【文徒】2017年(平成29)年6月7日(第5巻105号・通巻1034号)

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1)【記事】トーハン「中吊り広告」漏洩の原因は?
2)【記事】「読売新聞は死んだに等しい」のか?
3)【記事】セブンーイレブンのレイアウト変更
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】トーハン「中吊り広告」漏洩の原因は?

毎日新聞紙面審査委員の山田道子は「サンデー毎日」の元編集長だが、山田の読んだ記事は、むろん「週刊新潮」による「『文春砲』汚れた銃弾」だ。山田は、こう書いている。
「私も実は、記事を読んでそんなに悪いこと?と思った。一番悪いのは、中吊り広告のコピーを許した取次業者のトーハンではないか。文春は素直に認めて『二度としません』と謝ればよかった。そうすれば新潮側もすっきりしたと思う」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20170602/biz/00m/010/004000c
トーハンが今少し倫理的であれば、文藝春秋に「週刊新潮」の中吊り広告を見せることはなかったろうし、文藝春秋に「週刊新潮」の中吊り広告を見せるのであれば、新潮社にも「週刊文春」の中吊り広告を見せるくらいの配慮があっても良かったのではないか。
トーハンの社員が誰ひとりとして、「週刊新潮」の中吊り広告を発売日前々日午後には文藝春秋の営業担当者に貸し渡しすることが、倫理的に問題があると感じられなかったのは、トーハンが日本型官僚組織の典型であったからだと私は指摘しておきたい。一度やってしまうと、それは、今回のように当事者から指摘され問題とならない限り、疑うべくもない「前例」として大手を振るいつづけるということだ。
トーハンがこの問題で社内調査した結果を発表し、そのなかで「当社担当者は、週刊新潮の発売日前々日午後に文藝春秋様に貸し渡しすることによって、内容変更が間に合うとの認識がなかったこと」はおそらく事実なのだろうが、内容変更が間に合うと知っていれば、貸し渡しは行わなかったとしていることには疑問を抱かざるを得ないのである。
トーハンがこの問題で社内調査した結果を発表したことは朝毎読とも取り上げている。
http://www.asahi.com/articles/ASK5J6427K5JULZU00P.html?iref=pc_extlink
https://mainichi.jp/articles/20170606/ddm/041/020/147000c
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170605-OYT1T50160.html

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2)【記事】「読売新聞は死んだに等しい」のか?

5月22日付の読売新聞朝刊に掲載されたスクープ記事「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」について、朝日新聞の別動隊である週刊誌「アエラ」は「読売社員『政権べったり』前川前次官報道に困惑」を掲載している。この記事のなかの「元読売新聞大阪社会部記者でジャーナリストの大谷昭宏」の次のようなコメントが印象的である。
「同じニュースでも東京、大阪、西部それぞれの本社が編集するので、見出しや記事の大きさは異なる。でも、あの記事はすべて同じ。これは依頼が断れない記事を指す『ワケアリ』の特徴です。官邸との癒着を読売は否定するだろうが、内部にいた人間なら誰でもわかる」
https://dot.asahi.com/aera/2017060500063.html?page=1
東京高等検察庁検事出身の弁護士である郷原信郎は自らのブログに「読売新聞は死んだに等しい」を発表している。
「今回、読売新聞が行ったことは、安倍政権を擁護する政治的目的で、政権に打撃を与える発言をすることが予想される個人の人格非難のため、証言をでっち上げたか、事実に反することを認識しつつ印象操作を行ったか、いずれにしても、政治権力と報道・言論機関の関係についての最低限のモラルを逸脱した到底許容できない行為である。しかも、そのような記事掲載は、上層部が関与して組織的に決定された疑いが強く、まさに、読売新聞社という組織の重大な不祥事である」
https://nobuogohara.com/2017/06/05/%e8%aa%ad%e5%a3%b2%e6%96%b0%e8%81%9e%e3%81%af%e6%ad%bb%e3%82%93%e3%81%a0%e3%81%ab%e7%ad%89%e3%81%97%e3%81%84/
毎日新聞専門編集委員与良正男は次のように書いている。
「『こういった在職中に知り得たものを明かすのは(国家公務員法の)守秘義務違反に当たらないかという指摘もされると思うんですけど』
読売新聞の記者だった。前川氏側の答えは『ノーコメント』で終わってしまったから、記者がなぜ、その質問をしたのか意図は分からない。しかし、その守秘義務の壁と私たち記者はずっと戦ってきたのではなかったか。それを記者が問いただす時代になったとは−−と驚いたのだ」
https://mainichi.jp/articles/20170531/dde/012/070/004000c

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3)【記事】セブンーイレブンのレイアウト変更

読売新聞の「店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ」(佐藤昌司)によれば、コンビニのセブン−イレブンが2017年度内に既存店・新店合わせた約1900店舗のレイアウトを変更するそうだ。これによりレジカウンターと雑誌・書籍コーナーの位置が大きく変わる。従来の店舗は「レジカウンターは入り口を入ってすぐ左側にあり、入り口の右手に雑誌・書籍コーナーを配置してい」たが、新レイアウトでは「レジカウンターは入り口左側ではなく、正面奥に配置され」、「窓際一面にあった雑誌・書籍コーナーは、店中央にある小型の棚に移され、その規模もかなり縮小され」そうなのである。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170531-OYT8T50042.html
セブンーイレブン用語に倣って言えば、「食の外部化」や「中食ニーズの拡大」に対応するためのレイアウト変更なのだろうが、これは出版業界にとっては一大事である。佐々木俊尚がこうツイートしている。
セブンイレブンが店舗レイアウトを全面刷新へ。窓際一面にあった雑誌書籍コーナーが、店中央にある小型の棚に移され、その規模もかなり縮小。これ、雑誌に最後のとどめを刺すことになるんでは」
https://twitter.com/sasakitoshinao/status/871504591292116996
この佐々木のツイートにこんなリプライがあったが。この見方、当たっている。
「これ、トーハン役員やってる鈴木氏失脚させたのも要因だろうな。売れなくても部数増させてたのを助ける義理がなくなった、というか」
https://twitter.com/yoshikun2009/status/871590507700301824

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4)【本日の一行情報】

◎Findアクティブラーナーが運営し、教員を中心とした18万人のユーザーが「教え方」を学ぶ教育情報サイト「Find!アクティブラーナー」は、朝日新聞出版の「AERA with Kids」の企画と連動した動画を配信する。
http://www.dreamnews.jp/press/0000154052/

◎6月12日発売の集英社の女性ファッション誌「BAILA」7月号の付録は池野恋のマンガ「ときめきトゥナイト」のイラストが描かれた婚姻届!同号の別冊付録「婚BAILA」と連動した企画だそうである。
https://mantan-web.jp/2017/06/05/20170604dog00m200024000c.html
ときめきトゥナイト」は「りぼん」の黄金時代を支えた作品のひとつ。実写ドラマ化はされていない。

十勝毎日新聞社ニュースによれば、帯広市内の書店「岡書帯広イーストモール店」には生の音楽と喫茶(ドトールコーヒー)の両方を楽しめる「ライブカフェ」が併設されており、昨年7月のオープン以降、月10〜15回のペースでライブが実施されているそうだ。
http://www.tokachi.co.jp/news/201706/20170604-0026747.php

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5)【深夜の誌人語録】

夢を夢で終わらせないためには、目を閉じて夢を見るのではなく、目を開けて夢を見ることだ。