【文徒】2014年(平成26)6月9日(第2巻105号・通巻307号)

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1)【記事】追悼文捏造の「Free&Easy」は即刻廃刊すべき!富永正人社長は即刻辞任すべき!
2)【記事】幻冬舎流投資ビジネスには近づきたくない!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】追悼文捏造の「Free&Easy」は即刻廃刊すべき!富永正人社長は即刻辞任すべき!

Free&Easy」は私の好きな雑誌のひとつであったのだが、これはいくら何でも度を超えたFree&Easyだろう。安西水丸特集で、赤瀬川原平角田光代南伸坊の追悼文を本人の了解なしにデッチ上げていた(捏造した)という。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014060600473
版元のイースト・コミュニケーションズイースト・グループ・ホールディングス持ち株会社とするイーストグループの一社。イースト・エンタテインメントはテレビの番組制作会社。「新堂本兄弟」「きょうの料理ビギナーズ」「テラハウス」「たけしのアート☆ビート」「団塊スタイル」「落語研究会」「極上空間」などの番組を手がけている。
ノースプロダクションはタレントのマネジメント会社。所属は福澤朗薬丸裕英、真鍋かおりなど。堀潤もここの所属である。
オーケープロダクションもタレントのマネジメント会社。所属は小倉智昭、「人権トゥデイ」の長田新室井佑月など。オーケーの由来は大橋巨泉、もともと大橋巨泉事務所であった。
エストはADの派遣業。
http://east-ghd.co.jp/
イースト・グループ・ホールディングスの社長は大橋巨泉が司会をつとめた「世界まるごとHOWマッチ」のプロデューサーだったという富永正人(オーケープロダクションイーストグループ入りしたのも、大橋と富永の太いパイプがあったればこその話であろう)。富永はイースト・エンタテインメント代表取締役社長、ノースプロダクション代表取締役会長、そして今回、記事の捏造をしでかしたイースト・コミュニケーションズ代表取締役会長である。当然、経営責任が問われて然るべきだろう。NHKによれば「この記事について出版社は、すでに関係者から抗議を受けていて、不適切な記事だったとして、最新号に謝罪文を掲載するとともに、問題があった雑誌の回収を進めて」いるという。確かに「Free&Easy」7月号に次のような「お詫び」が小野里稔代表取締役名義の文章として掲載されている。
「このたび、本誌2014年6月号『F&E Ism』の編集ページにおきまして、南伸坊様、赤瀬川原平様、角田光代様(掲載順)に関する記事が、未承諾および不適切な引用によるものと判明しました。
南伸坊様、赤瀬川原平様、角田光代様、また関係者各位ならびに読者の皆様に多大なる迷惑をおかけしたことを、深くお詫び申し上げます」
このお詫びの文章だけでは読者からすれば何があったのか正確に把握することはできなかったろう。「未承諾および不適切な引用」程度の瑕疵として片づけてしまって良いのだろうか。イースト側は事態を甘くみてはいないか。実際、イースト・グループ・ホールディングスのホームページやイースト・コミュニケーションズのホームページには「お詫び」はアップされていない。イースト・コミュニケーションズのホームページでは「お詫び」の対象となった6月号を品切れとしているだけなのである。まるで捏造などなかったように済ませているのである。これはいくら何でも無責任というものではないか。いや、盗人猛々しいと言うべきだろう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140606/k10015015251000.html
http://east-ghd.co.jp/
http://www.east-com.co.jp/
そもそも「Free&Easy」が捏造を認めたのは、赤瀬川原平夫人が日本文藝家協会に「主人は入院中なので、書いてもいないし、インタビューも受けていない。編集部に確認したが、誠意のある対応ではなかったので、協会からも何事が起きたのか調べてほしい」と連絡があり、日本文藝家協会が動き出したことによってである。「文藝家協会ニュース」は次のように書いている。
「編集部に電話すると、奥様がおっしゃるように『担当者が不在でわかりません。連絡しますのでお電話番号を』という頼りない対応です。メールアドレスを伝えたところ、2日後に『説明したい』というメールが届き、ほどなく電話がありました。結論は、過去に2度、インタビューした編集者が、勝手に書いた文章でした」
富永は事態の深刻さをわかっているのだろうか。ことは「Free&Easy」にとどまらない問題なのである。「Free&Easy」は雑誌ジャーナリズムの信頼性に泥を塗り、その価値を貶めてしまったのである。
富永は、イースト・コミュニケーションズ代表取締役会長はもちろんのこと、イースト・グループ・ホールディングス代表取締役社長を辞任すべきだし、当然、「Free&Easy」は即座に廃刊すべきである。「Free&Easy」は奥付けに自らの名前を発行人として刻み込んでいることの意味を少しは噛みしめたほうが良かろう。

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2)【記事】幻冬舎流投資ビジネスには近づきたくない!

幻冬舎総合財産コンサルティングのリリースを見ていると目が眩んでくる。<幻冬舎総合財産コンサルティング(GTAC)運営の無料会員組織「カメハメハ倶楽部」では、2014年7月24日(木)に出版記念セミナー『内藤忍の「究極の海外不動産投資』を追加開催いたしますので、お知らせいたします>
藤忍東京大学経済学部の出身。住友信託銀行などを経て、マネックス証券で頭角を現し、現在は自ら2012年に設立した資産デザイン研究所、海外資産運用教育協会のトップである。内藤は自らのブログで次のように書いている。
6月1日付<昨日は、午前中は早稲田大学オープンカレッジの資産設計塾講座、ランチタイムはとある出版社の編集の方と書籍の打ち合わせ、そして、午後は幻冬舎で、新刊「究極の海外不動産投資」の出版セミナーと慌ただしい一日でした。
出版セミナーには、70名以上の方にお集まり頂き、急遽会場の座席数を増やすほどの盛況になりました。ご来場いただいた皆さまの熱気が、海外投資に対する関心の高さを示していたように思います。ご来場ありがとうございます>
4月30日付<今週「究極の海外不動産投資」を出版しました。幻冬舎のGTACとの共著になります。アメリカ、マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジアバングラデシュ・・・海外不動産投資を網羅的に解説した新書です。
5月15日に東京渋谷で「知識ゼロから始める!バングラデシュ不動産投資セミナー 実践編」を開催します。ゲストにクリエイティブ社のカマル社長を招き、実践的な投資方法を伝授いたします。
7月に「内藤忍と行く!2泊5日バングラデシュ海外不動産視察ツアー」を実施します。現地では、クリエイティブ社のカマル社長と私が同行。週末を有効活用して、主要投資先を一気に視察いたします>
http://www.shinoby.net/2014/04/post-3196.html
4月29日付<今週「究極の海外不動産投資」を出版しました。幻冬舎のGTACとの共著になります。アメリカ、マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジアバングラデシュ・・・海外不動産投資を網羅的に解説した新書です。
5月15日に東京渋谷で「知識ゼロから始める!バングラデシュ不動産投資セミナー 実践編」を開催します。ゲストにクリエイティブ社のカマル社長を招き、実践的な投資方法を伝授いたします>
内藤はバングラデシュで一儲けを企んでいるのだろう。幻冬舎総合財産コンサルティングもこれに一枚噛んでいるとみて間違いあるまい。同社が組織しているカメハメハ倶楽部も海外不動産投資が大好きだ。サイト内に「海外不動産の広場」を持っている。<カメハメハ倶楽部の「海外不動産の広場」では、安心して海外不動産投資への第一歩を踏み出せるよう、各国の基礎情報をはじめ、それぞれの国の不動産の魅力や不動産事情、物件の概要やその特性をあますことなく取り上げていきます>
http://kamehameha.jp/kaigaifudosan/
幻冬舎という出版社としてのブランド力を利用し、金持ち(金持ちでなくてもカネに目が眩んだ連中も)を集め、投資にまで持ち込み、そこで大儲けする。そんなシナリオが私には見えてくる。残念ながら私は金持ちではないが、たとえ金持ちであったとしても、こういう会社には近づきたくないものである。

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3)【本日の一行情報】

朝日新聞千葉総局の記者が記者会見で大暴れ。「東スポウエブ」のスクープだ。こう書いている。
「5月20日に千葉県庁で行われた『千葉県社会福祉事業団問題等第三者検証委員会』の後に開かれた会見で、この記者は酔っ払った状態で出席。県職員に食って掛かるわ、机を叩くわなどして会見を台無しにした。その後、記者は謹慎したという」
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/273894/

◎「モーニング・ツー」7月号(5月22日発売)の編集後記において、不適切な表現があったとして公式サイトで「お詫び」を掲載。
http://morning.moae.jp/news/1248
同誌の編集後記に「もしオボカタさんがブスだったら、STAP細胞はないと思う。ブスはひねくれているからウソばっかり言う。その点、美人はウソを言わなくても、みんながチヤホヤしてくれるからウソは言わない」といった記述があったという。糾弾されて然るべきだろう。
http://www.47news.jp/CN/201406/CN2014060701001614.html

◎今年の夏は図鑑戦争だ。小学館の「NEO」も動き出す。ドラえもんがナビゲートするDVDつき。
http://www.shogakukan.co.jp/pr/neo/img/newtopics/1405neo_shinkan.pdf
講談社の「MOVE」の場合はNHKスペシャル映像DVDつき。
http://zukan-move.kodansha.co.jp/
図鑑では学研も負けていられない。
http://kids.gakken.co.jp/zukan/
そう言えば私も図鑑が大好きな子どもだったんだよな。

◎ヤフーがCCCにユーザーの閲覧情報を含む情報を提供することになったが、これに同意しないユーザーの拒否手続きに不備があり、申請が行えなくなっている。そればかりか、既に申請を行っているユーザーも、申請の再開後、再度申請を行わなければならないという。ユーザーを馬鹿にした話ではないか。ヤフーにも、CCCにも「ユーザーファースト」の姿勢が欠如していると言わねばなるまい。そもそも、ヤフーやCCCが目指しているのは「ビッグブラザー」(ジョージ・オーウェルの「1984」を読んでね!)なのかもしれない。
http://form.ms.yahoo.co.jp/bin/ccc_optout_preference/feedback

◎イギリスの電子書籍市場は4年後に3倍まで成長し、紙の市場を超えるとした調査レポートがあるようだ。
http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=5549

◎医学系専門書出版社5者(医学書院、医学中央雑誌刊行会、学研メディカル秀潤社、南江堂、南山堂)は、医学・医療に携わるすべての専門職に電子コンテンツを迅速に届けるべく「医書ジェーピー株式会社」を共同で設立し、共通のプラットフォームで配信することになった。医書ジェーピーの代表取締役社長には医学書院の金原優社長が就任する。
http://www.atpress.ne.jp/view/47125
医学書電子書籍化は一気に進みそうである。

◎「渡辺淳一さん お別れの会」が7月28日帝国ホテル 本館二階「孔雀の間」で15時〜17時の時間帯で開催される。会費は1万円。
http://www.asahi.com/articles/ASG65624GG65UCVL029.html

トヨタ法人税を6年ぶりに納入した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014060502000112.html

◎ワコールと宝島社は、10〜50代の女性読者5,664名に自身のバスト・ブラジャーに関する意識調査を実施。
「今回の調査によると、最も自信をつけたいからだの部位の第1位は『バスト』で、バストへの意識が高く、バストの悩みとしては、約4割の女性が『小さい』を挙げていました。また、とっておきのブラジャーを着ける時としては、全誌・全世代を通して『デート』が1位になるなど、ファッション好きな読者ならではの女子力の高さがうかがえる結果となりました」
http://www.wacoalholdings.jp/news/2014/5600-.html

テレビ離れも、新聞離れも、ラジオ離れも、雑誌離れも着実に進行している。
http://www.news-postseven.com/archives/20140605_258905.html

◎アニメ映画「アナと雪の女王」が観客動員1700万人を動員。「タイタニック」を抜き洋画動員記録を更新。
http://www.cinematoday.jp/page/N0063559?utm_source=gunosy&utm_medium=feed&utm_campaign=xchg

有川浩が文春から著作を引き揚げた一件。有川の性格に起因するものであったようだ。担当編集者有川との間のトラブルで精神的に追い詰められ、遂に身体を壊してしまうが、これにメールで抗議した担当編集者の上司の対応に、有川は納得せず、引き揚げとなったそうだ。
http://www.cyzowoman.com/2014/06/post_12445.html
売れる作家は版元に強く、売れないライターは版元に弱いという構図は不変である。いずれにしても新潮社の有川担当者に求められるのは、精神的タフさ、か。自衛隊経験者が最適なのかもしれない。

◎6日付愛媛新聞長官は「伊予鉄道役員人事誤報のおわび」を土居英雄社長の署名入りで掲載した。
http://www.hochi.co.jp/topics/20140606-OHT1T50100.html

◎「くまモン」が今度は祥伝社に現れた。
http://www.j-cast.com/mono/2014/06/05206812.html?p=1

◎企業の「経営の根幹であるマーケティングは、デジタル化とグローバル化によって、開発、生産、物流、労務などなど、どんどん広告販促以外の領域に浸透」しているのは間違いないよなあ。
http://dentsu-ho.com/articles/1233

日本雑誌協会日本書籍出版協会児童ポルノ禁止法の改正案に対して反対声明を出した。
「本日、衆議院本会議において可決された「児童ポルノ禁止法」改正案は、児童保護という本来の目的を逸脱し、表現規制に繋がる危険性をはらんでいるため、ここに反対意見を表明する」
http://www.j-magazine.or.jp/doc/20140605.pdf

◎日本出版者協議会の高須次郎は次のように書いている。
「…電子書籍の価格決定権を出版社が失うと、紙の書籍の売れ行きに大きなマイナスの影響がでて、書店も出版社も危機に追い込まれる。力の強い出版社はエージェンシー・モデルで契約可能だが、ほとんどはホールセール・モデルを選ばざるを得ず、価格決定権を奪われてしまう。日本の場合、公正取引委員会は、独禁法は有体物が対象で、オンライン系電子出版物は有体物ではないので、非再販商品としている。そのためアマゾンでエージェンシー・モデル契約をしている出版社は、講談社小学館集英社など5社ほどで、他はKADOKAWAなど大手も含めホールセール・モデルを呑まされている。電子書籍で価格決定権を保持するには、紙と電子の出版権を一体的に契約し、エージェンシー・モデルを認めない電子配信業者とは取引をしないなど防衛策を図るとともに、政治の力によってフランスのような電子書籍の価格維持法のような法律を作って保護してもらう以外に方法はない」
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-626d.html

◎サッカーの日本代表選手の本は売れるようだ。4月に刊行された「長友佑都 体幹レーニング20」(ベストセラーズ)は既に40万部だそうだ。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140604/1058193/?n_cid=nbptrn_top_new

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4)【深夜の誌人語録】

話せばわかる? 世の中に話せばわかることは意外に少ないのかもしれない。