【文徒】2014年(平成26)2月25日(第2巻35号・通巻237号)

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1)【記事】「チケットぴあ」の二重請求問題について
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「チケットぴあ」の二重請求問題について

「チケットぴあ」のインターネットサイトを1月16日(木)〜2月15日(土)の期間に利用し、クレジットカード決済した一部ユーザーに対し、カード会社へのクレジット売上データ送信システムの不具合により、代金を二重に請求してしまっていたことが発覚した。
被害は2万4585件、総額2億9531万0798円に及ぶ。「チケットぴあ」の信用にかかわる問題だけに再発防止のためのシステム改修に万全を期さなければなるまい。
「チケットぴあ」は、私たちの生活における「社会インフラ」(ぴあ自身も「感動のライフライン」の実現を目指すと言っている)であるということを絶えず肝に銘じていて欲しいものだ。
https://corporate.pia.jp/news/20140221pressrelease.pdf
ぴあは対象となるユーザーにお詫びと説明をメールで配信したというが、それだけで済ませてはならない問題だと私は考える。
さすがぴあだとユーザーから評価される、ぴあならではのお詫びの仕方があるはずだ。「チケットぴあ」の体温が問われているのだ。
「チケットぴあ」は単なる「システム」ではないからこそ「社会インフラ」として信用されるのだ…私はそうあって欲しいと願っている。今こそ「ぴあ人」の原点に戻り、私心を捨て、利他の精神を発揮すべきである。

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2)【本日の一行情報】

◎これは私もフルカラーで読みたい。講談社岩明均の「寄生獣」フルカラー版を電子書籍として配信開始した。
http://afternoon.moae.jp/news/874
映画もテレビアニメも制作されているだけにコミックスも、電子書籍も大きく動く可能性を秘めている。

電子書籍書店「BookLive!」は白泉社の「フルーツバスケット」(高屋奈月)「ぼくの地球を守って」(日渡早紀)「紅茶王子」(山田南平)の第1巻を3月5日まで無料配信する。白泉社が無料配信するのは初めてだそうだ。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1402/21/news089.html
マンガは巻数が多く無料配信できるが、小説など活字コンテンツの場合はそうもいくまい。もちろん、試し読みのサービスはあるけれど…。そうか、一章だけ無料配信するという方法はあるのか。

鈴木みそキンドル版「ナナのリテラシー」。電子書籍が黎明期にある今だから通じる内幕ものなのだけれど、今後、「私漫画」として成熟してゆけるかどうかが作家としての分かれ道だろう。
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20140221/E1392913568999.html?_p=1

リクルートホールディングスとANAセールスは共同出資で「ANAじゃらんパック」を設立した。これは強力なタッグになる。
http://japan.cnet.com/release/30064571/
JALは黙って指をくわえているのだろうか。

アメリカでは個人作家向け電子書籍市場調査サイト「Author Earning」なんてのが立ち上がった。この調査によれば「出版社の中抜きコストが価格に大きく転嫁され、それが皮肉にも2.99ドル以下の個人作家作品のシェア拡大に寄与していくとの予想を立てている」んだそうだ。日本では同じようなことがマンガで起きるかもしれない。
http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=5263

ナベツネこと讀賣新聞グループ本社会長兼主筆の渡邊恒雄の「靖国神社に対する見解」。首相の参拝は絶対に許さないという立場だったのか!
「渡邊は『日本の首相の靖国神社参拝は、私が絶対に我慢できないことである。今後誰が首相となるかを問わず、いずれも靖国神社を参拝しないことを約束しなければならず、これは最も重要な原則である。…もしその他の人が首相になるなら、私もその人が靖国神社を参拝しないと約束するよう求めなければならない。さもなければ、私は発行部数1000数万部の“読売新聞”の力でそれを倒す』と答えている」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140221-00010002-agora-sci
9年前には、田原総一朗相手にこんなことも言っていた。
安倍晋三に会った時、こう言った。『貴方と僕とでは全く相容れない問題が有る。靖国参拝がそれだ』と。みんな軍隊の事を知らないからさ。それに勝つ見込み無しに開戦し、敗戦必至となっても本土決戦を決定し、無数の国民を死に至らしめた軍と政治家の責任は否めない。あの軍というそのもののね、野蛮さ、暴虐さを許せない」
http://www.asyura2.com/0505/war72/msg/767.html

壇蜜が報道陣から肌露出が減ったのではないかと問われ、「週刊誌では変わらない」と返答。芸能記者の週刊誌離れ!?週刊誌をちゃんと読もう!
http://eiga.com/news/20140222/3/

LCCPeachの航空券を購入したユーザーを対象に、マイシアターが提供するアプリを利用して、ユーザーのスマートフォンタブレットに映画やドラマのほか、音楽番組、雑誌、ゲームといったコンテンツのダウンロードを可能にしたサービス「high!」がスタート。電通とマイシアターが共同で提供しているサービスだ。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/pdf/2014013-0220.pdf

電通工務店の全国組織である一般社団法人JBNと提携し、生活者の家づくりに役立つさまざまな情報を発信するプロジェクトサイト「スマ@ホーム」(呼称:スマートホーム、URL: http://www.sma-at-home.jp)をオープンした。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/pdf/2014015-0221.pdf
インターネットは広告ビジネスに様々な可能性を切り拓いている。ただし、その恩恵に授かれるのは、既存の広告会社では、「資本力」のある広告会社に限られてしまうのである。

◎名古屋に本社を構えるカルテットコミュニケーションズは登録ユーザーがサイト内で記事を投稿すると記事内に自動で広告を挿入し、その広告経由の報酬を100%ユーザーに還元するという新しいカタチの情報プラットフォーム「CIEWING(チューイング)」を立ち上げた。
http://www.value-press.com/pressrelease/122210
http://chiewing.jp/pages/about/

◎3月20日発売の「ドラゴンマガジン」(KADOKAWA) 5月号の付録は橘公司の「デート・ア・ライブ」文庫0巻ver2.0。同日に文庫第10巻も刊行される。雑誌と書籍を連動させた企画だ。女性ファッション誌の附録が文庫であっても良いのでは?
http://www.ota-suke.jp/news/112734

◎学研グループのブックビヨンドが電子書籍配信代行事業をスタートさせた。第一弾はエーピーコミュニケーションズが運営するボーンデジタルレーベル「あの出版」の「個人カフェの本【東京編】」など5タイトルを配信している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000316.000002535.html

◎「東洋経済オンライン」の佐々木紀彦が指摘する編集者が担う三つの仕事とは?
(1)キラリと光る人や情報を探し出す「スカウト」の仕事
(2)人や情報をつなげ、新企画を生む「クリエイター」の仕事
(3)面白い企画をうまくプロモートする「マーケター」の仕事
http://toyokeizai.net/articles/-/31433

◎日本企業は外国でも「談合」をやっているのか。パナソニックが4億3000万円の罰金支払いをカナダの裁判所から命じられた。トヨタ自動車の部品供給に絡んでのことだという。
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYEA1J09920140220
パナソニックは「談合」輸出に失敗したようだ。

◎先週金曜日に開かれた朝日新聞社主催の「女子力UP女の子のための冬の学園祭」に光文社は特別協力し、「JJ」のモデルたちによるファッションショーを繰り広げた。
http://www.asahi.com/ad/hareonna/

◎フジテレビがステマ業者で働いていた男に接触し、その実態と手口を暴いた。
「ある化粧品のサイトにある、日焼け止めの口コミ投稿には『これはさらっとしていて、スルッとのびます。つけた後はもちもち! 日焼け止めを塗ったとは思えない!』などと書かれていた。18歳の女性によって褒められている商品コメント。しかし、これはステルス・マーケティング、いわゆるステマされた偽コメント」
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00262077.html
これって花王のことだろとネットでは大評判になっている。
http://geinolabo.ldblog.jp/archives/4710555.html
花王のセコさが明るみになった。

◎ヤフーが運営するインターネット検索サイトで、京都銀行のネットバンキングの取引画面を偽装したサイトが表示され、利用者のパスワードが詐取され、預金50万円が奪われるという事件が発生した。インターネットは犯罪の温床でもある。悪い奴が後を絶たないにしてもヤフーの責任も問われるべきだ。何故なら犯人はヤフーの広告審査をパスしているからだ。ヤフーの審査に甘さはなかったのか。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/21/news134.html
グーグルは偽トラフィックの検知・防御を手掛ける英国のスパイダー・アイオー(Spider.io)を買収した。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304775004579397501011726352.html

◎産経セレクトの室谷克実の「呆韓論」が7刷16万部のヒット。産経によれば現在20万部だという。担当編集者が「ウソだとか大袈裟だとか言われないように、韓国紙が報じた記事をもとに原稿が書かれています」と発言しているが、その辺りが一般の読者を惹き付けているのだろう。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/3643
ネトウヨが大挙してフジテレビにデモで押しかけたのは、韓流ドラマに熱心であったためだが、フジテレビも産経新聞も同じフジサンケイグループのお仲間である。まあ、何でもありのメディアグループである。

◎神奈川県民が選ぶ「神奈川本大賞」が創設された。本の内容ではなく、「惹句」で大賞が決まる。私には違和感がある。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1402220023/

◎新聞に広告を本格的に導入したのは誰かご存知か?エミール・ド・ジラルダンである。1836年7月1日、広告を収入源とする「La Press」がジラルダンによって創刊された。
「『プレス』の実現した最大の革新は「ANNONCES」とよばれる広告欄にある。4面を広告ページに裂くことにより、購読料を従来の半額に抑えることに成功したのである。
広告を掲載するアイデアは従来から存在した。しかしながら、紙面における広告欄は申し訳程度の分量であり、収益の主体は読者の支払う購読料に依存していた。ジラルダンはこの主従関係を逆転させた」
連載小説も、この新聞から生まれた。
http://newclassic.jp/archives/7756

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3)【深夜の誌人語録】

雑誌に文学が必要なのは、文学が人生を予測しているからである。