【文徒】2018年(平成30)6月14日(第6巻109号・通巻1283号)

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1)【記事】雑誌情況への提言 雑誌の役割が変わる!?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌情況への提言 雑誌の役割が変わる!?

客 雑誌にとって情報を提供することは重要な役割のひとつであったよなあ。そういう雑誌の役割が前面に出て来たのは「アンアン」や「ノンノ」が創刊され、「ぴあ」が創刊され、「ポパイ」が創刊された1970年代だよね。
主 ファッションやグッズにかかわる商品情報や美味しい店の紹介、イベントや興業のスケジュール紹介をして雑誌は読者からお金を取っていた。しかし、今や雑誌は1970年代に確立したアプローチで読者からお金を取るのは難しくなってしまった。単に情報を紹介するだけでは雑誌ビジネスは成立し難くなったと言って良いだろうね。ぴあの変遷を見ていると、よくわかる。オレたちの世代にとって「ぴあ」とは、まずもって雑誌だったわけだけど、インターネットが普及するに従って、雑誌としての役割は終えて、日本最大級のチケット販売サイトになっている。
客 好きなアーチストのコンサート情報をまずは雑誌「ぴあ」で仕入れて、それから「チケットぴあ」に行ったのがオレたちの世代だよね。
主 今やウェブサイトの「チケットぴあ」に行けば済んでしまう。そういうケースが増えると思うんだ。情報誌はもちろんのこと実用性に依拠した女性誌にしても、情報を有料で提供するという雑誌ビジネスには無理が生まれるのだと思う。仮に従来の雑誌社が有料にこだわっても、新規参入勢力は情報をタダで提供してしまうだろうしね。
客 じゃあ、どうすれば良い?
主 モノにかかわる情報を提供するのではなく、モノそのものを提供すれば良いし、サービスにかかわる情報を提供するのではなくサービスそのものを提供すれば良いのではないだろうか。
客 雑誌はどうなっちゃうの?
主 あっても良いさ。ただし、雑誌の役割は情報を提供するのではなくて、世界観を提供するという役割を果たすことになるのではないだろうか。この場合、提供という言い方は妥当ではないのかもしれない。むしろ、読者が手にしたモノやサービスを介して、みんなが共有することになった世界観を雑誌化するとでも言えば良いのかな。誤解を恐れずに言うとメディアの民主化が進むことになる。
客 民主化って?
主 編集者と読者の境界線が消滅するというイメージなんだけど……。いずれにせよ、読者からすると紙の雑誌は「原郷」の役割を果たすようになるのかもしれない。年に何回かそこに戻ることによって自分を確認する場所とでも言おうか。それが雑誌なのではないだろうか。

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2)【本日の一行情報】

日清食品は、「珍種謎肉」が入った新商品「カップヌードルスモーキーチリしょうゆ味」の発売を記念し、TVアニメ「進撃の巨人」とコラボしたWEB動画「進撃の謎肉」を公開した。
https://j-mag.org/2018/06/12/cupnoodle_chinshu_news/

◎こざわたまこの「仕事は2番」。タイトルが気に入った。
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-24095-5.html?c=30197&o=date&type=t&word=%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AF2%E7%95%AA
身につまされる「お仕事小説」だ。
https://ddnavi.com/review/465003/a/
ハンナ・アーレント(映画にもなったから名前ぐらい知っているでしょ)の「人間の条件」によれば人間のactivitiesは労働、仕事、活動に三区分できるという。要するに家事は労働、原稿書きは仕事、政治は活動となろう。こういうところがアーレントの限界なのではないだろうか。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480081568/

◎飯田芳弘の「忘却する戦後ヨーロッパ」(東京大学出版会)は読んでおいたほうが良さそうだ。
http://www.utp.or.jp/news/n25164.html
飯田は学習院大学政治学科の教授である。
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/law/professor/iida.html
学習院というと私は飯坂良明、河合秀和久野収清水幾太郎、香山健一という名前を思い出してしまう。

◎LINEが運営するWebメディア「BLOGOS」は、「神保町編集交差点」と題して、編集者を対象に月に一度の連続トークイベントを開催する。第1回は「週刊現代」元編集長で「海賊とよばれた男」の担当編集でもあった加藤晴之と、新興メディアの視点と大手メディアの実験を伝えるブログ「メディアの輪郭」を運営し、講談社のWebメディア「現代ビジネス」で編集を務める佐藤慶一のクロストーク。テーマは「『伝説』に『原則』を訊く」。
料金は2,000円(税込)。場所は神保町EDITORY イベントラウンジ。オレんとこの近くでやるのね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001121.000001594.html
佐藤は1990年生まれである。「メディアの輪郭」って1月3日以降、更新されていない。
http://media-outlines.hateblo.jp/
ツドイの今井雄紀が噛んでいる。
https://twitter.com/imai_tsudoi/status/1006081482673156096
今井は星海社の出身である。
https://note.mu/yuqimai/n/ne89b2543fa00

◎いつの間にかネットにも進出していたのね。「Hanadaプラス」は4月26日(木)にオープンしたそうだが、私は今日までその存在を知らなかった。これがデジタルメディアの怖さである。
https://ddnavi.com/news/464268/a/
これがそう。
https://hanada-plus.jp/
「あの男は殺人者、白昼堂々、義兄を毒殺し、部下を砲撃処刑した男だ。メディアは浮かれるのもいい加減にしろ」とは、花田さん、その通り。
https://hanada-plus.jp/posts/824

◎日販は、日本最大級のボーイズラブ(BL)専門レビューサイト「ちるちる」を運営するサンディアスの協力のもと作成したBLコミック専門ガイドブック「B+LIBRARYvol.4」の配布を、全国約500の取引書店および、日販運営のインターネット書店Honya Club.comで6月中旬より順次開始する。
https://www.nippan.co.jp/news/blibrary-vol-4/

是枝裕和監督の「万引き家族」(全国329館)がヒット。動員ランキングで初登場1位。
http://cinema.pia.co.jp/news/175034/75551/

◎Donutsは、6月27日(水)から同年7月22日(日)まで、ライブ&動画コミュニティアプリ「MixChannel」内のライブ配信サービス「MixChannel LIVE」においてガールズファッション誌「Popteen」(角川春樹事務所)とのコラボ企画「『Popteen』出演権コンテスト」を開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000172.000004237.html

博報堂、大広、読売広告社の5月度売上高。博報堂ではマス4媒体が揃って前年同期比でマイナスとなったが、インターネットが前年同月比で19.3%増となり、全体で前年同期比100%を守ったということになろうか。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1599865

◎「The Breakthrough Company GO」は博報堂出身の三浦崇宏と電通出身の福本龍馬が立ち上げた広告会社だが、三浦が「現代ビジネス」に「崖っぷちの広告業界、変革の鍵は『メディアのベンチャーキャピタル』化」を発表している。三浦は広告代理店の一つの方向性として見えているのが「メディアの不動産業」から「メディアのベンチャーキャピタル」へと舵を切ることだと考えているようだ。ただし、それを象徴するのがサイバーエージェントという水準の理解にとどまっていて良いのだろうかと私などは半畳を入れたくなる。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55919
博報堂にしても、電通にしてもそうだがインターネットで利益を上げるのは至難のワザであるはずだ。マス4媒体の扱いが減ろうとも、確実に儲かるのは、まだまだマス4媒体なのである。

サイバーエージェントは、インターネット広告事業において、東南アジア向けの広告配信を強化し、6月11日(月)に東南アジア向け広告のクリエイティブ制作拠点を京都リサーチパークに開設した「京都グローバルクリエイティブセンター」に置いた。また東南アジア出身の外国人デザイナー採用を実施する。

https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=21723
京都を選ぶという感性は確かに優れていると思う。

◎米AT&Tによるタイム・ワーナーの買収が連邦地裁によって認められることになった。
https://www.asahi.com/articles/ASL6F22W8L6FUHBI002.html
日本でも同じようなことが起こらないとも限るまい。例えばNTTドコモカドカワを買収するという程度のことであればあり得るのだろう。

安室奈美恵がカバーガールとして最も多く登場した女性ファッション誌は「ViVi」(講談社)なんだね。「ViVi」8月号のカバーをつとめて通算34回目となる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001743.000001719.html

北朝鮮朝鮮中央通信や労働新聞は朝日新聞ソウル支局長の牧野愛博や朝日新聞を激しく批判しているという。牧野は大阪商船三井船舶(現・商船三井)を経て、1991年、朝日新聞社に入社している。「北朝鮮秘録 軍・経済・世襲権力の内幕」「戦争前夜 米朝交渉から見えた日本有事」「ルポ 絶望の韓国」はいずれも文藝春秋から刊行されている。朝日新聞出版からは今年「北朝鮮核危機! 全内幕」を刊行している。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180613/soc1806130016-n1.html

◎「POPEYE」(マガジンハウス)は6月16、17日にポップアップストア「スーベニアショップポパイ」を幡ヶ谷の「パドラーズコーヒー」にオープンする。
https://www.wwdjapan.com/628787

ファミリーマートと、滋賀県を中心に37店舗で書店やレンタルショップを展開するサンミュージックは、CVSと書店の一体型店舗の滋賀県第1号として彦根市に「ファミリーマートサンミュージック彦根店」を6月14日(木)に開店する。
http://www.family.co.jp/company/news_releases/2018/20180613_01.html

名古屋市港区に大型商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス」が9月28日にオープンするが、蔦屋書店の出店が決まった。蔦屋書店は東海地方に初出店となる。
http://mainichi.jp/articles/20180613/ddq/008/020/004000c

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3)【深夜の誌人語録】

慣れは失敗の始まりである。