹿島の施行で着工した「(仮称)神保町132ビル」の規模は鉄骨造10階建て延べ6400平方㍍で、1階が店舗で3階が貸しホール、4階が貸し会議室となるという。
http://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/161207500036.html
http://www.kensetsu-databank.co.jp/osirase/detail.php?id=40600

パピレスが運営する「Renta! 」の2016年電子書籍売り上げランキング。少女マンガのトップは一迅社の「ヲタクに恋は難しい」である。ヤングレディースのトップは講談社の「逃げるは恥だが役に立つ」だ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000022475.html

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3)【深夜の誌人語録】

聴く耳を鍛えなければ、発信能力は劣化する。