【文徒】2018年(平成30)8月30日(第6巻163号・通巻1337号)

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1)【記事】さくらももこが亡くなった……
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.8.30 Shuppanjin

1)【記事】さくらももこが亡くなった……

さくらももこのオフィシャルブログは、8月27日午後7時30分に「さくらプロダクションからお知らせです。」とさくらももこが永眠したことを報告した。
さくらももこは、平成30年8月15日午後8時29分、乳がんのため永眠いたしました。(享年53)
これまで温かい応援をして下さったファンの皆様、お世話になりました関係者の皆様に深く感謝致しますとともに、ここに謹んでご報告申し上げます」
https://lineblog.me/sakuramomoko/
尾田栄一郎が「ONE PIECE.com」で追悼イラストを公開した。
https://one-piece.com/news/detail/20180828_7829.html
https://rocketnews24.com/2018/08/28/1108537/
さくらももこの「ちびまる子ちゃん」は長谷川町子の「サザエさん」に匹敵する国民的なマンガと言って良いと思う。集英社の少女マンガ誌「りぼん」で「ちびまる子ちゃん」の連載が開始されたのは1986年のこと。この年に加除式法令集の出版で知られる「ぎょうせい」を退社している。
1990年、「ちびまる子ちゃん」がフジテレビでアニメ化されると、さくらももこは主題歌「おどるポンポコリン」を作詞した。しかも、この曲は日本レコード大賞を受賞してしまうのだ。
その後、「ちびまる子ちゃん」のアニメでは「KinKiのやる気まんまんソング」も作詞している。ジャニーズWESTの「ボクら」の作詞もさくらである。KinKi KidsもジャニーズWESTも追悼の言葉を発表している。
https://www.hochi.co.jp/entertainment/20180828-OHT1T50180.html
https://www.hochi.co.jp/entertainment/20180828-OHT1T50188.html
ちびまる子ちゃん」は四コマ漫画として新聞の紙面も飾ることになる。2007年に中日新聞東京新聞北陸中日新聞日刊県民福井北海道新聞西日本新聞河北新報中国新聞徳島新聞神戸新聞新潟日報で連載が開始され、2011年12月31日まで続いた。
さくらももこはエッセイストとしても活躍し、集英社から刊行された「もものかんづめ」「さるのこしかけ」「たいのおかしら」はミリオンセラーを記録している。
さくらももこの訃報はスポーツ新聞が一面で報じるにとどまらず、東京新聞でも一面で取り上げていた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018082802000140.html
さくらももこ静岡県清水市の出身。現在は静岡市清水区。そうしたこともありサッカーとも係わりが深い。FC東京の監督である長谷川健太とは同級生だそうだ。、J1の清水エスパルス日産スタジアムで開催された横浜マリノス戦で喪章をつけてプレーした。チーム関係者以外では初めてのことだそうだ。
https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2018/08/29/kiji/20180828s00002179293000c.html
https://twitter.com/hochi_football/status/1034518466957467648
幻冬舎見城徹も同郷だ。見城は「ちびまる子ちゃん」について「子どもから大人まで幅広い人々の細胞の奥に染み込んだのだと思う」と日刊スポーツに語っている。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201808290000052.html
静岡新聞によれば清水区の「戸田書店江尻台店は、さくらさんの作品を集めた特設コーナーを準備し、在庫の『ちびまる子ちゃん』『コジコジ』などの漫画やエッセーなど約200冊を並べた」そうだ。
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/533378.html
ニベア花王さくらももこのイラストが容器に描かれたスキンケア用品「ニベアクリーム」を9月8日に全国で発売する。これがさくらの遺作となる。
https://mainichi.jp/articles/20180829/k00/00m/040/007000c
さくらももこを追悼するツイートを紹介しておこう。
さくらももこさんは『変な人の価値を賞賛した人』であり『よく見るとみんな変な人じゃん』という幸福な真実を伝えてた人だった。
コジコジはそれを可視化した作品。世の中はあんなだと。面白がればいいんだと。言ってくれてた」(山田玲司 マンガ家)
https://twitter.com/yamadareiji/status/1034411285536890886
さくらももこさんとは、20年ほど前、中島みゆきさんの「夜会」の楽屋でご一緒したことがある。
その時のことが、昨日のことのように蘇った。さくらももこさんとは、同世代だ。
死は、近くにある。だから、今日一日をていねいに生きようと思う」(柳美里)
https://twitter.com/yu_miri_0622/status/1034429998805934080
NHKのニュースで紹介された、さくらももこさんの東日本大地震直後に新聞に掲載された4コマ漫画、オチも何もないどうとあうこともない作品だが、作者の真心が伝わってきて、不覚にも涙が滲んだ。中森明夫氏の『ちびまる子ちゃんは平成精神の最良のものだった』との批評、あるいはそうかもしれない」
https://twitter.com/sotaryoichi/status/1034417110594646016
「すぐに言葉にできずにごめんなさい。
さくらももこ先生に初めてお会いした時の感動と、ケンタくんの役に決めてくださったオーディションが今も鮮明に思い出されます。
先生との出会いに心から感謝しています。どうかゆっくりと、おやすみください」(岩男潤子 声優)
https://twitter.com/iwaojunko/status/1034527861258969088
「同郷の天才が亡くなってしまった。若くして。あの時代の清水のまる子、まだまだ続く事願います。さくらももこさん、別格の癒しをありがとう」(久保田利伸 シンガーソングライター)
https://twitter.com/kubota_4_real/status/1034620981682139136
さくらももこさんって実は凄くマイナーな趣味があるが、作品ではそうした趣味をオブラートに包んで『分かる人には分かる、分からなくても問題ない』地点に落とし込んでいた。花輪くんとか丸尾くん、みぎわさんとかガロ系の作家の名前だものね。『りぼん』読者にはまず分からないだろう」(竹熊健太郎 無料Web漫画雑誌「電脳マヴォ」編集長)
https://twitter.com/kentaro666/status/1034293466262466560
「今さらだけどさくらももこさんの訃報が悲しい
初めて少女マンガを読んだのもアニメで初めて泣いたのもこの方(母の日の回)で初めてエッセイというものを読んだのもこの方の作品でした
子供ながら飲尿療法にはびびったけど
ご冥福を…
今日は”永沢君”を読もう」(荒木健太朗 俳優)
https://twitter.com/borntobemild825/status/1034435379623911425
ちびまる子ちゃんは、子供の頃から日常にあるのが当たり前で、友達のような家族のような存在だった。さくらももこ先生が亡くなられたのは悲しいけれど、漫画を読めばアニメを観れば、また『ちびまる子ちゃんたち』に出会える。改めて、作品の力は本当凄いと思う。ご冥福を心よりお祈りいたします」(ヤマモトヨウコ マンガ家)
https://twitter.com/YY0905/status/1034377174176780288
さくらももこさん死去(享年53)。『ちびまる子ちゃん』1巻に感動し何冊も買って知人に配りまくった。会ったこともない、さくらさんからお礼の電話があった。昭和末のこと。90年代初頭、『週刊SPA!』巻頭頁に出ていただき篠山紀信氏が撮影、私が文章を書いた。話が弾んだ。寂しい。ご冥福を」
さくらももこさんの死は平成の終わりを実感させられる。『ちびまる子ちゃん』は平成精神の最良のものだった。それは漫画の神様・手塚治虫の死が、昭和の終わりを私たちに告げ知らせた事態と匹敵すると思う」(中森明夫 作家/アイドル評論家)
https://twitter.com/a_i_jp/status/1034037740717846530
https://twitter.com/a_i_jp/status/1034038980654772225
いしかわじゅんフェイスブックで次のように指摘している。これは、もっともだと私は思った。
Twitterに「報道ステーションさくらももこさんの訃報を見ていて、ちょっと呆れた。主に『ちびまるこちゃん』について語っていたのだが、それがすべてテレビアニメの『まるこ』についてだったのだ。アニメのまるこは、漫画とは別のものだ。さくらももこが創作したのは漫画であって、アニメではない。」と書いたら3000回以上RTされていて、アニメファンらしき人たちからの反論もたくさんきている。アニメが駄目だとかいってるわけじゃなくて、漫画家の訃報なんだから漫画の話をしろよといってるだけなんだがな」
https://www.facebook.com/jun.ishikawa.16/posts/1808355812575906
「りぼん」(集英社)の相田聡一編集長も追悼のコメントを発表した。
さくらももこ先生の突然のご訃報に際し、心よりお悔やみを申し上げると共にご冥福をお祈りいたします。
『りぼん』1986年8月号より連載開始した『ちびまる子ちゃん』は、たぐいまれなギャグセンスと、親近感あふれる登場人物、そして彼らへ注がれる眼差しの温かさが魅力で、瞬く間に一雑誌の枠を越える大人気作品となりました。その誕生の舞台となったことは、編集部の大きな喜びです。
このたびの早すぎるご逝去を惜しむ気持ちに終わりはありませんが、まるちゃんとその仲間たちの明るい笑顔は、子供から大人まで、読者の皆様の心の中で、いつまでも変わることなく輝き続けます。さくらももこ先生、ありがとうございました」
https://www.sankei.com/entertainments/news/180827/ent1808270005-n1.html

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2)【本日の一行情報】

◎8月29日付日経によれば「JR駅構内の店舗『キヨスク』などへの雑誌の卸売りについて、これまで一手に担ってきた公益財団法人『鉄道弘済会』が10月にも同事業から撤退する」そうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34710470Y8A820C1000000/
売上がピーク時の9割減だという。

◎「カーゴニュース」が「出版物輸送、2〜3年以内に撤退も」を掲載している。この記事はしっかりと読んでおきたい。
「出版物輸送で経営が成り立っていない企業がほとんどで、約半分が2〜3年以内に撤退を考えている――。東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会(滝澤賢司部会長)が行ったアンケートで、出版物輸送の“危機”があらためて浮き彫りになった。雑誌の売上低迷により業量が大幅に減少する一方、コンビニエンスストア(CVS)の店舗増加や納品先の拡大により、『売上が減り、コストは増えている』状況。従来の重量運賃では採算ベースにもはや追い付かなくなっている。運賃値上げも、業量の減少と人手不足に伴うコスト増をカバーするに至らず、収支改善効果は限定的であることも分かった」
http://cargo-news.co.jp/cargo-news-main/1127

◎「VOGUE JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)は、ショッピング・イベント「VOGUE FASHION’S NIGHT OUT」(ヴォーグ・ファッションズ・ナイト・アウト)を、東京9月15日(土)、神戸9月22日(土)、名古屋10月27日(土)、大阪11月17日(土)?18日(日)の国内4都市にて開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000493.000000930.html

◎AAAが表紙を飾った「CanCam」10月号(8月23日売り)は表紙と特集ページが異なる通常版と限定版の2冊が店頭に並んだが、限定版が発売わずか4日で完売し、ファッション誌では異例の高速重版が決定した。
https://www.oricon.co.jp/news/2118407/full/

小学館は5人組ダンス&ボーカル「Da-iCE」のデジタルフォトブックをリリース。全員バージョンの「Da-iCE−5年目の夏は、ずっと一緒に(ハートマーク)−」に加えて、ソロバージョン5冊を同時リリースする。全員バージョンが1200円+税、ソロバージョンが800円+税。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000013640.html

◎「ねとらぼ」が「まん丸でモフモフ 大学の研究室で暮らす『うずら』の漫画が全国の鳥好きさんに読んで欲しいほのぼの感」を掲載。実業之日本社が運営する「COMICリュエル」で公開されている「うずらのじかん」(マツダユカ/協力 上田恵介)を紹介している。第1話〜第14話が収録された単行本「うずらのじかん」も実業之日本社から発売されている。上田恵介はNHKテレビ「ダーウィンが来た!」にも出演している立教大学名誉教授である。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1808/26/news004.html

◎「本屋lighthouse」をご存知ですか。これがホームページ。
https://books-lighthouse.wixsite.com/shortstop/about
「本屋lighthouse」の関口竜平が「note」に「本屋lighthouseにおける『腐った本』への対応について」を掲載した。
「これから本屋lighthouseでは、『僕が』『腐った本だ』と判断した本を出している版元の本は、その売上を、その『腐った本』によって傷つけられているひとたちを支援するために使うことにする。もちろん腐った本そのものは仕入れない」
https://note.mu/books_lighthouse/n/n1cee9d72e044
関口に星野智幸フェイスブックで応じている。
「私は本屋ではないけれど、その版元と仕事をする書き手として、また本を買う消費者として、この書店さんと同じような考え方でいる。
人それぞれ、いろいろなやり方でいいと思う。これはまずいんじゃないか、許せない、と思うのなら、自分なりの基準で、自分なりのアクションを越すことが肝心」
https://www.facebook.com/tomoyuki.hoshino.54/posts/1553044868135161
そんな星野智幸の「焔」(新潮社)が谷崎潤一郎賞中央公論新社主催)に決定した。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20180827-OYT1T50075.html

◎「やや日刊カルト新聞」が「Twitterが本紙被告のアカウントをロック=香山リカ氏にかんする投稿で」を掲載している。
Twitter社は27日、本紙・藤倉善郎被告人兼総裁のアカウントをロックした。藤倉被告は、24日に開催された『オウム事件真相究明の会』の解散集会においてカメラに手をかざすなどして取材を妨害してきた会関係者のうち、特に執拗に醜悪な妨害行為を繰り返した精神科医香山リカ氏の写真をTwitterに投稿。これがプライバシー侵害にあたるとして、Twitter社は藤倉被告への事実確認等も行わずに投稿を削除し、アカウントをロックした」
http://dailycult.blogspot.com/2018/08/twitter.html

読売テレビのインターネット事業・戦略を担うytvメディアデザインは、関西の女性にターゲットを絞ったオンラインメディア「anna」(アンナ)をローンチ。
https://anna-media.jp/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000035179.html
デザインは違うけれどスペルが「anan」(マガジンハウス)に似ている。

◎産経ニュースの「暴論異論」は、こう書く。
「少し前に、出版社『文藝春秋』の人事内紛が報じられたが、同社の問題は内紛だけではないのではないか。朝日新聞やNHK、岩波書店という『進歩的文化人』のメディアと戦ってきた月刊誌『文藝春秋』などで、その批評精神が失われているのではないか」
https://www.sankei.com/column/news/180828/clm1808280007-n1.html
文春OBにして『月刊Hanada』の編集長たる花田紀凱が「正論」10月号に登場して西尾幹二と対談しているんだって!花田の腰の軽さとフットワークの良さは見習いたいものである。

◎チャット小説アプリ「Balloon」を運営するFOWD社は「チャット小説大賞」を創設する。小学館の女性マンガ誌「Sho-Comi」および電通が協賛パートナーとして参加するそうだ。
https://web.chatfiction.me/events/chat-story-awards/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000026706.html

トランプ大統領がグーグル、フェイスブックツイッターに警告を発した!
「トランプ米大統領はアルファベット傘下のグーグルやフェイスブックツイッターに対し『慎重になった方が良い』と警告した。この発言に先立ち同大統領は、自身に不利なニュースが優先されるよう検索結果が操作されていると述べていた」(ブルームバーグ)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-28/PE61R26TTDS601

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3)【深夜の誌人語録】

手を抜くことと力を抜くことは天地ほどの違いがある。