【文徒】2019年(令和元)5月22日(第7巻87号・通巻1507号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】幻冬舎 見城社長ツイッター問題 延焼がつづいている!
2)【本日の一行情報】
3)【月刊「出版人・広告人」6月号予告】
4)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.5.22 Shuppanjin

1)【記事】幻冬舎 見城社長ツイッター問題 延焼がつづいている!

田中康夫が大理石彫刻家の投稿をリツイートしながら、呟いている
「RT:田中康夫が出版社の社長にブロックされたそうな。なんと気の弱いこと。無垢を怖れ、力に頼る者のやることだ。
令和の格言 富すれば鈍する 地位は人を駄目にする
小生の諫言を聞く耳持たずブロック遊ばされた見城徹
https://twitter.com/loveyassy/status/1130296554210770944
http://tanakayasuo.me/youtube#Vol529Yassy
「ORICON NEWS」が発表した「幻冬舎見城徹社長、ツイッター&755&冠番組終了を宣言 部数公表の作家に謝罪『お詫び申し上げます』」によれば、5月19日に配信されたAbemaTVの冠番組「徹の部屋」の冒頭で次のように語ったそうだ。
「今、僕のツイッターが騒動を起こしています。ひとえに僕の傲慢と怠慢が引き起こしたものだと思っております。作家の部数を公表したというミスを起こしてしまいました。公表した作家の方に心からお詫び申し上げます」
「申し上げたいことがあります。今回の騒動にけじめをつけたいと思っておりまして、ツイッターは辞める。この先、更新しない。755も更新しない。辞める」
「『徹の部屋』も今回か、次回で。これは僕1人の決断ではできない。番組を作っている制作会社のみなさん、カメラの方々、ディレクター、プロデューサー、それから僕や(アシスタントの)大石(絵里)のヘアメイク、スタイリスト、いろんな方が失業することになる。オーバーですけれども。勝手には決められない。AbemaTVと相談して、今回か次回で終わりにしたいと思っております。僕からの発表でした」
https://www.oricon.co.jp/news/2135831/full/
これに対して津原泰水が呟く。
「なぜ名前を云わん?」
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1130401387378954241
小説も批評もこなす坂上秋成からすれば「津原氏への侮辱はあらゆる作家への侮辱」にほからない。
見城徹津原泰水さんの作品の実売数を公表し、嘲笑したのは端的に言って最低の行いだ。ふざけるなと思う。出版社の社長が著者を不当な方法で、人目に触れる場で攻撃し辱めようとすれば書き手は少なからず萎縮するだろう。津原氏への侮辱はあらゆる作家への侮辱である」
「しかし、如何に見城が最低かは学に関わる大勢の人が書いてくれているので俺はこれ以上言及しない。それよりも、津原さんの著作の実売数が1000部だったというその意味について、書き手や読者や編集者に考えてもらいたいことがある。分かってほしいことがある」
「1000部というのは出版社にとって経済的利益になる数字ではない。そして会社が慈善事業でない以上、それは無視できることでもない。
しかし、1000部本が売れるというのは、本当は凄いことなのだ。1000人の人間がある小説を読むということは極めて尊いことなのだ」
「イメージしてほしい。1000人の人間に届くというのは、ひとつの高校の全生に届いているようなものだ。それだけの数の人間に感動を与えた、与え得るというのは称賛されるべき営為だ」
「作家は読者の心に響くように作品を作り、届くことを祈る。1000人の人間が一冊の小説を読んで、多かれ少なかれ世界の見方を変える。これを美しいと思えないのなら、なんのために学があるっていうんだ? なんのために人が作品を作るっていうんだ?」
「それは会社が手放しで喜べる数字ではないかもしれない。けれど、もしも出版社がベストセラーを出して数字だけを追い続けるというのなら、学に関わらなければいいじゃないか。もっと効率のいい経済活動をすればいいじゃないか。それなのに多くの出版社が、編集者が、学に携わるのは何故なのか」
「そこには矜持がある。祈りがある。美しい物を作り届けることには、資本主義の論理とは異なる、人が生を送ることに希望を見出そうとする意志と倫理がある。学が作られ紡がれ、人と繋がっていくというのはそれを前提にした行為だ。1000人の人間と繋がる言葉を生んだのなら、それは素晴らしいことだ」
「作家が数字のことを一切考えないでいいとは思わない。だが、わざわざ作家などという奇妙で効率の悪い仕事を選ぶ人間の多くは、きっと数字のみに還元できないものを表そうとしている。そこに矜持を持っている。俺はその人たちのことを信じているし、数字の外で愛している」
https://twitter.com/ssakagami/status/1129315357859016704
https://twitter.com/ssakagami/status/1129315901377925121
https://twitter.com/ssakagami/status/1129316458985431047
https://twitter.com/ssakagami/status/1129316891107897344
https://twitter.com/ssakagami/status/1129317322915663872
https://twitter.com/ssakagami/status/1129317728379068421
https://twitter.com/ssakagami/status/1129318262007771138
https://twitter.com/ssakagami/status/1129318646025555968
事態は見城社長がツイッターから撤退した程度では収拾がつかないのかもしれない。「路地裏の迷宮踏査」(東京創元社)の杉江松恋は、こう主張する。
見城徹社長がツイッターを休止することで幕引き、みたいな書き方をするメディアや個人SNSの記事が散見されるので書いておくのだけど、それは本質ではないでしょう。出版が決まっていた刊行物を版元が一方的に中止させたという著者への裏切り行為が問題で、そこは何も解決していない」
幻冬舎は事実関係を公けの場で明らかにし、非があるのであれば潔く認めなければいけない。見城徹氏がツイッターというおもちゃを手放したことなんて本当にどうでもいいことで、会社としての姿勢を知りたいのです。それを表明してくれる会社かどうかということも」
https://twitter.com/from41tohomania/status/1130651355238940672
https://twitter.com/from41tohomania/status/1130651873269100544
残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」の作詞家・及川眠子によれば、百田尚樹や有本香のツイートは援軍にはならず、むしろ逆効果であることがわかる。
「おそらく予想もしてなかっただろう作家さんたちの激しい抗議に対して、謝罪してTwitterも閉じて会社を守るために何とか沈静化を図る幻冬舎の見城社長。なのにそこに新たに油を投入する百田さん。さらにそれをうちわで扇ぐ有本さんw
素敵です。頑張ってくださいww」
https://twitter.com/oikawaneko/status/1130339510473056256
津原泰水がこんな連続ツイートを投稿している。
「百田さんが新聞に幻冬舎謹製『津原と担当の電話』を語られたので(なんでわかるわけ?)、幻冬舎を追い込まないよう黙ってた事の、1つを書きます。クラウス・フォアマンの装画、日本のスキャナーでデータを取る為、仕方なく僕が自腹で買いました。貧乏作家を養っていたかのような印象操作は迷惑千万」
幻冬舎は額縁代を出してくれました」
「これは1月に頓挫した庫化ではなく、連載からいま売られている親本(四六判)に至る段階の話です。また公正を期す為、クラウスさんが『津原さんにだったら』とたいへん安くお譲りくださったことも付記しておきます。とても安かったですよ、世界のクラウス・フォアマンにしては」
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1130625201912262656
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1130625256106758144
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1130633633604104197
佐久間裕美子が「note」に「みんなウェルカム@幻冬舎plusをおやすみすることにしました」を発表した。
「けれど、先週、見城徹社長が、Twitter上で、幻冬舎からの出版が中止になった津原泰水さんの過去の作品の部数を『晒し』たということを知り、これまで感じたことのない恐怖感を感じました。出版社しか知りえない情報が、作家を攻撃し、恥をかかせるための武器として使われたのです」
佐久間は「日本国紀」についても、こう述べている。
「『日本国紀』ににまつわる最近の動向を遠くから見ていて、もやもやすることが増えました。なぜなら、権利の侵害があろうとなかろうと、人の章をコピーして使う、ということは、絶対にあってはならないことだと教えられてきたし、それを信じて、『書く』という作業をしてきたからです」
https://note.mu/yumikosakuma/n/na0234ae22389?fbclid=IwAR2RLi5VdoMojsIJu6JxSyqe7UXSVOiZX_bwkzW3miOMhzK5JuTEwjmn1mc

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2)【本日の一行情報】

スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫春新書から「天才の思考 高畑勲宮崎駿」を上梓する。総432頁!
https://natalie.mu/eiga/news/331482
藝春秋とスタジオジブリの関係は良好だ。

荻上チキ、ヨシタケシンスケの共著「みらいめがね それでは息がつまるので」が暮しの手帖社から刊行される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000025712.html

電通ダイレクトマーケティングは、電通ラジオテレビビジネスプロデュース局、電通九州、電通東日本と共同で、信販売事業の健康食品・スキンケア化粧品カテゴリーにおける「ロイヤル顧客層獲得プランニング」手法の開発に向けて、過去1年以内に同一企業(調査対象各29社)の「健康食品」「スキンケア化粧品」を定期購入している全国30-79歳の男女計3,405名 を対象に調査を実施した。その結果、認知から購入までのファネルにおけるメディア接触から推計した各メディアの売上貢献金額は、テレビ広告はweb広告の貢献金額の約2倍であることがわかった
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000017763.html

◎海外旅行特化のデジタルメディア「旅MUSE」(タビミューズ)を運営するバリーズは、D2C事業を中心とした女子旅コミュニティサービスの拡大を目的として、三越伊勢丹イノベーションズを引受先とする、第三者割当増資を実施した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000012050.html

◎「ORICON NEWS」は「漫画アプリ『comico』世界累計3000万DL突破 編集長は元小学館編集者、海外展開の利点生かす」を公開している。「comico」編集長は小学館出身の武者正昭である。「comico 」は現在、台湾、韓国、タイ、スペイン語圏、インドネシア、国内含めて6つの地域にサービスを提供している。武者によれば「海外においては、日本の人気作品をローカライズして提供するだけでなく、現地においても新人作家を発掘するなどして、それぞれの地域化に合った作品・サービスの提供を行なってまいりました」とのことである。
https://www.oricon.co.jp/news/2135785/full/

◎「現代ビジネス」が「『少年ジャンプ』が模索する、デジタル漫画の『新たな黄金法則』」を公開している。インタビューに応えている籾山悠太という編集者はデキルな!
「『少年ジャンプ+』がはじまって4年くらい経ってますけど、多少の挫折感は感じています。本当は今ぐらいには大成功を収めて圧倒的な存在になっていないといけないんですけど、現状はそうではないので、ちょっとヤバいかな、という焦りはあります。
でも、ジャンプ化で育ったからでしょうか。困難があったときの方が、燃えるんですよね(笑)。
今は本当にデジタル漫画の戦国時代みたいな感じで、勝てば江戸幕府が作れる状況じゃないですか。そのなかで、『少年ジャンプ+は現状、今川義元ぐらいのポジションだと思うんです(笑)」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64630

小学館少年マンガ誌「週刊少年サンデー」とサイバードは、「名探偵コナン公式アプリ」において、蘭の同級生で親友の鈴木園子が推理をする「推理クイーン・名探偵園子特集」を、5月20日月)から6月12日(水)までの期間限定で実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001550.000001661.html

◎「日本国紀」の百田尚樹に私は何の悪意を抱いてもいない。しかし、百田信奉者たる長谷川豊の差別発言を断固として許してはなるまい。糾弾の権利を行使してでも抗議すべきだろう。
https://buzzap.jp/news/20190520-ishin-hasegawa-yutaka4/

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3)【深夜の誌人語録】

現実的な思考を支えるのは理想であり、夢である。