【文徒】2020年(令和2)10月15日(第8巻191号・通巻1848号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】双葉社が業務提携したLink-U(リンクユー)とは?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.10.15 Shuppanjin

1)【記事】双葉社が業務提携したLink-U(リンクユー)とは?

Link-U(リンクユー)は、主に「電子書籍」や「動画配信」の分野において実績と強みを持ち、新規サービス立ち上げや、既存サーバー乗り換えに係る各関連業務を、将来の運用保守・サービス拡大を見据え、ワンストップで提供している企業だ。要するにサーバープラットフォームビジネスを手掛けていて、出版社との関りは深い。例えば、小学館のマンガアプリ「マンガワンはリンクユーと共同で開発・運用している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000038982.html
集英社とは新しい総合電子書店「ゼブラック」に共同で取り組んでいる。
https://www.link-u.co.jp/news/191209_zebrack/
第5世代移動通信方式(5G)時代のアプリ対応に向けて、フラーと業務提携しているし、シーン映像の検索・分析のコア技術をベースとしてスポーツ映像分析プラットフォームを提供するRUN.EDGEに出資もしているし、ブロックチェーン分野で豊富な実績を有するHashPortと設立した合弁会社Hashpaletteにおいて、コインチェックと、日本初のIEO(Initial Exchange Offering)の実現に向け共同プロジェクトを発足させてもいる。
https://www.link-u.co.jp/news/20200130_fuller/
https://www.link-u.co.jp/news/20200227_runedge/
https://www.link-u.co.jp/news/20200825_ieo/
双葉社は、そんなリンクユーと新規マンガ配信サービスに関する業務提携を行うことを発表した。これにより両社は協力して、マンガアプリの企画、開発、運営に取り組む。具体的には「小説家になろう」で連載された小説のコミカライズ作品に代表される異世界転生系の作品を中心とした、双葉社作品を広く閲覧できる新規マンガサービスとなる。双葉社はアプリの提供、掲載作品の調達等を担当し、リンクユーは、アプリの開発保守、サー
バーの開発保守、広告運用等を担当する。
業務提携の報酬形態は、売上(ユーザー課金及び広告収益)に応じて両社レベニューシェア比率に応じて配分するという。
https://www.link-u.co.jp/irdata/news/ir-news_201012.pdf
リンクユーの代表取締役社長・松原祐樹は楽天に1年、サイバーエージェントに1年強、電通に1年弱ほど籍を置いたことがあるようだ。2013年8月にリンクユーを設立し、2014年12月に代表取締役社長に就任している。
https://donburi.accountant/history/?ds=93366&do=0&cname=%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE%EF%BC%AC%EF%BD%89%EF%BD%8E%EF%BD%8B%EF%BC%8D%EF%BC%B5
松原はリンクユーの収益構造について次のように述べている。
レベニューシェアサブスクリプション収益で月次の売り上げが立つため、収益基盤が安定している。大きな開発の場合には開発費を別に受け取る。
例えば、小学館からリリースされるアプリ「マンガワン」は、レベニューシェア契約を結んでいる。コンテンツ配信からアプリの開発、運営、マーケティングまでを担当する。集英社の「Manga Plus」では海外向けサービスで、同様にマーケティングまで手掛けている。》
http://c-eye.co.jp/eq/ipo-eq/41869
2019年7月18日付日本経済新聞が掲載した「Link-Uの松原社長『あらゆるコンテンツの配信をサポート』」で松原は次のような成長戦略を語っている。
《「当社の既存の通信回線サーバーはマンガアプリだけでなく音楽や動画のストリーミングサービスにも対応することができる。現在も動画配信アプリのサーバー運営はしているが、次世代通信規格『5G』など通信量の拡大に伴って動画などコンテンツの配信量は格段に増えることが予想される。新規に動画配信事業を始めるような企業の需要を取り込みたい」》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47485500Y9A710C1000000/

-----------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎政治によって日本語が壊されているという感覚は私にもある。平野啓一郎のツイート。
《僕が前政権と現政権を強く批判するのは、日本語をメチャクチャにしてしまった点。そのために、日本という国の現実認識自体が大混乱を来している。自分たちの政権のために、ひたすら、日本と日本語をぶち壊している。言葉の混乱が如何に世界を混乱させるか、とんでもない実験を行っている。》
https://twitter.com/hiranok/status/1315991792869732352

小泉今日子の演出する芝居を見てみたくなった。
《本日の「わたしの茶の間 沢村貞子の言葉」と明日の「あなあきい いん ざ にっぽん 殿山泰司の言葉」は、コイズミキョウコが構成と演出を担当しました。まだまだひよっこなのでカタカナでやらせて頂いております。よちよち歩きの演出を是非観てやって下さい(笑)。配信も当日券もありますよ。》
https://twitter.com/asatte2015/status/1316025141281779714

毎日新聞は10月13日付で「一般社団が確保する『表向きの透明性』 予算監視の『隠れみの』になる実態」(高橋祐貴)を掲載している
《なぜ、電通ではなく、わざわざ社団法人を設立して事業を受託する必要があったのか。
電通側で法人設立を担当したのは、官公庁の委託事業などを担当する「第15営業局」(現パブリック・アカウント・センターなど)。国から社団法人に委託された事業は、発注元の官庁と会計検査院が経費の適正さを検査するが、その検査の直接の対象は委託先の社団法人。再委託先には及ばない。かつて第15営業局に所属してい電通マンによると、家賃や人件費などの「一般管理費」の使途や外注の内訳について国からの監視の目が緩くなることが法人を設立した狙いのひとつだったという。》
https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/020/293000c

日本野鳥の会、日本自然保護協会、世界自然保護基金WWFジャパンは10月13日付で「自然保護の観点から日本学術会議員の任命拒否に抗議する声明」を発表した。
《私たち3団体は、生物多様性保全や気候変動などの分野で自然を守り、社会に貢献する目的で各分野の研究者の方々とも自由に議論を交わしながら活動してまいりました。今回の日本学術会議会員の任命拒否は、政権が学会及び研究者に圧力をかけていることにほかなりません。このことが自由な議論への圧力ともなり、不要な忖度や萎縮を引き起こし、政策の適切な実施を阻害するおそれがあります。私たち自然保護団体はそのようなことが起こらないことを願い、抗議声明を表明します。
このたび、日本学術会議の会員改選において推薦された候補者のうち6名を、内閣総理大臣が任命拒否したことは、日本学術会議法にもとづく学術会議の独立性を損なうものであり、学問の自由を脅かす政治介入の重大な問題です。
日本学術会議は、科学が化国家の基礎であるという確信に立って、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的として、政府から独立して職務を行う特別の機関として設立されています。これまでも数多くの勧告や提言などにより社会課題の解決策を示し、各種の政策にも反映させ、科学によって社会を支える支柱的存在を担ってきました。
各種行政機関が主催する審議会や専門家会議とは異なり、真に独立した立場から提言等を行える機関であるという日本学術会議の独立性こそ重要です。
私たちが活動する環境分野においても、気候変動、災害対策、感染症対策、環境教育、エネルギー、国土保全、野生動物管理、生物多様性保全などをテーマにした提言がなされ、科学的根拠をもとに活動する自然保護団体はじめ多くの人々に理論的な拠りどころを示してきました。
このようなことから、政府が日本学術会議に政治介入したことは、日本の健全な自然保護の推進の観点からも見過ごすことができません。学問の自由を保証し、任命を拒否した理由を明らかにし、任命拒否を撤回することを求めます。》
https://www.wbsj.org/inform/info-20201013-2/

早稲田大学出版部は、12月10日(木)に「早稲田新書」を創刊することになった。創刊3タイトルは「生きることに疲れたあなたが一番にしなければならないこと―加藤諦三の新・人間関係論―」(加藤締三)、「AとZ ―アンリアレイジのファッション―」(森永邦彦)、「村上春樹動物誌」(小山鉄郎)。
https://www.value-press.com/pressrelease/255545?fbclid=IwAR1V7K9ku9X52v792jSfN_wtDn6D6IlTydzvDCsIKSx0ro_iUmHI2GmEWr4

主婦の友社から「五感でおいしく味わえる 腎臓病改善レシピ」が発売された。腎臓病治療食の中から厳選した64品を掲載しているというが、塩分の一日摂取量を6gにするよう医師から言われ、味付けの基本は胡椒や生姜、唐辛子にしている私にとって、こういうレシピ集は有り難い。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001410.000002372.html

藝春秋は、11月12日(木)に春ムック「おジャ魔女どれみ OFFICIAL CHARACTER BOOK どれみ&おんぷ大全」を発売する。これは昨年、放送開始から20周年を迎えたアニメ「おジャ魔女どれみ」の春風どれみと瀬川おんぷを特集した、オフィシャルキャラクターブックである。映画「魔女見習いをさがして」は11月13日(金)より公開される。
https://www.atpress.ne.jp/news/230096
藝春秋がこういうムックを出す時代である。

◎2月に「新書大賞2020」に選ばれた大木毅の岩波新書「独ソ戦――絶滅戦争の惨禍」は、これまでに約12万部が売れているそうだ。
https://books.j-cast.com/topics/2020/10/13013239.html

◎光社の女性誌「HERS」は月刊誌としての刊行を終了し、逐次刊に移行したが、その第一弾が10月12日(月)に発売された。内容的にも「食から暮らしを整えなおす」をテーマにした媒体へとリニューアルされ、表紙を石田ゆり子が飾っている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000589.000021468.html

パピレスは同社が運営する「電子書店パピレス」と「犬耳書店」の2つサービスを、マルチデバイス対応電子書籍レンタルサイト「Renta!」へ、サービス統合すると決めた。
https://www.papy.co.jp/info/index.php?page=/release/201013.htm
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000153.000022475.html
パピレスの創業者である天谷幹夫は日本電子出版協会のホームページに「コンテンツ産業の変革」を9月1日に発表している。
《…2015年5月には、「次世代コンテンツの萌芽」で、「50年で入れ替わる歴史に習うならば、1995年頃始まったインターネットメディアが紙のメディアを席巻するのにあと20年は必要でしょう。」すなわち2035年には、次世代コンテンツの時代だと述べています。自分でも何故ここまで新しきコンテンツにこだわるのかと不思議になるくらいですが、良く考えてみるとそれだけ危機感が強いのだと思います。》
《今、私達が携わっている、電子書籍は、従来の紙書籍を対象に作られたコンテンツ資産を生かすために、新しいスマフォというメディアに一時的に対応させただけと考えられます。前述したようにスマフォメディアは動画や3Dグラフィックを駆使し、音声や効果音を加えた表現が簡単にできます。このため、上記の2035年頃までには、もっとスマフォメディアに対応した、コンテンツ産業に入れ替わっている可能性が大です。》
https://www.jepa.or.jp/keyperson_message/202009_4931/
コンテンツ産業の変革に取り残されないために「Renta!」に統合したということなのだろう。

黒沢清監督の映画「スパイの妻」をコミカライズした、柿崎正澄による同名の漫画「スパイの妻」上巻が小学館より発売された。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09157607
https://natalie.mu/comic/news/400337

◎「虫かぶり姫」(一迅社)、「偽りのフレイヤ」(白泉社)、「星降る王国のニナ」(講談社) の最新刊コミックスの発売を記念して、一迅社×白泉社×講談社3社合同の「王国ファンタジーフェア」が10月13日から開催されている。
https://www.hakusensha.co.jp/benefits_event/58878/
これが参加書店。
https://www.hakusensha.co.jp/wp_hakusensha_common/images/postimage/2020/10/HP%E6%8E%B2%E8%BC%89%E5%8F%82%E5%8A%A0%E6%9B%B8%E5%BA%97.pdf

◎「J-CASTニュース」は10月11日付で公開している「『消費者保護に名を借りた悪法』出版業界が『消費税総額表示』に反発する理由と、財務省の見解」は次のように書いている。
《業界団体からも、出版物への総額表示義務の免除を求める声が上がっている。中小出版社で構成された一般社団法人「日本出版者協議会(出版協)」は2020年9月23日、公式サイト上に「消費税総額表示義務の特例の『無期限延長』、『外税表示』許容の恒久化を強く要望する」を掲示した。「定価 〇〇円+税」などのいわゆる「外税表示」の許容を求めている。同協会は、J-CASTニュースの取材に対しては、こう述べる。
「そもそも、価格表示のしかたを国が一律に統制しようとすること自体に無理があると思います。総額表示義務は、消費者保護に名を借りた悪法でしかありません。まして現在のコロナ禍で、出版はじめ多くの産業が打撃を受け、小売の現場がさまざまな対応に追われているなか、総額表記の義務化により各現場に手間や負担を強いるのは愚策以外の何物でもないと考えます」
日本書籍出版協会(書協)と日本雑誌協会(雑協)も、J-CASTニュースの取材に対し連名で回答。総額表示義務の免除が終了することを受けて、19年から財務省国税庁と協議を行っていると明かした。
財務省に対しては昨年末から総額表示義務免除の延長の要望を続けています。要望書という形で改めて提出するかは未定です」
書協と雑協はかつて、財務大臣に対して総額表示義務の免除を求める要望書を提出している。》
https://www.j-cast.com/2020/10/11395967.html

日本経済新聞は10月13日付で「Facebook、『ホロコースト否定』の投稿を削除」を掲載している。
《米フェイスブックは12日、第2次世界大戦中のホロコーストユダヤ人大量虐殺)を否定したりねじ曲げたりする内容の投稿を禁止すると発表した。従来は容認していたが、反ユダヤ主義が高まっていることなどを理由に方針転換した。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64920190T11C20A0I00000/

◎サイバー・バズは、デジタルインファクトと共同で、国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査を行った。その結果、2020年のソーシャルメディアマーケティング市場は5,444億円、前年比107%の見通しだとしている。また2025年には2020年比約2倍、1兆1,047億円規模になることを予測している。
内訳は、「ソーシャルメディア広告」が4,932億円で全体の90.6%、これに「インフルエンサーマーケティングが317億円で全体の5.8%。また、企業の「SNSアカウント運用支援」が145億円で全体の2.7%、「分析ツール」が75億円で1.4%、そして「キャンペーンプランニング・コンサルティング」が50億円で0.9%。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000013256.html

◎宝島社の男性ファッション誌「smart」11月号の表紙を飾ったのは、現代美術家村上隆とYouTuberのHIKARU村上隆は「smart」史上最高齢のカバーモデルだそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001064.000005069.html

毎日新聞が10月14日付で掲載した「#排除する政治~学術会議問題を考える もの言わぬ学者は『政府のイヌ』とみなされる 早大・長谷部恭男教授」(佐野格)で長谷部は次のように述べている。
《――法律が軽視されている。
◆法律の軽視というよりも、日本学術会議法に反して違法なのではないでしょうか。もし今回除外された人が国に対して抗告訴訟を起こしたら裁判で勝てるのではないか。それぐらい、いいかげんな話だと思います。》
https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/010/159000c

森達也は「ニューズウィーク日本版」に「日本学術会議問題に僕たち映画人が声を上げた理由」を寄稿している。
《声明公開後、ネット上では多くの賛同と、それを上回る批判の声があふれた。批判の多くは、「左派学者を応援する左派映画関係者」とか「反自民左巻き監督たち」とか「中国共産党の手先である学者と映画関係者」などと揶揄する書き込みばかりだ。
だから改めて思う。ここは絶対に引けない。「よほど暇なんだな」「映画だけ作っていればいいじゃないか」などの書き込みも多い。もちろん本業は映画制作だ。映画だけを作っていたい。でも(もう1回書くが)「自分たちの問題と捉え」ることには理由がある。政治権力の暴走や社会のセキュリティー意識の高揚の前では、自分たちがいかに無力であるか、その歴史を僕たちは知っている。》
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/10/post-94687_2.php
そう「赤狩り」の歴史だ。その歴史は、山本おさむの漫画「赤狩り」(小学館)に詳しい。
https://bigcomicbros.net/comics/34993/

◎日刊スポーツの10月14日付「それが『自民のやり方』か/政界地獄耳」は、こう書いている。
《首相・菅義偉と40年以上の付き合いで浜のドンと呼ばれる港湾運送業「藤木企業」会長・藤木幸夫は近年、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の横浜港誘致を巡り激しく対立しているものの、菅の首相就任に寄せ、先月15日の神奈川新聞で「おめでとうございます、といわなきゃいけないよな」とし、貧しい農家に生まれながら明治国家の礎を築いた初代首相・伊藤博になぞらえ「菅さんは総理大臣も村長も務まる。(伊藤にはない)村長のような魅力がある」とも語った。当初、それは伊藤にない庶民性を語ったのだと思われていたが、学術会議問題の推移をみていると改めて別の読み方もできることがわかり、1カ月前の藤木の慧眼に舌を巻く。》
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010140000116.html

朝日新聞デジタルは10月13日付で「朝日新聞記者、首相懇談会に出席 内閣記者会向けに開催」(政治部長・坂尻顕吾)を掲載している。内閣記者会の首相官邸取材キャップと菅義偉首相との懇談会が13日夜に都内のホテルで会費制で開かれ、朝日新聞は出席した。次のように書いているけれど、読者は納得できるのだろうか。
《参加するかどうかはその都度、状況に応じて判断しています。今月3日には、首相と内閣記者会に所属する記者との懇談会がありましたが、出席を見送りました。日本学術会議をめぐる問題で当時、菅首相自身による説明がほとんどなされていなかったためです。
その後、首相から一定の説明はありましたが、朝日新聞は首相による記者会見の開催を求めています。今後もあらゆる機会を生かし、権力を監視していく姿勢で臨みます。》
https://digital.asahi.com/articles/ASNBF65WXNBFUTFK00M.html
鈴木耕は納得していないようだ。
《これも14日の朝日新聞、「機会をとらえて取材尽くします」との記事。要するに、13日夜の各社の首相官邸取材キャップたちが菅首相との「懇談会」に出席したが、朝日も参加した、という言い訳記事。記者クラブ制度の是非への言及はもちろん、ない。》
https://twitter.com/kou_1970/status/1316209998444195840

毎日新聞朝日新聞よりも丁寧に説明しているが、結局、10月3日に神宮前のレストラン「Eggs'n Things 原宿店」で開かれた菅首相と首相番記者との懇談会にも出席しているし、今回の懇談会にも参加している。
《首相は就任した9月16日を最後に記者会見を開いていないが、毎日新聞などが求めたインタビューに応じ、10月5、9両日に2回に分けて計6社によるインタビューを実施。毎日新聞朝日新聞時事通信と合同で9日に行った。インタビュー時間は約30分間と限られていたが、毎日新聞は計11問、全て日本学術会議についてただし、首相が推薦段階の105人の名簿を「見ていない」ことなどが明らかになった。
首相は依然として6人を任命しなかった理由や経緯を明らかにしておらず、説明は不十分だが、安倍前首相のケースと異なり、インタビューに応じたこと、さらに懇談会は今後の問題追及に向けた糸口をつかむ取材機会であることを踏まえ、出席を決めた。》
https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/010/282000c
法政大教授・上西充子のコメントを掲載しているのは、「良心」であっても、「ガス抜き」であることに変わりはあるまい。
《頑張ろうとしている毎日新聞が今回、懇談に参加したのは非常に残念だ。オフレコ懇談会への参加と記者会見での真摯な追及は両立するものではない。参加しないで「記者会見の場で説明を求めるのが我が社のあり方だ」と言ってほしかった。オフレコ懇談会は水面下でやっている。何でも水面下で進める首相の姿勢を批判するためにもノコノコ行ってはダメだ》

朝日新聞・南彰がこの件についてツイートしている。
《一直線では進まなかったという状況です。
権力中枢の取材を尽くすと同時に、読者・社会の信頼はメディアの存立基盤です。信頼とビジネスを両立する一体改革を早く進める必要があります。その時のカギは「権力からの自律性」》
https://twitter.com/MINAMIAKIRA55/status/1316190438068420608

◎これは朝日新聞・鮫島浩のツイート。
《私は総理大臣に電話取材したことが何度もある。その会話は二人しか知らない。総理に騙されてウソを報じたら全て私の責任だ。オフレコ取材はそういうものなのだ。権力者は発言した「事実」に責任を負わず、マスコミを利用して情報操作できる。無能で無自覚な記者のオフレコ取材ほど危ういものはない。》
《内閣記者会が総理を囲むオフレコ懇談はさらに危険だ。その場の発言はテレビ新聞に一斉に「ファクト」として報じられ既成事実となる。総理はウソをついても責任を問われず記者は「総理が言った」と責任転嫁して横並びで訂正しない。一瞬にして内閣記者会が丸ごと総理に加担し国民を欺く場と化すのだ。》
https://twitter.com/SamejimaH/status/1316204658365394945
https://twitter.com/SamejimaH/status/1316204660089221120

朝日新聞デジタルは10月14日付で「朝日新聞、役割果たせていますか 新聞週間2020」を掲載している。ロイター通信東京支局記者、バンベルク大客員研究員などを経て、現在は東京大学大学院情報学環教授・林香里と朝日新聞執行役員編集担当・角田克との対談なのだが、私の耳に残るのは林の発言だけだ。
《日本のジャーナリズムは当局取材に膨大な人やカネというリソース(資源)をかけている。国際比較でニュースの情報源比較をしたが、日本の報道は政府からの情報が突出して多い割に、市民の声が少ない。日本の新聞社やテレビは当局にべったり張り付いている。当局取材をやりすぎでは。》
《新聞は古い業界で、改革がなかなか進まないように見える。記者クラブはその一例だ。戦後、その排他性が国内外から繰り返し批判されてきたが、各社は廃止はできないという。記者クラブも新聞やテレビの関係者以外は問題を指摘する声が圧倒的に多い。》
《記者が企業の中の人になっているから、ジャーナリズムはどんどん縮小してしまっている。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14656998.html

藝春秋の「学界」11月号は「学界のジャズ・キャッツが集結、音楽の謎と魅力へいざなう完全保存版」だが、重版された。
https://twitter.com/Bungakukai/status/1316171919599706112

-----------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

才能とは築きあげるものであり、継続することである。