【文徒】2019年(令和元)6月3日(第7巻95号・通巻1515号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】見城徹社長が仕掛けた百田尚樹現象が幻冬舎を破壊する?
2)【本日の一行情報】
3)【人事】
----------------------------------------2019.6.3 Shuppanjin

1)【記事】見城徹社長が仕掛けた百田尚樹現象が幻冬舎を破壊する?

朝日新聞の鮫島浩がこう紹介している。
幻冬舎の見城氏は数々のベストセラーを手掛け、安倍政権下で絶大な影響力を握った。彼を『編集者としては20世紀の人だった』と総括し、今回のツイッター騒動を『彼の戦略の賞味期限どころか消費期限までを思わせる出来事』と斬る論考。ポスト安倍時代への道標である」
https://twitter.com/SamejimaH/status/1134289971110502400
鮫島が褒めているのは、「RONZA」が掲載している今野哲男の幻冬舎問題にみる百田尚樹見城徹という『偶像』」である。
「今回のツイッターによる発言は、馬脚を現したとは言わないけれど、出版という生業についてだけでなく、SNSの扱いにもまだ配慮が欠ける一世代前の編集者が起こした、凡庸で時代と人を見くびった失敗というべきで、見方によっては彼の戦略の賞味期限、どころか消費期限までを思わせる出来事だったように思う。百田尚樹しても異形の天才・見城徹にしても、このまま落ちた偶像にならないことを望むばかりだ」
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2018030100001.html?page=1
今野哲男は、元「翻訳の世界」編集長にして、「光社古典新訳庫」創刊に契約編集者としてかかわり、これを成功に導いた編集者である。見城も今野も吉本隆明に深い思い入れがあるという点は共通している。今野によれば見城が「たった一人の熱狂」で吉本隆明を扱っていることは「自己矛盾」ということになる。
http://andantekonno.cocolog-nifty.com/
しかし、百田尚樹現象は幻冬舎を巻き込んで、一向に収束する気配がない。東浩紀は、こんなふうに呟いている。
百田尚樹氏の著書をきっかけに幻冬舎と小説家たちが戦争してこれでは百田氏大勝利ではないかと思っていたら、こんどは津田大介と石戸諭両氏も百田尚樹紹介記事をめぐり衝突し始めたようだ。これではまじで百田さんだけが得をしていくので、みなそろそろ彼については話すのをやめるべきではなかろうか」
https://twitter.com/hazuma/status/1134012198471184384
石戸諭が「ニューズウィーク日本版」に発表した「特集:百田尚樹現象」について津田は朝日新聞朝刊オピニオン面「論壇時評」で批判的に取り上げているのだ。津田はツイッターでも言及している。そのサワリの部分を紹介しておこう。
「結論に同意できない理由には、百田氏のツイートにおよそ看過できるレベルを超えた性被害者へのセカンドレイプや、戦争を煽るようなものが無数にあることです。石戸氏は『韓国という国はクズ中のクズです! もちろん国民も!』というツイートを本人に問いただしていますが、なぜこれを?と思います」
「ここまでエビデンスにこだわった記事を作るなら、上記ツイートより酷いツイートを一覧にして本人に当てるくらいのことをしても良かったのではないかと思います。なぜかといえばそれらの酷いツイートの中には『ごく普通の人たちの憤り』として共感できるレベルを超えたものがあると推測できるからです」
「僕の論壇時評の最後にある『『ごく普通の人たちの憤り』は本当に“憤り”なのか』という問いかけ、結論は、上記の問題意識から書かれたものです。同胞である沖縄に対する苛烈な論評や決めつけ表現者であるにも関わらず『つぶしてしまえ』とメディアに圧力をかける態度は本当に『ごく普通』でしょうか?」
https://www.asahi.com/articles/DA3S14035196.html
https://twitter.com/tsuda/status/1134009600548564992
https://twitter.com/tsuda/status/1134009601517481984
https://twitter.com/tsuda/status/1134009602788548610
朝日新聞GLOBE副編集長の五十嵐大介のツイートも紹介しておこうか。
Newsweekの石戸さんの特集記事、興味深く読みました。最後のくだりで触れていますが、まさに三年前のトランプ現象を思い出します。大統領選挙前、米メディアでも分断の反対側を真摯に見つめる報道は少なかったと思います。分断が広がる今こそ、意見の違う人を知る努力が大事だと改めて実感します」
https://twitter.com/dai_igarashi/status/1134395954755395584
集英社編集者の鈴木耕が「マガジン9」に「もし、あなたの周りネット右翼がいるなら…」を公開している。
「…幻冬舎見城徹社長のケースにも、ヘイトの臭いを感じてしまう。
見城社長は『売れれば勝ち』を、編集上の最高の価値観にしてしまったらしい。だから、百田尚樹氏がいたるところでどれほどヘイト発言を繰り返そうと、ベストセラー作家として崇め奉るのだろう。
百田氏を批判してきた津原泰水氏を『売れない作家』とこき下ろしたのは、まさに『売れる』『売れない』という2分法の価値判断による。その意味で、見城氏は『儲かる』という理由で、ベストセラー作家のヘイト発言を容認してしまったのだ。今回の騒動の裏側に、ヘイト問題が見え隠れしていると、ぼくが思うのはそういうことだ」
https://maga9.jp/190529-4/
竹熊健太郎幻冬舎を雑誌型だという。
幻冬舎は雑誌型だからスピードと話題性が第一。そのこと自体は悪いことではないが「歴史書」は無理があったのでは。『日本国紀』にどのくらいの時間をかけたかは知らないが、同社の校閲部が言うように、本来ならば5年かける本だった。雑誌の作り方しか頭にないと、マルコポーロ事件の二の舞になる」
https://twitter.com/kentaro666/status/1134317151408410625
確かに幻冬舎は雑誌型の書籍出版社である。ただし、雑誌型ではあっても雑誌編集は、不得意であり、そういう意味では不器用な出版社である。
「ライターやまうちくん」の次のようなツイートには笑った。
「有本さんは本気で幻冬舎潰すつもりなのか?!なんで見城徹や社員が、形式的とはいえとりあえず謝ったのに、なんで薪を焚べようとするのかなあ。汗
このタイミングで書くのは、鎮火しそうな状態にガソリンを注いでるようなものだよ。汗
逆効果だよ。幻冬舎見城徹を守ってあげてくださいよ」
https://twitter.com/kabuppi888/status/1131765483818983424
「有本さん」とは有本香のことである。「ライターやまうちくん」のこのツイートも鋭い。
「『日本国紀』、幻冬舎は増刷の度にコピペが指摘された箇所などをこっそり修正して流通させているが、“事故本”の初版は未だに回収されていない。
正誤表も一切公表されていない。あろうことか、初版と3刷と6刷が混ざって書店に並んでいるのだ。
これは、読者に対し極めて不誠実な対応と言うほかない」
https://twitter.com/kabuppi888/status/1131580576622755845
高橋三千綱見城徹を擁護している。
幻冬舎見城徹氏への偏見、嫉妬による罵詈雑言が幅を利かせているが、見城氏の最初の担当作家として、ひとこと言いたい。見城氏は希にみる情熱家で、何の打算もなく、この人と思った作家には全身全霊をかけて突進していく猪のような男だった。中上健次には、俺の飲代を勝手に払いやがってと殴られた」
https://twitter.com/EgwJk0eo1xFkX1G/status/1134508123647909888
この東スポの記事にある「清水氏」って誰なのだろうか?東スポ「見城社長は清水氏の著書の実売発行部数をツイッター上で公表」と書いているのだけれど。
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/1414821/
津原泰水が早速、反応している。運動神経が良いんだよね。
「突然『清水氏』なる新キャラが登場する東スポ品質」
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1134438702011207680
今、最も熱いのが5月31日付でも紹介した「某出版社校閲員」のツイートだろう。決してイデオロギッシュな呟きではない。校閲」のプロとして呟いている。
幻冬舎は、日本国紀コピペ問題を今のまま放置したら、本の神様から壮大なしっぺ返しを食らうと思う。しっかりしろ」
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1133202125167611904
「某出版社校閲部員」は幻冬舎の内部事情にも通じている。
幻冬舎は、ほぼ100%校正は外注(以前、幻冬舎校閲部の方とパーティーで話した)。中の人は、そのとりまとめやスケジュール調整のみ。そういう会社はたくさんあり、悪いことではない。問題は、パクリを指摘されて一切、論理的な反証を行っていないこと。恥ずかしいにも程がある」
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1133223419577655296
「某出版社校閲部員」からすれば「日本国紀」は「ファクトチェックの皆無な劣悪本」にほかならないのだ。その内容をもって劣悪だといっているのではなく、ファクトチェックが皆無だから劣悪だと言っているのだ。
芸の編集者なら、単行本初版3000とかでも何かのきっかけで火がつく瞬間というのを目撃してるはず。伊坂幸太郎さんや湊かなえさんのような大ベストセラー作家だって最初はそうだったでしょ。ファクトチェックの皆無な劣悪本でも『売れれば正義』と考えてる見城さんへ、幻冬舎の編集者は反論ないの?」
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1133529995584757760
「某出版社校閲部員」は「日本国紀」は回収されるべきだと考えているようだ。
校閲の仕事の大原則としては『読者が困らない本を作る』こと。誤植、事実関係、差別表現、など全てこれに当てはまります。幻冬舎の『日本国紀』は、一般書としては最高レベルの『校正』を行ったと見城(敬称略)は言ってますが、校閲がゼロ。そんな本は、深井智朗の事例同様、本来は絶版回収すべき」
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1133532454990389248
そう、何故、参考献やウィキペディアを参照したことを明記しなかったのか。歴史書ではなく、言ってみれば「講談本」なのだからウィキペディアを参照することは恥じることではあるまい。「某出版社校閲部員」の意見は正論ではないのだろうか。
幻冬舎は、『日本国紀』の参考献を今からでも巻末に示した方が良いのではないか。それはたとえ出典の一部がWikipediaであっても同様。Wikipediaは明示すれば引用が可能。『それは恥ずかしい』とかでなく、ルール上の問題。これは著者の問題というより、出版社である幻冬舎が著者を守る場面です」
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1133854746593226753
「某出版社校閲部員」は、こう提案している。
「理想は、『日本国紀』を絶版・回収したのち、検討を重ねて「正しい形」で再出版することだと思う」
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1133855598481567744
ニューズウィーク日本版」における発言にしても「某出版社校閲部員」の依拠するプロフェッショナリズムからすれば許しがたいのだろう。
「『校正に5年かかる』の件ですが、500ページの調べ物含む初校で、どんなに難航しても1日10ページとして、初校最大3か月、著者校正(2か月くらい?)ののち、再校の赤字合わせ、素読みでまた2か月、で前後もろもろ付き物等々挟んでも実際は1年以内で可能かな?」
「『日本国紀、普通の本の3倍校正しました』に関しては、幻冬舎から出してる他の作家さん(『普通の本』と言われた作家さん達)みんな怒るでしょ。見城氏と高部氏の間の役職の編集者もみんな怒るでしょ。マジで一体なに考えてんの」
高部とは幻冬舎編集本部第三編終局編集第一部部長で「日本国紀」の担当編集者・高部真人を指す。
「『校正だけで5年かかる』のみならず、前の『普通の本の3倍以上はやっています』も改めて読むとひどい一
『普通の本』ってなんだよ。幻冬舎から刊行されてる他の作家さんの本は『日本国紀』の3分の1レベルの校正ですか?
こんな短い3行の中によくぞここまでひどさを詰め込んだな。逆にあっぱれ」
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1134033018899709952
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1134428297780027395
https://twitter.com/WiQIHaDU6fPWDK2/status/1134395661795782656
「某出版社校閲部員」もスクショで掲げていたが、有本香が今から6年前には、こんな素晴らしいツイートをしていた。当時の有本の立場からすれば「日本国紀」は天に唾する行為であろう。
「最近の書籍や雑誌の制作過程から、『校閲』は抜け落ちたらしい。辛うじてあるのは字句レベルの『校正』のみ。校正すらやっているのか疑わしいものもあるが。多少の誤字や事実チェックの甘さなど、売行きにさほど関係なしとの精神だろうが、それこそ天に唾する行為だと今の出版不況が証明している」
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/309478575885672448?s=21
いずれにしても、百田尚樹幻冬舎から刊行した「日本国紀」は日販が発表した2019上半期ベストセラーでは第5位。トーハンも第6位となるベストセラーとなった。
https://www.tohan.jp/bestsellers/upload_pdf/20190531bestseller_2019hy.pdf
https://www.nippan.co.jp/ranking/annual/

------------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎今日(6月3日)の午後19:00~21:00まで無料配信される「DOMMUNE」でDJをつとめるのは、大谷能生菊地成孔だが、「出版人 広告人」6月号の表4問題が取り上げられるようだ。消息筋が解説してくれた。
「台本など全くなくて、菊地成孔大谷能生の二人がここ数ヶ月の音楽に始まり、何から何まで話題として回すフリースタイル番組です。様々な話題の中で、どれだけ、どんな感じで『出版人 広告人』表4問題が触れられるかどうかわからないし、しかもシリアスではなくエンタテインメントなんで、講談社とのバトルも多分、『そんなことあるんだ!』という感じで語られるのではないでしょうか」
エンタテインメントで良いじゃないか。むしろ、エンタテインメントで語られることを大歓迎したい。何故なら、真実なんていうものはシリアスな物言いではなく、得てしてエンタテインメントに孕まれるものなのである。毎回5000人くらいは視聴者がある番組なので、「拡散野郎」の異名を持つ講談社・乾智之「実行犯」広報室長にも強面をたまには解除してお楽しみいただきたいものである。彼は、このを読んでいないから、4社会の関係者の人は教えてあげて欲しいものだ。ただし、コピーは厳禁ですぞ。主張と行動が乖離するのってみっともねえことだものな。
http://www.dommune.com

◎「東洋経済オンライン」は「グーグルマップ『突然の劣化』はなぜ起こったか」を発表した。アメリカ本社バイスプレジデントのデイン・グラスゴーが「ゼンリンの地図の活用範囲を大幅に縮小した」理由を次のように語っている。
「大きなモチベーションの1つが、ユーザーのフィードバックに対してできるだけ早く反映できるような体制にしたかったということ。これまでの日本の地図では、それらを地図上に反映するのに平均で数カ月かかっていたが、新たな地図では早ければ数時間、遅くとも数日で対応できるようになる。頻繁にアップデートすることによって、最高のエクスペリエンスを提供したいと考えている。
日本で地図を作るのは難しい。地形は複雑で、都市部の密度は非常に高い。道路の幅もさまざまだし、歩行者が歩く階も上だったり下だったりする。子どもの頃に3年間日本に暮らしていた私としては、地図の複雑性はよくわかっている」
https://toyokeizai.net/articles/-/283815

東京新聞によれば北区が第18回「北区内田康夫ミステリー賞」への応募作品を募っているそうだ。受賞作は、「Webジェイ・ノベル」(実業之日本社)に掲載される。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201905/CK2019052902000114.html

学習院大学史料館は講座「没後20年 辻邦生を語る」(〔主催〕学習院大学史料館 〔協力〕中央公論新社毎日新聞社 )を6月29日に開催する。
https://www.u-presscenter.jp/2019/05/post-41599.html

◎「オードリーのオールナイトニッポン」(毎週土曜日25-27時)に、「学研の図鑑 キン肉マン『超人』」が協賛するのにあわせて、協賛期間中の6月限定でクイズキャンペーンを実施する。
https://gkp-koushiki.gakken.jp/2019/05/29/9748/
この図鑑、化けるような気がしてならない。

◎「ITmediaNEWS」の「ラジオの気象番組、AIで原稿作成から読み上げまで完結 NHKが公開」は、こう書いている。
NHK放送技術研究所は5月28日、AI(人工知能)を活用してラジオの気象予報番組を自動生成する技術『AIアナウンサー』を報道陣向けに公開した」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/28/news117.html

スポーツニッポンは5月29日付で「TBS社長 『NEWS23小川彩佳アナへの期待『ジャーナリストとしてもしっかりしている』」を掲載した。
「元テレビ朝日小川彩佳アナウンサー(34)を報道番組『NEWS23』(月~木曜後11・00、金曜後11・30)のメインキャスターに6月3日から起用することについて、TBSの佐々木卓社長は29日の定例記者会見で強い期待感を示した。『『NEWS23』は来週から小川彩佳さんを迎えて一新します。新しい取り組みで夜の視聴者を発掘したいと思います』と述べた」
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/05/29/kiji/20190529s00041000234000c.html

◎5月31日付で既報の、日販減収減益赤字決算。日販グループ(連結子会社数25社)の当期純損失は2億円(対前年129.0%減)。19年ぶりの赤字となった。
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2019/05/20190529_kessan.pdf
朝日新聞デジタルが5月29日付で「出版取次大手・日販、19年ぶり赤字 輸送費増追い打ち」を公開している。
「日販によると、書店での出版販売金額は、ピーク時の半分ほどに落ち込んでいる。人手不足でドライバーの賃金が上がり、配送コストが増えたことも追い打ちをかけた。業績の改善策として、出版社に対し、輸送費の負担増などを求めているという」
https://www.asahi.com/articles/ASM5Y4TYZM5YUCVL00V.html
紙の出版物を扱う取次は大手出版社のようなデジタルシフトが不可能なのである。
また、日販は2019 年 5 月 27 日開催の臨時取締役会において、2019 年 10 月 1 日付での持株会社体制への移行に関する吸収分割契約の締結を決議し、同契約を締結した。これにより、日販は10月1日をもって「日販グループホールディングス株式会社」に商号を変更する。また、完全子会社「株式会社日本出版販売準備会社」が10月1日をもって、子会社管理および不動産管理を除き同社が営むすべての事業に関する権利義務を承継し、同日付けで「日本出版販売株式会社」に商号を変更する。
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2019/05/officers_20190529.pdf

トーハンが減収減益の2018年度決算を発表した。売上高は3971億6000万円、前年比92.9%。2018年2月に星光堂との業務提携が終了したため、実質的な売上前年比は97.0%
商品種別の売上前年比は、書籍97.5%、雑誌92.6%、コミック99.9%。マルチメディア商品(MM)の売上前年比は76.6%だが、星光堂の要因を除くと前年比105.7%。
売上総利益は463億5600万円、前年比100.1%となったが、運賃や業務委託料の上昇により物流経費が増加し、営業利益42億7200万円、経常利益21億3900万円、ともに減益となった。
返品率は、送品部数の適正化に取り組み、総合で40.7%(前年差-0.2ポイント)。書籍40.8%(-0.4)、雑誌48.5%(-1.0)、コミック30.1%(-3.1)に対し、MMの返品率は17.8%(+3.0)となったが、星光堂の要因を除いたMM返品率前年差は-1.6ポイント、総合返品率の実質的な前年差も-1.3ポイントとなる。
https://www.tohan.jp/news/20190531_1417.html
なおトーハンは2019年度から5ヵ年の中期経営計画「REBORN」を策定した。基本方針は次の二つ。
(1)「本業の復活」・・・・・・出版流通の構造改革に取り組み、書店や読者が必要とする本を確実に届けられるよう、将来にわたり持続可能な形態へと流通ネットワークの進化を図る。市場のニーズを起点としたマーケットイン型流通の構築と、AI等の技術を活用したプロダクトアウト型流通の進化、さらにこれらの融合を目指し、書店・出版社の繁栄を通して出版化の発展に寄与する。
(2)「事業領域の拡大」・・・・・・本業を万全の体制で継続してゆくため、企業としての新たな成長エンジンを獲得し収益基盤を強化する。
https://www.tohan.jp/about/philosophy.html

サントリー食品インターナショナルは、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の公開を記念し、5月29日よりサントリーコーヒー「BOSS」と「ゴジラ」のコラボ企画「東宝監修!『ゴジラボスジャン』当たる!」キャンペーンを実施する。
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1187087.html

◎「日経クロストレンド」が「スターツ出版インフルエンサー500人を組織化 支援事業参入」を掲載している。
SNS上で影響力を持つインフルエンサーを活用したマーケティング市場が広がっている。この市場に出版社が参入した。女性向け雑誌『OZmagazine』を発行するスターツ出版は、読者などから募ったインフルエンサー500人を組織化。2019年5月30日からマーケティング支援サービスとして提供を始めた」
https://trend.nikkeibp.co.jp/atcl/contents/casestudy/00012/00207/

辻村深月の「朝が来る」(藝春秋)が、河瀨直美監督・脚本で映画化されることが決定した。
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/84672/
河瀨直美が庫の解説を書いている。
https://books.bunshun.jp/articles/-/4402

朝日新聞デジタルが5月29日付で「NHK、全番組のネット同時配信可能に 年度末にも開始」を発表している。
「NHKがテレビ番組を放送と同時にネットで配信することを可能にする改正放送法が29日の参院本会議で可決、成立した。NHKは今年度末にも常時同時配信のサービスを始める予定で、スマートフォンやパソコンなどで視聴できるようになる」
https://www.asahi.com/articles/ASM5X7QT4M5XULFA03H.html
NHKにカネが集まり過ぎるからNHKは何でもできるということだ。日経が5月30日付で社説「NHKネット配信拡大の課題」を掲載した。
NHKがすべてのテレビ番組を放送と同時にインターネットで配信できるようにする改正放送法が成立した。スマートフォンなどで番組を視聴しやすくするのは時代の要請だ。ただ、メディアの健全な競争環境の維持など残された課題もあり、NHKや放送業界は解決を急ぐべきだ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45474850Q9A530C1SHF000/
朝日新聞デジタルは5月29日付で「NHK番組『レンタル家族』利用客は偽者 会社側が捏造」も掲載している。
「NHKは29日、家族や友人をレンタルする会社を取り上げた国際放送のドキュメンタリー番組で、利用客として紹介した男女3人が実際の客ではなく、レンタル会社のスタッフだったと発表した。番組側はこうした事実を把握していなかった」
https://www.asahi.com/articles/ASM5Y61NVM5YUCLV01G.html
朝日新聞は5月31日付で社説「NHK同時配信 改革と理念を示さねば」を掲載している。
「民放の広告収入は頭打ちの一方、NHKの収入は今や7千億円を超す。同時配信でNHKが独走すれば、民放とNHKが共存して多元的な価値を提供する機能が損なわれかねない。
そのため、NHKはネットを『放送の補完業務』と位置づけたうえ、受信料の値下げも決めた。だがそれでも、肥大化の懸念を拭うにはほど遠い」
https://www.asahi.com/articles/DA3S14036722.html
受信料を民放にも分配できる仕組を考えるべきではないのだろうか

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムDAC)は、TikTokを通じてインフルエンサーマーケティング領域を強化すべく、若年層に特化したインフルエンサーマーケティングサービスを提供するRERAISE(リレイズ)と資本業務提携を締結した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000164.000017676.html

◎仕事にも家事にも忙しい「子育て世代」のためのWebメディア「kufura」(クフラ)https://kufura.jp/は、小学館が運営しているが、インスタグラムのフォロワー25万人を突破し、5月29日現在 フォロワー26万人となっている。「kufura」の4月度総動画再生は1,400万回を超えているし、インスタグラムのほかにも「Facebook」「Twitter」「Pinterest」と多面的に展開している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000297.000013640.html

河合隼雄物語賞・学芸賞が決まった。物語賞は三浦しをん「ののはな通信」(KADOKAWA)。学芸賞は藤井一至「土 地球最後のナゾ-100億人を養う土壌を求めて」(光社新書)。「土」は読んでいないし、買ってもいない。自らの不勉強ぶりを恥じるしかあるまい。
https://www.sankei.com/west/news/190529/wst1905290032-n1.html

岩崎書店は、1冊に15のショートホラーを盛り込んだイシズマサシの短編怪談集絵本「あっちがわ」を6月11日に発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000035751.html
この絵本は話題になるな。

◎2007年にスイスで誕生したファッションウォッチブランド「Tendence」は、5月27日(月)よりブランド初となるアンバサダーとして「週刊少年ジャンプ」の「ろくでなしBLUES」から葛西、「月刊少年チャンピオン」の「クローズ」から九能龍信、「週刊少年サンデー」の「今日から俺は!!」から中野誠、「週刊少年マガジン」の「湘南純愛組!から弾間龍二(順不同)を採用した交通広告の大型ポスターを展開した。Twitterを中心に話題になっている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000028462.html

◎7月5日(金)から9月8日(日)、森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)で「進撃の巨人展FINAL」が開催されるが、これを記念してスペシャル限定グッズのBOXが、6月5日(水)よりセブンネットショッピングにおいて数量限定で販売される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000009936.html

オリコンが発表した上半期ベストセラー。1位は予想通り樹木希林の「一切なりゆき」(藝春秋)。(2)医者が考案した「長生きみそ汁」(アスコム)(3)世界一かんたん定番年賀状 2019(KADOKAWA)(4)日本国紀(幻冬舎)(5)樹木希林120の遺言(宝島社)(6)メモの魔力(幻冬舎)(7)妻のトリセツ(講談社)(8)インターミッション 生田絵梨花写真集(講談社)(9)はやわざ年賀状 2019(インプレス)(10)英単語の語源図鑑(かんき出版)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45401160Z20C19A5CR0000/

元木昌彦の「平成挽歌―いち雑誌編集者の懺悔録」が抜群に面白い。一冊にまとまるのが楽しみだ!
「4年目に週刊現代へ異動させられた。そこでは毎週金曜日に編集部員に5,000円ずつ取材費として手渡してくれたのだ。少し前は1万円だったという。私は週末の競馬で消えたが、奥さんに渡していた者もいたようだ。
その頃は銀座から自宅までタクシーで帰っても3,000円はかからなかった。
講談社は3,000円まで領収書なしでタクシー代を請求できたから、社内には『赤伝(タクシー代)長者』といわれる先輩がいた。外回りをしないのに、せっせと赤伝を書いて、定時には帰ってしまうのだ。そうやってカネを貯め、豪邸を建てるのだが、それでも会社は見て見ぬふりだったようだ。
取材のときに使う飲食・酒代も天井はなかった。だが、当時はクレジットカードやツケのきく店が少なかった。今も銀座五丁目にある三笠会館を使うようになったのは、ここはツケがきいたからだ。各階ごとに和食からフレンチと様々な料理があるから、毎晩、階を替えて呑み食いしていた」
「35歳のときだった。ジャニー喜多川の性癖を、週刊誌として初めて書いたことで大騒ぎになった。ジャニーズ側が、今後講談社雑誌にはうちのタレントを一切出さないといい出したのだ。
困った社は、私を婦人倶楽部に異動させることでジャニーズ側と手打ちをした。そこには2年いて月刊へ戻された」
https://www.data-max.co.jp/article/29205
https://www.data-max.co.jp/article/29329
https://www.data-max.co.jp/article/29446
https://www.data-max.co.jp/article/29605
社内の一部からは「君側の奸」と呼ばれ始めている乾智之広報室長が仕切る講談社広報室に欠けるのは「大らかさ」の伝統だということがよくわかる。

◎「第11回日本マーケティング大賞 グランプリ」は、「ポカリスエットマーケティング」。今回から新設された「準グランプリ」は「『漫画 君たちはどう生きるか』のマーケティング」。
https://www.advertimes.com/20190530/article292071/

横山秀夫の「影踏み」(祥伝社庫)が篠原哲雄監督によって映画化される。主人公の泥棒を演じるのは山崎まさよし。脇を固めるのが尾野真千子北村匠海大竹しのぶといった芸達者たち。
https://www.youtube.com/watch?v=Ei5wftvIJak
https://www.excite.co.jp/news/article/Crankin_6530910/

ニッポン放送垣花正 あなたとハッピー!」(5月23日放送)で、「美容院で渡される雑誌は、どういう基準なのか?」が特集された。この番組によれば20代・30代の女性には、ファッション誌「Oggi」、40代以上の女性には「CLASSY.」または「STORY」、50代以上の女性の場合は「女性セブン」や「週刊女性を渡すそうだ。男性の場合は、あまり年齢を意識せずに、「モノ・マガジン」や「GetNaviなどのガジェット系のアイテム雑誌や「Number」などのスポーツ雑誌を渡すという。
https://this.kiji.is/506604236756599905?c=62479058578587648
「本当かよ!」と半畳は入れてみたくなる放送内容である。もう少し丁寧に取材してもらいたいところだ。

テレビ東京開局55周年特別企画「テレ東音楽祭 2019」が6月26日(水)に開催されるが、今年は5時間の長丁場となる。
https://www.tv-tokyo.co.jp/information/2019/05/30/215685.html
「フジテレビがテレ東に敗れる日」があるかもしれない。

KADOKAWAの主催する小説コンテスト「第4回カクヨムWeb小説コンテスト」の選考結果が5月30日にWeb小説サイトカクヨム」上で発表された。応募総数8,281作品より、大賞4作品、特別賞30作品、短編賞3作品の合計37作品を選んだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005899.000007006.html
粗製乱造が心配になって来る。

◎「おたぽる」が「KADOKAWA所沢移転問題で混迷深まる社員の声  個人デスクも廃止で辞表の置き場もなし……『いいかげん予定を決めて』」を発表している。
「個人のデスクが廃止されているのも、これまた事実。会社としては、どこで仕事をしてもらっても構わないという方針で、こういうことになっているらしい」
「そう、いまだ所沢への移転日時が決まらないので、これを機に同業他社へ移る予定だった社員も、話が流れてしまっているという」
https://otapol.com/2019/05/post-65961.html

エイ出版社は、グループ会社であるピークスとの共同運営で、趣味とライフスタイルの専門誌が集まるWEBメディアプラットフォーム「FUNQ」funq.jpをローンチした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000022918.html

------------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

安易さが崩壊をもたらすのである。