【文徒】2018年(平成30)12月11日(第6巻232号・通巻1406号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】神永曉「辞書編集、三十七年」(草思社)と「日本国語大辞典」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.12.11 Shuppanjin

1)【記事】神永曉「辞書編集、三十七年」(草思社)と「日本国語大辞典」

私も振り返ってみれば、1年ほどCM制作会社でPMをつとめた後は、37年ほどギョーカイ誌「一筋」で仕事をして来たわけだが、同じ「一筋」でも全く重みが違うものである。神永曉の場合は、「辞書編集、三十七年」(草思社)なのである。「辞書編集、三十七年」の記述によれば、神永は1980年に小学館の関連会社であっ尚学図書に入社し、1993年に小学館に移籍し、2017年2月10日に小学館を定年退職するまで37年間にわたって辞書編集「一筋」の人生を送って来たのである。
「三十七年間は、ありきたりな表現だが、あっという間の出来事だった。しかもその間に、人さまに誇れるような大きな仕事を成し遂げたわけではない。波乱万丈の人生だったわけでもない。ただ一つだけ他の人と異なることがあるとしたら、その年月をほぼすべて辞書編集者として過ごしてきたということだけなのである」
神永は私が「ニッコク」と呼んで親しんでいる「日本国語大辞典第二版の元編集長でもある。親しんでいると書いたが私は「日本国語大辞典」を持っているわけではない。厳密に書くならば、ジャパンナレッジパーソナルの会員として「ニッコク」に親しんでいるわけである。周知のように、「日本国語大辞典」は日本最大の国語辞典である。
「私が『日国』第二版で主に担当したのは、この用例部分についてであった。各部会では新たに採取された用例をもとに語釈の原稿を改稿していく。その際に、その項目の中で新たに引用される用例が本当に適切かどうか、原典に当たり直すという作業を行ったのである。これを編集部内では『出典検討』、略して『出検』と呼んでいた。これは『日国』初版でも行っている」
私などのような半端者からすれば気の遠くなるような作業にほかならないが、これを厭わず、地道に、正確に取り組めないようでは辞書の編集者という「いささか特殊な仕事を生業」とはできないのである。
そうそう本書を読んで初めて知ったのだが、「日本国語大辞典」初版の編集部で最も年齢の若い編集者は大島史洋だったという。そう「未来」に属する歌人の大島史洋である。
いま僕におしえてほしいいちにんの力のおよぶ国のはんいを
生き方を問われていたる青年のコーラを一気にのみほせる見ゆ
職場には友はいらぬと言いしかば波ひくごとくうとまれてゆく
傷つきし心の癒ゆるしくみなど知るよしもなく吾は眠りぬ
大島史洋の兄がマガジンハウスで「鳩よ!」の編集長をつとめた大島一洋である。二人の縁戚に朝倉喬司という犯罪にかかわる数々の傑作を残して世を去った「鬼才」がいたことも付記しておこうか(ギョーカイ誌的にいえば「週刊現代」記者会を結成した人物ということになろうか)。
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2370.html

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2)【本日の一行情報】

◎お城情報WEBメディア「城びと」は東北新社が運営している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000118.000014654.html
https://shirobito.jp/article

◎「ヤングアニマル」(白泉社)連載の「上野さんは不器用」(tugeneko)がテレビアニメ化され、1月6日よりBS11TOKYO MXJ:COMテレビで順次放送される。配信も1月6日よりdアニメストア、AbemaTV、niconicoで順次スタートする。
https://natalie.mu/comic/news/311025

◎「【話題の1冊】 著者インタビュー 廣末登 ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。―極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記―新潮社 1,300円(本体価格)」は「週刊実話」の記事である。今回、廣末登が取り上げたのは福岡県北九州市に本拠を置く指定暴力団工藤會で専務理事を務め、数年前に脱退した中本隆である。
https://news.nifty.com/article/entame/jitsuwa/12151-140235/
https://www.shinchosha.co.jp/book/351192/

◎「春オンライン」は「賛否両論 東海テレビ『さよならテレビ』プロデューサーが語った『さよならの本当の意味』」で東海テレビの阿武野勝彦プロデューサーにインタビューしている。
「――9月に放送された『さよならテレビ』はこれだけ話題になって、映画化希望の声はもちろん、ネット配信を希望する声もあるようです。この先、ドキュメンタリー番組の動画配信は考えていませんか?
阿武野 そういう声があることは知っています。ただ、なぜ映画館で上映することにこだわるかというと、見ず知らずの他者を感じながら、同じ場所で私たちの映画を観てほしいという思いがあるからなんです。ネットだと好きな時に、好きな場所で、一人で観れちゃうでしょう。これじゃ、つまらない」
http://bunshun.jp/articles/-/9917
http://bunshun.jp/articles/-/9918

徳間書店は、芥川賞大江賞谷崎賞受賞作家である長嶋有の約一年半ぶりとなる新刊「私に付け足されるもの」を12月18日(火)より全国順次発売する。代官山蔦屋書店では2019年1月17日(木)19:00より、トークショー&サイン会を開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000168.000016935.html

◎Huluプレミア「NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち」は女性誌コスモポリタン」の元編集長ジョアンナ・コールズの半生を元に描かれるドラマだそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000023394.html

博報堂グループの博報堂プロダクツは、コンタクトセンターとフルフィルメントの一体運営に強みをもつテレマーケティング会社である日本トータルテレマーケティング資本提携をした。
https://ecnomikata.com/ecnews/21092/

◎12月6日、電通ホールで開催されたイベント「ジェンダーとコミュニケーション会議」(外務省・東映エージェンシー主催)に「VERY」(光社)の今尾朝子も登壇し、「ハフポスト日本版」によれば次のように語ったそうだ。
「読者の方と話していると、『主人』から『旦那』という呼び方に変わって、最近は『夫』という呼び方を使う人が多くなっている。『夫』以外だと、『パートナー』とか。自分のパートナーを何と呼ぶか、意識的に考えている女性の方が増えていると感じます」
https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/06/gender-communication_a_23610366/

◎2013年にシリーズ1作目が登場し、2018年7月までに16作が発売され、累計440万を数える主婦の友社の「大山式 魔法のパッド」シリーズから、歴代パッドの「いいとこどり」を実現した5周年記念モデル「つけるだけ 歩くだけでやせる 魔法のパッド ∞」が発売された。
https://ddnavi.com/review/505381/a/

◎「本の雑誌」による「おすすめ庫王国2019」で第1位に選ばれたのは、中村計の「勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇」(集英社庫)だった。2位は、「アガサ・クリスティー完全攻略 決定版」(クリスティ庫)、3位は小野寺史宜の「ホケツ」(祥伝社庫)。
https://getnews.jp/archives/2102707
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-745768-1

◎「ハフポスト日本版」が掲載した「ゴールデンカムイ、大英博物館の公式Twitterを飾る。」は、こう書く。
「日本の人気漫画『ゴールデンカムイ』に登場するアイヌの少女『アシリパ』が、ロンドンの大英博物館の公式Twitterのトップ画像を飾った。
日本の漫画の歴史を原画とともに紹介する『漫画展』のPRの一環だ。2019年5月23日から8月26日まで開催される。共同通信によると、日本国外での漫画展としては世界最大規模になるという」
https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/06/golden-british-kamuy_a_23611211/

パピレスが運営する「Renta!」は2018年ジャンル別電子書籍売上ランキングを発表した。
少女マンガは1位「ねねね」(スクウェア・エニックス)、2位「【分冊版】誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~」(フロンティアワークス)、3位「ヲタクに恋は難しい」(一迅社)。
少年マンガは1位「転生したらスライムだった件」(講談社)、2位「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」(スクウェア・エニックス)、3位「失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~」(スクウェア・エニックス)。
レディースコミックは1位「ゴミ屋敷とトイプードルと私」(小学館)、2位「凪のお暇」(秋田書店)、3位「添加物まみれの母性」(笠倉出版社)。
ヤングレディースコミックは1位「あなたがしてくれなくても」(双葉社)、2位「私たちはどうかしている」(講談社)、3位「失恋未遂」(双葉社)。
青年マンガは1位「この愛は、異端。」(白泉社)、2位「復讐の未亡人」双葉社、3位「ギフト±」(日本芸社)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000022475.html

三井不動産商業マネジメントが運営するららぽーと横浜は、2019年3月の大型リニューアルを控え、12月14日(金)から、創刊60周年を迎える「週刊少年マガジン」(講談社)が擁するキラクターとタイアップし、リニューアル前最後の「史上最強の売り尽くしセール」を開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000306.000002198.html

◎「週刊少年マガジン」にて連載されている五十嵐正邦のラブコメ川柳少女」が2019年春にTVアニメ化されることになった。
http://hon-hikidashi.jp/enjoy/69828/

◎「島田範正のIT然」が「デジタルメディア、早くも厳しい生存競争の時代に」をエントリしている。私たちが直面しているのは「収入源の多様化を図らねば、有力デジタルメディアと言えども生き残れない時代」だということは肝に銘じておかねばならないはずだ。
https://rp.kddi-research.jp/blog/srf/2018/12/07/media-2/

◎この章、お歳暮に添えられた「挨拶」なのだが、なかなか心がこもっている。白泉社の菅原弘社長だ。オレもジャガイモが好きだよ。
https://twilab.org/item/1070901045176352768

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3)【深夜の誌人語録】

最大の錯覚は自分が正しいと思うことである。