【文徒】2021年(令和3)2月15日(第9巻28号・通巻1925号)つづき

沖縄タイムスは2月13日付で社説「[森氏後継人事混迷] 透明性の確保が前提だ」を掲載している。
《森氏の辞任で問題は終わりではない。会議で発言をとがめる声はなかった。傍観者だった参加者全員が重く受け止めなければならない。
7月に予定される五輪開幕まで半年を切り、重要な段階に入っている。組織委は失墜した信頼を取り戻すためあらゆる差別を許さぬ姿勢を目に見える形で示す必要がある。》
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/706771

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3)【本日の一行情報】

柳美里のツイート。
《地鳴りがする。
また、地震。》
https://twitter.com/yu_miri_0622/status/1360602777622204419

◎「藝春秋digital」の村井弦がツイートしている。
《グロテスクなのでシェアはしないが、自然災害の発生に乗じて民族差別を煽る程度の低いデマを投稿する者がいる。そして、それをデマと知っていて意図的に拡散する者がいる。しかも匿名で。どれだけ心が荒廃した連中なんだ。黙っていられずついツイートしてしまった。あまりにも悲しいこの国の現実。》
https://twitter.com/Murai_Gen/status/1360725389216129024
江川紹子は、こう提案する。
《さっきの地震の後、関東大震災の直後のような、あからさまでひどい差別発言がTwitterで飛び交っていた。TwitterもLINEのように、スマホ1台で作れるのは1アカウントのみして、容易に別アカを作れないようにした方がいいのでは?そうなれば、凍結されるようなヘイトは少し慎むようになるんじゃないかな…》
https://twitter.com/amneris84/status/1360639812294746115

◎これは買わなければなるまい。東雅夫のツイートで知った「空を飛ぶパラソル」の復刊。
《角川庫の夢野久作『空を飛ぶパラソル』の旧版は、もう遠い昔に品切れになって久しいので、今お近くの本屋さんやネット書店さんに注されれば、確実に今回の帯付き本が入手できるはずです。安全確実に購入したい方は、この方法をオススメいたします。》
https://twitter.com/obakezukinw/status/1360178332155793408
夢野の父親は伊藤博の暗殺を企てたテロリスト・杉山茂丸。夢野に挿絵を提供していたのが竹中英太郎竹中労の父親である。

◎赤松利市が頭を悩ませている。
《とっくに先進国でない事は明らかなんやけど、後進国というのは差別用語で、校閲さんの赤が入るし、発展する見込みも絶望的なの発展途上国とも言われへんし、後退国、停滞国、そんな造語安易に作ったらあかんのは職業柄心得とるし、言葉で理解し定義したいワイにどないせぇというんや、今の日本。》
https://twitter.com/hZoImkE6gPbGnUs/status/1360504355107991553
私は「日本低国」を使っている。竹中労のマネだけど。

◎森問題ではスポーツニッポンが冴えていた。記事では紹介できなかったが2月12日付「あきれた政府の二枚舌…組織委会長人事、政府介入なら五輪憲章違反で開催権剥奪も」はIOCの「政治からの独立」という「政治」にしっかりと触れている。
IOC五輪憲章で政治の介入に対して厳しい姿勢を示している。日本ではほとんど報道されていないが、先月には財務面などが政府の管理下に置かれているとしてイタリア・オリンピック委員会が資格停止処分の対象とされた。2026年にミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪を開催することになっている同委員会は開催権の剥奪を恐れ、慌てて独立性を保証する法案を議会に提出。かろうじて処分を免れた。
現実にはスポーツと政治は切っても切れない関係にあり、政治からの独立はお題目にすぎないのだが、少なくとも表向きIOCはこの問題に関しては敏感に反応する。もし今回のどんでん返しが政権主導で、後任も政権側の意向に沿って選出されるようなことにでもなれば、五輪憲章違反の疑いを持たれる可能性は十分にある。そうなれば最悪、東京五輪の開催権剥奪、つまり五輪を開くための新しい会長を選ぶことによって五輪が消滅するという本末転倒の話にすらなりかねない。》
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/02/12/kiji/20210212s00048000655000c.html

実業之日本社は、2月1日付で、イラストコミッションサービス「Skeb」を運営するスケブの過半数の株式を10億円で取得し、子会社化した。
スケブは、国内外から日本のクリエイターに対してイラストや音声データを有償でリクエストすることができるコミッションサービス「Skeb」を運営している。100以上の言語に対応した自動翻訳機能と越境決済機能によって、現在、案件の約20パーセントが海外からの利用となっている。「Skeb」は2021年2月現在、総登録者数100万人超、クリエイター登録者数約5万人、月間取引高約2億円と、国内最大級のコミッションサービスだ。もっとも企画や開発、運営などの業務は全て創業者である代表取締役社長・喜田一成が1人で担当していた
https://www.j-n.co.jp/news/?article_id=606
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2102/12/news133.html

実業之日本社は、枻出版社から、モーターサイクル関連の定期雑誌3誌(「RIDERS CLUB」、「BikeJIN/培倶人」、「CLUB HARLEY」)を含む一部の出版事業を譲り受ける事業譲渡契約を、2月9日付けで締結した。
https://www.j-n.co.jp/news/?article_id=605

◎ヘリテージは、枻出版社から「Lightning」「2nd」「CLUTCH Magazine」「趣味の具箱」「Men’s PREPPY」「PREPPY」など定期雑誌を含む一部の出版事業および「グリル&ダイニング 用賀倶楽部」などを含む飲食事業を譲り受ける契約を締結した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000074237.html
枻出版社が切り刻まれていく。

◎2月13日付朝日新聞書評面は門間雄介の「細野晴臣と彼らの時代」(藝春秋)を取り上げている。評者は、いとうせいこうこう絶賛している。
《数ある戦後ロックの書物の中でも、本書はその誠実さと丹念さで素晴らしい。》
https://book.asahi.com/article/14184954
しかし、と思う。「細野晴臣と彼らの時代」も間違いなく素晴らしいが、「その誠実さと丹念さで素晴らしい」という賛辞が最も相応しい「戦後ロックの書物」はリトル・モアから刊行された「調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝」なのではあるまいか。構成を担当するのは下井草秀藝春秋の正社員である。そう井上孝之である。確か、大学は半藤一利の後輩にあたる。
https://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=1040
下井草秀は「細野晴臣と彼らの時代」には噛んでいないようであるが、下井草によれば門間雄介は「畏友」だという。
https://twitter.com/shimoigusashu/status/801989223955865601
花田紀凱さん、藝春秋にはちゃんと「異能力士」が育っていますよ。柳澤→勝谷→目崎→井上(下井草)と。

◎学研プラスは、2月10日(水)から16日(火)まで、「DVD付 学研まんが NEW 日本の歴史」5大特典付初回限定12巻セットのプレゼントキャンペーンをTwitterInstagramで開催している。歴史漫画でDVD付は初めてのことだそうだ。大手は総てこのジャンルに進出しているという競争の激しいジャンルだけに「付録」で釣ろうという作戦だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003170.000002535.html

◎フジテレビが世論調査で1年以上にもわたって「インチキ」な結果を報じていた件で、BPOが「重大な放送倫理違反があった」とする意見を発表したことは既に報じているが、メディア論でも知られる石田英敬が次のようにツイートしている。
《フジテレビは、この件だけではないぞ。あの平井とかいう解説委員の大嘘ニュース解説のフェイクの処分はどうするんだ。フジ「フェイクニュース局」になってしまっているぞ。》
https://twitter.com/nulptyx/status/1359650905986007044
Google News Lab Teaching Fellow の古田大輔もツイッターで次のように言及している。
《超大問題で、朝日新聞で発生したらとてつもない大炎上したはずの事案。でもこれは業界関係者以外では話題にならない。その違いがなぜ生まれるのか、憶測ではなくいつかきちんと取材をしてみたい。》
https://twitter.com/masurakusuo/status/1359467119209893901
NHK NEWS WEB」によれば、再委託先の社員が調査の電話をかけていないのに架空の回答を入力する不正が繰り返し行われていたということだが、フジテレビや産経新聞は民主主義をその程度の重さでしか受け止めていなかったということだろう。世論を捏造するメディアに民主主義を語る資格はないのではないだろうか。

集英社新書から松竹伸幸の「〈全条項分析〉日米地位協定の真実」が刊行される。松竹は柳澤協二が代表をつとめる自衛隊を活かす会の事務局長である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000210.000011454.html
どうせだから古関彰一の「対米従属の構造」(みすず書房)も読んでおきたい。東京新聞が2月14日付で書評を掲載している。評者斎藤貴男は次のように書いている。
《皮膚感覚を理詰めで突き付けられるのは辛い。それでも私たちは現実を直視することから始めるしかない。思い知るために必要な読書である。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/85684?rct=book
私たちには「攘夷」が足りないのだ!

◎2月4日付につづき2月12日付でも、「まいじつ」は少年漫画週刊誌の総頁数と価格にこだわるというか、絡んでいる。
《今週号の『サンデー』は413ページで、掲載されたのは23作品だった。『マガジン』は469ページで、同じく23作品が掲載されていた。そして、2月8日発売の『ジャンプ』は493ページで、掲載されているのは20作品だった。
価格は『サンデー』が税込340円、『マガジン』が税込300円、『ジャンプ』が税込290円となっている。やはりコスパの良さが目立つのは、価格が安く、ページ数が多い『ジャンプ』ということになるだろう。》
https://myjitsu.jp/enta/archives/86376

讀賣新聞は2月11日付で「米グーグル、日本の複数報道機関と記事使用料の契約合意」を掲載している。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210211-OYT1T50155/
讀賣新聞は、どうしたのだろうか。「NHK NEWS WEB」は2月11日付で「グーグル 日本の複数の報道機関と提携合意 使用料払い記事配信」を公開している。
《グーグルは去年、「グーグル・ニュース・ショーケース」と呼ばれる新しいニュース配信サービスを始めていて、提携する報道機関に記事などの使用料として3年間で10億ドルを支払うことにしています。
これについて、グーグルの広報担当者は11日までに、日本の複数の報道機関とも提携することで合意したことを明らかにしました。
ただ、具体的な媒体名は公表しておらず、サービスを開始する時期も未定だとしています。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210211/k10012861301000.html

◎米メレディスは、2021年度第2四半期(10月~12月)の業績を発表したが、デジタル広告収入が雑誌広告収入を初めて上回った。
https://media-innovation.jp/2021/02/12/meredith-reports-fiscal-2021-second-quarter/

◎ぴあは、2021年3月期(20年4月~21年3月)通期連結業績予想を発表。これによれば売上高が720億円(前期比55.9%減)、営業損益が60億円の赤字(前期は11億円の黒字)、純損益は65億円の赤字(同1億2000万円の黒字)となる見通し。
《第3四半期に入って、売上高については回復傾向が見られ、漸次イベント開催にかかる規制解除が進むことで、年明け以降も緩やかながらも回復基調を辿っていくものと昨年 12 月にかけては見込み、市場のV字回復に向けた新たな各種施策の検討等も進めておりました。しかしながら、1月8日からの緊急事態宣言の発出、及びその期間の延長により、政府等からの集客イベントの開催にかかる規制が再強化されたことで、顧客心理の一段の冷え込みも窺えるなど、遺憾ながら業績回復基調への足取りの停滞を余儀なくされております。》
https://corporate.pia.jp/news/files/%E3%80%904337%E3%81%B4%E3%81%82%E3%80%91%E6%A5%AD%E7%B8%BE%E9%85%8D%E5%BD%93%E4%BA%88%E6%83%B320210212.pdf

◎テクストトレーディングカンパニーが展開する女性の為のスニーカーセレクトショップatmos pinkは、女性誌「JELLY」で活躍する公式インフルエンサー「JELLYsis」(ジェリシス)とのコラボアイテムを3月11日に発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000063811.html

◎まず江川紹子がツイート。
えひめ丸が米潜水艦に衝突されて9人が死亡した事件から、今日で20年。あの時に対応が批判された森首相(当時)が、今また……。そして事故も。人的被害がなくてよかった…》
https://twitter.com/amneris84/status/1359299549219540992
有本香がリツイート
えひめ丸事故後の対応について、当時から危機管理の専門家は「問題ない」と明言し、ご遺族は感謝もされていました。江川さんが仰る森氏の対応への「批判」はすべてメディアによるミスリードったのですが、あの筋悪話を今持ち出して、まったく無関係な今回の事故に繋げて話すことには悪意を感じます。》
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/1359319373916241921
江川がリプライ。
《森氏の対応を「問題ない」と明言された「専門家」とはどなたで、「当時」とはいつのことか、お教えいただきたく存じます。ちなみに佐々淳行氏は事故4日後に、「政治家の姿勢としては内閣所管の『特殊国際大事故』と認定して、速やかにプレーを中止し、官邸に戻るのが正解だった」と述べられています。》
《ご指摘をいただいたので、当時の産経新聞などを中心に、ご遺族が森氏に感謝をされていた、という記事も探しましたが、みつかりませんでした。》
《ちなみに森氏ご本人は2001.02.14読売新聞インタビューに〈秘書官も「次の連絡までそこにいてください」と言うのでゴルフを続行した〉〈政府の対応が遅れたのか。それぞれの立場できちっとやった〉〈これがどうして危機管理なのか。危機管理ではない。事故だ。〉と。「待機」ではなく「続行」
https://twitter.com/amneris84/status/1359882545798676480
https://twitter.com/amneris84/status/1359883371610996744
https://twitter.com/amneris84/status/1359888394210271242

藤野千夜の「じい散歩」(双葉社)の評判が良い。讀賣、毎日で書評に取り上げられ、今度は2月14日付東京新聞でも書評に取り上げられている。評者の青木千恵は次のように書いている。
《おかしみと悲しみが同居するこの小説の面白さは、著者独特の目線と体が生み出している。「時代」という大きなものに取り巻かれた狭くて平坦な道を、新平は淡々と進んできた。どこか感情と切り離された観察眼でその姿を見つめ、場面を選んで描きとり、読者が楽しめる小説にしている。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/85683?rct=book

◎「プレジデント」は2月8日付で「プレジデント誌より読者のみなさまへお知らせ」を発表している。
《プレジデント誌では2021.3.5号(2月12日発売)から原田泳幸氏の記事が掲載されております。原田氏がアップルジャパンや日本マクドナルドをV字回復させた経験は、今、コロナ禍に悩むビジネスリーダー、とくに小売、飲食関連の方の力になると考えたためです。
記事の校了は原田氏の逮捕前で、一連の報道に編集部も大変驚いております。当然のことながら逮捕容疑が事実であれば、許されない行為であり、遺憾に思います。
本人との連絡が困難なこと、処分決定前であること、一部報道によると本人が否認していること、などを踏まえ、今後の掲載について慎重に判断していきたいと思います。》
https://www.president.co.jp/information/release/3565/

毎日新聞は2月13日付で「森氏発言『苦情や抗議受けた』20社 スポンサー企業アンケート」を掲載している。
東京オリンピックパラリンピック組織委員会森喜朗会長の女性蔑視発言を受け、毎日新聞は12日、国内スポンサー企業67社に対しアンケート取材を実施した。》
《12日夜までに39社から回答があった。このうち20社が「苦情や抗議を受けるなどの影響があった」と答えた。12日の緊急会合の結果についての質問では、大半の企業が回答を避けた。ただ、森氏の辞任などを念頭に「評価する」「どちらかといえば評価する」と答えた企業も6社あった。ある企業は「男女共同参画を再確認する議論がされたこと、透明性を確保して会長人事を決める道筋が示されたから」と理由を挙げた
一方で「どちらかといえば評価しない」と回答した社も1社あった。この企業は12日の緊急会合について「森氏は改めて説明すべきだった。事務総長の説明にも不透明感が残った」と不信感をにじませた。》
https://mainichi.jp/articles/20210212/k00/00m/020/292000c
67社のうち回答したのは39社。4割以上が回答せず、12日の緊急会合の結果についての質問では、大半の企業が回答を避けていることに、実は問題の根深さがあるのではないだろうか。森や二階を笑えない現実がそこに潜んでいはしまいか。

毎日新聞が2月11日付掲載している「#五輪をどうする 女性蔑視発言の根底に潜む『五輪ファシズム』の危険性」で、「抵抗への招待」(みすず書房)の鵜飼哲は次のように語っている。
《次の五輪開催地は来年冬季大会が予定される北京ですが、北京は欧米諸国のボイコットの可能性もありIOCは大変警戒しています。東京、北京とも開催できないのは避けたいでしょうから、IOCは東京開催に固執するでしょう。私の見通しでは、ぎりぎりまで開催強行を狙うでしょう。
「無観客」という話が出てきていますが、世論調査でも「無観客」という項目が入ると反対8割という数字が消えます。数字が下がってきたら、できるだけフルスペックに近いかたちで観客を入れようと画策してくると思います。》
https://mainichi.jp/articles/20210210/k00/00m/040/185000c
新疆ウイグル問題に欧米の民主主義国は敏感に反応するはずだ。東京までも中止になってしまうと、大変なことになるという認識がIOCにはあるはずである。私見を言えば来年の北京五輪は棄権すべきだと思っている。

◎「週刊ポスト」の書評で鴻巣友季子の「真実は言葉にならない『字』にあるというホフマンスタール的な後退の先へ進んでいく果敢な小説である」という一が目に入ると、青山七恵の「みがわり」(幻冬舎)を読みたくなってしまうから不思議なものである。
https://www.news-postseven.com/archives/20210212_1634157.html?DETAIL
ホフマンスタールについては、これを読むなり、聞くなりしておいてね。
https://www.1101.com/yoshimoto_voice/speech/text-a052.html
https://soundcloud.com/yoshimototakaaki/sets/a052

◎ベツダイの規格住宅ブランド「LIFE LABEL」は、シティボーイのためのファッション&カルチャー誌「POPEYE」(マガジンハウス)と共同で規格住宅商品開発を行うことになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000015251.html

◎「春オンライン」が2月13日付で発表している「緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”」で小林慶一郎は次のように指摘している。
《第3波を経験する中で、何より痛感したのは、コロナ禍という、政治家のトップダウンが必要な有事において、平時のボトムアップの意思決定の仕組みを変えられなかったことが問題の本質なのではないかということです。》
https://bunshun.jp/articles/-/43451
これ別に「政府」だけの問題ではない。出版社の経営でも同じだったりする。

時事通信は2月12日付で「『大江健三郎庫』東大に設立へ 自筆原稿など50点、母校に寄託」を配信している。
《寄託された自筆原稿は計1万枚を超え、東大在学中に執筆した初期の「死者の奢り」(1957年)や、中期を代表する「同時代ゲーム」(79年)、後期の「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」(2013年)など多様な作品を含む。大江さんの自宅や講談社芸春秋に所蔵されていたもので、多数の推敲の跡から作品に注がれた熱意のほどがうかがえる。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021201160&g=soc
若かりし頃、私は大江の作品を「衒学趣味の近代主義」と批判していたことがある。階級的視点がないことを問題にし、ブルジョワ力を補完するものでしかないという、まあ幼い理屈をこね回してね。もちろん、だから大江は新刊が出れば読んでいたということになる。しかし、今は昔だなあ。当時、私が拠り所としていたのが大西巨人の「神聖喜劇」であった。いずれにしても、大学を卒業し、業界誌の仕事をするようになって、こうした物言いはやめることにした。その時点で私は性善説を捨てることにしたのである。

◎荒木優太は「マガジン航」に「『學界』編集部に贈る言葉」を2月12日付で発表している。荒木は「(ルートa)本当は荒木のいうことに理があると思っているのに体裁上それを認められない場合」として次のように書いている。
《ゲラは基本的に印刷することを前提にして、誤植をなくしたり細かな表現を改めるために刷られます。問題の一は最初からあり、読み直す時間も十分にあったのに、よりにもよって校了直前に要求がきたのです。私が編集部に不信感を抱き、さらには自分の主張の正しさを心底信じることができるのは、このような処置は誰がどう見ても乱暴としかうつらないと思うからです。
もし初稿の段階で上記の提案をされていたら、私は頷いていた可能性が高いと思います。別に編集者に意地悪をしたくてやってるのではないのですから。》
また、「(ルートb)心の底から自分たちが正しくて荒木が間違っていると思う場合」として次のように書いている。
《改めて断っておけば、私自身はそういった編集方針はひどく窮屈に感じます。批評家に対してにせよ、作家に対してにせよ、言いたいことはちゃんと言わせて、喧嘩になったらきちんと喧嘩させてあげたほうが、あらゆる点で──法的・道義的な問題だけでなく編集にかかる心理的コストなどもふくめて──よりよいと思いますが、とはいえ、他者とは私とは異なるから他者であることもまた承知しているところです。はい、お好きになさるとよいでしょう。》
https://magazine-k.jp/2021/02/12/open-letter-to-bungakukai/
岡和田晃がツイートしている。
《「學界」の新人小説月評、荒木優太氏が編集部から首切りをされた、とのこと。あのおちゃらけ体と揶揄は必要だったか疑問だが、あれを「批評として成立していない」とすれば、あの月評欄の過去四半世紀の多くの評は、「批評として成立していない」どころか制度としても機能していないのは明らか。》
https://twitter.com/orionaveugle/status/1359763451984310274
日比嘉高もツイートしている。
《荒木さん、新人小説月評、辞めたんだな。そうなるかなぁ、と思ってみていたのだが。
しかし、今回の一連の出来事で、「あの程度の当てこすりさえ、時評で言えない」という理解が醸成されちゃうと、まずいと思うんけど。
つまり、今回は荒木さんのキャラと、雑誌の岸さんへの忖度で、個別この案件としてはこうなったという風に理解しておいて(その案件の是非とは別に)、辛口の評も、器としては全然OKだよって風にしておかないと、つまんないことにならないか。》
《そもそもが「評」の類いが、プロモーションとか推しの方に寄ってしまいがちな風潮でしょう。褒めて盛り上げていこう!的な。自戒を込めて云うけどさ。》
https://twitter.com/yshibi/status/1358985287267848195
https://twitter.com/yshibi/status/1358985288232574980
https://twitter.com/yshibi/status/1358985289264365569
仲俣暁生のツイート。
芸作品に対する短評のあり方や小説家の「批評眼」について考えたければ荒木さんの學界での月評全と、藝春秋に載った芥川賞選評を読み比べるといいと思う。ある作品に対する評価で荒木さんは全委員と鋭く対立している。そして芥川賞の選考をしうる水準ではない小説家が(少なくとも)一人いる。》
https://twitter.com/solar1964/status/1360029227345612808

◎「少年ジャンプ+」のツイート。
《アプリ仕様変更のお知らせです。1/28に行ったリニューアル以降、ホームの「曜日ランキング」のサムネイルをタップすると作品詳細画面を表示する仕様にしていましたが、読者の皆様の声を反映し、サムネイルをタップするとマンガ最新話を表示するリニューアル以前の仕様に戻しました。》
https://twitter.com/shonenjump_plus/status/1360194926529548290
リニューアルしたら、それで終わりではないのが「アプリ」。絶えず微調整が必要となる。

歌人の堂園昌彦の章が入試問題に使われたという。
《都内のとある高校の入試問題に私の書いた章が使われたそうです。吉田恭大さんの歌集『光と私語』の栞のために書いた「都市そのものである歌集」です。しかし、歌集の栞の章が入試に使われるとかあるんだ…。すごく驚きました…。光栄です。》
《実際の問題を見せてもらったのですが、ほんとにがっつり栞の章で問題が作られてる…(せいぜい3問くらいかと思ってた)。すごく面白い問題ですが、めちゃくちゃ難しいですね、これ。自分でもわからない所があった笑(無茶な設問ではないけど難しい)》
https://twitter.com/dozonomasahiko/status/1359780459899572225
https://twitter.com/dozonomasahiko/status/1359781416192462849
堂園の歌集「やがて秋茄子へと到る」から次の三首を紹介しておこう。
僕もあなたもそこにはいない海沿いの町にやわらかな雪が降る
秋茄子を両手に乗せて光らせてどうして死ぬんだろう僕たちは
夕暮れに黒い電車が移動する寂しい限りの力を持って

◎これは「てて160/小説編集者」のツイート。
《出版業界の人に嫌われそうだけど、書いてしまおう。
「小説家になって本を出しても、それだけでは食べていけない」ってよく言われてるけど、そんな出版業界に、才能ある若い人は来るのだろうか?
そんな出版業界に、将来性ってあるのだろうか?
なんか、考え出したら怖くなってきた……。》
https://twitter.com/produced_by_ti/status/1359072834421628936
小説家の谷津矢車は出版界には夢も将来性もあるとツイートしている。
《出版界、夢があると思いますよー。》
《将来性もあると思うんだよな、わたしは。
そのためには色々と変わっていかなくてはならない面もあると思いますが。》
《一職人に求められているものはいつだって変わらない気がしているので、研鑽しますハイ。》
《(っていうか、俺は自分の生業を「夢がない」「将来性がない」なんて言いたくないし、だからこそ色々動こうと思ってるぜ、それが大人ってもんだろうと思っているよ)》
https://twitter.com/yatsuyaguruma/status/1359794993800511491

https://twitter.com/yatsuyaguruma/status/1359800487256596483

東京新聞は2月14日付で「興行界の裏面史に迫る 『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝』 ノンフィクション作家・細田昌志さん(49)」を掲載している。
《父親の野口進、弟の恭は日本ボクシング界で初の親子二代王者。進は右翼団体「愛国社」の構成員で、三三年に若槻礼次郎元首相の暗殺未遂事件を起こし府中刑務所に服役。ここで親交を深めた児玉誉士夫のつてで上海に渡り、芸能の興行を手掛ける。
児玉を軸に広がった右翼人脈が戦後、波乱に富んだ野口修の人生に多彩な影響を及ぼした事実を綿密な取材で活写。「これまで明らかになっていない壮大な流れがあったことに気付き、驚愕した」と振り返る。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/85685?rct=book
この「評伝」は優れた右翼史でもある。

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4)【深夜の誌人語録】

自分のことは自分で決める。

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5)【お知らせ】 

」2000号まで、あと75号。