忌花学廃人篇 其の十一

青空にひろがる花の不感症
羅を恋する自殺未遂かな
何もかも消し去るほどの瀧しぶき
夜長し自殺志願の阿弥陀仏
さやうなら冬のきぬぎぬきずぎすと
末法のほとけほつとけはうほけきよ
もしいつかあの世にゆかば花吹雪
あした咲く薔薇の葬るあしたかな
精神の骨はぼろぼろ断腸花
孵化できぬ男なりけり冬の朝
ぴんぼけのぴんからきりまで雪女郎
若者と死ににゆきたる寝釈迦かな
なすべきは何もせぬことなめくじり
何もせずこりままずつと昼寝覚め
ひとりしてわれらの紅葉見渡さん
妄想の爆弾隠す黒コート
あたたかき未来を拒む寒椿
死を種子に花を身籠る恐山
師曰く咲けば咲ききり花を討て
一片の未練に狼詩を焦がす