【文徒】2014年(平成26)6月17日(第2巻111号・通巻313号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】ダイヤモンド社とスクーが書籍出版で組んだ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.6.17 Shuppanjin

1)【記事】ダイヤモンド社とスクーが書籍出版で組んだ

スクーが運営する「schoo WEB-campus」は「“いつでも、どこでも”最前線で活躍する先生から無料で学べるオンラインの学校」である。ビジネススキル、テクノロジー、アート、教養など全7ジャンル月150コマ以上の生放送授業を放送している。現在、会員数は8万人を超えているそうだ。森健志郎代表取締役社長は次のように述べている。
「年齢・性別・住まい・職業等、異なる背景や価値観を持っている人達が、学ぶことを軸にコミュニケーションを楽しみ、『終わらない学生生活』を満喫する。まさに『WEBに誕生した、学校の新しいカタチ』です」
http://schoo.jp/guest
森は20代の経営者である。森のプロフィールを紹介しておこう。
「1986年大阪生まれ。2009年近畿大学経営学部卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズで、広告営業・企画制作に従事。2011年10月株式会社スクーを設立、代表取締役社長に就任。2012年1月に同サービス『schoo(スクー)WEB-campus』をリリースし、schoo(スクー)WEB-campus 理事長に就任」
出版と教育は昔から相性が良いが、スクーに目をつけたのはダイヤモンド社であった。ダイヤモンド社はスクーの授業を書籍化することになった。「ITmedia eBook USER」は次のように書いている。<第1弾となる今回は、コピーライター・川上徹也さんの人気授業「普段の仕事に活かせるキャッチコピー力養成実習」を書籍化した『読むだけであなたの仕事が変わる「強い文章力」養成講座』を発売。価格は1300円(税別)で、全国の書店で購入できる>
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1406/12/news048.html
スクーでは、通常月額525円の有料会員登録が必要な川崎の録画授業を無料で公開している。
https://schoo.jp/class/895
出版と教育は昔から相性が良いし、出版とウエブの相性はこれからますます良くなるはずだ。紙はウエブとのパートナーシップにもっと積極的になって良いはずである。

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

iPhoneiモードケータイの後釜としてガラパゴス端末化する可能性は確かにあると思う。アップルのソニー化と言い換えても良いだろう。
「『iPhoneiモードケータイの後釜』と誰かがネット上で書いているのを見かけたことがある。海外では徐々にAndroidのシェアが高まっているのに対し、日本国内ではiPhoneが相変わらず売れ続けている。iPhoneの生態系が日本だけで進化していき、ガラパゴス端末化するのでないかと皮肉っているのである」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20140609/562603/

◎「現代ビジネス」で牧野洋が次のように指摘している。
「…日本には書評で頭角を現したジャーナリストが見当たらない。新聞界がプロの書評家を育ててこなかったということでもある。書評以外の映画批評や製品批評でも同様だ。そもそも日本新聞協会が書籍や映画、製品批評を『ジャーナリズム』と見なしていないようだ。新聞協会賞に『批評』部門がないのだ」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39542
牧野は新聞の書評欄について言及しているのだが、実は雑誌でも同様のことが言える。私は雑誌の書評欄が新聞と同じだと言っているのではない。言ってみれば、あらゆる情報誌において「批評」の不在が指摘できるはずだ。情報誌が提供する「情報」は所詮、新製品や新サービスなど、「新」の紹介にとどまっている。編集タイアップという広告手法が雑誌広告の主流となったのも、このためである。誤解を恐れずにいえば、マガジンハウスが開拓した文法の圏内にとどまっているということでもある。

◎「日刊サイゾー」が指摘するには業務が正常に回らなくなるほど、退職者が増えているようだ。そうしたなかで契約社員が突然、「CUTiE」の編集長に就任するなど現場が大混乱しているそうだ。とはいえ、宝島社が女性ファッション誌において大胆な附録戦略を展開できたのは「安い労働力」によってである。「契約社員、半契約社員、アルバイト」に社員並みの労働をさせることで「安い労働力」を実現しているのである。大手出版社の中途採用には宝島社の「安い労働力」がどっと押しかけるとも私は聞いている。
http://www.cyzo.com/2014/06/post_17491.html
ちなみに元革マル派を経営者に戴く宝島社に労働組合はあるのだろうか。「ない」らしいんですよね、これが。

聯合ニュースによれば「韓国・誠信女子大の徐ギョン徳(ソ・ギョンドク)教授がサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕に合わせて、日本代表のユニフォームを批判する広告キャンペーンをソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で始めた」そうだ。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2014/06/13/0800000000AJP20140613001300882.HTML

◎米ツイッター最高執行責任者(COO)Ali Rowghaniが退任することになった。むろん、退任を発表したのはツイッターで。ただし、ツイッターを辞めることなく、最高経営責任者(CEO)Dick Costoloのアドバイザーをつとめるそうだ。「CNET」によれば「Twitterが幹部陣の刷新に動いた背景には、成長の鈍化と製品の革新も要因としてあるという」。
http://japan.cnet.com/news/business/35049342/

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の「メディア定点調査2014」によれば「携帯やスマートフォンタブレット端末を操作しながらテレビを見ることは6割を超えています。テレビ番組を見ながら、ソーシャルメディアでその番組に関する書き込みをしたり、書き込みを読んだりすることは、全体では20.6%ですが、女性10代では66.1%と約7割となっており、ソーシャルメディアの利用が日常化している」という。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/report/20140610_8264.html

土屋鞄製造所とトラベルカルチャー誌「TRANSIT」が、旅バッグ「トラベラーズショルダー」をコラボ、6月24日から発売する。
http://www.fashionsnap.com/news/2014-06-12/transit-tsuchiyakaban/

エドウインの女性用デニムブランド「SOMETHING」が、雑誌「DRESS」(幻冬舎)と同誌でファッション・ディレクターを務める大草直子とコラボした「SOMETHING DRESS」を発売した。
http://www.wwdjapan.com/fashion/2014/06/12/00012456.html

◎学研グループの電子書籍書店ブックビヨンドは、スポーツ写真のフォトエージェンシー「フォート・キシモト」と提携し、各種スポーツの電子書籍を「ビヨンドブックス」レーベルからスピーディーかつタイムリーに発行することになった。第1弾として、サッカーワールドカップブラジル大会に合わせて、「心が震えた! ワールドカップ日本代表激闘史」「決定版! 日本サッカー 伝説の100人」の2タイトルをリリース。ブックビヨンド以外の電子書籍ストアでも配信する。
http://bookbeyond.co.jp/news/201406/20140612_1.html

◎アマゾンでKindle本を購入すると(無料本でも可)を購入すると、映像配信サービス(Amazonインスタント・ビデオストアでのビデオレンタルや購入)で使える200円クーポンを一人1回プレゼントされるキャンペーンが8月31日まで展開される。無料のKindle本でもプレゼントしてしまうところがアマゾンなんだろうなあ。
http://www.amazon.co.jp/gp/feature.html?ie=UTF8&docId=3078188396

◎「富士見L文庫」が創刊された。「L」は「Literature」と「Light Novel」の頭文字に由来する。中高生向けの「ライトノベル」とは一線を画し、読みごたえのある「ストーリー」と「世界観」を重視した作品ラインナップを目指すそうだ。ある程度、大人となった女性を意識したラインナップを目指すのだろう。
http://www.fujimishobo.co.jp/sp/L_novel/

講談社6誌×pixiv 「講談社まんがスカウトFes#2」でグランドチャンピオンとなった「ことヤギ」が「なかよし」デビューが決定。
http://www.pixiv.net/info.php?id=2390&lang=ja
マンガでも小説でも何でも作家のインフレが起きることは間違いあるまい。作家のインフレは、個々の作家の経済を圧迫することになるだろう。大半の作家が喰えなくなるということだ。

◎マンガ家の赤松健のツイートによれば「マンガは博打の三階建て」なのだそうだ。大ヒットが出れば、それだけで出版社の経営が好転する。マンガ家は原稿料だけだとアシスタント代で消えてしまうことがあるが、大ヒットをするとコミックスの印税は莫大なものになる。雑誌の利点は「ヒット作の利益を再分配し、次世代の新人育成に回せる」ことだ(逆に言うとヒット作でも出ない限りは新人の育成はできない)。
http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-24668.html

◎ワールドカップの日本対コートジボワール戦に関わるツイートは試合開始一時間前から試合終了30分後までの間に全世界で396万ツイートに達したという。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1406/15/news007.html

◎企業の株主総会は今月27日にピークを迎える。といっても、この日に株主総会を開く企業の割合は減少傾向にあり、今年は全体の40%程度だそうだ。NHKニュースウエブによれば「多くの株主に参加してもらおうと開催日を分散させる動きが一段と広がってい」るとのことである。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140616/k10015239051000.html

◎150万部を記録した阿川佐和子の文春新書「聞く力」の第2弾「叱られる力 聞く力2」が6月20日に発売される。「聞く力」もまだ売れているし、この第2弾も売れるのだろう。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166609604

朝日新聞社東洋経済新報社は3月には「賢人の知」セミナーを共催していたが、がデジタルコンテンツ連携を本格的にスタートさせた。朝日新聞デジタルの経済記事に登場した主要企業について、さらに詳しいデータを知りたい読者のために、「会社四季報」の企業情報をエッセンス版で閲覧できるようにした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000009214.html

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

繊細であることは大切だが些細なことは気にするな。