【文徒】2015年(平成27)6月17日(第3巻112号・通巻557号)

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1)【記事】「絶歌」の版元が幻冬舎ではなく太田出版であった理由
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「絶歌」の版元が幻冬舎ではなく太田出版であった理由

こんな「まとめサイト」を発見した。「絶歌は幻冬舎ゴーストが書い(まとめ)ているため読むに値しない」という。
http://togetter.com/li/834566?page=1
http://togetter.com/li/834566?page=2
実際、元少年Aの手記「絶歌」の版元が幻冬舎ではなく太田出版であったことに驚いている出版関係者も多いようだ。ノンフィクション書籍を手がけている編集者のひとりは、次のように語ってくれた。
幻冬舎見城徹さんが元少年Aを2年間にわたって囲っていたという話があります。見城さんはヤル気満々だったようですよ」
幻冬舎はリンゼイ・アン・ホーカー殺害事件の犯人である市橋達也の「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録」を刊行した出版社でもある。
http://www.gentosha.co.jp/book/b6893.html
週刊新潮」1月29日号は、元少年Aの手記出版に関して見城に当てたうえで記事にしている。そこで見城は、次のように言い放っている。
「万万が一、予定があるとして、出したらいけないの? 彼は残虐な殺人を犯したけれど、法に従って少年院に入って、反省して出てきているわけでしょう。新たに犯罪を犯してもいないのに手記がダメなら、何のための法律ですか」
「遺族だ、被害者だって言うけれど、屁理屈だよ。元少年は毎年遺族に手紙を書いているわけだし……。君たちだって、いちいち被害者に取材しないでしょう。大体、手記を出したところで、売れないって」
ここで見城は手記の出版を全面的に否定していない。もし、手記出版の予定がなかったら、逆にこのような発言はしなかったはずだ。恐らく、明日、発売の「週刊文春」なり、「週刊新潮」に見城徹が登場するはずだ。私が編集者なら、そうする。
しかし、見城は何故、手記の企画を太田出版に譲ったのだろうか。この辺の事情について、大手出版社の事情通は次のように解説してくれた。
「出せば売れるという超売れっ子作家が元少年Aの手記を幻冬舎が出すなら、自分は幻冬舎から本を出さないと直接本人が言ったのか、あるいは見城さんなり、担当編集者が超売れっ子作家を慮ったかはわかりませんが、両者を天秤にかけて、超売れっ子作家を選択したということでしょう。そう考えると『週刊新潮』における見城さんのコメントにはリアリティがありますよね」
超売れっ子作家といえば私などの頭に即座に浮かぶのは、東野圭吾。東野は幻冬舎では「プラチナデータ」しか刊行していない。事情通の言う超売れっ子作家が果たして東野圭吾なのだろうか。
http://www.gruri.jp/article/2015/02040815/

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2)【本日の一行情報】

尾田栄一郎の「ONE PIECE」(集英社)がギネス世界記録に認定された。1人の作者が描いたコミックとして累計発行部数が世界最多なのだそうだ。その数、世界全体で3億2086万6000冊!2014年12月末現在の冊数だから、この記録は「ONE PIECE」によって刷新されつづけることになる。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20150615-OYT1T50021.html

◎7月15日に発売される集英社のマンガ誌「月刊YOU」8月号の付録が凄い。森本梢子のマンガ「研修医 なな子」のコミックス1巻が付録なのである。しかも、9月号にコミックス2巻、10月号にコミックス3巻というように三号連続での付録となる。
http://mantan-web.jp/2015/06/15/20150614dog00m200028000c.html

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中のマンガ「斉木楠雄のΨ難」(さいきくすおのサイなん)が実写映画化されることになった。6月27日発売の「Cocohana」8月号(集英社)には、「斉木楠雄のΨ難」の出張版が掲載されるのも話題だろう。(Ψはギリシア語アルファベット第23字)
http://natalie.mu/comic/news/150571
集英社セクショナリズムを排して横串を入れるのが本当に上手くなった。

◎CCCグループのネット事業を統括するT-MEDIAホールディングスと、その子会社でシンガポールに拠点を置くIMJ Investment Partners Pte.Ltd.は、ザワットと資本業務提携を開始した。すでに「T-SITE」を通じて、「ライブオークション」のサービス共同運営を開始している。
https://www.tmediahd.co.jp/news/2015/0615_ccc.html

◎6月15日に発売された講談社の「おとなの週末」7月、8月合併号は「銀座」を特集している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000668.000001719.html

◎日本の新聞やテレビはアメリカのこういうところは学んだほうが良い。「週刊ポスト」の記事だ。
「例えばアメリカなら、メディアの人間が政治家と会う時は、たとえ社長でも、あるいは相手が地方議員であっても『コーヒー1杯』が上限で、それ以上の飲食は『癒着』『ジャーナリズムの腐敗』と見なされる」
http://www.news-postseven.com/archives/20150614_328057.html

ナチュラルやシンプルが時代のトレンドらしい。しかし、「盛り盛り」のギャル文化は死なずとばかりにムック「S Cawaii! HYPER」が主婦の友社から刊行された。元「egg」モデルで、現在「S Cawaii!」専属モデルの”ねもやよ”こと、根本弥生をはじめ、ギャルタレントとして活躍している今井華や、元「egg」「nuts」「小悪魔ageha」などで活躍していた人気のGALモデルがここに結集している。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/8350/

主婦の友社のヘア関連の情報サイト「TOKYO CAWAII BEAUTY」は、去る6月13日(土)、渋谷ヒカリエで「HAIR OF THE YEAR(ヘアー・オブ・ザ・イヤー)全国大会」を開催した。
http://tokyo.cawaii.media/tokyo-cawaii/7935/
ネットを「核」にしながら、「紙」の出版物、リアルイベントを立体的に絡めたデジタルシフトの試みだ。

◎宝島社がスタイルブックで攻勢をかけている。43kgのスレンダーボディを売りにしているダレノガレ明美が「I'll give you my all」で67kg当時の写真を公開したり、セクシーショットまで公開している。一方、青文字系ファッション誌で活躍するるうこもスタイルブック「R RUKO IS ME.」を刊行。るうこはツイッターで4万、インスタグラムで10万以上のフォロワー数を持つことで知られている。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-06-15/ruko-book/
宝島社は、この手の企画でもジャーナリスティックなんだよなあ。

◎3月にスタートした「オレンジページ サロンWEB」の5月末時点での会員は、たったの約2,500名に過ぎないのか。正確に言えば16日午後1時21分現在2710人。この程度の人数しか獲得できていないということは、この新規事業が成功しているとは言い難いのではないだろうか。
http://markezine.jp/article/detail/22423
https://orangepage.cocosq.jp/tops

◎「LINE MUSIC」のダウンロード数が、サービス公開から2日目となる6月12日時点で100万件を突破した。物凄い数を叩きだしそうな予感がする。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/1018

◎雑誌「季刊エス」が発売は徳間書店、発行元は復刊ドットコムで新装刊した。
http://s-ss-s.com/s/
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1506/15/news101.html

マーク・ザッカーバーグは「Facebook Messenger」の月間ユーザー数が7億人に達したと述べたそうだ。
http://japan.cnet.com/news/service/35065914/

KADOKAWAの少女向けコミック雑誌「ASUKA」が、今年30周年を迎えることを記念して、「ASUKAフェスティバル」を7月19日(日)、7月20日(月・祝)の2日間にわたって代官山CARATO71で開催する。
http://asuka-web.jp/30th.html

NTTドコモは、電子雑誌の定額の読み放題サービス「dマガジン」のラインナップに「anan」「VERY」「フィガロ ジャポン」が加わる。8月には配信タイトルは150誌になるそうだ。
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20150615_707034.html

◎U-NEXTは、小学館のトレンド情報誌「DIME」8月号増刊に、同社が提供するモバイル通信サービス「U-mobile」の音声通話機能付きの「通話プラス」プランの初期費用と月額利用料が最大2か月無料になるエントリーカードを提供した。
http://p.unext.jp/pdf/announce_umobile_0615.pdf
これが「DIME」8月号増刊。定価は980円(税込)。
http://www.shogakukan.co.jp/magazines/1593008115

◎「週刊ダイヤモンド」は次のように書いている。
「業界では、ローソンからサントリーへ転身した新浪剛史社長の存在を指摘する声も多い。だが、関係者によると、それ以上にセブンを激怒させた一件があったという。
セブンがPBの缶コーヒーの目玉としてボスを発表したのは2014年1月。ところが、そのわずか半年後の7月、サントリーファミリーマートのPBでもボスを登場させてしまったのだ」
http://diamond.jp/articles/-/73230

◎大阪の投稿誌「星と泉」第17号(星湖舎)が、大阪・谷町の書店「隆祥館書店」を巻頭で特集している。
http://cart05.lolipop.jp/LA06686589/?mode=ITEM2&p_id=PR00102321986
創業者の二村善明は「出版をただ売ればいいという商業主義の餌食にすることなく、出版を文化として作家を支え、読者が出版を育てるこの仲介者が書店」だと考えていたという。
http://www.sankei.com/west/news/150615/wst1506150048-n1.html

◎「本のアプリ Stand」をご存じですか?
https://standbk.co/
https://itunes.apple.com/jp/app/bennoapuristand/id937250629?mt=8

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3)【深夜の誌人語録】

「明日から始めよう」と言って実際に実行されることは稀である。今すぐに始めるかどうかなのだ。