【文徒】2020年(令和2)3月24日(第8巻53号・通巻1710号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】K-1さいたまスーパーアリーナで格闘技イベントを強行開催
2)【記事】「参加の同調圧力」から「自粛の同調圧力」へ
3)【記事】遠のく東京オリンピック7月開催 決断の時を迎えるIOC
4)【記事】木村伊兵衛写真賞が決まった
5)【本日の一行情報】
6)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】K-1さいたまスーパーアリーナで格闘技イベントを強行開催

毎日新聞は3月21日付で「さいたまスーパーアリーナK-1西村担当相も自粛要請 主催者は決行へ」を掲載している。
さいたま市さいたまスーパーアリーナで22日開催予定の格闘技イベントについて、西村康稔経済再生担当相は21日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、主催者側に自粛を求めるよう、大野元裕埼玉県知事に要請した。》
https://mainichi.jp/articles/20200321/k00/00m/050/224000c
時事通信は3月22日付で「埼玉県知事、自粛要請のK1開催『残念』 6500人が入場」を発表している。
《埼玉県の大野元裕知事は22日、県庁で記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国と県が主催者に繰り返し自粛を求めていた総合格闘技イベント「K―1 WORLD GP」が同日、さいたま市で開かれたことについて「強制的に中止させる権限はないが、こういう形でイベントが開催されたのは残念だ」と述べた。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032200367&g=soc
朝日新聞は3月22日付で「自粛要請、でもK-1決行 『最大限の予防策講じた』」を掲載している。
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで22日、格闘技イベント「K―1 WORLD GP」が開かれた。主催者発表によると、来場者は6500人。》
《…主催者側は来場者全員にマスクを配り、入り口に体温測定器を設置。会場の扉を開放して換気するなど、「最大限の予防策を講じた」(中村拓己プロデューサー)とした。感染者が出た場合に感染経路をたどれるよう来場者に名前、住所、電話番号の提出を義務づけた。》
https://www.asahi.com/articles/ASN3Q6QBSN3QUTNB00Q.html
K―1が講じた最大限の予防策として実行された《会場入口にてミネラルウォーターを無料配布》や《会場内では加湿器と次亜塩素酸水を使った空間除菌》は専門家から効果がないと言われていることである。
https://www.k-1.co.jp/news/32049/
タイではムエタイの競技場で集団感染が起こったそうである。当然、K―1関係者は知らないでは済まされない情報である。
《タイの国技である格闘技「ムエタイ」の二大殿堂の一つ、ルンピニー・スタジアムで3月6日に行われた試合で集団感染が発生していたことが分かった。他の競技場でも感染が発覚し、現時点でムエタイ絡みの感染者数は観客やその家族など合わせて125人(3月22日現在)に上っているが、政府はさらに数百人が感染している恐れもあるとみていて、事態は深刻だ。》
https://www.fnn.jp/posts/00050859HDK/202003221730_sasakimakoto_HDK
西村康稔経済再生担当相がツイートしている。
《#埼玉スーパーアリーナ でのK1イベントは県からの自粛要請にもかかわらず開催されたと承知してます。極めて遺憾。私から大野県知事に対し、主催者において自粛や、どうしても開催する場合十分な感染予防策など対応が取られるよう要請。参加者の連絡先把握、マスク着用等の措置がとられたと聞いてます。》
https://twitter.com/nishy03/status/1241703859392614405
ジャーナリストの岩上安身は、K―1が開催を強行したことで、コロナ対策のタガが外れることを危惧している。
《信じがたいことに、西村康稔内閣府経済再生担当兼新型コロナ対策担当大臣が、K-1に対して、埼玉県知事を通じて自粛するようにと正式に要請したにもかかわらず、K-1運営は耳を貸さず、振り切って決行! ここまでくると本当に社会問題! これを皮切りにタガが外れたら日本のコロナ対策は全く無駄になる。》
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1241671238725984257
岩上は、仙台にも5万人が集まったこともツイートしている。
《仙台には聖火が到着したというだけで、5万人を超える群衆が集まってしまったと聞いています。群衆を集めてしまう、ということは、クラスターを発生させる確率を著しく高めます。K-1のような民間イベントに自粛を要請するならば、まずは聖火リレーを即時中止すべきです。でないとタガが外れていく。》
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1241710370663723008
毎日新聞は3月21日付で「仙台で聖火見物5万人 感染リスクの数時間行列 組織委、再び密集なら中止検討」を掲載している。
東京オリンピックの聖火を東日本大震災の被災3県で巡回展示する催し「復興の火」は21日、仙台市で行われ、約5時間半で約5万2000人が観覧した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、主催する宮城県は混雑緩和に努めたが、想定(1万人)の5倍以上の人出に500メートルを超える長蛇の列ができた。感染リスクが高まる密集の中、数時間待つ状態が続いた。》
《県はボランティアら誘導員約90人態勢で速やかな移動を呼び掛けたが、担当者は「見込みが甘かった。土曜で好天にも恵まれ、ここまでの人が押し寄せるとは想定していなかった」と話した。》
https://mainichi.jp/articles/20200321/k00/00m/040/212000c
民間には自粛要請しても、オリンピックだけは特別なようである。鈴木耕が呟く。
《「K-1」には不快感や抗議の意を表明する政府だが、5万人も押し掛けた仙台市での「聖火イベント」にはなんの反応もしない。ヘンじゃないですか?》
https://twitter.com/kou_1970/status/1241911023939907584
いずれにしても、弁護士の山口貴士の次のように指摘には耳を傾けても良いのではないか。
《全体の利益のために特定の事業者に不利益を負わせるのであれば、然るべき補償をするのが本筋であり、不謹慎棒を振りかざして、自粛を強要して中止による損失の負担を民間の自己責任で済ませようとするのはおかしい。》
https://twitter.com/otakulawyer/status/1241393943754891264
総合格闘家でマネジメントやメディア運営・企画を手掛ける青木ファミリー代表取締役青木真也が「NEWS PICKS」に次のように書いている。
《格闘技業界の人間です。
今大会はK-1最大級のビックイベントです。
格闘技イベントは簡単にイベントを飛ばせるほどに余裕のある状態ではないです。主催側も選手側も1イベントが飛んだときは生活を脅かすレベルで危機を感じます。
そこで自粛を要請をしても、要請であって、やるかやらないかは主催者が決めることです。当然、今の利をとってやる判断もあるだろうし、リスクを考えてやらない判断も正解です。
要請を聞いたところで判断して、開催を選んだら、イベント前日に「自分たちは自粛を要請した」と表明するやり方をずるく感じてしまいます。中止命令にして、開催費用を負担するくらいのことをすればいいし、要請で中止した場合も損失補填を保証してくれたのであれば、状況も変わっていたはずです。
イベント側の言い分も聞いて、いいところで着地させてほしいところです。
命賭けてイベント作っているので、やらずに死ぬのであれば、やって死ぬとなるのは僕は理解できます。》
https://newspicks.com/news/4744535?ref=user_351358&u=psyqsr&from=twitter&invoker=share_twitter_uid351358
具体的に言えば、休業補償をどうするかである。朝日新聞記者の丹治順吉は休業補償を急いで出す必要があるとツイートしている。
《今日のK-1ではっきりしたけれど、やはり休業補償ですね。急いで出すしかない。まさに「東京」と「大阪(宝塚は大阪近郊)」で再開する宝塚も。
学校の休校要請は唐突だったけれど、危機感を広める効果はあった。それも緩まるとなると、「台風一過」とばかり楽しみ出すのも、この国の国民性。》
https://twitter.com/tanji_y/status/1241702686375862272
橋下徹はK―1の強行開催によって新型コロナウイルスの感染が拡大すれば、それは政治の責任であり、社会防衛のために止めるなら「命令」の上、正当な補償をすべきだとツイートしている。
《法に基づかない要請も、法に基づく指示も国民に対する影響力は同じ。どちらも罰則がないのに、国民は普通従う。権力からの要請はそれほど影響力があるので法で縛る必要がある。実際、権力側には法に基づかず中止させようとする意図があった。法に基づく指示は区域、期間、種類を定めなければならない。》
《ところが法に基づかない要請は何も定めることなく権力側のフリーハンド。国民からすると法に基づかない要請の方がよほど強権的。そして政府は何も責任を取らない。今回、K1イベント埼玉アリーナで感染拡大すれば政治の責任。社会防衛のために止めるなら「命令」の上、正当な補償を。憲法29条3項。》
《法があくまでも要請にとどめているのは補償を回避するため。憲法29条3項に抵触しないように各国「要請」にした。ところが政治行政は事実上のプレッシャーをかけて中止に追い込む。そして補償はしない。究極の悪知恵。》
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1241659010677239809
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1241659012321402880
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1241663167316365317
スポーツ報知は3月23日付で「『払い戻しできないので来た。感染は自己責任』K―1強行開催にファンの声」を掲載している。
《会場に足を運んだ観戦客の大半は、運営側のマスク配布や着用、アルコール除菌を徹底する対策に「できる限りのことはやっていた」と口をそろえる。ただ、観戦に来た40代の会社員男性からは「払い戻しできないと聞き、チケットを無駄にしたくないので来た。こういう状況なので、感染は自己責任。とはいえ、高校野球も自粛しているのに開催はちょっと…」と開催に対する疑問の声も聞かれた。》
https://hochi.news/articles/20200323-OHT1T50029.html
江川紹子のツイート。
《イベント強行は、何の損失補償もせず主催者の倫理観に委ねる政府の対策の欠陥を示しているが、健康上の懸念等から行かない選択をしたい客にも払い戻しをしないこの団体は、客の健康とかより自分たちの経営が大事なんだろうなと思う》
https://twitter.com/amneris84/status/1241909541639352321
江川は更にK-1がイベントを強行したことが他のイベントに悪影響を及ぼすことを懸念する。
《私は、感染リスクが低いイベントは、対策を十分にしながら実施した方がいい、という考えだけど、そういうイベントであっても、リスクを感じる客が行かない選択をしやすいよう払い戻しには応じてもらいたい。K1強行が、低リスクイベントの開催にまで悪影響を及ぼさないように、とも願う》
《もちろん、お客やファンが、イベントや主催者、出演者などを応援する趣旨で、行かないけど(あるいは、中止になっちゃったけど)払い戻しは受けない、というのも1つの判断。》
https://twitter.com/amneris84/status/1241915196936835072
https://twitter.com/amneris84/status/1241915648155848704
共同通信は3月23日付で「菅氏、大規模行事自粛を再要請 K―1開催受け」を発表している。
菅義偉官房長官は23日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、大規模な全国的イベントの開催自粛を重ねて要請した。大規模格闘技イベント「K―1 WORLD GP」が22日にさいたま市で開かれたことについて「『慎重な対応が求められる』との専門家会議の見解を踏まえ、引き続き慎重な対応をお願いする」と述べた。》
https://this.kiji.is/614656967867139169?c=39550187727945729

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2)【記事】「参加の同調圧力」から「自粛の同調圧力」へ

「世界軍歌全集 歌詞で読むナショナリズムイデオロギーの時代」「日本の軍歌 国民的音楽の歴史」「大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争」「空気の検閲 大日本帝国表現規制」などの著作で知られている辻田真佐憲がツイートしている。
《民間イベントは自粛要請するのに、聖火関係のそれは断固決行。報道写真を見る限り、屋外とはいえ、人もかなり密集している。諸外国では予選が行えず、国内でも大学の授業開始が遅れ、ボランティアの確保にも支障が出るのは必至なのに、「本土決戦派」はなお予定どおり開催を諦めていないらしい。。》
https://twitter.com/reichsneet/status/1240918719125057536
「本土決戦派」は撤退を転進と呼ぶ「美しき国」の伝統を守ろうとしているのだろうか。集団感染はクラスター、爆発的感染はオーバーシュートと言い換える。私は「意味の骨抜き」と呼んでいるのだけれど。
辻田真佐憲が「藝春秋digital」に連載している「〈視聴覚〉のニッポン考」で「東京オリンピックは『参加の同調圧力から『自粛の同調圧力』へ」を発表している。辻田からすれば伝統を守ろうとしているのではなく、「昭和史の摘み食い」をしているということになる。辻田は、こうも書いている。
《おそらく東京オリンピックは、擦った揉んだの挙げ句、外圧(WHO、IOC、米国など)によって良くて延期、最悪で中止となるのではないか。
そこで恐れるべきなのは、新しい同調圧力の出現である。国策イベントである東京オリンピックですら延期・中止になった。それなのに、なぜお前は自粛しないのか。こういう「自粛の同調圧力が懸念される。
これは事前に警戒されていなかった分、国民団結して東京オリンピックに参加しようと促す「参加の同調圧力」よりも厄介だ。すでに自粛せず、イベントを決行したライブハウスへの嫌がらせなども起きているという。
それにしても、東京オリンピックはとんでもない難物になってしまった。進むも地獄、退くも地獄。「参加の同調圧力」にさえ注意すればよかった昔日が懐かしくも思われるのである。》
https://bungeishunju.com/n/n8671c51a5ca6
なるほど辻田は《「本土決戦派」が断固実施を訴えていますが、たぶん延期か中止になる東京オリンピック。それを見越して、来たる「自粛の同調圧力」について書》いたというわけか。
https://twitter.com/reichsneet/status/1240837613986017280

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3)【記事】遠のく東京オリンピック7月開催 決断の時を迎えるIOC

時事通信は3月22日付で「ドイツ選手、出場辞退表明 フェンシング『練習できない』―東京五輪」を発表している。
新型コロナウイルスの感染拡大により開催が危ぶまれている東京五輪について、フェンシング男子でドイツ代表入りを決めているマックス・ハルトゥング(30)が、予定通り7月24日に開幕する場合は出場を辞退すると明らかにした。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032200382&g=spo
カナダのオリンピック委員会は2020年夏の東京オリンピック選手団を派遣しないことを正式に表明した。
https://olympic.ca/press/team-canada-will-not-send-athletes-to-games-in-summer-2020-due-to-covid-19-risks/
https://www.asahi.com/articles/ASN3R3RFYN3RUHBI017.html
共同通信は3月23日付で「豪州、五輪は1年延期前提で準備 現状で選手団結成は不可能」を発表している。
https://this.kiji.is/614659981938689121
朝日新聞デジタルは3月23日付で「首相、東京五輪の延期容認 『中止は選択肢にない』」を掲載している。
安倍晋三首相は23日午前の参院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国際オリンピック委員会IOC東京五輪の延期の検討を始めたことについて、「(大会の)完全な形での実施が困難な場合、延期の判断も行わざるを得ない」と述べた。IOCの判断次第で、延期を容認する考えを示したものだ。》
https://www.asahi.com/articles/ASN3R34MFN3RUTFK007.html
NHK NEWS WEB」は3月23日付で「東京五輪・パラ 延期含めた検討開始 4週間以内に結論 IOC」を公開している。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて東京オリンピック・パラリンピックの開催に懸念が広がるなかIOC=国際オリンピック委員会は22日、大会の延期を含めた具体的な検討を組織委員会などとともに始め4週間以内に結論を出すと発表しました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200323/k10012344641000.html
東京新聞は3月23日付でジュネーブ共同発の「IOC結論先送りに選手から非難 『無責任 』『意味不明』」を掲載している。
アテネで行われた東京五輪の聖火引き継ぎ式で最終走者を務めた陸上女子棒高跳び五輪金メダリストのエカテリニ・ステファニディ(ギリシャ)は、新型コロナウイルスの感染拡大を不安視して「周囲の人を危険にさらしながら練習し続けなければいけない。意味不明だ。延期は不可避に思える。なぜ待つの」とツイッターにつづった。》
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020032301001938.html
福島県Jヴィレッジからスタートする聖火リレーで、第1走者を務めるはずだった2011年サッカー女子ワールドカップで優勝した「なでしこジャパン」のメンバーである川澄奈穂美が聖火ランナーを辞退するとツイートした。
新型コロナウイルスの影響で、今回の聖火リレー走者を辞退いたします。米国在住の為移動時にリスクが高いこと、自分が感染しない・感染源にならないこと、チームやファンの方々に迷惑をかけないことなどを考慮し決断しました。一日も早い終息と皆様の健康を心から願っています。》
https://twitter.com/NahoKawasumi_9/status/1241911172020015105
朝日新聞デジタルは3月23日付で「小池知事も五輪延期容認の可能性示唆 IOC発表受け」を掲載している。
《7月開幕の東京五輪について、国際オリンピック委員会IOC)が延期を含めた検討に入ると発表したことを受け、小池百合子事は23日、報道陣に「IOCは、中止はないと明言されている。その点、私と同じ考えであると共有できてよかった」と述べた。》
https://www.asahi.com/articles/ASN3R3G6VN3RUTIL007.html
日経は3月23日付で「五輪の通常開催見直し示唆 組織委の森会長」を掲載している。《東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長は23日、国際オリンピック委員会IOC)が2020年東京五輪について延期を含めた検討に入ると発表したことを受けて東京都内で記者会見し、「いろいろなところからいろいろな声があるのに、最初の(計画の)通りにやるんだというほど我々は愚かではない」と述べ、通常開催の見直しを示唆した。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57101430T20C20A3CC1000/?n_cid=SNSTW001
茂木健一郎東京オリンピックについて連続ツイートしている。
東京オリンピックパラリンピックは延期が避けられない状況になってきた。目指してずっと練習してきたアスリートの皆さん、開催に向けて作業してきた関係者の皆さん、ホテルや旅行業界の皆さんにとっては本当に残念な状況だけれども、仕方がない。今の世界はそれどころではない。》
《しかし、東京オリンピックの延期という決定は極めて難易度が高い。他のスポーツイベントとの調整ということもあるけれども、何よりも新型コロナウイルスの終息への時間進行が全く見えないことである。仮に秋に延期したり、一年後に延期したとしても、それまでに終息しているかどうかはわからない。》
新型コロナウイルスが世界のある地域で終息したとしても、他の地域で流行を続けるかもしれない。感染と気候の関係はよくわかっていないが、仮に北半球で感染が下火になっても、南半球で感染が続くかもしれない。地球のどこかで、感染が続いていると、それだけでオリンピック開催には懸念材料になる。》
《何よりも本質的な懸念は、オリンピックというイベント自体が、地球上の国、地域が網羅的に参加する、グローバル化を象徴する存在だということで、その開催に伴う人の移動が、今回のコロナウイルスの感染拡大が足元から揺らいでいることである。これだけの時間を延期したらそれで無事という保証がない。》
新型コロナウイルスの感染拡大という事態と、それに対する人類の適応は、グローバル化による人、モノの自由な移動という価値観と真逆にならざるを得ず、この事態が収まらない限り、グローバル化の象徴とも言えるオリンピックの開催は、難しい。IOCが、これだけ延期すればだいじょうぶという保証がない》
東京オリンピックは延期すればいい、と安易に言えないのは、1年延期しても2年延期しても、それは現時点では「仮説」に過ぎないということで、もはや何時開けるか正直わからない。多くの人が楽しみにしていた東京オリンピックだけれども、出口もない、見通しもきかない暗闇の中に投げ込まれてしまった》
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1241852226097647616
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1241852605527023616
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1241853049364086784
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1241853427098857473
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1241853830410563584
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1241854360042127362
舛添要一のツイート。
都知事として東京五輪を準備してきた経験から言うと、中止よりも延期の方が難しい。諸施設は2年先まで予約が一杯だし、ビッグサイトはあと1~2年も展示場に使うなと言うのは無理。選手村改築分譲住宅も販売済み。延期のほうが中止よりもコストは大きいかも。私の願いとは逆だが、結論は見えている。》
https://twitter.com/MasuzoeYoichi/status/1241715584124866563
映画「れいわ一揆」で主役をつとめた東大教授の安冨歩が呟いている。
《オリンピックは、中止ではなく、廃止すべき。
これだけワールドカップとか各種競技でやりまくっている時代に、もう完全にどうでもいいスポーツイベントに過ぎん。》
https://twitter.com/anmintei/status/1241922305888071688

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4)【記事】木村伊兵衛写真賞が決まった

木村伊兵衛写真賞は片山真理と横田大輔に決まった。「アエラドット」が二人のプロフィールを公開している。
《片山真理(かたやま・まり)
1987年、埼玉県生まれ。群馬育ち。2012年東京藝術大学学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断。身体を模った手縫いのオブジェや立体作品、装飾を施した義足を使用しセルフポートレートを制作しつづけている。また、歌手、モデルとして、また執筆、講演など、多方面で活躍している。》
《横田大輔(よこた・だいすけ)
1983年、埼玉県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。2010年に第2回写真1_WALL グランプリ、13年にOUTSET|UNSEEN Exhibition Fund、16年にFoam Paul Huf Award受賞。『VERTIGO』『MATTER/BURN OUT』ほか数多くの写真集を発行。写真を物質としてとらえ、実体化させるなど、さまざまなアプローチで旺盛な創作を続けている。》
https://dot.asahi.com/info/2020031900064.html?page=1
「IMA ONLINE」が公開している「片山真理インタヴュー ユニバーサルな身体という『GIFT』」で片山は次のように語っている。
《実は、いまだにセルフポートレートを撮っているつもりはないんですよね。私の作品がセルフポートレートと呼ばれることは、自分が写真家と呼ばれるのと同じくらい違和感があるんです。だってそこに写っているのは私じゃないから。あくまで「自分のいうことをなんでも聞いてくれる、思い通りになるモデル」が自分だったというだけなんです。
自分以外の誰かとは、必ず言語によるコミュニケーションが必要になりますよね。それだといくら意思の疎通ができたとしても、やはり「思い通り」とまではいかない。必ず自分の意図とモデルさんの意識のあいだにはズレが生じますから。唯一セルフポートレートを撮ったという自覚があるのは、妊娠中の自分を撮った写真ですね。あれは記録というか、いまの自分を写真として残しておきたいという思いから撮影したものでした。》
https://imaonline.jp/articles/interview/20190819mari-katayama/#page-1
「IMA ONLINE」が公開している「横田大輔インタヴュー 予感に満ちた“暗い部屋”」で横田は次のように語っている。
《部屋に関しては、3、4年前から一人でラブホテルに泊まるのが趣味だったんです。そこでは時間のリミットが来るまで、ただぼーっとしているだけなのですが、結構リラックスできるんですよ。なぜかというと、一人で泊まるラブホテルって目的がない。例えば、ビジネスホテルに泊まる場合は、次の日に仕事があるとか、旅行をするとか、何か目的があるから泊まりますよね。ラブホテルの場合は、その部屋にいるという目的以外はないわけです。写真は行くたびに撮っていましたが、作品としてまとめるつもりはなかったので、意識的に何かを撮ろうとしていたわけでもなかった。》
https://imaonline.jp/articles/interview/20190619daisuke-yokota/#page-1
ウェブ版「美術手帖」は2016年6月4日付で「『部屋』の外へ。義足のアーティスト・片山真理インタビュー」を発表している。片山の発言。
《転機は2005年、17歳の時でした。商業高校に通っていたのですが、就職活動のための小論がどうしても書けなくて。義足に絵を描いているのを見た進路指導の先生が「これについて書いて、応募してみたら?」と勧めてくれたのが、作で応募できるコンペ「群馬青年ビエンナーレ」。審査を通過して作品を展示することになり、「作品」とは何かもわからないままつくった《足をはかりに》(2005)で、奨励賞をいただきました。
そして、審査員のひとりだったインディペンデント・キュレーターの東谷隆司さんとの出会いが、私の人生を大きく変えることになります。授賞式でお話しして以来、2012年に彼が亡くなるまで、何かつくるたび東谷さんの家に見てもらいに通っていました。》
https://bijutsutecho.com/magazine/interview/307#.XnLGYNVBKGk.twitter

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5)【本日の一行情報】

共同通信は3月19日付で「米『プレイボーイ』、紙媒体に幕 新型コロナが引き金」を発表している。
《米国の男性誌「プレイボーイ」の発行会社は18日、米国で紙媒体の定期的な発行を2020年春号で終了すると発表した。オンライン版は続ける。新型コロナウイルスの感染拡大による事業環境の混乱が引き金になったとしている。》
https://www.47news.jp/news/4629215.html

◎「平成世代に売れた本1位」に輝いた乃木坂46高山一実の「トラペジウム」(2019年、KADOKAWA)は、電子書籍の刊行に際しては「電子図書館まなびライブラリー」(ベネッセコーポレーション)上で小中高生から3万件もの感想等が寄せられ、「読書離れしている」と言われる若年層からの圧倒的な支持を証明してみせたが、今度は庫化され、角川庫より4月24日(金)に発売されることになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006902.000007006.html

白泉社が運営する総合エンタメアプリ「マンガPark」では春休みを満喫できる全話無料キャンペーンを実施中だが、3月20日(金)より「桜蘭高校ホスト部」や「なんて素敵にジャパネスク「ゴールデン・デイズ」「藍より青し」など7作品が追加された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000176.000046848.html

◎チケット販売サイトを運営するぴあは3月19日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って全国で興行の中止・延期が相次いでいる影響で、2020年3月期(19年4月~20年3月)の通期連結業績予想を大幅に下方修正すると発表した。これによれば、売上高が従来予想比8.3%減の1650億円、営業利益が同58.6%減の6億円、最終利益が87.8%減の1億円。またチケットの払い戻し対応に関する費用として、約3億円の特別損失も計上する。
https://corporate.pia.jp/news/files/%E3%80%904337%E3%81%B4%E3%81%82%E3%80%91%E7%89%B9%E6%90%8D%E8%A8%88%E4%B8%8A%E6%A5%AD%E7%B8%BE%E9%85%8D%E5%BD%93%E4%BA%88%E6%83%B3%E4%BF%AE%E6%AD%A320200319.pdf
https://corporate.pia.jp/news/files/%E3%80%904337%E3%81%B4%E3%81%82%E3%80%91%E8%B3%87%E9%87%91%E3%81%AE%E5%80%9F%E5%85%A520200319.pdf

◎ビデオリサーチは、4月より、首都圏エリアにおいてラジオ聴取率データを365日・毎分ベースで提供する「ラジオ365データ」のサービスを開始する。これまでの聴取率調査は、紙の質問紙を使った訪問留置調査であり、対象期間も年間わずか6週間に限られていた。
https://www.videor.co.jp/press/2020/200318_2.html

NHKと民放ラジオ101局の共同ラジオキャンペーン特別企画として「#いま聴いてほしいラジオ」が、3月19日からスタートした。
https://music.oricon.co.jp/php/news/NewsInfo.php?news=2157838

テレビ東京およびテレビ東京コミュニケーションズは、テレビ東京の広告付き無料動画配信サービス「ネットもテレ東」で、Amazon Fire TVシリーズに対応したアプリケーションの提供を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001097.000002734.html

◎次女のkoki,は雑誌「ELLE JAPON」(ハースト婦人画報社)の表紙でデビューしたが、今度は長女のCocomiが「VOGUE JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の表紙を飾る。
https://biz-journal.jp/2020/03/post_147439.html

KKベストセラーズは「書籍期間限定全無料公開キャンペーン」を実施している。
https://kkbestsellers.net/m/m80b33632c522

◎「しんぶん赤旗」は3月19日付で「開かれた首相会見を MICなど 時間・参加枠拡大訴え」を掲載している。
《南彰MIC議長(新聞労連委員長)は、「為政者、権力者の一方的な発信を防ぐためには、会見で記者が多角的に質問することが重要だ」と指摘。「会見の主導権を首相官邸に握られている。再質問もできる十分な時間を確保し、フリー記者なども幅広く参加できる形で実施すべきだ」と強調し、東日本大震災を契機になくなっていた首相への日常的な取材機会の復活を求めました。》
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-19/2020031915_01_1.html

河北新報は3月19日付で「柳美里さんが南相馬にカフェ 『小高から美しくおいしいものを』 書店に併設」を掲載している。
東京電力福島第1原発事故に伴う旧避難区域の南相馬市小高区で、書店「フルハウス」を営む芥川賞作家の柳美里さん(51)が、敷地内に本格的なカフェを併設し、20日にリニューアルオープンさせる。「逆境に置かれた小高区から、美しくておいしいものを発信したい」と柳さんは意気込む。》
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202003/20200319_63017.html

◎「ドトールコーヒーショップ堂国立店」がオープンされる。
https://iine-kunitachi.net/open/4297/
書店はカフェ兼業でないと生き残れないのだろう。

◎日経は3月20日付で「Amazon、NYの配送拠点を一時閉鎖 従業員が感染」を掲載している。
《米アマゾン・ドット・コムは19日、米ニューヨーク市クイーンズ区にある同社の配送拠点を一時閉鎖したと明らかにした。従業員1人の新型コロナウイルス感染が確認されたため。同拠点は除菌作業などを終え、すでに再開している。同社は従業員の間で新たな感染者が出た場合、同様の措置を求められる可能性があり、ネット通販サービスに影響を与えるおそれがある。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57050270Q0A320C2000000/
早い!

◎小説家の花房観音が呟く。
《交番で本番か。》
https://twitter.com/hanabusakannon/status/1240510591845797888
神戸新聞NEXTは3月19日付で「勤務中、交番で性行為 妻子ある巡査部長と独身の部下」を掲載している。
《捜査関係者によると、2人は上司と部下の関係で、男性巡査部長は妻子があり、女性巡査は独身。いずれも同じ交番に勤務していた。昨年12月、巡査部長が食事に誘ったことを機に交際が始まり、今年の1~2月、交番の休憩室で複数回にわたって性行為をしたという。》
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202003/0013205308.shtml

◎「GINGER」(幻冬舎)5月号の付録はADDICTIONロングメッシュサコッシュ。850円(税込)。
https://beauty.biglobe.ne.jp/news/entame/mic_200320_7309772544/
「Monomax」(宝島社)4月号の付録はマーモットの保冷・保温バッグ。980円(税込)。
https://www.buzzfeed.com/jp/mihanakuma/amazon-monomax-april-issue
「non‐no」(集英社)5月号増刊の付録は「キャンメイク×ノンノ リップ&チークジェルn」。お店で購入すると660円(税込)するコスメが付録で780円(税込)。
https://beauty.biglobe.ne.jp/news/entame/mic_200320_8898431120/
セブンイレブン限定の「sweet」(宝島社) 4月号増刊の付録はクロコ調のミニウォレットとポーチのセット。1300円(税込)。
https://youpouch.com/2020/03/20/638451/

◎「Business Journal」は3月20日付で「山陽新聞会長、地元・加計学園の理事だった…記事見出しで『加計』使用避けるルール」を発表している。山陽新聞社の取締役会長は越宗孝昌である。
https://biz-journal.jp/2020/03/post_147471.html
「Business Journal」の記事にコメントを提供している三宅勝久は「My News Japan」に2018年6月30日付で「山陽新聞『越宗孝昌』会長は、加計学園『越宗孝昌』理事と同一人物なのか――だれもが口を閉ざすミステリー」を発表している。
http://www.mynewsjapan.com/reports/2400

三省堂書店は絵本雑貨を販売している。福音館書店ロングセラー絵本のハンドタオル、巾着を限定で販売している。第二弾となったのは「ぺんぎんたいそう」。
https://www.books-sanseido.co.jp/shop/info/1012475

カンヌ映画祭の延期が決まった。5月12~23日に予定されていたが、6月下旬~7月上旬の開催を目指す。
https://www.asahi.com/articles/ASN3N2T9JN3NUHBI003.html

◎6月に米国で開催予定の先進7カ国首脳会議(G7サミット)はテレビ電話会議で実施するという。
https://www.47news.jp/news/4631431.html

◎「VOGUE JAPAN」編集長の渡辺三津子が2月25日から開始したテレワークについて次のように書いている。
東日本大震災のときは、社内の連絡は主にメールで、ツイッターの連絡網がやっと立ち上げられたくらいでしたが、それに比べて今は、メール以外にもSlack、LINE、ZOOMなど多様なコミュニケーションツールが駆使され、格段の違いを感じます。》
《テクノロジーの発達によって私たちの働き方は確実に変わっていくであろうという実感。在宅勤務の感想を編集部員に聞いたところ、通勤時間が有効に使える、一日のリズムが規則正しくなった、家族との時間が増えてよかった、などの声が集まりました。他方で、日常が変わることによってその大切さが実感されたのが、同僚たちと顔を合わせて話すこと、共感すること、笑うこと。そんな、当たり前でありながら、人生の最も素敵な真実をあらためて感じることもできました。》
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/article/2020-03-20-a-letter-from-mitsuko-watanabe

◎布施祐仁が朝日新聞記者の青木美希の異動についてツイッター次のように投稿している。
《『地図から消される街』を読めば、青木さんがどれほど力のある記者なのか誰しも理解するだろう。こんな取材力のある記者を、本人が望まぬ記事を書けない部署に異動させるとは、朝日新聞はいったい何をしたいのか?》
https://twitter.com/yujinfuse/status/1241544465237434375
これについて「Yappie」は次のように反応して、太田泉生と広部憲太郎のツイッターでのやり取りを紹介している。
朝日新聞の記者面々の意見は、嫌なら出ていけですよ。》
https://twitter.com/capt_yappie/status/1241554999051616256
朝日新聞横須賀支局長・太田泉生のツイート。
《新聞社が記者以外のたくさんの職種で支えられていることを忘れてはいけないっす、記者は。》
https://twitter.com/otaminao/status/1241194080937201664
朝日新聞総合プロデュース室プロジェクトエディターの広部憲太郎リツイートしている。
《太田記者のツイートに、100いいねくらいつけたい。この10年、内勤と外勤を行ったり来たりで、今は内勤も外勤もみたいな職場ですが、取材以外の現場から学ぶことはとてつもなく大きいと、間違いなく言えます。リスペクトが大事》
https://twitter.com/Becky7712/status/1241195264938872834
布施は、こうツイートする。
《組織の中の人はそう思う人もいるでしょうが、僕は一読者として、これからも青木さんの記事を読みたいです。言いたいのは、それだけです。》
https://twitter.com/yujinfuse/status/1241564709184245767

花田紀凱が書いている。
《『週刊朝日』(3・27増大号)、『サンデー毎日』(3・29増大号)ともに増大号で恒例の大学合格速報。いつも言っているように誌面のムダ遣いだ。》
https://www.sankei.com/premium/news/200322/prm2003220008-n1.html
同感である。

◎「春オンライン」の「“小僧”と呼ばれた少年たちのストライキ」(小池新)が岩波書店の歴史を紐解いていて面白い。岩波もブラックだったんだよね。
《「岩波氏」とは同書店創業者で、出版化に大きな功績があったとして戦後化勲章を受章する岩波茂雄。その牙城を揺るがす「小僧さん」たちのストライキの幕開けだった。》
《東京朝日の記事によれば、13日午後5時、岩波店主は、顧問の東京帝大(現東大)教授ら3人を付き添いに従業員側と会見。席上「3項目の回答案が示されたが、従業員側は誠意なきものとしてはねつけ、怠業を続けている」。さらに「同夜は少年店員もこもごも気勢を上げ、可憐な章などを書いて『夜学へ行かせろ』『も少し眠らせろ』などと叫んでいた」とも。》
https://bunshun.jp/articles/-/36734