【文徒】2021年(令和3)2月12日(第9巻27号・通巻1924号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】森喜朗女性差別発言でブーメランが次々に飛んできた!そして森の辞任へ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】
----------------------------------------2021.2.12 Shuppanjin

1)【記事】森喜朗女性差別発言でブーメランが次々に飛んできた!そして森の辞任へ

スポーツニッポンは2月10日付で「森会長発言に五輪スポンサー企業からも批判続出…JR東日本社長『非常に不適切』」を掲載している。
東京五輪パラリンピック組織委員会の森会長の女性蔑視発言に対し、スポンサー企業からも批判や苦言が続出している。消費者や国際的な世論の反応に企業イメージの低下にもつながりかねないためだ。JR東日本の深沢祐二社長は9日の会見で森氏の発言に「非常に不適切と考えている」と強調。明治の広報担当者は「大変残念」と語った。味の素や日本生命保険東京海上日動火災保険なども次々と「遺憾」の意を表明した。》
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/02/10/kiji/20210210s00048000036000c.html
「TBS NEWS」は2月10日付で「森会長発言、スポンサー企業から苦言続出 各社まとめ」を公開している。TBSはP&G、パナソニック、アサヒビール、日本生命東京海上日動火災保険、明治、NEC、野村HD、ENEOS、三井不動産三井住友銀行日本航空、全日本空輸、みずほ銀行日本郵便のコメントを紹介している。P&Gのコメントは次のようなものであった。
《「森会長発言は残念であり、ダイバーシティインクルージョンを掲げる企業として遺憾に思う。平等な社会の実現という五輪の精神に共鳴していて、今後もパートナーとして、そのような大会を実現するよう協働していきたい」》
これはアサヒビール
《「森会長の発言は、男女平等が謳われているオリンピック・パラリンピックの精神に照らすと不適切な表現であり、残念であると考えている。アサヒビールはゴールドパートナーとして、東京2020大会がオリンピック・パラリンピックの精神を体現した大会として成功するよう、尽力していく」》
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4194543.htm
NHK NEWS WEB」は2月9日付で「森会長発言 スポンサー70社にNHK取材 36社『発言容認できず』」を公開している。
《「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という森会長の女性蔑視と取れる発言について、NHKは▽東京大会の組織委員会と国内での契約を結ぶスポンサー企業67社と、▽IOC=国際オリンピック委員会と契約する国内企業3社の合わせて70社に取材し、9日午後8時までに54社が取材に応じました。
この中で、無回答だった18社を除く36社が「発言を容認できない」とした上で、「東京大会のビジョンである『多様性と調和』に反する」とか、「男女平等がうたわれているオリンピック・パラリンピックの精神に反していて不適切だ」と指摘しました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210209/k10012858261000.html?utm_int=all_side_business-news_001
東京新聞は2月10日付で「トヨタ社長、森氏発言『遺憾』 五輪・パラの最高位スポンサー」を掲載している。
トヨタ自動車は10日、東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長による女性蔑視発言に対し「トヨタが大切にしてきた価値観と異なり、誠に遺憾だ」との豊田章男社長のコメントを発表した。トヨタは五輪・パラリンピックの最高位スポンサー。スポンサーに名を連ねるENEOS(エネオスの親会社幹部も「極めて遺憾」と述べるなど、経済界で森氏への批判が日増しに強まっている。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/85184
2月9日付毎日新聞が掲載した「火論 わきまえない女、5割」で大治朋子は次のように書いている。
《森氏は家父長制に沿う「わきまえた」女なら会議の妨げにならないとの趣旨の発言をした。今の日本に必要なのはクオータ制の義務化であり、「わきまえない女、5割」の達成だと思う。》
https://mainichi.jp/articles/20210209/ddm/002/070/048000c
森発言を批判するマスコミにもブーメランが飛んできた。毎日新聞は2月9日付で「メディアの大半が女性役員ゼロ 新聞労連など女性登用求め会見」(中川聡子)を掲載している。
日本新聞労働組合連合新聞労連)などメディア労組4団体は9日、東京都内で記者会見し、日本新聞協会など4業界団体と加盟各社に対し、女性役員比率を上げるよう要請したことを明らかにした
メディアの業界団体や加盟各社の女性役員の数は極めて少なく、約7割の団体・会社が役員ゼロだった。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会森喜朗会長の女性蔑視発言で、日本のジェンダーギャップに国際的な注目が集まるなか、新聞労連の吉永磨美中央執行委員長は「発言の背景に女性蔑視的な社会風土がある。メディアの影響や責任は大きく、私たち自身が変わる必要がある」と訴えた。》
https://mainichi.jp/articles/20210209/k00/00m/040/306000c
森差別発言を徹底的に批判している新聞だが、その新聞からして森的体質と無縁ではないことは、次のような数字からも明らかである
新聞労連の調査によると、2019年4月1日現在で、全国の新聞社38社の女性割合は従業員で19・92%だが、管理職で7・71%にとどまる。役員となると、38社の役員319人中、女性はたった10人。毎日新聞は従業員23・57%、管理職10%、役員ゼロ。》
https://mainichi.jp/articles/20210209/k00/00m/040/306000c
毎日新聞記者・南茂芽育が呟く。
《私(2015入社)の年で初めて新入社員の男女の数が同じになったと知った時は「おお」と思ったけれど、それはつまり仕事を教わったり共に時間を過ごす先輩や上司はほぼ男性だということで、やっぱり全然「おお」じゃなかった、というのを思い出した。》
https://twitter.com/NammoMei/status/1359153788246966273
「弁護士ドットコムニュース」が2月9日付で発表した「メディア業界4団体、役員159人中『女性は3人』だけ…まずは『30%を目指そう』呼びかけ」によれば、業界4団体の役員構成からし、・日本民間放送連盟45名(女性0人)、日本新聞協会53人(女性0人)、日本書籍出版協会40人(女性2人)、日本雑誌協会21人(女性1人)といった有様なのである。トホホ。
https://www.bengo4.com/c_5/n_12490/
この日の会見は正式には「メディア業界団体および加盟社への女性登用要請に関する記者会見」という。
https://twitter.com/SyuppanRouren/status/1359013687973924865
会見の登壇者は、松元千枝(メディアで働く女性ネットワーク 世話人)、岸田花子(日本民間放送労働組合連合会 女性協議会副議長)、吉永磨美(日本新聞労働組合連合 中央執行委員長)、酒井かをり(日本出版労働組合連合会 中央執行委員長)。
https://twitter.com/tsuda/status/1359016848138752000
《岸田「今回の要請は各メディアの労働組合から民放連、新聞協会、書協、雑協の4団体に対して行うもの。元々要請を行っていたが森喜朗会長の発言がたまたまタイミングがあってしまった」》
《岸田「4つの業界団体すべてで役員、意志決定者に女性が少ないという問題があると認識している。メディア業界は先人の女性たちの努力もあって制度的には女性差別はないと思っているが、意志決定者に女性が少なく、人材登用についてはルール・制度がないので結果として女性が少ないという現実がある」》
《岸田「制作の現場には女性が増えている。しかし、役員だけでなくコンテンツ部門の責任者はオール男性ということが多い。これはアンコンシャスバイアスも増やし、男女の賃金格差にもつながる。差別的なコンテンツが流れたときに笑いが起きるのもそうした状況を加速させている」》
《岸田「こちらからの要請。1つめは役員に女性を3割以上に。2つめは業界団体の重要な課題としてジェンダーの問題を取り上げてほしい。3つめは2021年4月までに業界団体と全加盟者が役員の3割を女性にする目標、計画、実績を国の女性活躍推進企業DBで公開し、その後も定期的に更新すること」》
《岸田「民放連に要請をして状況を伺った。こちらの話に真摯に耳を傾けてもらったが、そもそもテレビ局に女性社長が少なく現実的には難しいという悩みも話してくれた。こちらからは民放の女性役員を民放連に女性枠として登用するやり方を提案した」》
《岸田「テレビ朝日は30% Clubにも加盟していると聞いている。今後の取り組みに期待したい」》
《酒井「出版業界には書協と雑協の2つがある。どちらにも要請をした。出版業界は1986年の男女雇用機会均等法によって女性誌が増えていったことでそれが男女比に影響を与えた。採用については、年によっては女性の方を多く採るケースもあり、女性比率もほかの業界よりも高い」》
《酒井「雑誌も書籍も、女性編集長がたくさん存在している。しかし、それでもまだ相対的には女性の比率は少ない。そのことを考えてもらいたいと思い要請をしている。書協も雑協も前向きに考えたいとお返事をしてくれた」》
《酒井「要請時『女性に声をかけてもなかなか引き受けてもらえないことがあります』と言われた。女性が引き受けづらいのは、ロールモデルがないということ、環境的、支配構造にこそ問題があると伝えた。そういう構造が変わっていくことで女性が役員になることができ、男性も気負わずに社会で活躍できる」》
《吉永「今回要請書を出したが、要請書という形に違和感がある。女性側が男性に『お願いする』立場であるということはやめたい。国が男女共同参画を掲げる中で、こういう問題がまだ『お願い』ベースであることに違和感がある」》
《吉永「まず新聞労連から少しずつ変わらなければいけないということで、南彰前委員長の時代から、特別抽出という形で女性を3割入れるようにした。いろいろな人がいろいろな要求を掲げ、それを受け入れることは活動の幅も広げる。この活動を通じて女性の役員も増えつつある」》
《吉永「3割という目標。3割でもまったく足りているとは思わないが、まずはこれを達成することで社会を前に進めたいと思っている」》
《吉永「森元首相の発言がいま問題になっているが、彼自身の問題だけでなく、社会全体がああした意識を下支えしている。それを変えなければならない」》
《吉永「私たち労働組合も変わっていかなければいけないが、やはり女性の仲間から聞こえてくる声は『ふさわしい女性がいないと言われる』ということ。何をもって彼女たちが登用されないのか。その価値観自体が問われなければいけないと思う」》
《吉永「激務の職場でない自分は会社の中で発言を軽んじられると思ってしまう。メディアの現場は特定の職務を経ていないと発言権が小さくなるような構造があり、そこで劣等感に苦しむ女性がいる。この声を切実に受け止めて我々も会社側も社会も変わっていかなければならない」》
《松元「我々は横断的にメディアに勤める女性たちが集まる団体。民放労連の岸田さんから声がかかって、民放の役員に女性が少ないと聞いて、そのことを内部で共有したところ、新聞や出版でも少ないという声が上がった。うちも一緒になって声をあげようという話になった」》
《酒井「2018年テレ朝の女性記者が財務次官からセクハラを受けた。あのときにたくさん『私も同様の経験がある』といった告白をたくさん受けた。政治家や官僚、同僚や上司からハラスメント被害が報告され、結局はメディア企業の役員に女性が少なく、取材相手も男性ばかりが原因であると思った」》
《酒井「一緒にほかの団体の要請についていったが、SDGsがこれだけ社会で重要視されている中で、業界団体幹部はSDGsの話になったときに、二酸化炭素の話は威勢良く話すが、ジェンダーSDGsに含まれてますよと指摘しても『ジェンダーは新しいことなのでよくわからない』と言われ驚いた」》
https://twitter.com/tsuda/status/1359020324788924417

https://twitter.com/tsuda/status/1359027417273167874
質疑応答ではテレビ東京から「森元首相の発言について民放と出版さんの見解を伺いたい」という質問があった。
テレビ東京森元首相の発言について民放と出版さんの見解を伺いたい」
岸田「私見だが辞めて済まさない方がいいと思っている。反省しているということなので、行動で示す、女性を増やしてほしい。30%を超えるとクリティカル・マスを超える。そうなると男女差ではなく個人差であると実感できるはず」》
《岸田「森元首相の発言に関係して、根回しに注目が集まっている。根回しは大事だが、たいていの場合、女性には時間的な制約もあり、根回しをする場から女性が排除されているという問題もある。そういう部分にも光があたってほしい」
《岸田「メディアについて、森元首相の発言に素早く反応できたところと、できなかったところがあると思う。それは事前に心構えがあるかどうか。民放はあまり素早く対応できなかった。そのアンコンシャスバイアスに気付く必要があると思う」》
《酒井「私としては謎が解けた思い。辞めるという責任の取り方。残ることで体制を変えるという責任の取り方。どちらもあるだろう。あの世代の人だから女性は守るもの、かばうものという考えがあると思う」》
《酒井「諸外国ではメルケルさんやアーダーンさんなど女性のリーダーも出てきていて、彼女たちの活躍やメッセージが女性や子どもをエンパワーしている。しかし日本の女性政治家からそうしたエンパワーするようなメッセージは受け取れていない」》
《酒井「ジェンダーは社会が男らしさ、女らしさを作っているもの。あの発言は森元首相の遅れている価値観からされた非常に残念な発言。未来に希望の持てるような発言をしてほしい」》
https://twitter.com/tsuda/status/1359030256523309057

https://twitter.com/tsuda/status/1359031203479703556
さて、東京五輪は? 森喜朗の会長辞任は? 外堀は完全に埋まった、ようにも思えるのだけれど。産経新聞は2月10日付で「自民・野田聖子幹事長代行『間違った発言』 森会長を批判」を掲載している。
自民党野田聖子幹事長代行は10日の記者会見で、東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長が女性蔑視ともとれる発言をしたことについて「今の時代の枠組みの中からすると間違った発言だったと思う」と述べた。》
https://www.sankei.com/politics/news/210210/plt2102100017-n1.html
共同通信は2月10日付で「競泳萩野『信じられない』森氏発言、厳しく断じる」を配信している。
東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長の女性蔑視発言について、2016年リオデジャネイロ五輪競泳男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介ブリヂストン)が10日、「非常に残念だし、がっかりした。そういう発言をするような思考回路に行き着くのが、ちょっと信じられない」と厳しく断じた。》
https://this.kiji.is/732240931074457600?c=39546741839462401
五百旗頭幸男のツイート。
JOCの当事者達が口をつぐむ中でトップ選手が覚悟を示した。同じ五輪メダリストでも「この件についてアスリートが発信していくのは酷だ』と発言したJOC山下会長は忖度まみれのムラ社会住人だが、萩野選手は違った。選手にここまで言わせた森、山下両氏は責任を取るべきだ。》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1359511224665264135
朝日新聞デジタルは2月10日付で「『森会長は辞任を』 同じ派閥だった山本一太知事が批判」を掲載している。
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言について、群馬県山本一太知事は10日、「思いきって辞任された方がいろんな意味でいい」と述べ、会長の辞任を求めた。この日更新した自身のブログで同様の内容を書いたことを受け、午後に県庁で記者団の取材に応じた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP2B66BYP2BUTIL042.html
山本一太は2月10日付で自らのブログに「森喜朗東京オリパラ組織委員長の辞任問題は早期の決着を~最も心配なのは有力選手の出場辞退連鎖反応。」をエントリしている。
《加えて、総理まで経験された(しかも国会議員時代には散々、ご迷惑をかけた)政界の大先輩に対して、あまり失礼なことは言いたくない。出来れば、こんなブログも書きたくない。
が、それでも、(少し心苦しいが)敢えて、こう申し上げたい。森会長には、この際、「1日も早く組織委員会の会長を辞任していただいたほうがいい」と思う。
昨晩、欧米の友人たちと電話で意見を交わした。細かいことは言わないが、とにかく手厳しかった。そう、これが国際社会の共通の見方なのだ。》
《 自分が最も恐れているシナリオは、東京大会でメダルが期待される国外の有力な(又は著名な)選手たちが、森会長の発言に抗議して、東京五輪パラリンピックへの出場辞退を表明することだ。たった1人、シンボルになるような選手がそうした行動を取った場合、「有力な選手が次々と後に続く」という最悪の事態を招きかねない。
そうなる前に、きちっと決着をつけたほうがいい。そう思っているのは、自分だけではないはずだ。》
https://ameblo.jp/ichita-y/entry-12655843650.html
東京新聞は2月10日付で「『差別は人ごとでない』福島の聖火ランナー抗議の辞退 『走りたい』葛藤も<森会長発言>」(原田遼)を掲載している。
東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長(83)による女性蔑視発言を巡り、福島県田村市の会社役員坪倉新治さん(57)が9日、聖火ランナーの辞退を同県に伝えた。組織委はこの日、走者全員に謝罪メールを送ったが、坪倉さんは身内をかばう周囲の対応を疑問視。地元は原発事故で風評被害が残っており、「差別は人ごとではない」と抗議の意思を示した。
「スタートまで1カ月半だったから『走りたい』という葛藤もあった。でも黙っていることは、森さんの発言に同調することになる」。坪倉さんは本紙に対し、苦渋の決断を明かした。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/85017?rct=national
毎日新聞は2月10日付で「森氏に辞任迫る? 小池知事の4者会談欠席意向 広がる臆測」(小林悠太 松本晃)を掲載している。
《4者協議はバッハ氏と、小池氏、森氏、橋本聖子五輪担当相が参加し、五輪実現に向けて結束を確認する場になると見られていた。しかし、小池氏は10日午前、報道陣に「今、4者協議をしてもポジティブな発信にはならない。私は出席することはないと思います」と明言した。》
https://mainichi.jp/articles/20210210/k00/00m/050/067000c
更に毎日は2月10日付で「森氏発言に4者協議欠席で『ノー』 小池劇場再び 自民は警戒」(内田幸一 竹内麻子 円谷美晶)で、こう面白おかしく報じている。
《調整や根回しを得意とする森氏が最も手を焼いたのが小池氏で、五輪競技会場の見直しや経費負担の問題では綱引きを繰り返してきたこともあり、五輪関係者の間では「またか」との思いもある。ある政府関係者は「まるでデジャブ(既視感)」と表現しつつも、こう続けた。「小池知事が表に出てきたことで、森会長も簡単に引き下がれなくなった。徹底抗戦するだろう」》
https://mainichi.jp/articles/20210210/k00/00m/050/236000c
「YAHOO!ニュース」は2月11日付で「THE PAGE」の「五輪放映権を持つ米NBCが森会長の辞任を要求する意見記事『彼は去らねばならない』」を公開している。
《五輪の放映権を持ち、開催是非のキーを握るとされる米NBC、「東京五輪のトップ、森氏が性差別で大坂なおみや他の人々から非難を受ける。彼は去らなければならない」との見出しを取って辞任を求める意見記事を掲載した。》
https://news.yahoo.co.jp/articles/a989f13427e82adc0cef0735ba5f5fdc94a4d051
ガースー・ベイダーにもブーメランが一撃する。東京新聞が2月11日付で掲載した社説「森発言と菅政権 深刻さ理解しているか」は、次のように書いている。
《森氏に辞任を促すよう求める野党の国会質問に対し、首相は「私が進退を問題視すべきではない。組織委の中で決定してもらう」と述べるにとどめた。
「あってはならない発言」と言いながら、進退には自分は無関係と言わんばかりの答弁である。
首相は組織委の顧問会議議長でもあり、組織委の定款では、顧問会議は法人の運営に助言できる。
首相は形式的とされる日本学術会議の会員人事に介入しながら、なぜ組織委には助言しないのか。
森氏の進退に言及しないのは、女性蔑視発言の深刻さを理解していないから、と国民や世界に受け取られても仕方があるまい。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/85325?rct=editorial
朝日新聞も二度目の社説を掲げる。2月11付「五輪組織委 混迷打開に刷新を急げ」は次のように書く。
《森発言をうやむやにするのは、男女格差の解消に向けて取り組んできた多くの人の努力をないがしろにし、「後進国日本」の現実を放置・容認することを意味する。ところが自民党の二階俊博幹事長や閣僚からは森氏を擁護する無神経な発言が飛び出し、さらに人々の怒りを買う悪循環に陥っている。
政権が座視を続けるのであれば、この事態を打開できるのは組織委自身しかない。日本サッカー協会相談役の川淵三郎氏ら6人でつく評議員会は、会長を含む理事らを解任する権限を持ち、理事会も会長らを解職できる旨の規定がある。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14796500.html
朝日新聞デジタルは2月11日付で「森喜朗会長が関係者に辞意伝達 後任は川淵三郎氏で調整」を掲載している。
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)=元首相=が11日、女性蔑視発言をめぐり辞任の意向を固めたことがわかった。複数の関係者に同日、辞意を伝えた。後任は、日本サッカー協会や日本バスケットボール協会の会長を歴任し、東京五輪では選手村村長を務める川淵三郎(84)で調整している。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP2C3QKGP26UTIL01L.html
朝日新聞サンフランシスコ支局長・尾形聡彦の解説。
《伝えられている森会長の辞意。影響を及ぼしたのは、五輪の放映権に巨費を支払い、大きな影響力を持つ米NBCのニュースに掲載された、この意見記事ではないかと思います。森氏に対しては"He must go(彼は辞任しなければならない)"と厳しく注し、IOC態度も批判していました》
https://twitter.com/ToshihikoOgata/status/1359726293013516288
テレビ東京出身の青木俊が尾形をリツイートしている。
《一転の辞任は、やはり外圧だろう。アメリカさんがささやけば、一発でブッ飛ぶ。日本人があんだけ辞めろ言っても居直ったくせに。ここでも見せつけられる属国根性。女性差別アメリカに卑屈。ああ、最低。
https://twitter.com/AokiTonko/status/1359728731858694150
川淵が次のような投稿をツイッターにしていることを田中康夫に教えてもらった。川淵が2019年12月5日にツイートしたものである。
《1ヶ月以上もゆっくり楽しみながら百田尚樹さんの日本国紀を読んだ。最初500ページ余の分厚い本を見た時、読み終わるまでが大変だなぁと。ところが読み始めると興味深い日本の歴史が平易な章で書かれていて興味が尽きない。昔習った日本史を懐かしく思い出しながら。百田さん最高の傑作だと思う。》
https://twitter.com/jtl_President/status/1202542386963812353
こちらは安田菜津紀のツイート。
《待って、森会長の辞任の後、後任は川淵三郎氏で調整…?月刊Hanadaの愛読を公言し、我那覇選手をドーピング冤罪事件で苦しめた、あの川淵氏…?》
https://twitter.com/NatsukiYasuda/status/1359714069125636098
川淵は、こんなツイートもしている。これも田中から教えてもらった。
《産経のコラム"舞の海の相撲俵論"には何時も感銘を受けているが今朝のは特別。体罰は悪だと一方的に決めつけるのではなく、このままいくと道を踏み外すかもしれないという子供には、親が先生が鬼気迫る形相でやむにやまれず手をあげることもあるだろう。そこには人間同士の魂と魂のぶつかり合いがある。》
https://twitter.com/jtl_President/status/1146599718761324544

-----------------------------------------------------

2)【記事】本日の一行情報

井浦新のツイート。
《出逢いがあれば別れもある。産まれてきたらいつかは逝く。わかってる。そんなことはわかってるけど。この一年。突然の別れが多すぎるよ。悲しいけど。こっちで生きれるギリギリまで転がりつづけるから。いつかそっちにいったらまた逢いましょう。》
https://twitter.com/el_arata_nest/status/1359419806114451457

◎「温泉ドラゴン」を率いるシライケイタがこんなツイートを投稿している。
《「ダメ出し」って言葉がけしからんってここ数年よく聞くけど、それは聞き捨てならんのよ。
「チェック」とか「ノート」とか言い換えたって、やることは同じ
良い作品にするための言葉だよ。
演劇用語における「ダメ出し」の「ダメ」は「NO」って意味じゃない。
言葉狩りだよ。》
《と言いつつ、不快に思う俳優がいるならと、俺はもう何年も「ダメ出し」という言葉を使っていない。
数年前までは「チェック」って言ってた。
最近は「ノート」って言う。
英語だよ、何故か。
こうやって言葉は死んでいく。》
《「ダメ出し」は「ノート」に。
「通し稽古」は「ランスルー」に。
「作品作り」は「クリエイション」に。
何故か英語を使う、われわれ日本人。
何故なんだ、マジで!!》
https://twitter.com/keikei_keita/status/1359176002459471877
https://twitter.com/keikei_keita/status/1359176984283107332
https://twitter.com/keikei_keita/status/1359178006791524354
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を舞台化して早や五年が経つ。

◎元TBS常務にしてテレビ演出家の鴨下信一が亡くなった。85歳。
https://mainichi.jp/articles/20210211/ddn/041/060/011000c
行定勲が次のように追悼している。
鴨下信一さんが亡くなられた。この業界に入りたての私は鴨下さんの演出に衝撃を受け、たくさん学ばせてもらった。私の演出した演劇を観に来て下さったときは、嬉しくて身震いした。一方的に想いが募る演出家だった。もう一度、ゆっくりお話しをしたかった。ご冥福をお祈り致します。》
https://twitter.com/ISAOYUKI/status/1359491014470246404
「俳優と戦争と活字と」(ちくま庫)の濱田研吾のツイート。さすがだなあ。
《亡くなった鴨下信一の演出作はいろいろ見たけど、見ることが出来て嬉しかったのは東芝日曜劇場『友、遠方より』(70/7/19)。十七代目中村勘三郎中村翫右衛門、テレビドラマだからこそ実現した名優ふたりの顔合わせによる、ビターな人情時代劇。渡辺岳夫の音楽で、香川京子奈良岡朋子が華を添える。》
https://twitter.com/hamabin1/status/1359689233313583104
私などからすると「岸辺のアルバム」の衝撃が忘れられない。

◎ポルノ誌ということになるのだろうか、「ハスラー」を創刊したラリー・フリントが亡くなった。
https://www.afpbb.com/articles/-/3331209
今夜はネットフリックスでミロシュ・フォアマンの「ラリー・フリント」でも見ることにしよう。この映画によればラリー・フリントは裁判にヘルメットを被り、星条旗で作ったおむつをして現れる。「わいせつと、国が戦争で人殺しをするのと、どちらがひどい?」という台詞も覚えている。

クシシュトフ・キェシロフスキの「デカローグ」がデジタルリマスター版として4月上旬より公開される。
https://realsound.jp/movie/2021/02/post-704520.html
巖谷國士が次のようなツイートを投稿していた。
《キェシロフスキの映画『デカローグ』が再公開。ナチスによる破壊から蘇ってきた美しい都市、ワルシャワに生まれる十篇の物語は、ガラス窓と光の冷やかな感触とともに、暖かく育ってゆく。樹木や風、人の表情までも結晶に変える映像には、あの奇跡のような『ふたりのヴェロニカ』の予感も走る。》
https://twitter.com/papi188920/status/1359245952289148928
「デカローグ」の上映時間は10時間に及ぶ。

◎「内モンゴル紛争 危機の民族地政学」(ちくま新書)や「墓標なき草原 内モンゴルにおける化大革命・虐殺の記録」(岩波書店)の楊海英がツイートしている。
森前首相の辞任を求めた人たちにはぜひ、2022年北京冬季オリンピックの中止を求めてほしい。ウイグル人女性に対し、中国は組織的性犯罪を犯しているからだ。》
https://twitter.com/Hongnumongol99/status/1359702700078731271
西日本新聞の次のような記事に目を通しておきたい。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/688137/
こちらは朝日新聞デジタル
https://digital.asahi.com/articles/ASP2474KHP24UHBI00S.html?iref=pc_ss_date_article

小学館はLEDで攻める。「DIME」も良いが、「BE-PAL」3月号の付録「人感センサー富士山LEDランタン」も良さそうだ。税込で1000円!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001016.000013640.html
サライ」3月号はLEDではないけれど、「猫づくしマスクケース」が付録だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001018.000013640.html
付録が欲しくて雑誌を買って何が悪い!昔から付録は雑誌の大きな魅力である。付録が欲しくて買って、ついでに中身を読んで、雑誌って良いものだなと。これが私の原体験である。

元木昌彦が「日刊サイゾー」に連載している「週刊誌スクープ大賞」は2月8日付で「菅義偉、長男による官僚違法接待の背景に“天領総務省利権の旨味」を公開しているが、次のように予測している。
《05年に郵政行政局長が利害関係者であるNTTコミュニケーションズの幹部からタクシーチケットをもらったとして、国家公務員倫理法違反で処分されているから、総務省も4人に厳しい処分を下さなければならないはずだ。接待側の「東北新社は認可取り消しか出入り禁止か。》
https://www.cyzo.com/2021/02/post_267648_entry.html
ここで「厳しい処分」とならなかったら、民衆の怒りは爆発するだろうな。蛇足ながら元木も《8時には家に帰って来て、それからまた飲み始めるから、酒量が増えてしょうがない。》という生活か。みんな同じようなものなんだね。

ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ」は、4月から小学1年生~中学3年生になる会員全員を対象に、「鬼滅の刃」の世界観の中で学べる教材やキャラクターがデザインされたオリジナル具を通信教育講座内で提供する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000880.000000120.html

◎かつてベネッセホールディングでトップをつとめていた原田泳幸はアップル日本法人や日本マクドナルドでも経営トップをつとめ、一時は「プロ経営者」とちやほやされたものである。現在は、台湾茶チェーンの「ゴンチャ」の日本法人でトップをつとめている。そんな原田が久しぶりにマスコミを騒がせたのは「プロ経営者」としてではなく、妻であり、シンガーソングライターの谷村有美に対する暴行事件であった。産経新聞は2月8日付で「改名むなしく…妻暴行容疑の原田容疑者、プロ経営者手腕も疑問符」を掲載して次のように書いている。
《流通業界関係者は「女性に人気があるタピオカだけに、経営トップによる妻への暴行が事実なら、企業やブランドのイメージダウンは著しい。経営トップを続けるのは難しい」とみている。関係者によれば、原田容疑者は、ゴンチャのトップとして意欲的な姿勢をみせていたというが、今回の事件で、プロ経営者としての再登板は厳しくなった。》
https://www.sankei.com/world/news/210208/wor2102080019-n1.html

紀伊國屋書店 西武渋谷店は2014年に公園通りと間坂に挟まれた西武渋谷店パーキング館1階にオープンし、「リアル書店のあらたなかたち」をテーマにさまざまなイベント・フェアをおこない、開店7年目を迎えたが、3月16日(火)からA館7階へ移転し、売場をリニューアルする。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000770.000031382.html

日経BPが運営する医療従事者専門サイト「日経メディカル Online」の薬剤師会員数が16万人を突破した。
https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/newsrelease/corp/20210109/

◎「呪術廻戦」(集英社)のシリーズ累計発行部数が3000万部を突破した。
《【祝!+最新刊カバー公開!】いつも #呪術廻戦 を応援いただきありがとうございます!この度シリーズ累計発行部数が3000万部を突破しました!(デジタル版含む)
これを記念して2021年3月4日(木)発売の15巻カバーを最速公開!真人です!
引き続き応援よろしくお願いいたします!》
https://twitter.com/jujutsu_PR/status/1358958798711345158
二カ月で倍増している。一カ月で1000万部増えている。

毎日新聞は2月9日付で「ひと 須賀晃一さん=『早稲田新書』を創刊した早大出版部社長」(屋代尚則)を掲載している。
《自身は一橋大、同大学院で経済学を学んだ。寮で、毎月新たに刊行される岩波新書を全て読む学生に出会うなど「周囲の読書量、知識に圧倒された」。特に経済学者、宇沢弘さんの「自動車の社会的費用」には、その考え方に「ショックを受けた」と読書体験を語る。》
https://mainichi.jp/articles/20210209/ddm/012/070/081000c
実は私も「毎月新たに刊行される岩波新書を全て読む学生」だったんだけれど、この程度の人間にしかなれなかった。

◎千倉書房の神谷竜介が「note」に「第2回神谷新書賞」を2月1日付で発表している。神谷の選んだベスト20は実に納得できるものであった。ちなみに中公新書が七冊も占めている。
01 宇野重規『民主主義とは何か』(講談社現代)
02 伊藤亜聖『デジタル化する新興国』(中公)
03 斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社
04 小山俊樹『五・一五事件』(中公)
05 藤野裕子『民衆暴力』(中公)
06 駒井稔『学こそ最高の教養である』(光社)
07 小林道彦『近代日本と軍部』(講談社現代)
08 詫摩佳代『人類と病』(中公)
09 岡山裕『アメリカの政党政治』(中公)
10 岡本隆司『「中国」の形成』(岩波)
11 園田茂人『アジアの国民感情』(中公)
12 鈴木亘社会保障と財政の危機』(PHP
13 鳴沢真也『連星からみた宇宙』(ブルーバックス
14 荒木田岳『村の日本近代史』(ちくま)
15 檀上寛『陸海の交錯』(岩波)
16 空井護『デモクラシーの整理法』(岩波)
17 竹中治堅『コロナ危機の政治学』(中公)
18 及川輝樹『日本の火山に登る』(ヤマケイ)
19 岡崎守恭『遊王 徳川家斉』(春)
20 酒井正士『邪馬台国別府温泉だった!』(小学館
神谷は次のように書いている。
《調べない、読まない、自分の思い通りの結論しか見ない風潮にどこかで歯止めをかけないと、世界は取り返しの付かない事態を迎える。》
《読み手の力が落ちているから出版社もそれに合わせた商品設計をしなければならない。力を入れているから優れた新書は次々生まれるが、読者側においてそこから先への広がりは今ひとつである。新書はあくまでも、その次の、より深く、より大きな読書の入り口だという気概を持ってほしいと願わずにいられない。》
https://note.com/kamiya_ryusuke/n/n79de6b31818a
神谷は、こんなツイートも投稿している。
《唸った。素晴らしい仕事。かの芳賀先生からこれを「任せる」と言われれば冥利というものだ。同年にこういう優れた好敵手がいるから編集者はやめられない。ウィスキーをなめるように読み進めたい。おめでとう。お疲れさま。すごいよ、吉田大作!》
https://twitter.com/kamiya_Chikura/status/1359340563464552455
中央公論新社芳賀徹の「明の庫 Ⅰ 静止から運動へ」「明の庫 Ⅱ 夷狄の国へ」を刊行した。
https://www.chuko.co.jp/tanko/2021/02/005390.html
https://www.chuko.co.jp/tanko/2021/02/005391.html
昨年、刊行された「外交官の章 ─もう一つの近代日本比較化史」(筑摩書房)も併せて読みたい
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480861191/
残念ながら芳賀は昨年、2月に亡くなっている。

中央公論新社も「新書大賞2021」を発表した。
大 賞 『人新世の「資本論」』 斎藤幸平 (集英社新書
第2位 『民主主義とは何か』 宇野重規 (講談社現代新書
第3位 『椿井書』 馬部隆弘 (中公新書
第4位 『民衆暴力』 藤野裕子 (中公新書
第5位 『スマホ脳』 アンデシュ・ハンセン (新潮新書
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000065430.html
斎藤幸平が感謝のツイートを発表している。
《『人新世の「資本論」』が今年の新書大賞を獲得しました!!応援くださった方々ありがとうございます!大変名誉ある賞を頂き嬉しく思うと同時に、ゴールは賞ではなく、この地球を未来の世代のために守ること。同じ想いの人たちと3.5%