【文徒】2020年(令和2)4月30日(第8巻79号・通巻1736号)


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1)【記事】岡村隆史「女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言」を考える
2)【記事】世界を駆け巡った日刊スポーツの森喜朗発言「東京五輪再延期はない」
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】岡村隆史「女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言」を考える

朝日新聞デジタルは4月27日付で「岡村隆史さん『コロナと風俗嬢』発言、ニッポン放送謝罪」を掲載している。
《お笑い芸人の岡村隆史さんがニッポン放送のラジオ番組で、「コロナが明けたら可愛い人が風俗嬢やります」などと発言したことについて、同局は27日、ホームページ上に「現在のコロナ禍に対する認識の不足による発言、また、女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言がございました」とする謝罪を掲載した。》
https://www.asahi.com/articles/ASN4W6QRHN4WUCVL048.html
毎日新聞は4月27日付で「岡村隆史さん『コロナ明けたら可愛い人が風俗嬢やります』発言に批判」を掲載している。
吉本興業所属のお笑い芸人「ナインティナイン」の岡村隆史さんが、4月24日に生放送された自身のラジオ番組で、新型コロナウイルスの感染拡大で経済的に苦しくなった女性が性風俗業で働くことになるという趣旨の発言をし、「コロナ明けたら、可愛い人が短期間ですけれども、お嬢(風俗嬢)やります」「だから今我慢しましょう。今我慢して風俗に行くお金をためとき」と話した。
女性がやむを得ない事情で性風俗業で働くことを待ち望むような発言に、貧困支援や性暴力被害者支援の専門家から批判の声が上がっている。ニッポン放送は27日、公式ホームページ上で「女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言があった」として謝罪した。》
https://mainichi.jp/articles/20200427/k00/00m/040/143000c
岡村発言をもっと正確に見ておこうか。「J-CASTニュースは4月28日付で「ナイナイ岡村隆史『コロナあけたら美人が風俗嬢に...楽しみ』発言に怒りの声殺到!『NHKは『チコちゃん』と『麒麟がくる』から降板させろ!』」を公開している。
《「コロナあけたら、美人さんがお嬢やります。なぜかと言えば、短期間でお金を稼がないと苦しいですから。かわいい子が(性風俗店で)パッと働きます。そしてパッとやめます。コロナあけたら3カ月間は『こんな子入ってた?』っていう子たちが絶対、入ってきますから。今、ほんとうに我慢して、我々『風俗野郎Aチーム』みたいなもんは、この3カ月を目安に頑張りましょう」》
https://www.j-cast.com/tv/2020/04/28385086.html?p=all
朝日新聞記者の宮園園子がツイートしている。
《録音放送なら放送局が謝罪するのわかるけど・・・発言者も大の大人なのでは?
なんで、「うちの子がわるさしてほんますんまへん」みたいになってるんだろう。》
https://twitter.com/sonoko_miyazaki/status/1254738954223382528
上智大学言語教育研究センター非常勤講師である大柳貴のツイート
《「経済的に困窮したら女性は性風俗業に従事する」という考え方は、生活に困って娘を女郎屋に売り飛ばしたなどという悲惨な時代と寸分変わっていない認識なのか?そもそも経済的困窮は行政の責任で保護するのが筋だろうに。》
https://twitter.com/TakashiOyanagi/status/1254753318808641539
高須克弥のツイート。
《いま、ニッポン放送から岡村隆史君の発言についてオールナイトニッポンのスポンサーに対する謝罪があった。
僕は失言に関しては、常に速やかな謝罪をすれば受け入れて許すよ
悩むな岡村くん。
このところ、僕も謝ってばかりだ。》
https://twitter.com/katsuyatakasu/status/1254695200993103873
むろん、「裏のハローワーク」や「売春島」の著書を持つ草下シンヤのツイートも念頭には置いておこう。
《岡村さんの発言は風俗業界では常識で、スカウトの人間も経営側も同じことを言っている。リーマンショックの後にも震災の後にも同じ現象が日本中で見られた。「本当に風俗好きなんだろうな、その中の常識で語ったら炎上したんだな」というのが素直な感想》
https://twitter.com/kusakashinya/status/1254954171419123714
もっとも、「ナインティナイン岡村隆史オールナイトニッポンなる番組は風俗業界の常識で成立している番組ではない。岡村にはそういう自覚がなく、そうした自覚を持っているニッポン放送はホームページでいち早く謝罪したと、そういうことなのだろうか。
ニッポン放送が次のような「4月23日『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』での発言について」を発表したのは4月27日午後6時10分のことである。
《4月23日(木)深夜に生放送の「ナインティナイン岡村隆史オールナイトニッポン」において、パーソナリティの岡村隆史氏から、現在のコロナ禍に対する認識の不足による発言、また、女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言がございました。
放送をお聴きになって不快に感じられた皆様、関係の皆様にお詫び申し上げます。
弊社番組に関わる全ての制作スタッフには、迅速に、より一層の教育を図ってまいります。》
https://www.allnightnippon.com/topics/52464/
NHK NEWS WEB」にしても、4月27日付で「岡村隆史さんのラジオ番組での発言 ニッポン放送が謝罪」を発表している。この記事でも岡村が謝罪したとは書いていない。
《お笑い芸人の岡村隆史さんが今月24日に放送されたラジオ番組で、新型コロナウイルスが終息したら美人が風俗で働くという趣旨の発言を行い、ニッポン放送は27日、番組のホームページで「女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言がございました」などと謝罪しました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200427/k10012408051000.html
「現在のコロナ禍に対する認識の不足による発言、また、女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言」が番組の構成台本にでも書かれていたのであれば、何よりもまずニッポン放送が謝罪しなければなるまい。しかし、「オールナイトニッポンというDJ番組の性格からしても、それは岡村の本音として紡ぎ出された発言であるはず。
岡村の「表現者」としての責任が問われているのである。ましてや岡村はNHK大河ドラマ麒麟がくる」の出演者であり、子ども向け番組「チコちゃんに叱られる」ではMCである。
角川新書から「病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ」を出している医師の木村知ならずとも、次のように思っている視聴者は多いだろう。
《この記事でNHKは、岡村隆史の発言内容を事実としてハッキリと認知したことになるから、その上で、即刻彼を降板させずに、今後も使い続けることが、万が一にもあるならば、NHKとして「大した問題ではない」との認識を世に示すことになるな。国内はもとより、全世界に向けても。》
https://twitter.com/kimuratomo/status/1255081542025543680
「なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法」(ディスカヴァー携書)で知られている弁護士の伊藤和子は次のように岡村発言を断罪している。
《ヤミ営業より大麻使用より、私はこういう人倫にもとる発言は悪質で許しがたいものだと思う。
なぜ降板が検討されないのかわからない。
NHKさん、他人事ではない。》
https://twitter.com/KazukoIto_Law/status/1254892192419602432
週刊女性PRIME」が4月27日付で公開している「岡村隆史、大炎上の“女性蔑視”発言のウラに25年続く『言うたった感』」は次のような岡村の10年以上も前の発言を紹介している。この考え方は今も変わりないのだろう。
《ラジオは言い逃げできますから(笑) 今みたいに、ラジオの発言がきっかけで、テレビのワイドショーで謝罪させられるなんてこと、昔はなかった。言いたいこと、思ったことを言うのがラジオじゃないんですかと。当時はそんな「言うたった感」が、自分たちの力のなさの鬱憤を晴らす場にピッタリでしたね》
https://www.jprime.jp/articles/-/17824
「恋愛氷河期」の勝部元気も降板に賛成だ。
《毎度お決まりの「不快に感じられた皆様~」ってそれ謝罪じゃないですから。岡村隆史氏の女性の貧困化を待ち望む発言を、「コロナ禍に対する認識の不足による発言」「女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言」だなんて矮小化しないでください。罪に見合った罰は降板一択です。》
https://twitter.com/KTB_genki/status/1254721688337432578
こんなツイートを発見した。
岡村隆史の発言の何がヤバいって社会的弱者の軽視なんだよな。女性の尊厳と職業への配慮というレベルの話じゃないんだよ。》
https://twitter.com/a3kr_/status/1254725356335972361
こういう投稿もある。
《発言した本人が謝罪しない限り全く意味がない。女性の貧困問題が性的搾取の温床となっている現状を肯定するどころか「楽しみ」などと、嬉々として待ち侘びるような人権意識の欠片もない暴言を、あろう事か公共の電波を通じて撒き散らした点も認めさせなければならない。》
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1254936349146152960
それにしてもテレビの情報番組=ワイドショーは、岡村に謝罪させるどころか、この問題を殆んどスルーしてしまっている。それはテレビ局が岡村の人気に依存しているからなのだろうが、そうした常識こそ粉砕する必要があるというものである。むろん、岡村を降板させれば良いというものではない。ただ降板させるだけでは問題の本質を隠蔽してしまうことにもなるだろう。何が言いたいかって?次の二つのツイートをまずはお読みいただきたい。
《吐き出します。
岡村隆史ミソジニー発言、岡村擁護のミソジニー発言によってモヤモヤしてます。
一番最初に話をややこしくするのが【風俗にプライド持って、やりたくて従事している女性に失礼だ】と、【風俗をやりたくてやってる女性なんかいない】という主張の対立だと思っています。》
https://twitter.com/yukaring1117/status/1255077910232231936
《「風俗に若くて可愛い女の子が来るのが楽しみ」という、性風俗産業と貧困の繋がりを称揚する発言は、未来において「若くて可愛い女の子」になり得る女性の児童/幼児/赤ん坊をも加害し搾取することを容認している。》
https://twitter.com/00_carbuncle_00/status/1255221057830748164
更にこんなツイートがあり・・・
《「批判している人こそ風俗差別だ」などと擁護をしている者もいるが、あまりに的外れだ。これは風俗の是非の話ではない。岡村は、生活苦によって自らの意志に反して性風俗業に従事せざるを得ない女性が存在するという「性的搾取」の構造を認識したうえで、その状況を歓迎しているのだ。》
https://twitter.com/yumidesu_4649/status/1255101467007922176
こういうリプライがあり、だ。
《こういう完全に低リテラシー丸出しな物言いに多くのいいねがつき、リツイートされてることがハッシュタグ #岡村隆史 の深刻な状況。これが印象操作によるフェイクニュースで、関係者は誰も納得してないのに謝罪に追い込まれてるという事実こそ、本当に病理と言えるよね。
正義中毒も甚だしい。》
https://twitter.com/maochin39blue/status/1255388964720193536
さて、どう考える?
吉本興業ホールディングスは4月29日付で「ナインティナイン村隆史のラジオ出演時の発言について」を発表した。
《4月23日(木)放送の「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポンにおける発言につきまして報告いたします。
当社としても、現下の新型コロナ禍で仕事に対する不安を覚えている方々に不快な思いをさせてしまう不適切な発言と考えており、本人と面談致しましたが、岡村自身発言を深く反省しております。4月30日(木)の次回放送にて改めて本人より謝罪させていただく予定ですが、放送に先立ち本ウエブサイトにて以下のとおりコメントを掲載させていただきます。
この度は 4月23日(木)「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」の放送における私の発言により不快な思いをされた方々に
深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
世の中の状況を考えず、また苦しい立場におられる方に対して大変不適切な発言だったと深く反省しております。
2020年4月29日 ナインティナイン 岡村隆史
https://www.yoshimoto.co.jp/corp/news/media/media200429.html

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2)【記事】世界を駆け巡った日刊スポーツの森喜朗発言「東京五輪再延期はない」

日刊スポーツは4月28日付で「五輪&パラ開閉会式は合同で!森会長が経費削減案」を掲載している。
《-来夏、新型コロナの終息が見込めなかった場合、22年への再延期はあるか
森会長 ない。その時は中止。過去にも戦争など、そういう問題が起きたら普通は中止になる。今回は見えない敵と闘っている。それを何とか押さえ込み平和裏に来夏、五輪を開催しようと決めた。これは人類の賭けだ。世界中がウイルスに勝利した後、五輪ができたら今までの五輪より何倍も価値のある大会となる。そう思わないと苦労と努力が報われない。》
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202004270000517.html
この日刊スポーツの記事はAFPが世界に打電している。
《The pandemic has already forced a year-long delay of the Games -- which are now scheduled to open on July 23, 2021 -- but Tokyo 2020 president Yoshiro Mori said no further postponement was possible.
In an interview with Japan's Nikkan Sports daily, Mori was categorical when asked if the Olympics could be delayed until 2022 if the pandemic remains a threat next year, replying: "No."
"In that case, it's cancelled," Mori said.》
https://sports.yahoo.com/next-years-olympics-cancelled-pandemic-not-over-games-055022547.html
BBC NEWS JAPAN」は4月29日付で「東京五輪、『再延期はない』 森会長が言明」を発表している。
《森氏は日刊スポーツのインタビューで、大会が2022年に再延期される可能性があるかとの質問に、「ない」と答えた。そして、「そのときは中止になる」とした。
ただ、森氏は東京2020大会が予定通りに来年開催されることへの自信を表明した。「世界中がウイルスに勝利した後、五輪ができたら今までの五輪より何倍も価値のある大会となる。そう思わないと苦労と努力が報われない」》
https://www.bbc.com/japanese/52466583
山川健一は森に次のような呟きを投げつけている。
《竹槍を捨てて、さっさと中止にしろ。この利権男め。》
https://twitter.com/Yamakawakenichi/status/1255383315684773888
朝日新聞長岡支局の伊丹和弘のツイート。
《安倍首相は答弁でごまかしたけど、全世界的に新型コロナウイルス感染が終息しているいなければ五輪は開催できないし、その終息は先が見えない状態。一方で、東京五輪は2021年7月23日に開催が決まっており、予選などを考えれば、年末までに終息していなければならない。矛盾するんだよね。》
https://twitter.com/itami_k/status/1255388806947262465
森喜朗からすれば、いざという時に備えて打った布石なのかもしれない。

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3)【本日の一行情報】

◎「わかる広告」は4月23日付で「在宅勤務でも雑誌のタイアップ広告を出稿できる企画が続々登場中!」を公開している。
https://www.san-an.co.jp/blog/2020/04/23/188
雑誌広告業界は、もともと「三密」を大切にして来たが、リモートによる作業においても「三密」が実現したクオリティを落としてはなるまい。「三密」という状態を避けても「三密」のクオリティを失わないよう、持てるノウハウを総動員する必要があるはずである。

大日本印刷DNP)が丸善ジュンク堂書店教堂及びトゥ・ディファクトと共同で運営するハイブリッド型総合書店「honto(https://honto.jp/)」は、コピーライター阿部広太郎の新刊「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」(ダイヤモンド社)を読むオンライン読書会を5月13日(水)19時30分から開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000519.000009424.html

◎詩人の谷川俊太郎は、女性ファッション誌「with」6月号(講談社)で、母の日をテーマにした詩を書き下ろした。
https://www.oricon.co.jp/news/2160805/full/
女性誌に限ったことではなく、本来、雑誌は詩を大切にしなければならないし、雑誌に詩は必要なのである。私は最近、マガジンハウスの清水達夫が「鳩よ!」を創刊した気持ちが理解できるのである。「鳩よ!」は詩の雑誌であったが、何故、清水が詩を選んだかといえば、紙のソーシャルメディアを実現しようと思っていたからではないのだろうか。失敗しようとも、成功しようとも、編集者の仕事とは未来を創造することなのである。断るまでもないが、伝統によって未来を創造するという方法もあるだろう。

国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那賢志は4月25日付「YAHOO!ニュース」に「アビガン 科学的根拠に基づいた議論を」を発表している。
《そもそも新型コロナウイルス感染症はほとんどの方は治癒する感染症です。
2020年4月24日時点で日本における新型コロナウイルス感染症の致死率は2%未満です。
つまりほとんどの方が治癒する感染症であり、アビガンを飲んでも飲まなくても良くなるということです。
クドカンさんも石田純一さんも、アビガンを飲まなくても良くなった可能性が高いでしょう。》
《もう少し科学的根拠が揃うまでは「新型コロナにアビガンが効いた」と思わせるような報道は控えていただきたいものです。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200425-00174913/
こうした指摘に早い段階でアビガンの投与を訴えて来た「羽鳥慎一モーニングショー」は、どう応じるのか注視したい。

毎日新聞は4月27日付で「新型コロナで当局が規制・圧力 報道の自由侵害懸念 『国境なき記者団』が警告」を掲載している。
新型コロナウイルス禍を報じるジャーナリストたちが当局による規制や圧力を受けているとして、国際的な記者支援団体が警告を発している。パリに本部がある「国境なき記者団(RSF)」は、関連事例を追跡するプロジェクトを始めた。正確な報道は感染拡大やパニック抑制に不可欠なだけに、パンデミック(世界的大流行)の中での報道の自由の侵害に懸念が強まっている。》
https://mainichi.jp/articles/20200427/ddm/004/040/043000c

◎「BusinessJournal」は4月27日付で「じゃらん、インディード…なぜリクルートにとってコロナ拡大は存亡を揺るがす脅威なのか?」(真壁昭夫・法政大学大学院教授)を発表している。
《コロナ禍によって、同社のマッチングをベースとするビジネスモデルが大きな変化に直面している。世界全体で人の動線が寸断され、観光や飲食など、多くの分野で需要が消滅している。さらに、急速な需要の低下と感染対策による供給の制約から、労働市場の需給も崩れ始めている。》
https://biz-journal.jp/2020/04/post_153823_3.html

◎「好書好日」は4月26日付で「個人書店の通販リストを作ってみて、いま思うこと 里山社代表・清田麻衣子さん寄稿」を掲載している。清田は次のように書いている。
《個人経営の書店にはファックスがなく、メールで新刊情報を流すことも多いので、私は新刊が出るとお店をリスト化していた。また里山社は、アート、芸、エッセイ、サブカルとジャンルレスのラインナップで、芸が強いお店、アート系、絵本が強いお店、サブカル色が強いお店など、新刊を出すたびに新しい店が追加され、バラエティに富んだリストが手元にあった。計画性のない出版が初めて生かされた瞬間だと思った。
とはいえ、各店舗のURLをリスト化していく作業を一人でやっていてはいつ完成するかわからない。「WEBmagazine温度」を運営し、ライターをしながら里山社のみならず、いくつかの一人出版社の営業を手伝ってくれている碇雪恵さんに声をかけると「モヤモヤしてたので、書店さんのお役に立てるのが嬉しいです!」と二つ返事で協力してくれた。彼女もまた、書店営業もままならない日々、SNSで流れてくる苦しい書店の叫びに胸を痛めていた一人だった。
そしてもう一人、一昨年、某版元を退社し、フェミニズム出版社、エトセトラブックスを始めた松尾亜紀子さんにも声をかけた。彼女は新刊の納品間際にも関わらず、快諾してくれた。一人で版元をすることは、その出版行為自体が運動のような側面を持っている。松尾さんは一人版元の強みを生かし、とても意識的に世の中を変えようとしている人だ。同じ時代に一人で出版社をしていることが、心強い存在だった。》
https://book.asahi.com/article/13321766
里山社が投稿した告知ツイートである。
《全国の個人書店の通販サイトのリストを里山社清田&碇雪恵&エトセトラ松尾で作成しました。それなりの数ありますが、足りないものもあるかと。ぜひご意見&ご活用下さい!》
https://twitter.com/satoyamashakiyo/status/1247855818713620481
里山社が「note」に発表した「2020年4月以降、全国の通販で買える個人書店一覧」である。ステキな書店が勢ぞろいしている!
https://note.com/satoyamasha77/n/n351c10016b7e
私にとって里山社は「日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学」や「ジェンダー写真論 1991-2017」(笠原美智子)の版元である。
http://satoyamasha.com/books/1836
https://magazine-k.jp/2016/04/29/hon-wo-dasu-made-bangai-01/
https://magazine-k.jp/2016/11/16/hon-wo-dasu-made-bangai-02/
清田は「マガジン航」に「本を出すまで」を連載していたが、こう書いている。里山社を設立するに際して、「SURE」の影響を受けているようだ。
《そして2012年のあたま。恵一乗寺店で異彩を放つコーナーに目が止まった。「編集グループ〈SURE〉」という版元のコーナーだ。鶴見俊輔山田稔小沢信男といった錚々たる名前が並ぶが、表紙にはおそらく同じイラストレーターの手だろうか、可愛らしくユーモラスなイラストが描かれている。『小沢信男さん、あなたはどうやって食ってきましたか』、『北沢恒彦とは何者だったか?』『酒はなめるように飲め/酒はいかに飲まれたか』など、なんとなく身につまされるタイトル。しかし一般流通の本ではあまり見かけないような自由さ。数冊購入しようとレジに向かった。
ずっとSUREの棚を担当しているというベテラン店員の能邨(のむら)さん曰く、「どこにでも本を卸すということはしない」とのこと。一体どんな人がやっているのか訊ねたら、代表は北沢街子んという女性だと教えてくれた。「とても40代に見えない素敵な方ですよ」とのこと。》
https://magazine-k.jp/2013/02/06/hon-wo-dasumade-01/

◎「しらべぇ」は4月26日付で「『新聞買わない』20代女性では7割 発刊部数の減少とメディアの多様化」を発表している。全体の54.3%が「新聞をこの1年、買ったことがない」のも、30代では、ほぼ7割が「新聞をこの1年、買ったことがない」のも衝撃的である。
https://sirabee.com/2020/04/26/20162304517/

秋田書店スクウェア・エニックス竹書房、一二三書房、双葉社、フロンティアワークスというコミケット98の企業ブースに参加予定だった出版社が集まって電子書籍の大型キャンペーンを5月2日(土)から5月5日(火)まで実施する。
https://www.value-press.com/pressrelease/241518

読売新聞社の「第36回 読売広告大賞」のグランプリは大日本印刷の企業広告「イノベーションは、このような形で突如現れる。」に決まった。
http://www.pjl.co.jp/news/major/2020/04/13188.html
http://www.newprinet.co.jp/?p=24931

朝日新聞デジタルは4月27日付で「『上から目線で威圧的』 女性支援団体、自民視察に憤り」(江戸川夏樹)を掲載している。
《Colaboは24日、こうした問題に加え、少女の腰を馳議員が両手で触ったとして抗議を公表。馳議員は25日、公式ホームページで「不愉快な思いをさせた事となり、おわびします」とする一方、セクハラの訴えには「狭い空間で行き来しており、腰に手を当てたかどうかは、全く意識に残っていない。事実なら大変申し訳ない」とコメント。ただColaboに連絡はなく、ツイッターなどでは「謝罪といえない」と批判を受けている。朝日新聞は馳議員の事務所に取材を申し入れたが、27日夕までに回答はなかった。》
https://www.asahi.com/articles/ASN4W6789N4WUTIL02S.html
朝日新聞デジタルが4月25日付で掲載した「自民・馳氏がHPで謝罪 女性支援団体がセクハラを指摘」と読み比べて欲しい。
自民党馳浩部科学相が、居場所を失った10代の女性らを支援する団体を視察した際に威圧的な言動があったなどと抗議され、自身のホームページで25日、「いきなり大勢の男性が若年少女支援の現場に参集した事に多大な不安感と不愉快な思いをさせた事となり、おわびします」と謝罪した。》
https://www.asahi.com/articles/ASN4T6T5BN4TUTFK00L.html
同じ新聞社の記事とは思えない。いや、細かいことをいえば、25日付で馳浩が「謝罪した」と書いてしまったために、27日付でも、これは否定していない。だから、間接話法を使って、《…Colaboに連絡はなく、ツイッターなどでは「謝罪といえない」と批判を受けている。》という書き方になるわけだ。25日付と27日付の紙面に矛盾はないのである。

◎手塚マンガ大賞高浜寛の「ニュクスの角灯(ランタン)」(リイド社)に決まった。
https://www.asahi.com/articles/ASN4S4Q69N4QUCLV00K.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000840.000009214.html
3月3日付の一行情報をお読みいただきたい。
《本命は「鬼滅の刃」で、対抗は「ニュクスの角灯」なのではないか。対抗が意外に強いかもしれない。高浜はプロが憧れる作家だと思う。何しろマルグリッド・デュラスの「愛人 ラマン」を漫画化してしまうんだもの。》
https://teru0702.hatenablog.com/entry/2020/04/03/071758

毎日新聞は4月28日付で「『昭和のオフィスか』 最前線の医療現場に強いられる『手書きでファクス』 新型コロナ」を掲載している。
《このツイートが投稿されるやいなや、1万回以上リツイートされ、「医療崩壊寸前の戦場のような中でこれを書く側の手間(中略)何という無駄」など、医療関係者にとどまらず共感が広がり、IT政策を担当する内閣府平将明副内閣相も「対処します」と乗り出す事態になったのだ。》
https://mainichi.jp/articles/20200428/k00/00m/040/010000c
「このツイート」とは「キュート先生」の次のような4月23日付の投稿である。
《もう止めようよ‥。手書きの発生届‥。結核で鍛えられたから書くの速いけどさ‥。もう止めようよ‥。手書きの発生届‥。コロナも手書きでFAX‥。もう止めようよ‥。手書きの発生届‥。こんなん昭和ですよ‥。もう止めようよ‥。手書きの発生届‥。誰か大きな声で指摘してよ‥。手書き‥》
https://twitter.com/cutetanaka/status/1253084766041038848
このツイートが防衛相の河野太郎を介して平将明副内閣相に伝わっていった。
河野のツイート。
《これも担当は平副大臣かなぁ。》
https://twitter.com/konotarogomame/status/1253178549340532736
平将明のツイート。
《引き取ります。》
https://twitter.com/TAIRAMASAAKI/status/1253185219823202304
毎日新聞の記事は4月28日だが、河野と平のやり取りは、「キュート先生」がツイートした4月23日なのである。新聞の「遅さ」が際立っている。

◎オトバンクは、4月2日に岩波書店が運営するwebサイト「B面の岩波新書」 (https://www.iwanamishinsho80.com/)に「緊急寄稿」として公開され、41万PV超を果たすなど反響を呼んだ「藤原辰史:パンデミックを生きる指針──歴史研究のアプローチ」を音声化し、オーディオブック配信サービス「audiobook.jpで4月27日より無料配信している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000097.000034798.html

KADOKAWAは、住野よる「青くて痛くて脆い」の映画化を記念して、書店POPコンクールを実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007026.000007006.html
「読んでから見るか 見てから読むか」のメディアミックスは角川書店がKADOKAWAになっても、経営者が代わっても、お家芸であることに変わりはないようだ。そのまた原点を探すと「ある愛の詩」に行きつく。これ角川春樹が自分で訳しちゃったんだろ。

◎「PRESIDENT Online」は4月28日付で「報ステ富川アナのコロナ感染で『大揺れした』テレビ朝日の裏事情」を発表している。
《同局では、スタジオ収録中での“3密”(密閉、密集、密接)が避けられないのは当然として、内勤のスタッフでも濃厚接触する可能性が高い環境に置かれていたという。》
https://president.jp/articles/-/34910

東スポWebは4月27日付で「コロナ禍拡大がテレビ業界追い打ち CM料金値切る新規企業出現」を掲載している。
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/1831476/

博報堂は、台湾株式市場に初めて上場した大手広告エージェンシーグループ「Growww Media Co., Ltd.」(Growww Media社)の株式の過半数を株式公開買付けにて取得し、連結子会社化した。
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2020/04/200427Growww.pdf

◎「BCN+R」は4月28日付で「『月刊カメラマン』突然の休刊、カメラ雑誌の老舗に何があった?」を公開している。
《月刊カメラマンの井戸川博英編集局長は、「休刊は会社の方針として突然決まった。新型コロナウイルスとの関連性など理由については、社として明らかにできないが察してほしい」と話す。広告主や執筆陣など、関係者に休刊を連絡したのは4月21日の10時だったという。ぎりぎりの決断だったようだ。坂本直樹編集長も4月21日、Facebookで休刊を報告。長年の協力や購読に感謝を述べた後、引き続き「MOOK制作やカレンダー・写真作品販売などで邁進」すると発表した。》
https://www.bcnretail.com/market/detail/20200428_169572.html
自衛官カメラマンの伊藤悠平がツイートしている。
《【悲報】カメラ雑誌の老舗である月刊カメラマンが休刊だと知りました。
人生で初めて自分の写真が掲載頂いただけでなく、カメラマン最前線と言う最高の場所で特集記事を組んで頂いた事がきっかけで胸を張って「写真家」の肩書きを名乗る事が出来る様になりました。
休刊のお知らせは本当に悲しいです》
https://twitter.com/advance_craft/status/1252595960426840064

◎光社は「PR TIMES」を使って「光社刊行の書籍・雑誌について さまざまなご購入方法のご案内」を公開している。光社の雑誌に対する思いを感じる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000368.000021468.html

◎「春オンライン」は4月28日付で田村栄治の「“性暴力”広河隆一氏が設立した“人権団体” 大物写真家たちはなぜ守ろうとするのか」を公開している。一般財団法人「日本フォトジャーナリズム協会」のことである。
《加害の現実を受け止めず、ましてや賠償の意向はまったく見せていない広河氏。彼の思いが込められた団体を、被害者の傷口に塩を塗ってまで継続させていくことに、どれほどの価値があるというのか。
「今のメンバーに法的な責任はないかもしれません。でも、被害者の声を全く顧みないということでいいのでしょうか」と、広河氏の性暴力を受けた女性は憤る。》
https://bunshun.jp/articles/-/37498
フォトジャーナリストの安田菜津紀がツイートしている。
《これも忘れてはいけない問題。広河氏が資金を投じて設立した財団。確かに法的責任は現メンバーにはないかもしれない。ただ「自分たちには関係ない」と無視する態度は、ジャーナリズムという”大義”を振りかざして女性たちを黙らせてきた広河氏の態度と変わらない、と被害女性。》
https://twitter.com/NatsukiYasuda/status/1255047244920700928
共著に「海を渡る『慰安婦』問題」を持つ能川元一が呟く。
《「それとは切り離してやっていけばいい」って、じゃ「協会とは切り離して広河の性暴力を追及してみせろ」としか。》
https://twitter.com/nogawam/status/1255385284855894017
再開した広河隆一フェイスブックに常岡浩介や本田孝義は広河自身が事件について何の説明もないことが問題だと書き込んでいる。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=531283507757888&id=100026287309917

◎「春オンライン」は4月28日付で「『鬼滅の刃』『ペスト』だけじゃない……コロナ買いでランク急浮上“ヒット本”はこれだ!」を発表している。
《巣ごもりにより、家で料理する人が増えているため、料理本も注目される。
 TSUTAYA週間総合ランキング(4月20~26日)4位の「世界一美味しい手抜きごはん」は、昨年3月に出版されて話題になった後、一時期ランキングから消えていたが、人気が復活してきた。
本格的な手料理ではなく、身近な素材で簡便にできて、見栄えもよく食べておいしい料理というのが、今のトレンドだ。》
https://bunshun.jp/articles/-/37496
マガジンハウスの「朝10分でできるスープ弁当 あったかいからおいしい!具だくさんスープレシピ60」(有賀薫)も良いみたいだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000521.000009424.html

紀伊國屋書店が販売代理店として提供する電子図書館サービス「LibrariE」の大学・学校への導入数が100館を突破した
https://kyodonewsprwire.jp/release/202004289467

二子玉川 蔦屋家電(東京都世田谷区)の人コンシェルジュ・北田博充が委員長を務める本屋博実行委員会は、公式Twitterhttps://twitter.com/bookshopexpoで実施している「#オンライン本屋博」のスピンオフ企画として、5月5日(火・祝)にYouTubeで本にまつわる様々なコンテンツを配信する<「オンライン本屋博」一日限定の特別イベント>を開催する。協賛に日本紙パルプ商事が名前を連ねている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000501.000009848.html

◎水曜深夜のミニドラマ「きょうの猫村さん」(テレビ東京系)の評判が良い。マガジンハウスから刊行されている同名の原作マンガも巣ごもり需要で売り伸ばしたいところだ。
https://realsound.jp/movie/2020/04/post-545198.html

小学館は、自宅学習応援無料サイト「うちスタ」をオープンした
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000654.000013640.html
https://www.shogakukan.co.jp/pr/uchist/

◎5月2日発売の生活情報誌「ESSE」(扶桑社)6月号の表紙木村拓哉が飾る。
https://mainichikirei.jp/article/20200428dog00m100004000c.html
残念ながら女性誌ジャニーズ事務所の力を借りなければ売れないということなのだろう。いや、テレビ誌もそうか。「TVガイド」5月8日号は、亀梨和也山下智久のコラボユニット「亀と山P」の表紙登場を記念して、「東日本版」と「西日本版」の2パターンを展開する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001018.000006568.html

ボイジャーは、アリスブックスの新サービス「アリスブックス電子書籍」へ、ブラウザで動作する電子書籍リーダー「BinB(ビーインビー)」を提供した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000049823.html

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4)【深夜の誌人語録】

総てを許せる器量を持っているかどうかだ。